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日産東京販売ホールディングスのニュース
*13:33JST 日産東HD Research Memo(3):自動車業界の大変革期に即した事業運営
■日産東京販売ホールディングス<8291>の会社概要
3. 自動車業界の動向
コロナ禍やウクライナ情勢などによる生産や流通の混乱が依然世界的に残る一方、景気回復によって情報機器や家電製品、自動車などに向けた半導体や部材の需要が増えている。また、機能の高度化によって、1製品当たりの半導体使用量も増加している。このため、緩和しつつあるとはいえ、製造業で半導体や各種部材の不足による生産の混乱が続いており、自動車業界では2023年も車両供給不足が続くという見方が多いようだ。このように自動車業界は短期的にやや厳しい環境にあるといえるが、中長期的には先端技術化やCO2排出削減など環境対応によって裾野がさらに広がっていくと予測されている。こうした予測のなか、「CASE」と「MaaS」という潮流が自動車業界で注目されている。「CASE」とは、自動車のIoT化(C:Connected)、自動運転(A:Autonomous)、所有から共有へ(S:Shared & Services)、EV(E:Electric)のことで、自動車業界に起きている大変革期を示している。一方「MaaS(Mobility as a Service)」は、個人単位の移動ニーズに対応し、様々な交通手段を最適に組み合わせた予定・予約・決済をワンストップで行う、いわば移動自体をサービスとして捉えた「モビリティ」という考え方に基づき、自動車業界の大変革期における適応の1つと見られる。
こうした大変革期に即してEVを急速に普及させているのが欧州や中国で、日本では話題が先行するばかりで必ずしも普及しているとは言い難い。理由は、EVに本格参入している国内メーカーが日産自動車くらいで、新車販売台数に占めるEVの比率がまだ非常に小さいからだ。このため、充電器などEVのインフラ構築に貢献できそうな駐車場を持つ小売やGSが費用や回収の点で投資に踏み込めておらず、結果として充電器の少なさが消費者にEV購入の二の足を踏ませているともいえる。こうした状況のなかで、同社は早い段階からEVをはじめとする電動車の普及に取り組むことで事業成長を果たすという考え方を持っており、そのため、後述するように、IoTには先端技術化で、自動運転にはプロパイロット(ProPILOT:運転支援技術)などで、共有は個人リース「P.O.P」などで、EVには環境面で有利なEV販売に注力することで、「CASE」に即した事業運営を推進しており、「MaaS」に対してはモビリティ事業の強化を進めている。もちろん日本におけるEVの旗振り役ともいえる同社だから、各店舗に他社メーカー製のEVも利用可能な急速充電器を設置するなど、積極的なインフラ投資も続けている。
こうした状況のなかで、同社は2021年7月、旧東京日産自動車販売、旧日産プリンス東京販売(バーチャルカンパニーのルノーNT販売を含む)、旧日産プリンス西東京販売という販売エリアを分けた3販売会社を統合した。同社の地盤は東京都区部8区※を除く東京都全域で、東京約1,400万人の人口の9割近くをカバーしているが、同社は肥沃な地盤をより効果的に活かし、営業や整備、店舗運営など様々な場面でシナジーを発揮できる、「CASE」や「MaaS」といった潮流に即した事業体制の構築を進めている。なお、これまでハイブリッド車とFCV(Fuel Cell Vehicle:燃料電池自動車)に注力していると思われた自動車業界最大手のトヨタ自動車<7203>が、幅広いラインナップでEVに参入してきた。当然競合とはなるが、それ以上にEVの選択肢が広がることで市場が活性化する効果は大きく、また、充電装置など投資のハードルも下がって、国内のEVのインフラ構築が早まる可能性が高まった。EVで先駆している同社としては歓迎できる動きといえよう。
※東京都区部8区とは千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、渋谷区、豊島区のことで、いわゆる都心に当たり、法人需要をメインとする日産自動車の連結子会社が展開しているエリアである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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3. 自動車業界の動向
コロナ禍やウクライナ情勢などによる生産や流通の混乱が依然世界的に残る一方、景気回復によって情報機器や家電製品、自動車などに向けた半導体や部材の需要が増えている。また、機能の高度化によって、1製品当たりの半導体使用量も増加している。このため、緩和しつつあるとはいえ、製造業で半導体や各種部材の不足による生産の混乱が続いており、自動車業界では2023年も車両供給不足が続くという見方が多いようだ。このように自動車業界は短期的にやや厳しい環境にあるといえるが、中長期的には先端技術化やCO2排出削減など環境対応によって裾野がさらに広がっていくと予測されている。こうした予測のなか、「CASE」と「MaaS」という潮流が自動車業界で注目されている。「CASE」とは、自動車のIoT化(C:Connected)、自動運転(A:Autonomous)、所有から共有へ(S:Shared & Services)、EV(E:Electric)のことで、自動車業界に起きている大変革期を示している。一方「MaaS(Mobility as a Service)」は、個人単位の移動ニーズに対応し、様々な交通手段を最適に組み合わせた予定・予約・決済をワンストップで行う、いわば移動自体をサービスとして捉えた「モビリティ」という考え方に基づき、自動車業界の大変革期における適応の1つと見られる。
こうした大変革期に即してEVを急速に普及させているのが欧州や中国で、日本では話題が先行するばかりで必ずしも普及しているとは言い難い。理由は、EVに本格参入している国内メーカーが日産自動車くらいで、新車販売台数に占めるEVの比率がまだ非常に小さいからだ。このため、充電器などEVのインフラ構築に貢献できそうな駐車場を持つ小売やGSが費用や回収の点で投資に踏み込めておらず、結果として充電器の少なさが消費者にEV購入の二の足を踏ませているともいえる。こうした状況のなかで、同社は早い段階からEVをはじめとする電動車の普及に取り組むことで事業成長を果たすという考え方を持っており、そのため、後述するように、IoTには先端技術化で、自動運転にはプロパイロット(ProPILOT:運転支援技術)などで、共有は個人リース「P.O.P」などで、EVには環境面で有利なEV販売に注力することで、「CASE」に即した事業運営を推進しており、「MaaS」に対してはモビリティ事業の強化を進めている。もちろん日本におけるEVの旗振り役ともいえる同社だから、各店舗に他社メーカー製のEVも利用可能な急速充電器を設置するなど、積極的なインフラ投資も続けている。
こうした状況のなかで、同社は2021年7月、旧東京日産自動車販売、旧日産プリンス東京販売(バーチャルカンパニーのルノーNT販売を含む)、旧日産プリンス西東京販売という販売エリアを分けた3販売会社を統合した。同社の地盤は東京都区部8区※を除く東京都全域で、東京約1,400万人の人口の9割近くをカバーしているが、同社は肥沃な地盤をより効果的に活かし、営業や整備、店舗運営など様々な場面でシナジーを発揮できる、「CASE」や「MaaS」といった潮流に即した事業体制の構築を進めている。なお、これまでハイブリッド車とFCV(Fuel Cell Vehicle:燃料電池自動車)に注力していると思われた自動車業界最大手のトヨタ自動車<7203>が、幅広いラインナップでEVに参入してきた。当然競合とはなるが、それ以上にEVの選択肢が広がることで市場が活性化する効果は大きく、また、充電装置など投資のハードルも下がって、国内のEVのインフラ構築が早まる可能性が高まった。EVで先駆している同社としては歓迎できる動きといえよう。
※東京都区部8区とは千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、渋谷区、豊島区のことで、いわゆる都心に当たり、法人需要をメインとする日産自動車の連結子会社が展開しているエリアである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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