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特需のトリプルアクセル、「Windows10」終了で開かれる有望株の宝箱 <株探トップ特集>

配信元:株探
投稿:2024/12/19 19:30

─在宅ワーク・GIGAスクールでの導入機器も更新期、買い替えはこれから本格化へ─

 国内のパソコン(PC)市場が活気づいている。電子情報技術産業協会(JEITA)が11月19日に発表した2024年10月の国内PC出荷台数実績は前年同月比で50.0%増と大幅な伸びを見せ、4カ月連続で前年実績を上回った。25年10月のWindows10のサポート終了まで1年を切り、PC需要は増加基調にあるとされるが、50%という高い伸びに関係者の間では驚きの声が聞かれた。

 既に、こうした市場の活況が業績に好影響を与えたケースも出てきており、株式市場でも徐々に関心が高まっている。Windows10の更新で恩恵を受ける企業に改めて注目したい。

●24年度はPC出荷台数1300万台規模へ

 JEITAの国内PC出荷実績によると、デスクトップ、ノートPC合わせた出荷台数は24年度第1四半期(4~6月)が前年同期比7.9%増、第2四半期(7~9月)が同18.1%増となり、23年度第3四半期(10~12月)からの増加基調をより鮮明化させた。特にノートPCのうち、画面が比較的小さく持ち運びができる小型のモバイルノートが好調で全体を牽引した。

 民間の調査機関でも同様の傾向が表れている。調査会社のMM総研(東京都港区)によると、24年度上期(4~9月)の国内PC出荷台数は603万台(前年同期比11.7%増)となり、3年連続の減少から反転した。24年度通期では1308万台(前年度比21.1%増)に拡大する見通しだ。

●サポート終了に伴い買い替え特需が発生

 出荷台数の好調の背景には、米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「Windows10」が25年10月にサポートを終了するのを前に更新需要が発生していることがある。

 Windows10のサポート終了とは、25年10月15日以降、Windows Updateを介したソフトウェア更新プログラムやテクニカルサポート、セキュリティー修正プログラムが発売元のマイクロソフトから提供されなくなることをいう。それ以降PCが使えなくなるわけではないものの、危険度が高い脆弱性が発見された場合に修正ができないので、ウイルスやマルウェアに感染するリスクが高くなる。

 セキュリティーリスクを抑えるためにも、OSを「Windows11」に更新する必要があるが、使用PCがWindows11のシステム要件を満たしていない場合、PCの買い替えが必要となる。このタイミングでPCを買い替える企業や個人も少なくはない。

●GIGAスクール構想の更新時期も重なる

 特に、新型コロナウイルスの感染拡大から約4年半が経過し、在宅勤務向けに導入された法人向けノートPCの買い替えが始まっており、足もとのモバイルノートPCの好調はこれが要因とされる。

 前述のMM総研によると、更新需要は大企業から進んでいるが、24年度中にピークアウトする見通しで、その後、中堅企業が今後1年間で入れ替えを進めると予測。更に小企業では25年度上期が入れ替えのピークとみており、個人を含む市場全体の買い替え需要による台数増は25年度にピークを迎えるとしている。

 これに加えて、20年度に政府が開始したGIGAスクール構想で配備された累計1000万台規模の学習用PCの更新も予定されている。政府財源で24年度以降順次更新される予定となっており、26年度までにほぼ完了する見通し。25年度はこうした需要が重なり、巨大なPC特需が発生するとみられている。

●需要前倒しでダイワボウは上方修正

 既に、更新需要が業績に表れ始めた企業も見受けられる。

 国内最大級のIT専門商社であるダイワボウ情報システムを子会社に持つダイワボウホールディングス <3107> [東証P]は11月6日、第2四半期累計決算の発表と同時に25年3月期連結業績予想を営業利益で311億円から330億円(前期比6.6%増)に上方修正した。修正の理由に企業のIT投資堅調と並んで、Windows10更新需要が想定より前倒しで進んでいることを挙げている。同社ではWindows10のサポート終了とGIGAスクール構想第2期の端末更新で26年3月期まで需要が拡大すると予想。PC市場全体の動きを見るうえでも業績動向への関心は高い。

●サポート終了に伴う更新需要で恩恵を受ける企業は

 ダイワボウのほかにも、Windows10更新需要で恩恵を受けそうな企業は多いが、いくつか紹介したい。

 大塚商会 <4768> [東証P]は、PC端末をはじめネットワークの構築・拡張に必要なハード・ソフトウェアからセキュリティー関連製品までをトータルで提供するディストリビューター。24年12月期第3四半期累計連結決算は、営業利益521億6900万円(前年同期比10.1%増)で10四半期連続増益を達成。業績好調の要因として、コロナ禍初期のテレワーク導入マシンの入れ替えやWindows10更新の兆しを挙げている。12月12日には期中ではあるものの、創業以来初の連結売上高1兆円突破を発表しており、今期業績への期待も高まっている。

 パシフィックネット <3021> [東証S]は、企業や官公庁が使用するPCなどIT機器のサブスクリプション事業を展開するほか、使用済みIT機器のデータ消去や適正処理サービスを提供している。OSサポート終了時には、法人のIT部門の業務負担が増大するためサブスクリプションへのシフトが進むとともに、IT危機管理全般を外部委託するサービスやデータ消去などへのニーズの高まりが見込まれており、同社の業績に好影響。25年5月期連結業績予想は営業利益7億7000万円(前期比17.0%増)を見込む。

 ハイパー <3054> [東証S]は、法人向けPC及びその周辺機器の販売が主力。24年12月期第3四半期累計連結決算は営業利益が1億8300万円(前年同期比4.5倍)と大幅増益となったが、Windows10サポート終了に合わせた買い替え需要が徐々に顕著化しているほか、コロナ禍でのテレワークの促進に合わせて導入されたノートPCの買い替えなどが影響し、法人向けPCの出荷台数・出荷金額ともに前年を上回ったとコメント。通期では同2億5000万円(前期比2.1倍)を見込む。

 MCJ <6670> [東証S]は「マウス」ブランドでBTO(受注生産)PCの製造・販売を手掛けており、法人向け製品や法人向けに特化したサービスも豊富。また、PC卸やECなども手掛けている。25年3月期第2四半期累計連結決算では、ハイスペックPCや法人需要が堅調でPC出荷台数が増加し、営業利益は97億6300万円(前年同期比13.8%増)と期初計画(91億円)を上回り上期として過去最高益を更新。通期では同183億円(前期比6.4%増)を見込む。

 リネットジャパングループ <3556> [東証G]はPCのリユース・リサイクル事業を手掛けており、データ消去や資産滅却報告書の発行など法人向けサービスも充実している。25年9月期は連結営業利益3億円(前期12億6300万円の赤字)と黒字転換を見込むが、GIGAスクールPCの更新需要を創業以来最大のビジネスチャンスと位置づけており、需要取り込みに注力する方針だ。

 オービックビジネスコンサルタント <4733> [東証P]は基幹業務パッケージソフト「奉行シリーズ」を展開している。業務アプリケーションはクラウド化が進み、OSサポート終了に伴う特需が以前ほどは見込まれないとされているが、同社はオンプレミス版も手掛け、Windows10更新に伴う需要発生が期待できる。25年3月期第2四半期累計単独決算は、クラウド製品の伸長で営業利益101億1100万円(前年同期比23.9%増)と2割を超える増益で着地。通期は同215億円(前期比14.7%増)を見込む。

 このほか、セキュリティーソフトを手掛けるトレンドマイクロ <4704> [東証P]、ソースネクスト <4344> [東証P]や、家電量販店のエディオン <2730> [東証P]、ビックカメラ <3048> [東証P]、ノジマ <7419> [東証P]、コジマ <7513> [東証P]、上新電機 <8173> [東証P]、ケーズホールディングス <8282> [東証P]、ヤマダホールディングス <9831> [東証P]などにも注目したい。

株探ニュース
配信元: 株探
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