＜話題＞薄毛に朗報、アデランスＨが細胞培養による毛髪再生事業へ乗り出す

　最近、前頭部や後頭部が寂しくなってきた、どうしよう――そんな悩みとはもう、おさらばかも知れない。アデランスホールディングスは１０日、２０１３－１４年をメドに米国で細胞培養による毛髪再生に乗り出すと発表した。グループ会社米ボズレー社の付属機関、アデランス・リサーチ・インスティテュート（ＡＲＩ）が開発している技術を使う。

　従来の毛髪再生は薬剤か手術による方法が中心だった。特に外科的手術による毛髪再生は一見効果的と思えるが、毛髪移植（ヘア・トランスプラント）は移植する髪（ドナーヘアー）の量に限界があり、新たに髪を再生することはできない。また、内科的治療では薄毛の進行を遅らせるには有効だが、毛髪を再生させること自体はやはりできない。

　ＡＲＩが開発しているのはどちらにも属さない、バイオテクノロジーを使ったいわば次世代の方法による毛髪再生。「毛包細胞には驚異的な再生能力がある」（アデランスＨ広報ＩＲ室）とされ、こういった毛髪の強い再生能力を使用した。具体的には細胞を取り出しシャーレ内で培養、増殖。これを顔面皮膚に注入するというもの。現在は米国で臨床試験を行っており、早期の市場投入を目指す。実用化されれば同社は既存の毛髪移植で獲得していない顧客層に毛髪再生市場を拡大でき、医師は患者の早期治療を行うことができそうだ

　アデランスＨによれば、米国での市場規模は男女で計６０００万人、金額にして年間推定１３億ドル超（約１２００億円）の規模で、うち手術の市場規模は同７億－８億ドル（約６４５億－７３７億円）。加えて５０歳までの男女の約半数が髪に悩みを持つという。「まったくの新規技術になるので、どの程度の需要があるのか分からない」（広報ＩＲ室）とはするものの、なくなった髪の毛が生えてくることへの需要は想像するまでもなく大きい。同じく同社の推定では日本においても薄毛に悩む人間は１３００万人超。日本、アジアへの展開は米国のあとになるが、切に日本への早期展開を望みたい。

　アデランスＨの１１日終値は３３円高の１０７７円。５月中旬以降の調整局面が終了し回復が進むが、ＰＢＲは０．８倍と割高感はなく、一段高を狙えそうだ。



［ 株式新聞速報ニュース／ＫＡＢＤＡＳ－ＥＸＰＲＥＳＳ ］

提供：モーニングスター社