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*13:44JST ローランド Research Memo(4):2024年12月期第1四半期は在庫調整による反動減があったものの想定内
■業績動向
1. 2024年12月期第1四半期業績の概要
ローランド<7944>の2024年12月期第1四半期の連結業績は、売上高は前年同期比3.4%減の22,083百万円、営業利益は同22.5%減の1,564百万円、経常利益は同39.8%減の1,122百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同30.4%減の980百万円となった。バランスシートの健全化を目的とする2023年12月期第4四半期の積極的なセルインに対して、ディーラー在庫調整による反動減が見られたが、おおむね想定内であった。ディーラー在庫の調整状況については、前期末から着実に改善が進んでいるものの、製品カテゴリー別では鍵盤楽器、域別別では日本などで供給過剰が需給バランスの崩れにつながり、調整が続いている。北米市場は前期や前々期と比較すると若干弱い傾向が見られるものの、新製品の発売等でカバーする方針。また為替が計画比円安に推移していることから、上期及び通期業績予想に変更はない。販売戦略の正常化については、着実に進捗しているものの計画よりはスローとなっており、販管費の調整等でカバーを図っている。その他、2022年に子会社化したDrum Workshop, Inc.で収益が改善した。なお、2024年3月にユニバーサル ミュージック グループと人間の芸術性を高めるための戦略的パートナーシップを構築した。「AIによる音楽創造のための原則」を発表し、音楽制作におけるAIの責任ある活用への協業を開始しており、AI技術を音楽の発展やミュージシャンのクリエイティビティのサポート・発展に活用することを目指す。
(1) 製品別売上高
製品別売上高は、主要カテゴリーで減収となったが、ディーラーの在庫調整による影響であり、想定内であった。
鍵盤楽器の売上高は前年同期比2.4%減の5,461百万円であった。電子ピアノは、コロナ禍を契機とした非常に高い需要の落ち着きに加え、物価高、ディーラーの在庫調整等の影響を受けた。主な新製品として、ホームピアノでは「LX-5」「LX-6」「LX-9」を発売した。従来のモデリング音源をゼロから刷新した最新のモデリング音源を搭載しており、最新技術「ピアノ・リアリティ・テクノロジー」により、音、鍵盤、ペダル、サウンド・システムといった基本性能すべてにおいてクオリティが大幅に向上した。同社オリジナルの無料アプリ「Roland Piano App」にも対応している。また、中期経営計画でポータブル・キーボード市場への本格再参入を掲げていることから、「GO:KEYS 3」「GO:KEYS 5」を発売した。パソコンやスマートフォンと連携した演奏や楽曲作りにも対応しており、「Roland Cloud」から音色と伴奏スタイルの追加購入も可能である。また、音楽レッスンアプリ「Melodics Essentials for Roland」にも対応している。なお、両製品の売上貢献は第2四半期以降に本格化すると見込んでいるようだ。鍵盤楽器全体への売上貢献は大きくないものの、エントリー層の開拓や新興国でのシェア拡大に向けて中長期的に重要な製品であると捉えている。
管打楽器の売上高は前年同期比1.8%減の6,612百万円であった。ドラムは、ディーラーの在庫調整の影響に加えて、前年同期間中に実施した受注残出荷の反動減が見られたが、前期に発売した世界初のコンバーチブル・ドラムが好調に推移した。同製品はDrum Workshop, Inc.との技術シナジーによるもので、ワイヤレス接続を実現し、ケーブルレスで電子ドラムとしても演奏できる。Bluetooth等の一般的なワイヤレス接続は出力までの遅延等が課題となっているが、同社独自の技術により遅延のないワイヤレス接続を実現した。また、電子管楽器は、ディーラーの在庫調整影響に加えて、新規参入企業との競合が継続した。
ギター関連機器の売上高は前年同期比2.0%減の5,533百万円であった。ギターエフェクターは、コンパクトエフェクターの需要が堅調に推移しているものの、ディーラーの在庫調整の影響に加えて、日本での人気アニメの影響によるバンドブームに関連した高い需要に落ち着きが見られた。楽器用アンプは、第1四半期に発売した新製品が貢献したが、前年同期間中に実施した受注残出荷の反動減等も見られた。主な新製品として、ボーカル・エフェクターの「VE-22」を発売した。ボーカリストにさらなる表現力をもたらす充実したエフェクトとハーモニー機能を搭載しており、ステージだけでなく、レコーディングや練習、ライブ配信にも活躍する高い汎用性を有している。
クリエーション関連機器&サービスの売上高は前年同期比4.0%減の3,006百万円であった。シンセサイザーは、前年同期間中に実施した受注残出荷の反動減の影響を大きく受けた。ダンス&DJ関連製品は、第1四半期に発売した新製品群が貢献しているものの、既存製品に落ち着きが見られた。ソフトウエア/サービス分野は、「Roland Cloud」でユーザーのLTVを高めるためのコンテンツやサービスの提供を継続的に行い、会員数は安定的に増加した。主な新製品として、ステージピアノ「RD-08」を発売した。表現力豊かなサウンドと演奏性を備えたリーズナブルなステージピアノで、「Roland Cloud」で提供されるアップグレード・ソフトにより、サウンドと機能を拡張できる。また、2023年に発売した同社初のゲーム配信者向けオーディオミキサーに映像機能を追加した上位モデル「BRIDGE CAST X」を発売した。著作権フリーのBGMや効果音を活用できる「Roland Cloud」のサービス「BGM CAST」に対応している。「Roland Cloud」では、カジュアルな音楽レッスンアプリとして定評のある「MelodicsTM」とのコラボレーションにより、「Melodics Essentials for Roland」の提供を開始した。「Roland Cloud」でのレッスンサービスは今後も拡充予定である。
映像音響機器の売上高は前年同期比28.7%減の734百万円であった。ビデオ関連製品は、イベント需要が回復し、関連製品の需要が高まっているが、前年同期間中に実施した受注残出荷の反動減等が大きく影響した。
(2) 地域別売上高
地域別売上高は、主要地域で減収となったが、ディーラーの在庫調整による影響であり、想定内であった。新興国はブラジル、メキシコ、インドネシア、インドなどでセルスルーが好調に推移している。北米市場は前期や前々期と比較すると若干弱い傾向が見られるものの、新製品の発売等でカバーする方針である。
2. 財務状況
2024年12月期第1四半期末の資産合計は前期末比1,138百万円減少の79,830百万円となった。主な要因は、流動資産では棚卸資産が1,038百万円増加した一方、現金及び預金が623百万円、売上債権が2,320百万円それぞれ減少した。固定資産では無形固定資産が749百万円増加した。
負債合計は前期末比2,013百万円減少の38,840百万円となった。主な要因は、借入金が1,298百万円、流動負債のその他に含まれる未払費用が541百万円それぞれ減少したことによる。純資産合計は同874百万円増加の40,989百万円となった。主な要因は、配当金の支払いにより剰余金が2,356百万円減少した一方で、主要国通貨に対する円安進行により為替換算調整勘定が2,069百万円増加した。これらの結果、自己資本比率は前期末の49.2%から51.0%に上昇しており、財務の健全性は高いと弊社では考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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1. 2024年12月期第1四半期業績の概要
ローランド<7944>の2024年12月期第1四半期の連結業績は、売上高は前年同期比3.4%減の22,083百万円、営業利益は同22.5%減の1,564百万円、経常利益は同39.8%減の1,122百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同30.4%減の980百万円となった。バランスシートの健全化を目的とする2023年12月期第4四半期の積極的なセルインに対して、ディーラー在庫調整による反動減が見られたが、おおむね想定内であった。ディーラー在庫の調整状況については、前期末から着実に改善が進んでいるものの、製品カテゴリー別では鍵盤楽器、域別別では日本などで供給過剰が需給バランスの崩れにつながり、調整が続いている。北米市場は前期や前々期と比較すると若干弱い傾向が見られるものの、新製品の発売等でカバーする方針。また為替が計画比円安に推移していることから、上期及び通期業績予想に変更はない。販売戦略の正常化については、着実に進捗しているものの計画よりはスローとなっており、販管費の調整等でカバーを図っている。その他、2022年に子会社化したDrum Workshop, Inc.で収益が改善した。なお、2024年3月にユニバーサル ミュージック グループと人間の芸術性を高めるための戦略的パートナーシップを構築した。「AIによる音楽創造のための原則」を発表し、音楽制作におけるAIの責任ある活用への協業を開始しており、AI技術を音楽の発展やミュージシャンのクリエイティビティのサポート・発展に活用することを目指す。
(1) 製品別売上高
製品別売上高は、主要カテゴリーで減収となったが、ディーラーの在庫調整による影響であり、想定内であった。
鍵盤楽器の売上高は前年同期比2.4%減の5,461百万円であった。電子ピアノは、コロナ禍を契機とした非常に高い需要の落ち着きに加え、物価高、ディーラーの在庫調整等の影響を受けた。主な新製品として、ホームピアノでは「LX-5」「LX-6」「LX-9」を発売した。従来のモデリング音源をゼロから刷新した最新のモデリング音源を搭載しており、最新技術「ピアノ・リアリティ・テクノロジー」により、音、鍵盤、ペダル、サウンド・システムといった基本性能すべてにおいてクオリティが大幅に向上した。同社オリジナルの無料アプリ「Roland Piano App」にも対応している。また、中期経営計画でポータブル・キーボード市場への本格再参入を掲げていることから、「GO:KEYS 3」「GO:KEYS 5」を発売した。パソコンやスマートフォンと連携した演奏や楽曲作りにも対応しており、「Roland Cloud」から音色と伴奏スタイルの追加購入も可能である。また、音楽レッスンアプリ「Melodics Essentials for Roland」にも対応している。なお、両製品の売上貢献は第2四半期以降に本格化すると見込んでいるようだ。鍵盤楽器全体への売上貢献は大きくないものの、エントリー層の開拓や新興国でのシェア拡大に向けて中長期的に重要な製品であると捉えている。
管打楽器の売上高は前年同期比1.8%減の6,612百万円であった。ドラムは、ディーラーの在庫調整の影響に加えて、前年同期間中に実施した受注残出荷の反動減が見られたが、前期に発売した世界初のコンバーチブル・ドラムが好調に推移した。同製品はDrum Workshop, Inc.との技術シナジーによるもので、ワイヤレス接続を実現し、ケーブルレスで電子ドラムとしても演奏できる。Bluetooth等の一般的なワイヤレス接続は出力までの遅延等が課題となっているが、同社独自の技術により遅延のないワイヤレス接続を実現した。また、電子管楽器は、ディーラーの在庫調整影響に加えて、新規参入企業との競合が継続した。
ギター関連機器の売上高は前年同期比2.0%減の5,533百万円であった。ギターエフェクターは、コンパクトエフェクターの需要が堅調に推移しているものの、ディーラーの在庫調整の影響に加えて、日本での人気アニメの影響によるバンドブームに関連した高い需要に落ち着きが見られた。楽器用アンプは、第1四半期に発売した新製品が貢献したが、前年同期間中に実施した受注残出荷の反動減等も見られた。主な新製品として、ボーカル・エフェクターの「VE-22」を発売した。ボーカリストにさらなる表現力をもたらす充実したエフェクトとハーモニー機能を搭載しており、ステージだけでなく、レコーディングや練習、ライブ配信にも活躍する高い汎用性を有している。
クリエーション関連機器&サービスの売上高は前年同期比4.0%減の3,006百万円であった。シンセサイザーは、前年同期間中に実施した受注残出荷の反動減の影響を大きく受けた。ダンス&DJ関連製品は、第1四半期に発売した新製品群が貢献しているものの、既存製品に落ち着きが見られた。ソフトウエア/サービス分野は、「Roland Cloud」でユーザーのLTVを高めるためのコンテンツやサービスの提供を継続的に行い、会員数は安定的に増加した。主な新製品として、ステージピアノ「RD-08」を発売した。表現力豊かなサウンドと演奏性を備えたリーズナブルなステージピアノで、「Roland Cloud」で提供されるアップグレード・ソフトにより、サウンドと機能を拡張できる。また、2023年に発売した同社初のゲーム配信者向けオーディオミキサーに映像機能を追加した上位モデル「BRIDGE CAST X」を発売した。著作権フリーのBGMや効果音を活用できる「Roland Cloud」のサービス「BGM CAST」に対応している。「Roland Cloud」では、カジュアルな音楽レッスンアプリとして定評のある「MelodicsTM」とのコラボレーションにより、「Melodics Essentials for Roland」の提供を開始した。「Roland Cloud」でのレッスンサービスは今後も拡充予定である。
映像音響機器の売上高は前年同期比28.7%減の734百万円であった。ビデオ関連製品は、イベント需要が回復し、関連製品の需要が高まっているが、前年同期間中に実施した受注残出荷の反動減等が大きく影響した。
(2) 地域別売上高
地域別売上高は、主要地域で減収となったが、ディーラーの在庫調整による影響であり、想定内であった。新興国はブラジル、メキシコ、インドネシア、インドなどでセルスルーが好調に推移している。北米市場は前期や前々期と比較すると若干弱い傾向が見られるものの、新製品の発売等でカバーする方針である。
2. 財務状況
2024年12月期第1四半期末の資産合計は前期末比1,138百万円減少の79,830百万円となった。主な要因は、流動資産では棚卸資産が1,038百万円増加した一方、現金及び預金が623百万円、売上債権が2,320百万円それぞれ減少した。固定資産では無形固定資産が749百万円増加した。
負債合計は前期末比2,013百万円減少の38,840百万円となった。主な要因は、借入金が1,298百万円、流動負債のその他に含まれる未払費用が541百万円それぞれ減少したことによる。純資産合計は同874百万円増加の40,989百万円となった。主な要因は、配当金の支払いにより剰余金が2,356百万円減少した一方で、主要国通貨に対する円安進行により為替換算調整勘定が2,069百万円増加した。これらの結果、自己資本比率は前期末の49.2%から51.0%に上昇しており、財務の健全性は高いと弊社では考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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