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ウェーブロックホールディングスのニュース
*12:10JST ウェーブロックHD Research Memo(10):中期3か年計画で掲げた事業戦略は着実に進捗
■ウェーブロックホールディングス<7940>の今後の見通し
3. 中期経営計画の進捗
2021年6月に発表した中期3か年計画では、グループ企業戦略、財務戦略、経営戦略について以下の方針を掲げ、実行してきた。
(1) グループ企業戦略
安定的成長を前提とした長期利益の獲得を企図し、営業利益率だけでなく収益性(ROA、ROE、ROIC)、効率性を重視した経営を推進していく。
(2) 財務戦略
クレアネイト株式の譲渡等により獲得した資金で有利子負債を返済し、財務体質の強化を図るとともに手元キャッシュの活用と必要に応じた金融機関からの借入その他手段により、成長投資のために必要な資金を確保していく。
(3) 経営戦略
マテリアルソリューション事業、アドバンストテクノロジー事業それぞれの事業領域において、顧客の課題を解決するために既存領域分野の深化と新規領域分野の探索を進める。また、2事業以外の新規事業の探索についても、「樹脂の加工」分野に必ずしもこだわらず、環境問題解決など同社がミッションとして掲げている社会課題を解決するソリューションビジネスであれば、柔軟な外部提携やM&Aなども活用して事業を育成し、早期に営業利益を2021年3月期の水準(1,489百万円)に回帰させることを目指す。
投資額については3年間で約70億円を計画し、内訳として既存事業における収益基盤を強化するための投資として約10億円(製造ラインの保守改修、品質向上に対する投資)、成長基盤を構築するための投資として約25億円(地中熱ビジネス関連投資、金属調加飾フィルムの新規製造ライン投資等)、新規事業投資として約30~35億円を見込んでいた。このうち、新規事業投資については必須目標とはしておらず、現段階ではWebマーケティングとオーダーメイド加工モデルによる既存事業とのシナジーを期待したチームライクへの出資と、前述したRP東プラへの出資、さらには長期視点での新規領域としてAIやIoTを活用した高付加価値型農業事業への参入を検討しており、これらで合計15億円程度の投資額を見込んでいる。
現在までの進捗状況としては、原材料高騰等の影響で収益環境が悪化したことや設備投資拡大による減価償却費増により、利益目標については未達となる可能性が高いものの、財務戦略や経営戦略については順調に進んでいるものと評価される。特にアドバンストテクノロジー事業は、自動車分野での高成長が期待できる状況となってきたこと、また新たな収益柱の1つとして期待される地中熱ビジネスも2024年3月期から本格始動することから、2025年3月期以降はこれまで実施してきた取り組みの効果が顕在化し、業績も増収増益基調に転じるものと弊社では見ている。
金属調加飾フィルムの成長により、将来的にアドバンストテクノロジー事業で売上高100億円を目指す
4. 事業セグメント別の成長戦略
(1) マテリアルソリューション事業
マテリアル事業では、収益基盤の強化施策として生産性向上を目的とした生産体制の再構築(RP東プラとの協業含む)や、流通チャネルの最適化(樹脂加工品のECサイトを運営するチームライクとの協業等)による販売効率の向上に加えて、競合優位性があり差別化が可能な製品やサービスの育成により、原材料価格の動向に左右されづらい事業構造への転換を図ることを目標に取り組んできた。現状はまだ構造転換を実現できていないものの、アライアンス戦略なども推進しながら、目標に近づけていく考えだ。
一方、新規分野としては環境関連ビジネス(地中熱ビジネス、環境対応素材製品)と海外市場の開拓を目標に掲げてきた。環境関連ビジネスについては具体的に動き始めているが、海外市場の開拓はコロナ禍での渡航制限などの影響により基盤づくりの段階だ。同社はアジア各国に日本製の付加価値の高い農業用資材を販売していくことを目指している。
(2) アドバンストテクノロジー事業
注力製品である金属調加飾フィルムは、技術的競合優位性を確保するため開発投資を継続しつつ、多様な顧客ニーズに対する提案力の強化と、小ロット多品種生産でも収益力を維持・向上していくための設備投資・人材投資に取り組んできた。販売戦略としては、米、欧州の販売拠点の体制強化を図り、生産体制についても米系顧客からの要請で2023年から米国現地生産を開始するなど、今のところ順調に進んでいると評価される。
金属調加飾フィルムの需要拡大が期待できる要因としては、電波透過性並びに光透過性、意匠性の高さに加えて、環境にも優しいという点が挙げられる。自動車業界ではCO2排出規制や環境規制などを背景に、EV車の普及だけでなく環境負荷の高いメッキ加工品の代替として金属調加飾フィルムの採用が徐々に広がっており、同社にとって受注拡大の好機となっている。2025年3月期以降は償却負担もピークを越えるものと予想され、利益ベースでも成長軌道に乗るものと期待される。アドバンストテクノロジー事業の売上高は、金属調加飾フィルムや高透明多層フィルムなど自動車向け製品の成長によって、数年後に100億円規模にまで成長しているものと弊社では予想している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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3. 中期経営計画の進捗
2021年6月に発表した中期3か年計画では、グループ企業戦略、財務戦略、経営戦略について以下の方針を掲げ、実行してきた。
(1) グループ企業戦略
安定的成長を前提とした長期利益の獲得を企図し、営業利益率だけでなく収益性(ROA、ROE、ROIC)、効率性を重視した経営を推進していく。
(2) 財務戦略
クレアネイト株式の譲渡等により獲得した資金で有利子負債を返済し、財務体質の強化を図るとともに手元キャッシュの活用と必要に応じた金融機関からの借入その他手段により、成長投資のために必要な資金を確保していく。
(3) 経営戦略
マテリアルソリューション事業、アドバンストテクノロジー事業それぞれの事業領域において、顧客の課題を解決するために既存領域分野の深化と新規領域分野の探索を進める。また、2事業以外の新規事業の探索についても、「樹脂の加工」分野に必ずしもこだわらず、環境問題解決など同社がミッションとして掲げている社会課題を解決するソリューションビジネスであれば、柔軟な外部提携やM&Aなども活用して事業を育成し、早期に営業利益を2021年3月期の水準(1,489百万円)に回帰させることを目指す。
投資額については3年間で約70億円を計画し、内訳として既存事業における収益基盤を強化するための投資として約10億円(製造ラインの保守改修、品質向上に対する投資)、成長基盤を構築するための投資として約25億円(地中熱ビジネス関連投資、金属調加飾フィルムの新規製造ライン投資等)、新規事業投資として約30~35億円を見込んでいた。このうち、新規事業投資については必須目標とはしておらず、現段階ではWebマーケティングとオーダーメイド加工モデルによる既存事業とのシナジーを期待したチームライクへの出資と、前述したRP東プラへの出資、さらには長期視点での新規領域としてAIやIoTを活用した高付加価値型農業事業への参入を検討しており、これらで合計15億円程度の投資額を見込んでいる。
現在までの進捗状況としては、原材料高騰等の影響で収益環境が悪化したことや設備投資拡大による減価償却費増により、利益目標については未達となる可能性が高いものの、財務戦略や経営戦略については順調に進んでいるものと評価される。特にアドバンストテクノロジー事業は、自動車分野での高成長が期待できる状況となってきたこと、また新たな収益柱の1つとして期待される地中熱ビジネスも2024年3月期から本格始動することから、2025年3月期以降はこれまで実施してきた取り組みの効果が顕在化し、業績も増収増益基調に転じるものと弊社では見ている。
金属調加飾フィルムの成長により、将来的にアドバンストテクノロジー事業で売上高100億円を目指す
4. 事業セグメント別の成長戦略
(1) マテリアルソリューション事業
マテリアル事業では、収益基盤の強化施策として生産性向上を目的とした生産体制の再構築(RP東プラとの協業含む)や、流通チャネルの最適化(樹脂加工品のECサイトを運営するチームライクとの協業等)による販売効率の向上に加えて、競合優位性があり差別化が可能な製品やサービスの育成により、原材料価格の動向に左右されづらい事業構造への転換を図ることを目標に取り組んできた。現状はまだ構造転換を実現できていないものの、アライアンス戦略なども推進しながら、目標に近づけていく考えだ。
一方、新規分野としては環境関連ビジネス(地中熱ビジネス、環境対応素材製品)と海外市場の開拓を目標に掲げてきた。環境関連ビジネスについては具体的に動き始めているが、海外市場の開拓はコロナ禍での渡航制限などの影響により基盤づくりの段階だ。同社はアジア各国に日本製の付加価値の高い農業用資材を販売していくことを目指している。
(2) アドバンストテクノロジー事業
注力製品である金属調加飾フィルムは、技術的競合優位性を確保するため開発投資を継続しつつ、多様な顧客ニーズに対する提案力の強化と、小ロット多品種生産でも収益力を維持・向上していくための設備投資・人材投資に取り組んできた。販売戦略としては、米、欧州の販売拠点の体制強化を図り、生産体制についても米系顧客からの要請で2023年から米国現地生産を開始するなど、今のところ順調に進んでいると評価される。
金属調加飾フィルムの需要拡大が期待できる要因としては、電波透過性並びに光透過性、意匠性の高さに加えて、環境にも優しいという点が挙げられる。自動車業界ではCO2排出規制や環境規制などを背景に、EV車の普及だけでなく環境負荷の高いメッキ加工品の代替として金属調加飾フィルムの採用が徐々に広がっており、同社にとって受注拡大の好機となっている。2025年3月期以降は償却負担もピークを越えるものと予想され、利益ベースでも成長軌道に乗るものと期待される。アドバンストテクノロジー事業の売上高は、金属調加飾フィルムや高透明多層フィルムなど自動車向け製品の成長によって、数年後に100億円規模にまで成長しているものと弊社では予想している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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