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萩原工業のニュース
■萩原工業<7856>の事業概要
1. 事業概要
(1) 売上高構成
売上高は、フラットヤーンなど合成樹脂を用いた関連製品を製造・販売する合成樹脂加工製品事業と産業機械を製造・販売する機械製品(エンジニアリング)事業に分かれる。2019年10月期第2四半期の連結売上高(14,788百万円)の事業別構成比は、合成樹脂加工製品事業が80.1%(うち、シート・建築資材関連:20.6%、産業資材関連:34.5%、生活資材関連:21.2%、その他合成樹脂:3.8%)、機械製品事業が19.9%であった。売上高営業利益率は、合成樹脂加工製品事業が7.9%、機械製品事業は12.5%といずれも高水準にある。
(2) 製品ラインアップ
同社の合成樹脂加工製品事業の市場は、「生活・レジャー」「農水産」「梱包・物流」「産業資材」「建築・土木」をカバーしている。機械製品事業は主力のスリッターを始めとして基本的に産業用途であり、売上依存度はBtoCよりもBtoBの方が高い。
生活向け製品は、レジャーシート、人工芝、木目調マットなどがある。農水産向け製品は、UVシート、機能品、鶏舎用カーテンクロスなどがある。機能品は、遮光性・採光性、防水性・浸水性、防風性・通気性、遮熱性などいくつもの機能を用途に合わせてデザインする。梱包・物流市場向けは、粘着テープクロス、コンテナーバッグ、トラックシートなどになる。産業資材は、UVクリアシートやフラットヤーン、モノフィラメント原糸などである。建築・土木向けは、防炎シート、ソフトメッシュシート、大型土のう、デザインシートなどがある。同社は常に、従来の製品ラインアップに機能性を高めた新製品を投入している。
2. 経営戦略
(1) 収益性重視の経営
同社は、コモディティ化した製品市場での価格競争を避け、新規参入者がないニッチ市場でトップシェアを維持することで高収益を上げている。トップシェアを持つのは、人工芝用パイルヤーン、多機能化したブルーシート、土のう、カーペット基布などである。後述するモルタル・コンクリート用ポリプロピレン補強繊維では、世界的にもトップにある。競争の激しい大きな市場ではなく、残存者利得が得られる、同社が強みを発揮できるニッチ市場をターゲットとするブルーオーシャン戦略を取っている。
同社のビジネスのスタンスは、製品の機能を売るのではなく、本来の役割を提供することにある。例えば、運送会社にとって重要なのは、粘着テープのコストよりも作業員の確保であり、作業効率を高めて梱包作業時間を短縮することである。同社がトップシェアを持つ粘着テープクロスは、テープの手切れが良い上、タテにもヨコにも用途に合った大きさにカットでき、作業効率が上がる。工事現場で使用されるシートは、軽量な材料を使用することで作業効率を高め、工期の短縮化に貢献する。土のうには、紫外線劣化防止剤を添加することで耐候性を高め、白地に黒い横線を入れることで、誰でも均等量の土を充填できる工夫が施されている。地方自治体が導入している「土のうステーション」は、高耐久の土のう袋が使用されており、品質が重視される。顧客が本来的な役割として求めるものに適合させた製品は、汎用品に比べて2~3割高い値付けが可能となる。この製品機能の先にある顧客が求める本来の価値を志向することで、価格競争に終始しない、高収益のビジネスモデルを構築している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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1. 事業概要
(1) 売上高構成
売上高は、フラットヤーンなど合成樹脂を用いた関連製品を製造・販売する合成樹脂加工製品事業と産業機械を製造・販売する機械製品(エンジニアリング)事業に分かれる。2019年10月期第2四半期の連結売上高(14,788百万円)の事業別構成比は、合成樹脂加工製品事業が80.1%(うち、シート・建築資材関連:20.6%、産業資材関連:34.5%、生活資材関連:21.2%、その他合成樹脂:3.8%)、機械製品事業が19.9%であった。売上高営業利益率は、合成樹脂加工製品事業が7.9%、機械製品事業は12.5%といずれも高水準にある。
(2) 製品ラインアップ
同社の合成樹脂加工製品事業の市場は、「生活・レジャー」「農水産」「梱包・物流」「産業資材」「建築・土木」をカバーしている。機械製品事業は主力のスリッターを始めとして基本的に産業用途であり、売上依存度はBtoCよりもBtoBの方が高い。
生活向け製品は、レジャーシート、人工芝、木目調マットなどがある。農水産向け製品は、UVシート、機能品、鶏舎用カーテンクロスなどがある。機能品は、遮光性・採光性、防水性・浸水性、防風性・通気性、遮熱性などいくつもの機能を用途に合わせてデザインする。梱包・物流市場向けは、粘着テープクロス、コンテナーバッグ、トラックシートなどになる。産業資材は、UVクリアシートやフラットヤーン、モノフィラメント原糸などである。建築・土木向けは、防炎シート、ソフトメッシュシート、大型土のう、デザインシートなどがある。同社は常に、従来の製品ラインアップに機能性を高めた新製品を投入している。
2. 経営戦略
(1) 収益性重視の経営
同社は、コモディティ化した製品市場での価格競争を避け、新規参入者がないニッチ市場でトップシェアを維持することで高収益を上げている。トップシェアを持つのは、人工芝用パイルヤーン、多機能化したブルーシート、土のう、カーペット基布などである。後述するモルタル・コンクリート用ポリプロピレン補強繊維では、世界的にもトップにある。競争の激しい大きな市場ではなく、残存者利得が得られる、同社が強みを発揮できるニッチ市場をターゲットとするブルーオーシャン戦略を取っている。
同社のビジネスのスタンスは、製品の機能を売るのではなく、本来の役割を提供することにある。例えば、運送会社にとって重要なのは、粘着テープのコストよりも作業員の確保であり、作業効率を高めて梱包作業時間を短縮することである。同社がトップシェアを持つ粘着テープクロスは、テープの手切れが良い上、タテにもヨコにも用途に合った大きさにカットでき、作業効率が上がる。工事現場で使用されるシートは、軽量な材料を使用することで作業効率を高め、工期の短縮化に貢献する。土のうには、紫外線劣化防止剤を添加することで耐候性を高め、白地に黒い横線を入れることで、誰でも均等量の土を充填できる工夫が施されている。地方自治体が導入している「土のうステーション」は、高耐久の土のう袋が使用されており、品質が重視される。顧客が本来的な役割として求めるものに適合させた製品は、汎用品に比べて2~3割高い値付けが可能となる。この製品機能の先にある顧客が求める本来の価値を志向することで、価格競争に終始しない、高収益のビジネスモデルを構築している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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