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J-TEC、2Q累計売上高は前期比+28.2% 再生医療受託事業・研究開発支援事業が堅調に推移
目次
畠賢一郎氏:みなさま、おはようございます。株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリング代表取締役社長、執行役員の畠です。どうぞよろしくお願いします。
本日は大変ご多忙の中、当社2024年3月期第2四半期決算説明会のライブ配信にご参加いただき、誠にありがとうございます。本日の内容はスライドのとおりです。
2024年3月期第2四半期累計期間の業績
2024年3月期第2四半期累計期間の業績についてご説明します。当累計期間の売上高は、自家培養軟骨など再生医療製品事業の売上が減少した一方で、再生医療受託事業と研究開発支援事業の売上は堅調に推移し、前年同期比28.2パーセント増の12億4,600万円となりました。一方、営業損失は1,000万円となっています。
再生医療製品事業:自家培養表皮ジェイス
当累計期間における自家培養表皮「ジェイス」の売上高は前年同期比4.1パーセント増の3億9,800万円となりました。重症熱傷では、適応となる症例が少ない状況が続きましたが、搬送ルートや施設状況の変化を踏まえ、戦略的に医局説明会や地方学会等への出展、セミナー開催を推し進めることで、受注は回復に転じました。
これまでの熱傷専門施設とは異なる医療機関や、数年間受注がなかった医療機関から広く受注を獲得しており、精力的に「ジェイス」を拡販したことが奏功しました。
一方、先天性巨大色素性母斑では、拠点施設を中心に営業活動を展開しましたが、依然として治療の候補となる患者さんが少ない状況です。また表皮水疱症では、夏場を迎え、患者さんが外科的な治療を控える傾向にありましたが、今後は候補となる症例の移植日程の調整が進み、受注が増加する見込みです。
引き続き当期の営業基本戦略を継続し、医療環境の正常化を追い風として売上増加のための各種施策を推進していきます。
再生医療製品事業:自家培養軟骨ジャック
当累計期間における自家培養軟骨「ジャック」の売上高は前年同期比20.8パーセント減の1億6,200万円となりました。コロナ禍で受注が途絶えた医療機関や新規施設からの受注は増加したものの、「ジャック」の売上をけん引する大口施設での医師の異動の影響が大きく、売上の回復には至りませんでした。
一方で、整形外科領域での主要学会において、良好な臨床成績に関連する報告が多くなり、エビデンス面で追い風となっています。
大口施設からの受注が徐々に回復に転じており、今後はこの機会を活かせるよう、効果的な営業施策を展開したいと思っています。
再生医療製品事業:眼科領域、その他
当累計期間における眼科領域、その他の売上高は前年同期比2.8パーセント減の1億円となりました。「ネピック」に続き「オキュラル」の販売開始で眼科領域の売上は拡大してきましたが、拠点施設では「オキュラル」の候補となる患者さんへの移植が一巡し、受注がやや鈍化しています。
一方、新規施設からの受注は堅調に推移しており、今後も全国の角膜専門医に対して眼科領域初の再生医療を継続的に訴求したい考えです。
さらに、販売を担う株式会社ニデックと協働し、主要学会での一般眼科医への製品認知度向上や、治療成績に関する情報発信を行います。加えて、潜在患者への直接的な治療啓発の取り組みを具体化し、売上増加につなげたいと思っています。
再生医療受託事業
当累計期間における再生医療受託事業の売上高は前年同期比151.1パーセント増の4億6,900万円となりました。
新規顧客、既存顧客および親会社である帝人株式会社からの受託が、それぞれ順調に増加しました。特に、2023年4月19日付で帝人株式会社と再生医療受託事業に係るライセンス契約を締結し、これに伴って受領したマイルストン対価の一部を計上したことで売上が増加しました。
また、帝人株式会社からの受託を除いても、新規顧客および既存顧客からの受託が大幅に増加しました。顧客の依頼案件に対するギャップ分析を通じた課題抽出、タスク・スケジュール化、見積書および契約書の作成等、一連の業務の効率化および平準化を図りました。顧客への役務提供へ一層注力できる体制を整備・強化してきたことが奏功しました。
再生医療受託事業に関しては、シーズを持っている多くの方々が製品化に苦しんでいます。一方で、当社は5品目をすでに製品化しており、このアドバンテージを活用しながら、今後も再生医療受託事業のニーズにお応えしたいと思っています。
研究開発支援事業:ラボサイト
当累計期間における研究開発支援事業の売上高は前年同期比22.7パーセント増の1億1,500万円となりました。
研究用ヒト培養組織「ラボサイト」シリーズは、円安による原材料価格および物流コストの高騰のため、4月に価格改定を行いました。価格改定によるユーザー離れが懸念されましたが、オンライン面談による製品使用方法、疑問点のきめ細やかな説明、使用方法のウェビナー等を開催した結果、前年同期に対して売上が増加しました。
2023年4月より「ラボサイト」シリーズの製造・販売・開発機能を集約した「研究開発支援事業部」を設立し、機動的な製品開発とコンパクトな組織運営による事業利益拡大を図っています。
また、現在は新たな標準法として、エピ・モデル24を用いた皮膚感作性試験のテストガイドライン収載に向けた準備を進めており、今後の収載を足がかりに海外での売上増加を目指しています。
営業損失増減の内訳
営業損失増減の内訳です。売上総利益は2億9,100万円増加しました。2023年4月19日付で、帝人株式会社と再生医療受託事業におけるライセンス契約を締結し、マイルストン対価の一部を計上しており、受託事業の売上増加等により増加しました。
販売費及び一般管理費は、業務効率化に伴う経費削減により4,700万円減少しました。研究開発費は計画どおりですが、開発ステージの進展により減少しました。
貸借対照表の概要
2024年3月期第2四半期末における当社の貸借対照表の概要はスライドのとおりです。なお、当四半期末における流動資産のうち、現金及び預金は42億200万円で、十分な手持ち資金を確保している状況です。
キャッシュフローの概要
2024年3月期第2四半期末における当社のキャッシュフロー概要はスライドのとおりです。
2024年3月期の業績予想(2023年8月7日 修正)
2024年3月期の業績予想です。経済産業省の令和4年度第二次補正予算「再生・細胞医療・遺伝子治療の社会実装に向けた環境整備事業費補助金」において、当社の申請事業が採択されたことを受け、8月7日付で2024年3月期の業績予想を修正しました。
営業利益は1億2,600万円を見込み、中期経営計画どおり黒字化を目指します。経済産業省からの補助金については、後ほどご説明します。
第2四半期累計期間のトピックス一覧
第2四半期累計期間のトピックス一覧です。当累計期間におけるニュースを、いくつかスライドにピックアップしています。
重要な論文発表・研究発表
重要な論文発表・研究発表です。昨今、再生医療等製品の意義・価値等を含め、さまざまな論文が出ています。スライドには論文・学者論文・学会発表等の一例を示しています。
スライド左上は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)による眼科領域における再生医療等製品の臨床開発の現状と展望に関する論文です。我が国では3つの眼科領域の再生医療等製品が製造販売されており、それらの臨床開発に関するPMDAの立場からの洞察が英文で発表されました。
また、スライド右側に示したとおり、自家培養軟骨「ジャック」の有効性に関する論文が大変重要な学会誌に掲載されました。スライド右下に記載のように、ジャック移植後3年から7年の中期成績においても、膝の臨床症状が改善していることが確認されています。
再生医療受託事業(CDMO事業)
それぞれの事業についてトピックをお話しします。まずは、再生医療受託事業(CDMO事業)です。
当社は5つの製品を上市した経験をもとに、さまざまなニーズにお応えすべくCDMO事業を進めています。とりわけ通常の医薬品とは異なる再生医療等製品のCDMOということで、スライドに例を記載しているとおり受注実績は176件と、数多くのニーズに応えるべく取り組んでいます。
間葉系幹細胞については後ほどご説明します。
研究開発部より(わが国で上市した細胞利用型再生医療等製品)
研究開発部からのレポートとして、我が国で上市された細胞利用型再生医療等製品に関して検討していきたいと思います。
再生医療等製品とは、通常の医薬品と異なり多様性があるということはご存知かと思いますが、大きく移植医療型と薬剤投与型に分かれると理解しています。かつ、それぞれが自家細胞と他家細胞に分かれています。
スライドの各欄に、承認が取れたものを時間軸でプロットしています。我が国では今、16品目の細胞を使った再生医療等製品と、4品目の遺伝子治療用製品があります。スライドには、我が国で承認されたものであっても、海外で承認されたものは米国やベルギーなどの旗を記しています。
特徴的なのは、日本は移植医療型の再生医療等製品が多いことです。当社の製品も移植医療型の自家細胞を使った再生医療等製品です。
一方で、米国は薬剤投与型のCAR-T細胞が中心です。これらは、基本的にメガファーマを中心に、薬のようなものとして扱うことが多いです。
日本では他人の臓器や組織を移植することに対する課題から再生医療が注目されており、どうしても移植医療型になります。今後、我々も我が国の強みをうまく活かし、また海外からの流れをとらえて進めていきたい考えです。
研究開発部より(CAR-T細胞と間葉系幹細胞)
海外でCAR-T細胞が主流になっている理由は、「短期的にがんを消滅させる通常の抗がん剤治療のPOCと類似したものでありPOCの確立が容易であった」「点滴の投与方法が簡便であった」「臨床上の評価方法が容易であった」「大手製薬企業が扱いやすかった」ことによるものです。
ただし、自家細胞によるビジネスモデルは難しいのが現状です。そのような中で、当社は自家細胞を使ったさまざまな製品を提供しています。したがって、当社は自家細胞におけるビジネスモデルの構築においても有利に進めることができると考えています。
一方、間葉系幹細胞(MSC)についてはさまざまな所で研究されていますが、なかなか承認されない状況が続いています。間葉系幹細胞には不均一性や複雑さがあり、大きな課題となっています。
研究開発部より(MSCに関する考察)
当社の研究開発部門では、さまざまな国の支援等を受けながら、間葉系幹細胞の品質管理方法について数年前から品質の見える化に取り組んでいます。
すでに2,500例を超える当社の自家細胞を使った製品についても、基礎研究・探索研究・製品化研究のみならず、きちんと品質を評価してデータを出し、品質に何が影響しているかを考えるという基盤研究をしっかりと進めてきました。
今回の黒字化においては研究開発経費を選択・集中している部分もありますが、一方でしっかりと時間をかけてこのような基盤研究を進めてきています。今後は、この基盤研究を受託事業にも役立てていきたいと思っています。
研究開発支援事業部より(皮膚刺激・腐食・感作性に関する主な試験方法)
研究開発支援事業部のレポートとして、「ラボサイト」シリーズをあらためてご説明します。現在、当社の皮膚刺激性試験と腐食性試験がOECDのガイドラインに収載されています。
また、皮膚感作性試験という新たな領域も、非常にニーズが高まっています。今、花王株式会社さまが当社のモデルを使って感作性試験(EpiSensA)を作り、OECDテストガイドラインの収載に向けて活動しています。
収載されれば、皮膚モデルを用いた初の公定試験となります。スライド右側に皮膚感作性試験のラインナップを記載していますが、今は皮膚モデルを使わない皮膚感作性試験が多く行われています。
このような取り組みを通じ、国内のみならず海外へも当社のモデルの販売促進をしたいと思っています。
研究開発支援事業部より(動物実験代替法製品の動向、市場)
各国の皮膚刺激・腐食・感作性試験の市場について記載しています。こちらはすでに公開されている情報をもとに作成したものです。2025年の市場予測では、日本は26億円です。これに対してインド・EU5か国・アメリカが大きな市場となっており、「ラボサイト」シリーズを国内のみならず、海外に進めていくことも我々の重要な業務だと思っています。
当社の再生医療等製品の課題
ここからは、産・学・官で解決する課題における当社の役割についてお話しします。
当社には保険収載され上市した再生医療等製品が4つあり、ほかに「ジャスミン」という新製品の保険収載を待っています。自家培養表皮「ジェイス」については2007年、自家培養軟骨「ジャック」に関しては2012年に承認されています。
「ジェイス」の市場はとても小さく、全身熱傷や重症熱傷になられる患者さんは大変少なくなっています。一方で有事の際の待機製品という位置付けもあり、万が一大規模な災害が起きた時の技術として、政府の方々にもその重要性を認めていただいています。
また、50枚以上の提供は、引き続き無償で行っています。重症熱傷の場合は、本当にたくさんの枚数を提供する場合がありますが、先般も報道に上がったように、保険適用上の制約といった課題がいまだに残っています。
自家培養軟骨「ジャック」については、変形性膝関節症にも適応拡大すべく、今まさに臨床試験を行っており、順調に進んでいる状況です。
一方で、約200万円という価格が課題となっています。また手術自体はそこまで難しくはないものの、先生方に使っていただく施設基準があるため、比較的小規模な施設ではこの「ジャック」は使えません。
その他、例えば実施前の皮内テストを行うために材料のロットを確保しなくてはならないためにコストが上がってしまいます。また、先生方の手技料もそれほど高くなく、先生方のモチベーションに関わるという意味でも課題になっています。このように2012年の承認条件がまだ継続しており、一つひとつの製品を上市した後にこのような課題が出てくることについて、これまで我々は問題提起してきました。
経済産業省の補助金事業
今回、経済産業省の補助金事業で、このような再生医療の社会実装に向けた環境整備補助金として、ご支援をいただいています。
先ほどお伝えしたように、上市した後、実際に患者さんには役に立っているものの、さまざまな課題が出てくることに注目し、このような課題解決に取り組むという補助金です。
補助率は3分の2で、当社は3分の1のお金を負担しながら進めていきますが、我々が独自で悩んできた課題についてようやくご理解いただき、さまざまな支援やご協力をいただいています。
また、帝人株式会社と共同で進めている柏の葉「再生医療プラットフォーム」を活用し、国立研究開発法人国立がん研究センターの先生方とスクラムを組み、しっかり取り組んでいきたいと思っています。分担機関には三井不動産株式会社も入っており、仲間がどんどん増えてきています。
当社再生医療等製品の普及に向けた課題解決(例)
解決しなければならない課題として、例えば保険適用上の使用枚数や施設基準の問題があります。特に施設基準については、年間100例以上の関節鏡視下手術や靭帯再建術、半月板手術を行っている施設は、必ずしも多くありません。
「ジャック」に非常に信頼感を持って使っていただいていたヘビーユーザーの先生が基準を満たしていない施設に異動した場合、その先生方が「ジャック」を用いた治療をできない状況になります。このような課題についても、施設基準を緩和するために活動していきたいと思います。
BioJapanにて
産・学・官における解決すべき課題という観点でお話しします。先般、「BioJapan」という企画がありました。コロナ禍で少し参加者も減りましたが、私も再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)の代表理事として、この「BioJapan」には毎年主催者側として参加しています。
今回も2つのセッションの座長をしながら、再生医療の流れについていろいろと勉強させていただいています。そのような中で、セミナー・プレゼンテーションとして経済産業省やPMDAの重要な方々をお招きし、シンポジウムをさせていただきました。
1つ目は、日本の再生医療のルール作りにおける産業界の役割です。「A-CELL」というアメリカで出されたガイダンスがあり、こちらを事例に「日本でこのような企業が作るガイドラインルールをどう考えるか」について議論しました。
再生医療等製品は多様であり、個別の製品に即したルールが望まれています。我々も「ジェイス」や「ジャック」について、イノベーティブな製品であるがゆえに特異なものであり、従前のルールを活かしきれないという部分でいつも悩んでいました。
しっかりと企業が提案し、ルール作りに企業が関与することは極めて重要であるということを、さまざまなステークホルダーの方々と合意できたことは、今後当社の社業を有利に進めていく上で、大変重要なものです。
ルール作りに関しては、公平性、透明性を確保した中立的な議論の場が必要です。私の所属している再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)の活動を通じ、より積極的にルール作りに関与していきたいと考えています。
再生医療の多様性と、新たなルール作りによる透明性の明確化といったものは、我が国の再生医療の発展には大変重要です。開発のみならず、販売等々においても新しいルールが必要です。
これは今我々が本当に悩んでいるところであり、公的な場で議論できたことは価値があることだと思っています。
BioJapanにて
「BioJapan」では、また別の論点による取り組みも提示しました。こちらは柏の葉における再生医療シーズの実用化に向けた取り組みです。三井不動産株式会社、国立がん研究センター、帝人株式会社と一緒に進めています。TFBS Bioscience, Inc.は台湾で遺伝子のベクターを作り活躍している会社です。
このようにさまざまなプラットフォームをお持ちの方々と、一緒にスクラムを組んで進めていきます。特に国立がん研究センターの強みを活かし、今アメリカで比較的多く開発されているCAR-T細胞治療を、いかに日本でしっかりと製品の作り込みを行い、量産に適したものをどのように作っていくか、さまざまなステークホルダーの方々と議論する場を作りました。
また、今回は山口大学の玉田先生とも協力しています。玉田先生は技術シーズをお持ちの方で、そのような方々としっかりとエコシステムを作っていく考えです。
スライド下段に記載があるように、国立がん研究センター、三井不動産、帝人、J-TECの一層の連携強化とともに、ex vivo遺伝子治療、CDMO事業を推進していきます。当該機会・施設等を活用して、CAR-T細胞などex vivo遺伝子治療に適したエコシステムの構築が重要となります。さらに当社は帝人との共創により、この機会を有効活用したいと考えています。
BioJapanにて
こちらのスライドは帝人・J-TEC展示ブースでの2コマです。この「BioJapan」には非常に多くのブース展示がありました。実は西村経済産業大臣が数件のブースを訪問されたうち、比較的長い時間当社のブースにお立ち寄りいただき、自家培養表皮「ジェイス」の模擬移植を体験いただきました。
スライド右側の記念写真は、当社社員と一緒に撮影しました。
先ほどお伝えしたように、自家培養表皮「ジェイス」に関しては、経済産業省においても有事の際に使用できる技術としてご理解いただいています。
開発パイプラインの上市目標
ここからは、開発パイプラインの進捗についてです。開示している内容として、3月に「ジャスミン」の承認を取得し、現在保険収載を準備しています。
他家(同種)培養表皮に関しては、全例の治療・経過観察を完了しており、今後速やかに承認申請の段階に入っていきたいと思っています。二次性の変形性膝関節症に関しても同様に、全例の治療・経過観察を完了しています。両方とも新型コロナウイルスにより、患者さんの通院控え等がありましたが、全例の治療・経過観察を完了したことをご報告します。
急性リンパ性白血病の自家CAR-T細胞については、名古屋大学と共同で進めています。こちらはタイでの実績をもとに、日本での悪性リンパ腫に対する医師主導治験に向けて準備しています。
CAR-T細胞治療は、今最も競争が激しい分野です。このCAR-T細胞治療は、技術的には十分確立できています。当社として今後どのように進めていくかを戦略的に考えながら、医師主導治験も含め、進めているとご理解いただきたいと思います。
このパイプライン一つひとつは、すでに臨床ステージに入っているものであり、さらなる市場拡大を目指したいと思っています。
蒲郡市との連携:小学生向け再生医療講座&ワークショップを開催
最後に、サステナビリティへの取り組みについてご説明します。スライドは蒲郡市との連携について記載したものです。8月5日と16日に、近隣の小学生を対象とした再生医療に関する講座とワークショップを、蒲郡市と共催で行いました。
講座参加への応募は即日満員となり、近隣市民のみなさまの再生医療に対する興味が高いことが理解できました。また、参加者の参加後のアンケートでも、ありがたいことに「再生医療に対する知識関心が高まった」という声が本当に多く寄せられていました。バイオ領域は複合領域であり、人材育成の一環として、子供の頃からこのような機会に接することは大変重要だと考えています。
蒲郡市は「再生医療のまち蒲郡」を掲げており、蒲郡市民病院、蒲郡市との連携により、地域での再生医療の社会実装を目指しています。本当に多くの方々のご支援、ご協力をいただいており、当社の地域社会との連携としてこの取り組みをご紹介しました。
次世代への教育・支援:地元学生を対象とした出張講義
今回は、人材育成に注目してお話しします。当社は長年にわたり、より多くの若い方々に再生医療について理解を深めてもらえるよう、地元である愛知県の中学校や高等学校で講義を行っています。
当社にも、毎年スーパーサイエンスハイスクールの方々が来られ、私が説明する機会を作っています。こちらは長年実施しており、再生医療のみならず当社にも非常に関心を持ってくださる若い人たちが増えています。そのため、大学等々に進む際にも、「再生医療をやりたい」など、場合によっては「J-TECに入社するにはどのようなことが必要なのか」というご質問をいただいています。単に人材育成という観点のみならず、当社への関心を高めるという意味でも、この活動を引き続き進めていきたいと思います。
当社は黒字化を見据えて社業を進めています。その一方で、したたかに研究開発の基盤を作り上げています。地域連携や、CAR-T細胞を使った戦略的な取り組み、さらに行政の方々を交えた環境を作っています。
一方で、業務の効率化、さらには再生医療等製品をいかに社会実装に適したものに仕上げるかにも取り組んでいます。引き続きみなさまのご理解、ご協力をいただければ幸いです。
以上、私からのご説明とします。どうもありがとうございました。
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