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オーバル Research Memo(1):流量計のパイオニアで、流体計測機器メーカーの専業最大手

配信元:フィスコ
投稿:2024/07/17 14:41
*14:41JST オーバル Research Memo(1):流量計のパイオニアで、流体計測機器メーカーの専業最大手 ■要約

オーバル<7727>は、1949年に創業された流量計のパイオニアで、流体計測機器メーカーの専業最大手であり、東京証券取引所(以下、東証)スタンダード市場に上場している。多岐にわたるラインナップを誇る流量計を提供するセンサ部門、流体計測に関わるシステムパッケージを提供するシステム部門、顧客の要望にきめの細かいメンテナンス対応で応えるサービス部門の3事業により、常に時代に最適な商品・サービスを提供し、顧客の最大級の満足を追求している。2032年3月期にアジアNo.1のセンシング・ソリューション・カンパニーへ成長することを目指して、中期経営計画「Imagination 2025」(2023年3月期~2025年3月期)を推進中である。

1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高14,347百万円(前期比7.8%増)、営業利益1,475百万円(同33.5%増)、経常利益1,572百万円(同28.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,102百万円(同69.8%増)と、期初予想を上回る増収増益決算で、営業利益・経常利益は過去最高を記録した。売上高の増収は、好調なセンサ部門をはじめ、各部門が伸長したことによる。また、営業利益の増益は、増収効果に伴う人件費などの固定費比率の低下によるものだ。事業部門別売上高では、主力のセンサ部門は、国内は化学関連業界向けが堅調だったこと、半導体関連業界向けについては第3四半期までの受注分を出荷したこと、海外も中国・韓国の電池関連業界向けが好調であったこと、オーストリアAnton Paar GmbH(以下、Anton Paar)とのライセンス契約の一時金収受も寄与したこと等から、同7.6%増であった。システム部門は、海外は前期の受注減などにより低迷したが、国内は大口案件の工事進行基準適用による一部売上計上があり、同8.9%増であった。サービス部門は、国内で石油関連の業界再編や脱炭素社会に向けた動きなど厳しい状況の中、保全計画サポートサービスなど地道できめの細かいメンテナンス活動を継続したこと、2023年1月に京浜計測(株)を完全子会社化して連結したことなどから、同7.8%増となった。以上の結果、自己資本比率は63.6%に上昇し、プライム・スタンダード・グロース市場に上場する精密機器業界平均を上回る高い安全性を確保している。好決算を反映して、1株当たり年間配当金を当初計画の9.0円から14.0円に大幅に増額修正し、株主還元にも十分に配慮している。

2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期通期の連結業績予想については、売上高14,000百万円(前期比2.4%減)、営業利益1,300百万円(同11.9%減)、経常利益1,400百万円(同11.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益880百万円(同20.2%減)としている。売上高については、Anton Paarとのライセンス契約の一時金を織り込むものの、前期好調だった国内半導体業界向けや中国・韓国での電気自動車用の電池関連業界向けが一服すること等により微減を見込む。利益については、原材料費や人件費の上昇に伴う利益率の低下を織り込んでいる。減収減益の業績予想ながら、中期経営計画の最終年度の計画値は達成する見込みだ。ただ、同社が発表する期初の業績予想は、慎重で保守的な傾向が強いことに留意する必要がある。一方で、1株当たり年間配当金は同1.0円増の15.0円への過去最高に引き上げ、株主への利益還元を重視する経営姿勢を示している。

3. 中長期の成長戦略
2022年3月に発表した中期経営計画「Imagination 2025」(2023年3月期〜2025年3月期)では、当初は売上高130億円、経常利益7.0億円、親会社株主に帰属する当期純利益3.8億円、ROE(自己資本当期純利益率)3.0%、年間配当9.0円を業績計画として掲げていた。しかし、2023年3月期決算が、中期経営計画の業績計画を2年前倒しで達成したことから、業績計画をさらに上方修正し、新たに売上高140億円(当初計画比10億円増)、経常利益14.0億円(同7.0億円増)、親会社株主に帰属する当期純利益8.8億円(同5.0億円増)、ROE5.7%(同2.7ポイント増)、年間配当15.0円(同6.0円増)を修正計画として発表した。非常に意欲的な計画であるが、最終年度も計画値達成に向けて、業績は順調に推移している。一方、業績計画達成のための基本方針・基本戦略には修正はない。重点領域と探索領域に優先的に経営資源を投下するとの基本方針に従って、成長戦略としてセンサ事業、サービス事業、システム事業の強化・拡大を図るとともに、新事業の創出も計画する。また、経営基盤強化戦略として製造BCL(ベスト コスト ロケーション)、人事財務強化、DX推進、サステナビリティ推進を掲げている。基本方針・基本戦略に従って着々と実績を積み上げており、最終年度の成果に期待したい。

■Key Points
・流体計測機器メーカーの専業最大手で、センサ部門、システム部門、サービス部門の3事業を展開
・2024年3月期決算は期初予想を上回る増収増益。好調なセンサ部門をはじめ各部門が伸長。年間配当を当初計画から大幅に増額修正
・2025年3月期通期は減収減益を予想するが、中期経営計画の計画値は達成の見込み。一方、年間配当は増配を予定し、株主への利益還元を重視
・中期経営計画の業績計画を上方修正。基本方針・基本戦略は変更ない。着々と実績を積み重ねており、最終年度の成果に期待

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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配信元: フィスコ
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