1,921円
ナガイレーベンのニュース
■事業概要
1. 売上構成
ナガイレーベン<7447>の製品は、医療白衣及びその関連製品である。アイテム別売上高構成比(2020年8月期第3四半期)は、ヘルスケアウェア55.4%、ドクターウェア15.7%、ユーティリティウェア3.0%、患者ウェア12.4%、手術ウェア10.3%、シューズ0.9%、その他2.4%となっている。ヘルスケアウェアとは主に看護師向け製品のことで、ユーティリティウェアは白衣などの上に着るエプロンやカーディガンなどを指す。各アイテムの利益率は大きくは変わらないが、仕入商品であるシューズやその他の利益率は相対的に低い。
地域別の売上高構成比(2020年8月期第2四半期)は、東日本52.8%、西日本35.5%、中部日本10.2%、海外1.5%となっており、ほぼ全国をカバーしているが、比較的西日本の市場シェア率がまだ低く、海外も含め今後の拡大の可能性を残している。
商品(機能)別については、2017年8月期からカテゴリが変更された。それまでのDCブランドに自社ブランドの高価格品を加えたものを「ハイエンド商品」に、それまでの高機能性商品を「高付加価値商品」に定義・名称変更した。標準機能性商品は「付加価値商品」に名称変更され、量販品は従来どおりとなっている。
この新しいカテゴリでの商品(機能)別売上高構成比(2020年8月期第2四半期)は、ハイエンド商品7.0%、高付加価値商品54.1%、付加価値商品34.2%、量販品4.7%となっている。ナースウェアでおおよその価格帯分類をすると、量販品(5,000円以下)、付加価値商品(5,000~7,500円)、高付加価値商品(7,500~10,000円)、ハイエンド商品(10,000円以上)となっている。高価格なほど利益率は高い傾向にあるが、ハイエンド商品、高付加価値商品の拡販に注力していく方針だ。
2. 販売ルートと生産状況
同社のエンドユーザーは看護師や医師などで、製品の購入者は主に病院等の医療施設や介護施設などとなっている。ただ、直接販売は行っておらず、これらの医療施設などと取引している業者を経由した販売が100%を占める。これによって販売経費を抑えているが、大病院などへは常に同社の営業社員がコンタクトを取っており、顧客ニーズをくみ取っている。
以前は病院内で自ら医療白衣の洗濯を行うケースが多かったが、近年は洗濯のアウトソーシングの普及に伴って、リースに切り替わってきている。このリース期間は通常は4年であることから、4年ごとにリースの切り換え需要が発生することが、同社の業績を安定的に支えていると言える。ただしリース更新のサイクルは必ずしも前回と同じ時期に発生するとは限らず、多少前後する(ずれ込む)場合もあるため、四半期ごとの売上高(前年同期比)には、ぶれが生じる場合もある。
生産体制については、2020年8月期第2四半期の実績で、製品の98.8%が自社及び協力工場(国内生産49.2%、海外生産49.6%)で生産され、仕入商品は1.2%となっている。海外生産はインドネシア、ベトナム、中国で行われているが、自社工場を持たずに現地のパートナー企業の工場で生産を行っており、投資リスク軽減とコスト削減を両立させている。
3. 特色と強み
同社は医療白衣の専業メーカーだが、その強みの1つは企画から原材料の調達、製造、販売まで一貫して行う体制が整っていることである。製品企画の面では、ユーザーのニーズを的確につかみ、これを製品に反映させている。具体的には働きやすい(動きやすい)、静電気が発生しにくい、制菌(細菌の増殖を抑える)などの機能面に加え、デザイン性にも優れた製品を提供することで、ユーザーから高い評価を得ている。同時に製造面においては、素材を共同開発する東レ<3402>を始めとする大手合繊メーカーや繊維商社などと直接やり取りすることで、最適な素材を確保して安価に製造し、適正マージンを乗せて販売することが可能になっている。
また、多くの提携工場を持つことに加えて、資金力が豊富であることから常に数千種類に及ぶ製品アイテムの在庫をそろえており、オーダーメイドにも対応している。幅広いユーザーニーズに対して、希望する製品を指定された期日に即納する迅速な生産・販売体制(Quick Response体制)が整っており、このことも顧客からの信頼を厚くしている。販売面においては、全国に1,000社近くの代理店網を有しており、販売力が強固でありながら、同社自身は販売経費を可能な限り抑えている。
その結果、看護師向け白衣では国内シェアは60%超となっており、医療白衣のリーディングカンパニーとしての確固たる地位を維持している。また、売上総利益率は46.0%(2020年8月期第3四半期実績)と高水準を維持している。高い利益率と高い市場シェアを両立できているということは、多くの顧客が同社の製品・サービスに満足しているということであり、これこそが最大の強みと言える。
医療白衣というニッチ市場に経営資源を集約させることで、企画から生産・販売まで一貫した効率的な経営が可能となっている。また、ニッチ市場ではあるが、患者ウェアや手術ウェアなど、相対的に同社のシェアが低い周辺市場においてはまだ開拓の余地がある。同社では、「当分はこの医療白衣で事業を伸ばすことは可能であり、今後積極的に周辺市場の開拓を行う」としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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1. 売上構成
ナガイレーベン<7447>の製品は、医療白衣及びその関連製品である。アイテム別売上高構成比(2020年8月期第3四半期)は、ヘルスケアウェア55.4%、ドクターウェア15.7%、ユーティリティウェア3.0%、患者ウェア12.4%、手術ウェア10.3%、シューズ0.9%、その他2.4%となっている。ヘルスケアウェアとは主に看護師向け製品のことで、ユーティリティウェアは白衣などの上に着るエプロンやカーディガンなどを指す。各アイテムの利益率は大きくは変わらないが、仕入商品であるシューズやその他の利益率は相対的に低い。
地域別の売上高構成比(2020年8月期第2四半期)は、東日本52.8%、西日本35.5%、中部日本10.2%、海外1.5%となっており、ほぼ全国をカバーしているが、比較的西日本の市場シェア率がまだ低く、海外も含め今後の拡大の可能性を残している。
商品(機能)別については、2017年8月期からカテゴリが変更された。それまでのDCブランドに自社ブランドの高価格品を加えたものを「ハイエンド商品」に、それまでの高機能性商品を「高付加価値商品」に定義・名称変更した。標準機能性商品は「付加価値商品」に名称変更され、量販品は従来どおりとなっている。
この新しいカテゴリでの商品(機能)別売上高構成比(2020年8月期第2四半期)は、ハイエンド商品7.0%、高付加価値商品54.1%、付加価値商品34.2%、量販品4.7%となっている。ナースウェアでおおよその価格帯分類をすると、量販品(5,000円以下)、付加価値商品(5,000~7,500円)、高付加価値商品(7,500~10,000円)、ハイエンド商品(10,000円以上)となっている。高価格なほど利益率は高い傾向にあるが、ハイエンド商品、高付加価値商品の拡販に注力していく方針だ。
2. 販売ルートと生産状況
同社のエンドユーザーは看護師や医師などで、製品の購入者は主に病院等の医療施設や介護施設などとなっている。ただ、直接販売は行っておらず、これらの医療施設などと取引している業者を経由した販売が100%を占める。これによって販売経費を抑えているが、大病院などへは常に同社の営業社員がコンタクトを取っており、顧客ニーズをくみ取っている。
以前は病院内で自ら医療白衣の洗濯を行うケースが多かったが、近年は洗濯のアウトソーシングの普及に伴って、リースに切り替わってきている。このリース期間は通常は4年であることから、4年ごとにリースの切り換え需要が発生することが、同社の業績を安定的に支えていると言える。ただしリース更新のサイクルは必ずしも前回と同じ時期に発生するとは限らず、多少前後する(ずれ込む)場合もあるため、四半期ごとの売上高(前年同期比)には、ぶれが生じる場合もある。
生産体制については、2020年8月期第2四半期の実績で、製品の98.8%が自社及び協力工場(国内生産49.2%、海外生産49.6%)で生産され、仕入商品は1.2%となっている。海外生産はインドネシア、ベトナム、中国で行われているが、自社工場を持たずに現地のパートナー企業の工場で生産を行っており、投資リスク軽減とコスト削減を両立させている。
3. 特色と強み
同社は医療白衣の専業メーカーだが、その強みの1つは企画から原材料の調達、製造、販売まで一貫して行う体制が整っていることである。製品企画の面では、ユーザーのニーズを的確につかみ、これを製品に反映させている。具体的には働きやすい(動きやすい)、静電気が発生しにくい、制菌(細菌の増殖を抑える)などの機能面に加え、デザイン性にも優れた製品を提供することで、ユーザーから高い評価を得ている。同時に製造面においては、素材を共同開発する東レ<3402>を始めとする大手合繊メーカーや繊維商社などと直接やり取りすることで、最適な素材を確保して安価に製造し、適正マージンを乗せて販売することが可能になっている。
また、多くの提携工場を持つことに加えて、資金力が豊富であることから常に数千種類に及ぶ製品アイテムの在庫をそろえており、オーダーメイドにも対応している。幅広いユーザーニーズに対して、希望する製品を指定された期日に即納する迅速な生産・販売体制(Quick Response体制)が整っており、このことも顧客からの信頼を厚くしている。販売面においては、全国に1,000社近くの代理店網を有しており、販売力が強固でありながら、同社自身は販売経費を可能な限り抑えている。
その結果、看護師向け白衣では国内シェアは60%超となっており、医療白衣のリーディングカンパニーとしての確固たる地位を維持している。また、売上総利益率は46.0%(2020年8月期第3四半期実績)と高水準を維持している。高い利益率と高い市場シェアを両立できているということは、多くの顧客が同社の製品・サービスに満足しているということであり、これこそが最大の強みと言える。
医療白衣というニッチ市場に経営資源を集約させることで、企画から生産・販売まで一貫した効率的な経営が可能となっている。また、ニッチ市場ではあるが、患者ウェアや手術ウェアなど、相対的に同社のシェアが低い周辺市場においてはまだ開拓の余地がある。同社では、「当分はこの医療白衣で事業を伸ばすことは可能であり、今後積極的に周辺市場の開拓を行う」としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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