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【QAあり】佐鳥電機、通期は売上高・親会社株主に帰属する当期純利益とも前年を上回る着地 インド市場向けなど海外事業の成長が牽引
目次

佐鳥浩之氏(以下、佐鳥):佐鳥電機株式会社代表取締役社長執行役員の佐鳥浩之です。本日はご多用中にもかかわらず、また、大変暑い中、当社の2025年5月期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
本日ご説明する内容は、スライドの目次のとおりです。はじめに財務状況に関する説明として、2025年5月期の実績概況と2026年5月期の通期予想についてご説明します。次に、2024年度よりスタートしている「中期経営計画2026」の進捗状況について説明します。どうぞよろしくお願いします。
2025年5月期実績業績ハイライト

2025年5月期の実績及び2026年5月期の予想についてご説明します。
2025年5月期の決算は、後ほど詳細をご説明しますが、売上高は前年度比5パーセント増の1,562億円となりました。一方で、営業利益は為替の影響や人的資本への積極的な投資などにより、前年度比16パーセント減の39億9,000万円、経常利益も前年度比16パーセント減の30億5,000万円となりました。
しかし、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益の計上や税金費用の減少により、前年度比17パーセント増益の25億2,000万円となりました。売上高及び親会社株主に帰属する当期純利益は、ともに前年度を上回っています。
次に、2026年5月期の業績予想についてです。現在の不透明な事業環境下において、例えば米国の関税政策の影響などが懸念される状況ではありますが、売上高は1,600億円、営業利益は43億円と、増収増益を予想しています。
2025年5月期 セグメント別売上 前期比増(減)要因

2025年5月期のセグメント別売上増減要因についてご説明します。全体の売上高は前年度比5パーセント増加の1,562億円となりましたが、セグメント別の詳細はスライドの表のとおりです。
産業インフラセグメントでは、半導体製造装置向け需要が第4四半期頃から回復基調に変わりましたが、需要が落ち込む前の水準には至っていません。また、金融機関等で使用されている業務用PCの需要が減少し、全体では前年度比で11億円減少しました。
エンタープライズセグメントでは、調達マネジメントサービスをはじめ、顧客での在庫調整が年末にはようやく終わり、下期には回復しましたが、全体では前年度比で36億円の減少となりました。
一方、モビリティセグメントにおいては、インド市場向けビジネスが引き続き好調を維持しています。また、国内車載市場向けビジネスも想定どおり成長したことで、全体では前年度比で80億円増加しました。
グローバルセグメントでは、事務機器向けユニット製品の生産増加やAI市場の拡大により、PC・サーバー向け電子部品の需要が増えたため、全体で前年度比51億円、12パーセント増加しました。
2025年5月期 営業利益増(減)主要因

2025年5月期の営業利益増減要因です。スター・エレクトロニクスでは国内車載市場向けの半導体売上が、また、SMETではインド市場向けビジネスが想定どおり成長したことにより、それぞれ粗利額が増加し、トータルで前年度比1億9,000万円の増加となりました。
グローバルセグメントも、売上増加により粗利が増加しました。また、販管費を適切に抑えることができたため、グローバルセグメント全体としては前年度比4億1,000万円の増加となりました。
産業インフラセグメントやエンタープライズセグメントを中心とした国内ビジネスでは、売上の減少に伴い粗利額も減少したため、営業利益は前年度比で2億4,000万円減少しました。
2024年度の営業利益は、為替が円安に振れたことや人的資本への積極的な投資を行った結果、前年度比16パーセント減益の39億9,000万円となっています。ただし、為替の影響や役員株式報酬費用といった特殊要因を除いた、いわゆる真水ベースで比較すると、前年度比8パーセントの増益となっています。
2026年5月期 セグメント別売上前期比 増(減)要因

2026年5月期予想のセグメント別売上増減要因についてご説明します。全体の売上高は前年度比2パーセント増の1,600億円を予想しています。セグメント別ではスライドの表のとおりです。
産業インフラセグメントでは、回復が遅れていた半導体製造装置向け制御機器について、昨年度に顧客内での在庫調整が終了したこともあり、今年度は着実な需要回復を見込み、前年度比9パーセント増加の316億円を見込んでいます。
エンタープライズセグメントでは、調達マネジメントサービスやデバイス全般の需要回復を見込んでおり、前年度比で16パーセント増加の527億円を予想しています。
一方、モビリティセグメントでは、インド市場向けビジネスの拡大を見込むものの、国内車載市場向けビジネスが端境期に入るため減少すると見込んでおり、前年度比で4パーセント減少の399億円を予想しています。
グローバルセグメントにおいては、前年度好調だったAI関連ハードウェアをはじめ、サーバーやPC向け電子部品の需要が落ち着くと見込んでいます。
また、事務機器向けユニット製品は生産減少が予想されるため、売上高は前年度比10パーセント減の428億円を見込んでいます。
2026年5月期 営業利益増(減)主要因

2026年5月期予想の営業利益増減要因についてです。営業利益は前年度比8パーセント増の43億円を見込んでいます。スライドで示しているように、4つのセグメントすべてで増益を見込んでいます。
特に産業インフラセグメントとエンタープライズセグメントでは、売上が前年度比でそれぞれ8パーセント、17パーセント増加することから、営業利益も前年度比でそれぞれ4億円、3億円の大幅な増益を見込んでいます。
モビリティセグメントでは、国内車載市場向けビジネスは端境期により伸び悩むものの、インド市場向けビジネスが好調であることから、営業増益を見込んでいます。
なお、トランプ関税の影響については、現時点では顧客の生産計画や投資計画に直接的な影響は出ていません。ただし、市場や顧客のマインドは確実に慎重になっていることを考慮し、リスクバッファとして営業利益ベースで5億円を見込んでいます。
2025年5月期 配当

配当についてです。当社の配当方針として、配当政策を経営上の重要課題に位置づけ、株主還元と内部留保とをバランス良く実施することを基本とし、経営状況の見通しなどを総合的に勘案の上、親会社株主に帰属する当期純利益に対する配当性向50パーセントを目処に、業績に連動した配当を行うことを目標としています。
この方針に基づき、2025年5月期全体では通期の実績を踏まえ、配当予想のとおり、前年度から6円増配の年間配当86円としました。2026年5月期の予想は、配当方針及び通期予想を踏まえ、前年度から4円増配の年間配当90円を見込んでいます。
自己株式の消却について

こちらのスライドは、先日開示した自己株式の消却についてです。参考情報としてご報告します。
当社は、7月14日に開催された取締役会において、保有する自己株式300万株を消却することを決議しました。実行は来週の7月22日を予定しています。
2027年5月期 セグメント別損益推移

「中期経営計画2026」の進捗状況についてご説明します。最初に、「中期経営計画2026」の見直しについてご説明します。
先日の7月14日に開示しましたとおり、「中期経営計画2026」の指標を修正しました。トランプ関税や地政学リスク、さらにはインフレの影響により投資を控える傾向がある現状の経済情勢を考慮すると、2027年5月期に当初の指標を達成することは難しく、このたび業績目標数値を修正することとしました。
現時点の見通しを踏まえ、2027年5月期の経営目標を売上高1,650億円、営業利益48億円に変更します。セグメント経営による事業ポートフォリオの最適化を図り、引き続き着実な成長を遂げるべく、事業を進めていきます。
なお、今回の全社及び消去には、2026年5月期と同様に、2027年5月期の営業利益にも5億円のリスクバッファを含めています。
セグメント別事業戦略

「中期経営計画2026」でのセグメント別の事業戦略は次のとおりです。原則として昨年から変更はありません。
産業インフラセグメントでは、後ほどご説明する産業ロボットや飼料タンク残量管理システムなどのソリューションといった産業DXに取り組み、お客さまが抱えている社会課題の解決に貢献していきます。
エンタープライズセグメントではラインカードを拡充し、多様な顧客ニーズに対応していきます。また、特長のあるネットワークセキュリティソフトを活用した再生可能エネルギーソリューションを提供し、持続可能な社会の実現に貢献します。
モビリティセグメントでは、モビリティの電動化とDX化を推進し、カーボンニュートラル社会に貢献していきます。また、インド市場でのビジネスを拡大し、成長する同市場へ貢献します。
グローバルセグメントでは、海外における新規顧客や新商材の発掘を行い、グループ会社への展開やグループ会社間でのシナジー効果を創出していきます。また、昨年買収したオランダのMAGnetIC社の半導体回路設計ビジネスをグローバルに展開していきます。
産業ロボットを活用した社会課題の解決

当社の事業戦略の取り組み状況について、3点ご説明します。
1つ目は、当社の産業ロボットを活用した、社会課題の解決に向けた取り組み状況です。当社は4年ほど前からロボット業界大手である安川電機の販売店として活動を開始しました。
活動当初から、社会課題の解決策としてロボットの活用を日本全国の工場の生産ラインに推進してきました。当初、ロボットは定型的な作業や重労働、危険作業といった工程で導入されていました。
しかし、労働人口の減少やDX推進の流れを背景に、複雑な工程での活用や、いわゆる匠の技を必要とする分野でのニーズが顕在化してきました。当社では昨年度、九州の焼酎メーカーにロボットを導入し、24時間365日稼働しています。ロボットの活用領域は年を追うごとに拡大しています。
昨年からは、作業要員とロボットがともに生産を行う人協働ロボットの導入を開始しています。また、当社では人材紹介会社との協業により、人材派遣ならぬロボット派遣サービスのマーケティングも現在行っています。
大規模な工場の生産ラインは自動化が進んでいますが、中小の工場や複雑な生産ラインでは、ロボット導入に多くの課題があり、進展していないのが現状です。
当社では、お客さまの生産ラインに適したコンサルティング営業に注力し、それぞれの生産特性に合ったロボットを導入することで、人手不足の解消や複雑な匠の領域への貢献を進めていきます。このロボット分野において、2030年度には関連売上30億円を目指しています。
産業ロボット活用事例 定型作業領域

具体的な導入事例についてご紹介します。スライドは、現在、導入が進んでいる定型作業分野での事例です。これまで人手に頼っていた工程が多くありましたが、ロボットは24時間365日、正確にかつ黙々と仕事をこなしてくれます。
導入後はコスト削減のみならず、工程全体の効率化が実現しています。スライド左上の事例では、工作機械への金属部品の着脱をロボットが担当しています。この作業をロボットが行うことにより、作業員の役割はチェックをすることから他の業務を行うようになりました。その結果、効率化だけでなくコスト削減も達成しています。
スライド左下の事例は、工作機械メーカーでの導入事例で、PCB基板分割装置への部品の供給と排出作業を行っています。右上は、酒蔵での導入事例です。仕上がったお酒の箱詰め工程などで活躍しています。右下は、自動車部品メーカーでの導入事例です。製造工程での部品移動作業に活用されています。
産業ロボット活用事例 -「匠」・「複雑」作業領域-

いわゆる匠の領域における工程の自動化事例です。スライド左側の事例では、自動車の塗装後の表面にむらがないかをチェックする工程をロボットが行っています。
スライド右側の事例では、高熱での接着工程をロボットが担当し、大変危険で高度な技術が求められる工程で活躍しています。
ロボットによる自動化が可能な領域において、当社の営業が現場に入り込み、お客さまとともに活用方法を検討し、導入することで、労働力不足などの社会課題の解決に貢献しています。
「再生可能エネルギーソリューションプロバイダー」としての取組み

次に、事業戦略の2つ目として、再生可能エネルギーソリューションプロバイダーとしての取り組みをご紹介します。当社は、太陽光パネル、パワーコンディショナー、バッテリー、さらにはメンテナンスなどのアフターサービスを含む再生可能エネルギーソリューションを、トータルで提供するプロバイダーとしての活動を開始しました。
太陽光発電の現場では、サイバーセキュリティリスクが顕在化しています。当社は、世界最高水準のセキュリティ機能をパワーコンディショナーやバッテリーなどのハードウェアと組み合わせ、再生可能エネルギーソリューションとしてお客さまに提供し、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
サイバーセキュリティシステムの紹介

サイバーセキュリティシステムを開発したSky Electric社をご紹介します。Sky Electric社は、Ashar Aziz氏が米国フロリダで創業したソーラー&ストレージシステム企業です。
世界最高水準の高度なサイバーセキュリティを備えた、独自のクラウドとゲートウェイを開発しました。創業者のAziz氏は、ネットワークセキュリティ、暗号化、データセンターの仮想化など、さまざまなサイバーセキュリティ技術に関する特許を80件以上保有しており、技術的な先見性を持つ先駆者として認められています。
Sky Electric社の「Sky Electric Secure Gateway」、通称「SSG」は、日本と米国で今後必要とされるサイバーセキュリティ対策の要件をすべて満たし、さらにそれを上回る業界最高水準のサイバーセキュリティ機能が搭載されています。当社はSky Electric社の販売代理店として、安全・安心な脱炭素社会の実現に貢献します。
FY24 実績とFY25 計画

3つ目の事業戦略として、SMETによるインドビジネスの拡大について、本日、SMETの副社長であるYashoranjanが参加していますので、Yashoranjanよりご説明します。
Yashoranjan K V氏(以下、Yashoranjan):みなさま、本日は説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。SMETの副社長を務めるYashoranjanです。SMETの直近の業績についてご説明し、今後のビジネス戦略を共有します。
2025年3月に終了した2024年度において、当社は主要事業で優れた業績を上げることができました。
売上高は前年度比37パーセント増の1億7,100万米ドルとなり、主に産業分野及びモビリティ分野の成長が牽引しました。営業利益は400万米ドル、前年度比55パーセント増となり、ビジネス戦略の継続的な取り組みの成果が表れています。
インドのスマートメーター市場は非常に好調で、2030年まで堅調に成長する見通しです。また、監視及び鉄道分野は新たな成長が期待される分野であり、ソリューションの展開に力を注いでいます。
2025年度の売上高は1億9,200万米ドルを見込んでおり、営業利益率のさらなる拡大も予想しています。当社は現在の事業戦略に自信を持ち、株主のみなさまに価値を提供し続けることに尽力していきます。
中期経営計画

SMETの中期経営計画についてご説明します。2025年度(FY25)は、売上高が前年度比12パーセント成長し、1億9,200万米ドルに達すると見込んでいます。
ソリューション事業の拡大により、2026年度(FY26)には1億9,200万米ドルから2億2,800万米ドルへ、前年度比19パーセントの成長を目指しています。さらに、2027年度(FY27)には3億1,400万米ドル、前年度比38パーセントという大幅な成長を見込んでいます。
これらは、ソリューション事業の本格展開によるもので、当社の将来の成長を牽引する最大の柱になると期待しています。
SMETの市場ポジション

Yashoranjan:SMETの市場でのポジションについてご説明します。
産業用スマートメーターは、SMETの売上の約40パーセントを占めています。当社はこの分野に最も早く進出し、信頼されているサプライヤーの1つです。Renesas製MCU、Tianma製LCD、EVE製バッテリーなどの主要部品を、ほぼすべての大手顧客に供給しています。
スマートメーター顧客の66パーセントはSMETが提供する部品を70パーセント程度搭載し、残りの34パーセントの顧客も30パーセント程度搭載しています。
モビリティ分野では、当社の顧客であるOLA及びAtherはEV二輪車の市場シェアの約36パーセントを占めており、SMETはこの2社に対し搭載部品の50パーセントを供給しています。さらに、TVSやBajajへもデザインインを進めており、クラスターやモーター制御系パワーデバイスの部品を供給しています。
Renesasはインドのモビリティ及び産業分野における主要なMCUサプライヤーであり、SMETはRenesas製MCUの販売で35パーセントという大きなシェアを保持しています。これは当社の強固な市場ポジションと長年のパートナーシップを示すものです。
①列車向けインフォテインメント、セキュリティソリューション

当社の主力ソリューション3つをご紹介します。当社は、最大16台のカメラに対応可能な堅牢なモバイルNVRシステムを開発しました。
産業用イーサネットスイッチと5G通信モジュールをシームレスに統合し、モバイルネットワークでのリアルタイム映像伝送を実現しました。これにより、車両内の監視やインフォテインメント用途に最適なソリューションとなっています。
すでに設計パートナーであるGEOCON経由で、A-APUL社及びRT Vision社からファーストロット受注を獲得し、SPARSH CCTV社も採用が確定しました。さらに、4社の顧客が評価の最終段階にあり、今後6ヶ月以内に確定受注を見込んでいます。
②EV チャージャーソリューション

インドのEV二輪市場において、SMETはインド初となる国産設計のEV充電器を開発しました。現在、業界大手のAnevolve社では量産がすでに進行中で、今後3ヶ月から6ヶ月以内に複数の顧客で製品販売が開始される予定です。
当社は350Wから3.3kWまでの幅広い出力レンジの充電器を提供しています。次世代ソリューションではGaN(窒化ガリウム)技術を採用し、高効率化、小型化、熱性能の向上を実現する予定です。
また、MOSFET、トランス、コンダクターといった重要部品の供給も行っています。
③EV ディスプレイクラスターソリューション

当社のクラスターソリューションは、基本的な電子インクディスプレイから中位グレードのTFTスクリーン、さらに高度なAndroidベースのスマートクラスターまで、さまざまな市場ニーズに対応しています。
SMETはこれらのシステムで90パーセントの部品シェアを誇り、Tianma製TFT、Renesas製MCU、QuectelまたはQualcomm製MPU、LTEモデム、Macronix製フラッシュメモリといった主要部品を供給しています。
Androidベースのクラスターにおいては、外部パートナーと協業しながらアプリケーションを開発しています。現在、複数のティア1サプライヤーと連携を進め、この急成長分野での存在感を着実に拡大しています。
それでは、SMETのソリューションと技術力をより具体的にご理解いただけるよう、紹介ビデオを用意しました。どうぞこちらをご覧ください。
佐鳥:いかがでしたでしょうか? 以上で、2025年5月期決算のご説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:海外の事業環境の見通しの変化について
質問者:いつもご丁寧なご説明をありがとうございます。インドの事業責任者の方がいらしてくださっていますが、ぜひ海外の事業環境について、特に来年以降の見通しが年初と比べてどのように変化したかをご説明いただけますでしょうか?
佐鳥:海外全体の事業環境についてお答えします。我々の主な海外事業として、台湾のいわゆるサーバーPCやスマートフォン市場、また、韓国の家電メーカーを中心としたビジネスがあります。
当社の海外事業の主な要素としては、その次くらいが日系のお客さまの海外での生産活動、及びインドです。これらの大きく4つが、我々の海外事業の構成要素となっています。
台湾については、生成AI関連のサーバー事業が今年も引き続き好調を維持する見込みで、これは年初の時点から大きな変化はありません。一方、韓国に関しては家電メーカーを中心とした市場が昨年と比較すると弱含みで推移していると見ています。
日系のお客さまについては、先ほどもご説明したように、いわゆる事務機器向けに当社は部品とモジュールを供給しています。昨年の生産計画と比較すると、今年は慎重な生産計画を組んでおり、昨年に比べ数量が減少し、それに伴い売上も下がると見ています。
また、トランプ関税の影響がこの後どのように出てくるかについては、私たちも非常に気にしていますが、現時点でお客さまの予測を見る限り、大きな変化は見受けられないのが実情です。
ただし、私たちとしては、投資関係について慎重な判断がなされている状況を踏まえ、このままでは収まらないと考えています。そのため、今回の決算数字には、営業利益ベースで5億円をバッファーとして計上し、43億円の営業利益を開示しました。この5億円のバッファは、さまざまなシミュレーションを行い、取締役会でも議論を重ねた結果、加えたものです。なにかしらの影響が出ることは想定しています。
現時点では顕在化していない状況ですので、このような開示を行いました。そのため、ご質問の趣旨からすると、当初から大きく変わってはいないとの判断をしています。
Yashoranjan氏から、インド経済と当社の事業についてご説明します。

Yashoranjan:インド市場は依然として好調であり、マーケットの主要な要因として3つのファクターが挙げられます。
1つ目に、SMETの主力事業であるスマートメーターです。現在のモディ首相の政権下で、5年間で2億5,000万セットのスマートメーターを導入する計画が進められており、メーター自体だけでなく、それに関連するコネクティビティのセットの需要も非常に大きく見込まれています。
2つ目に、ナショナルIDプロジェクトについてです。その一環として、特にサーベイランスカメラ、いわゆるセキュリティ分野が注目されています。これまでは中国メーカーが市場を圧倒的に占めていましたが、さまざまな事情により、「すべてMade in Indiaにしなさい」というプロジェクトでインド国内メーカーが作るカメラの生産や開発が大きく進展している状況です。
3つ目に、車載分野について、政府の補助金に関連したFAME(Faster Adoption and Manufacturing of Electric Vehicles)というプログラムがあります。ここでもローカルメイドを推進する中で、中国メーカーからの切り替えが進んでいます。
このように、3つの大きなマーケットファクターにより、インド経済は第1四半期ベースで好調な実績を上げました。カレンダーイヤーではなく、ファイナンシャルイヤーでの良い実績でした。
質疑応答:為替のインパクトについて

質問者:為替のインパクトについて、実績として円安で7億円のマイナス、今期は円高で3億円のマイナスとなっています。この入り繰りをご説明いただけますでしょうか。
諏訪原浩二氏(以下、諏訪原):スライド下部に記載されているとおり、2024年度の実績レートは147円20銭、2025年度の実績レートは151円40銭です。「円安であるのに、なぜこのようになるのか?」というご質問かと思います。
グラフ中の「為替の影響額」のマイナス7億2,000万円の影響については、ニュースなどで取り上げられる円安が日本企業へ及ぼす影響を、これを当社では「換算差」と呼んでいます。例えば、ドル建ての売上高と営業利益がともに膨らみ、結果的に膨張していくということで、換算のレート差により今期もプラスの影響がありました。
ただし、我々はディストリビューションビジネスを展開しているため、ドル建ての在庫を仕入れる際には為替レートの影響を受けます。例えば、仕入れ時の為替レートが1ドル100円だった場合、その在庫を2から3ヶ月保有している間に為替が変動し、販売時に1ドル200円となると、円建てでは100円で仕入れたものを200円で売ることとなります。これを社内では「レート差」と呼んでいます。
2023年度については、この仕組みが非常に有利に働きました。円高で仕入れ、円安で販売することで効率的に利益を上げることができ、営業利益にプラスに影響しました。しかし、2024年度においては、147円から151円への円安があったものの、その効果はなくほぼフラットな状態となり、2023年度のような利益増加にはつながりませんでした。このような為替の影響による変動が要因となっています。
諏訪原:同様に2026年5月期の為替の影響額は、マイナス3億円となっています。
質疑応答:在庫改善による、在庫不足の懸念について
質問者:在庫についてお聞きします。5月末時点で在庫の改善が進み、ついに1ヶ月を切った状態となっています。すばらしいことだと思いますが、反対に、これだけ減少すると在庫が足りなくなるのではないかと心配もしています。この点についてはいかがでしょうか?
佐鳥:一昨年のいわゆるコロナ禍明け以降、物余りの状況となりました。当社では、この在庫運営を非常に大きな経営課題と位置づけ、営業部門を中心に在庫の削減ではなく効率化活動を進めてきました。
単に在庫金額や在庫数の削減にとどまらず、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)を基にした運営をこの2年間実施してきました。他の多くの企業や同業他社では、多くの在庫を抱えることで経営を圧迫するケースが見受けられましたが、当社では在庫効率化活動が功を奏し、現在では非常に効率の良い在庫運営となっています。
SMETについても同様に在庫の効率化活動に取り組んでおり、インドの同業他社と比べても間違いなく効率的な在庫運営ができていると自負しています。
ご指摘のとおり、在庫が想定よりも少ないように感じる部分があり、私自身ももう少しあってもよいのではないかと考えています。ただ、今後の市場環境の変化が最も重要な要素ですので、各事業本部が細心の注意を払いながら事業を進めています。
例えば、新聞などでも言われているようにDRAM市場は逼迫状態に入りつつあり、一部の製品では実際にその兆候が出ています。この点については目配せをしながら、各事業ラインが在庫運営を行っています。
質疑応答:業界再編の動向について
質問者:海外ビジネスについて、インドを中心に順調であることがよくわかりました。国内の新規プロジェクトについてもご紹介がありましたが、業界再編については今年度は加賀電子や協栄産業の例があります。
難しい質問かもしれませんが、社長として国内再編についてどのようにお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。
佐鳥:業界再編については、以前からよくご質問をいただいており、私自身は否定するものではないと考えています。国内のマーケットだけを見ると、半導体や電子部品分野の市場は間違いなく縮小していきます。
そのような中で、佐鳥電機としての機能的価値をどのように発揮し、ステークホルダーに貢献するかが課題です。私は社長に就任して以来13年間、毎日欠かさずこの課題と向き合ってきました。
その中で企業価値を発揮するためには、他社との連携や提携を否定するものではありません。 最も重要なポイントは、佐鳥電機の機能的価値をどのように拡大していくかを常に考え続けることだと思っています。
単純に半導体電子部品を仕入れ販売するビジネスモデルでは不十分であり、より高い付加価値を持つ事業を展開していく必要があると考えています。そのような取り組みを一緒に進められる会社であれば、連携して事業を行うことを否定するどころか、むしろ積極的に行うべきだと考えています。
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