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創健社、「メイシーちゃん」のお菓子や「有精卵マヨネーズ」が伸長 仕入れ値が高騰も業績は前年同期と同水準を維持

投稿:2024/06/20 08:00

利益実績(連結)

中村靖氏:株式会社創健社、代表取締役社長の中村です。大変お忙しい中、多数お集まりいただき誠にありがとうございます。本日は2024年3月期の決算概要と今後の展望についてお話しします。

まず、2022年3月期から2024年3月期までの、直近3ヶ年の利益実績です。2022年3月期の売上高は前年比98.6パーセントです。2020年に新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発令され、2021年3月期は巣ごもり需要によって、我々が扱う家庭用商材の売上高は非常に良い数字でした。

2022年度に入り、コロナ禍も少しずつ落ち着いて少し数字が下がりましたが、その後も2023年3月期、2024年3月期もわずかに伸長しています。

売上総利益率においても、2024年3月期は24.8パーセントと前期比で約0.3パーセント減少しています。その大きな要因としては、みなさまもご存知のように各種原材料や物流経費、その他諸々の値上がりです。

その値上がりをただちに売価に反映させることができず、多少期間がずれています。また、自社で吸収せざるを得ないだろうという部分もあり、若干の減少となっています。

2024年3月期は、最終的に経常利益が約2,700万円、当期純利益は約2,600万円で終えることができました。2023年3月期から2024年3月期にかけて、全体的に概ね同じような数字で推移していますが、販売管理費については諸々やりくりをして抑えています。

特に商品の仕入れ値がかなり高騰し、売上総利益が減少しましたが、その中でもかろうじて同じような数字で抑えられたことは、良かったと考えています。

売上高の増減要因(連結)[品目別]

売上高の増減要因について、品目別でご説明します。

一番伸びた品目は調味料です。その中でも今もっとも支持をいただいている商品が「有精卵マヨネーズ」で、単品の売上高が前年比16パーセント増という結果です。本数としては、年間で約170万本強販売しています。

マヨネーズのガリバーであるキユーピーや味の素に比べれば大した数字ではありませんが、我々の規模の企業にとっては、150万本を売れたことは非常に大きな存在の商品だと考えています。

スライドのグラフでは左から3番目に示した調味料では、9,100万円の伸びとなっていますが、全体の売上においてもそのうち約5億8,000万円が「有精卵マヨネーズ」の売上です。

2番目に数字を伸ばしているのが嗜好品・飲料です。その中でも伸びているのが「メイシーちゃん」シリーズのお菓子です。ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、昔NHKで放映されていたアニメキャラクター「メイシーちゃん」のシリーズでご支持をいただいています。

「メイシーちゃん」シリーズは非常に好評で数字を伸ばしていますが、商品自体はお菓子ですので、がんばっても全体のグロースにはなかなか反映されないのは忸怩たる思いです。

しかし、当社の商品を知らなかった消費者にとって、一番入りやすい入口は「メイシーちゃん」シリーズだと思います。「メイシーちゃん」シリーズをきっかけに引き合いがあり、そこから他の商品に移っていくお得意先や消費者が多々見受けられます。

そのようなことからも、「メイシーちゃん」シリーズは、当社の商品や創健社の存在を知るきっかけとなる、入口的な商品ではないかと考えています。そのような意味では「メイシーちゃん」シリーズの数字が伸びていることは、創健社を知っている方やファンが増えていることだと受け止めています。

もう1つ、わずかではありますが、数字を伸ばしているのが副食品です。副食品の中には売上がマイナスの商品もあるため、副食品のカテゴリー全体ではそれほど伸びていないのですが、その中に当社が直接イタリアから輸入しているトマト缶があります。トマトを丸ごと入れたホール缶とカットして入れたダイス缶の2種類があり、どちらも非常に好評です。

当社が直接イタリアのメーカーから輸入をしているため、中間マージンがなく、競合他社と十分競争できる価格で提供ができています。なおかつ、有機JAS認定のオーガニック商品であることが非常に評価されています。

しかし残念なことに、中東情勢の厳しさから船がスエズ運河を通過できない状況になっているため、イタリアのトマトは船で地中海から喜望峰を回るルートで運ばれてきます。その影響により通常は発注から2ヶ月で届くところ、現在は4ヶ月あるいは5ヶ月かかるような状況です。

当社に多数の引き合いをいただいていますが、思い切って販売していくことができない状況ですが、その中でもなんとか少し数字を伸ばすことができました。

次の船便が来れば状況は一度落ち着きますが、今もまだひっ迫状況が続いているために、当社の営業間では担当顧客への商品確保をめぐって争奪戦が続いています。しかし、会社全体を俯瞰して見れば伸長しており、ご支持も得ています。船便の状況が改善され、潤沢に商品が輸入されるようになれば、さらに数字を伸ばせる状況です。

また、現在イタリアではトマトが不作でなかなか収穫できないということですが、当社が取引をしているメーカーからは今のところ心配はないと聞いています。

売上高の増減要因(連結)チャネル別

売上高の増減要因について、チャネル別にご説明します。

もっとも伸びているのは量販店です。その要因として一番大きいものは「有精卵マヨネーズ」で、「有精卵マヨネーズ」を中心に、当社の商品をいくつか置いていただいているケースが多いです。「有精卵マヨネーズ」のみ置いている量販店も多くあります。

大手のイオンでは、いろいろなタイプの店舗があり、地域やタイプによって置いていただいています。そのほか中小スーパーなどでも「有精卵マヨネーズ」を置いていただいています。そのような意味でも、量販店は「有精卵マヨネーズ」を中心に伸びています。

自然食品のショップについては、オーナー系の自然食品単店のショップでは残念ながら横ばい、もしくは減少で苦戦していますが、首都圏中心のショッピングモールや駅、百貨店の中で多店舗展開している企業では数字はまだまだ伸びている状況です。

生協宅配については、コロナ禍には消費者が外に買い物に行くのではなく、宅配で食材を入手する状況がありました。しかしコロナ禍が落ち着き、元の生活に戻りつつある中では、消費者が買い物に出るようになり数字が落ちてきています。

eコマースについては、ネット中心に商売をしているお得意先では微増ですが数字は伸びています。

我々が今後も力を入れていこうと考えているのは直販です。現在も当社のECサイトで商品を売っていますが、まだまだ微々たるものであり、なかなか思うように数字は伸びません。スライドは直販2期目となる2024年3月期の状況ですが、3期目となる2025年3月期は現在進行形です。詳細は今後の展望の部分であらためてお話しします。

貸借対照表の概要(連結)

以上を踏まえ、2024年3月期の貸借対照表についてご説明します。流動資産が6,600万円増、資産合計が1億1,900万円増、負債合計が9,700万円増という状況です。

資産も負債も非常に大きい増加となっているのは、期末にあたる今年3月末日がちょうど土日にあたり、流動資産の売掛金、流動負債の買掛金が残ったまま期を終えた影響によるものです。また、固定資産の増加は当社が保有する投資有価証券が上がったことによるものです。

キャッシュ・フローの概要(連結)

キャッシュ・フローの概要です。営業活動によるキャッシュ・フローが前期比2億2,200万円増の1億5,400万円です。投資活動によるキャッシュ・フローが前期比2,500万円減のマイナス6,800万円です。財務活動によるキャッシュ・フローが前期比8,400万円減のマイナス6,100万円です。現金及び現金同等物の期末残高は前期比約2,400万円増の10億6,800万円です。

PB商品全体の約60%(212SKU)を値上

2024年3月期の詳細については、今年5月に発表している決算短信により詳しい数字を掲載していますので、そちらをご覧いただければと思います。

しかし1つ言えることとして、特に厳しい状況にあるのが主力商品の原材料のひっ迫です。「有精卵マヨネーズ」は非常に伸びていますが、有精卵が徐々に足りなくなってきています。また、加工食品に使われるさつまいも澱粉原料もひっ迫しており、食品メーカーや食品会社で取り合いになっています。

また、ニュースにもなっているように、カカオ豆やコーヒーなども不足により非常に高騰し、取り合いになっています。これらは2024年3月期から2025年3月期にかけても、まだまだひっ迫が続いています。

原材料のひっ迫に合わせて当然原材料価格は上がりますし、さらに運送費の高騰等もあるため、原材料費の価格はまだ落ち着かないだろうと思います。

今年5月から6月にも、各食品メーカーでさらに何百アイテムの値上げを行うというニュースもありました。食品業界に身を置く者としては、残念ながらこれだけでは収まらないと感じています。

今、2024年問題で運送業者が動き始めています。物流業者からもまだ具体的な値上げ時期の要請はないものの、当社の担当者に対して「今年の秋、あるいは来年の春までには」という値上げの打診が入り始めていると報告も受けています。

また、輸入商品についても、「ジロロモーニ」やトマト缶などの商品のほか、輸入原材料に関しては非常に円安による為替影響を受けていますので、値上げが続くのではないかと考えています。

現在、当社にはPB商品が約350アイテムあり、昨年度はその約60パーセントの212アイテムを値上げしました。高騰分をそのまま値上げできればさらに高い業績になると思いますが、やはりあまり値上げをしてしまうとお客さまに受け入れていただけません。

そのため、当社で吸収している部分や、メーカーに待ってもらっている部分もあります。今年も当社に限らず食品の値上げが続くものと予想されます。

2024年3月期については、おかげさまでわずかではありますが利益を出すことができ、ほっとしています。ただし、先ほどお話ししたとおり、原材料、為替、物流費の問題などを考えると、まだまだ厳しい状況です。

私自身も、おそらくみなさまも感じていることと思いますが、世の中では財布の紐を緩めてたくさんお金を使い、「これを買おう」「あれを買おう」という空気にはなっていません。

そのような厳しい状況の中で、今年度をはじめとして、来年度、再来年度に向けた舵取りを行っていく必要があると考えています。

事業計画(連結)

2025年3月期および2026年3月期に関しては、スライドに示したような数字を計画しています。売上高については、2024年3月期は約48億8,300万円で終わりました。2025年3月期は、厳しい状況ではありますが、次の段階を目指すために売上高50億円を超えることを考えています。

売上総利益率はできるだけ25パーセント以上を維持し、最終的には経常利益ベースで2025年3月期は3,400万円、2026年3月期は5,300万円を計画しています。このような利益が得られるよう、今期、来期に向けて、商品の品揃えや販売方法などを考えていきます。

チャネル別販売計画 3ヶ年

では、どのようなところで、どのように販売していくのか、チャネル別の販売計画についてお話しします。

スライドのグラフの緑の部分は、量販店を示しています。量販店は、前年比で微増の計画です。先ほど、当社のPB商品は約350アイテムあるとお伝えしましたが、量販店で置いていただける商品数は「有精卵マヨネーズ」を中心として、多くても3アイテムから5アイテムです。

量販店の棚に1アイテム増やしていただくだけでも、かなり数を増やすことができます。そのような意味では「有精卵マヨネーズ」が1つの切り口になっていますので、それを入口として、各量販店に1アイテムでも増やしていただけるよう取り組んでいきます。

グラフのブルーの部分は、自然食品ショップを示しています。その中でも主となるのは、首都圏を中心に現在50店舗ほど多店舗展開している企業です。

「〇〇店を閉店したら、次は新しく〇〇店を開店する」というように、スクラップアンドビルドで展開されているため、右肩上がりに店舗数が増えていくわけではありません。そのため、期待して大きな数字を見込むのではなく、前期比で少しプラスアルファできる程度の計画を立てています。また、グラフのオレンジの部分は生協宅配を示しています。

量販店、自然食品ショップ、生協宅配なども含め、メーカーや我々のような流通業者、小売を展開している最終業者など、食品に関わる分野は、総じて今年、来年あたりはいろいろな意味で厳しいのではないかということです。

それぞれのチャネルに過度な期待はできませんので、当社としては、前年よりはマイナスにせず、各チャネルにうまく分散させていきたいと考えています。

当社はもともと決まったチャネルで大きく販売しているわけではなく、いろいろなチャネルに分散させています。それがある意味では長所であり、短所でもありますが、いろいろなチャネルに分散させることで、どこかがうまくいかなくても、どこかで維持するというかたちを取っています。

そのような意味では、量販店、自然食品ショップ、生協宅配の3つには、そこまで大きな数字は期待できないのではないかと考えています。

グラフの下から2番目にオレンジで示したとても薄い層は、当社の直販を示しています。やはりこれからは粗利率を増やす意味でも、数字を伸ばしていく意味でも、直販に力を入れなければならないと思っています。

また、グラフに紺色で示しているその他には、輸出が含まれています。どの業種も同様ですが、日本では決まった数しか売ることができませんので、当社としても世界に売り場所を求めていくことを本格的に進めなければならないと考えています。

いずれにしても、今年度と来年度に関しては、緩やかに上昇させていく計画を立てています。

定量目標

続いてPB比率です。先ほどもお話ししましたが、他社の商品を卸して売るよりも、PB商品を作って売るほうが粗利率は高くなります。当社でしか買えない商品を少しでも増やし、PB比率を高めていきます。

PB比率は2023年3月期で63.5パーセント、2024年3月期で65.5パーセントで推移しています。2026年3月期までに純PB率を67パーセントまで伸ばしていきます。

スライドのグラフでは「創健社のブランド」という意味でのPBをオレンジで示していますが、他社の商品を示しているブルーの部分には当社が代理権を得て、当社でしか販売していない純PB扱いの商品も含まれています。これは、当社でしか販売できませんので、大きな意味でのPBにあたります。

このように、PB比率を上げることを粗利率を上げていくための1つの方策として考えています。

オーガニック&プラントベース販売計画

では、どのようにPB商品を増やしていくのかについてお話しします。PB商品の中でも力を入れているのは、オーガニックとプラントベースの商品です。プラントベースの商品は、動物系の原材料は一切使わずに作る加工食品です。

今、カゴメなどのかなり大手の食品メーカーもプラントベースに取り組み始めていますが、当社は他社に先駆けて始めました。数では大手にかないませんが、勢いではなんとか勝ちたいと思っています。

PB商品の中でも、プラントベースとオーガニックの売上構成比率を15パーセント程度まで引き上げたいと考えています。

全PB商品をオーガニックやプラントベースにすることは不可能であるため考えてはいませんが、「オーガニックやプラントベースといえば、食品業界の中では創健社だよね」という位置を確保したいと思っています。

今後の展開 1.持続可能な社会への貢献

オーガニックとプラントベースに力を入れているもう1つの理由として、持続可能な社会への貢献が挙げられます。SDGsということで、食品会社としてはオーガニックやプラントベースの商品を伸ばしていくべきだと考えています。

スライド左側のグラフがオーガニック食品、右側がプラントベースです。それぞれのグラフでオレンジが売上、グリーンが品目数を示しています。2024年3月期は、オーガニック食品は60品目で売上高が3億8,200万円、プラントベースは53品目で売上高が2億8,100万円となりました。

プラントベースとオーガニックで約15パーセントの構成比率を目指していますので、2025年3月期の全体売上高50億円に対しては7億5,000万円から8億円、2026年3月期にはできれば10億円を達成したいという考えです。

いずれにしても、業界の中で「オーガニックやプラントベースといえば創健社だよね」と言っていただける位置を目指し、かなり前から積極的に力を入れています。

今後の展開 1.持続可能な社会への貢献

その他、持続可能な社会への貢献としては、今の世の中の流れに沿って、化石燃料を使っていない包材や森林に優しい包材、有害物質の入っていないインキを使うなど、なるべくプラスチックではなく紙ベースの包材に変えていきます。

2025年度末までには、創健社ブランド商品の50パーセントをこのような包材に変えていきたい考えです。現在は342アイテム中97アイテム、約28.3パーセントを環境負荷の少ないパッケージに変更しています。

当社の商品をご愛用いただいている方の中には、環境などにも非常に興味を持っている方が多くいらっしゃいます。そのため、当社のお客さま相談室では「なぜこのような包材を使っているのか」とお叱りも受けることも多々あります。

みなさまにお買い求めいただきやすい価格で提供するためには、やむを得ず従来のような包材を使う部分もあります。当社は企業理念で「地球環境を大切にし」と謳っていますので、少しずつ変えていきたい考えであり、おそらく環境負荷の少ない包材も徐々にコストが下がってくるのではないかと考えています。

今後の展開 2.市場拡大及び輸出の拡大

市場の拡大にあたっては、当社の場合、あらゆるところでたった1アイテムだけを置いていただいていることもけっこうあります。そこで1アイテムを2アイテムに、2アイテムを3アイテムに増やしていただく営業活動や販促活動はできるのですが、食品流通の中で当社をまったく知らないという市場はなくなっています。

したがって、食品流通というよりも、当社のことを知らない方々にもう少し当社や当社の商品を知っていただくことが必要です。当社の商品は知っていても、創健社という会社名は知らないというお客さまはけっこう多くいらっしゃいます。

例えば私の身近な例では、銀行や証券会社の担当者やその上の立場の方々にお会いすることがありますが「実は私は創健社を知らなかったのですが、家に帰ってみたら、食卓にあったんですよ」と、担当者でも自宅に当社の商品が置いてあることに気がつかなかったというお話をよく耳にします。

先ほど「有精卵マヨネーズ」が一番売れているとお話ししましたが、創健社といえばマヨネーズ屋だと思っていたり、まさか350アイテムもあるとは思っておらず、ただマヨネーズを作っている会社だと思っている消費者も多くいらっしゃいます。

そのような意味では、何か1つでも当社の商品を気に入っていただき、少しでも当社の商品にはまっていただく、「他にももっと良い商品があるんだよ」と気づいていただくための市場拡大を図っていきます。その中で、粗利率というよりも粗利額の取れる高価格帯の商品で勝負していきたいと考えています。

さらに、プラントベースやオーガニック商材の輸出拡充に取り組みます。プラントベースやオーガニックにかかわらず、日本で作られた加工食品が欲しいという引き合いは多くいただきます。

そして、その中でもベストなものとして、日本の原材料を使って日本国内で生産したものがほしいという引き合いをかなりいただきます。ここをもう少し積極的に対応していくべきだと考えています。

今までは、東南アジアからそのような引き合いが多かったのですが、最近は日本の輸出商社が自社を通して、ヨーロッパやアメリカなどに当社の商品を流しているケースも増えてきています。

ほとんどの方はご存じないと思いますが、実は今から40年ぐらい前、当社はサンフランシスコに別法人を持ち、アメリカへインスタントラーメンや醤油、梅エキス、菓子類、キャンディを輸出していました。

アメリカのディストリビューター経由で、ナチュラルフードストアやヘルスフードストアに商品を並べて販売していましたが、当時の為替はおそらく1ドル200円以上だったと思います。

しかし次第に円高に振れてくるようになり、中国やタイからも格安のインスタントラーメンなどが入ってくるほか、日本の醤油メーカーもアメリカに工場を作って、そのままアメリカで販売するという状況なども出てきました。

当社としてもだんだん太刀打ちできなくなり、ビジネス的メリットがなくなってしまったために35年から45年ほど前に、一度アメリカから撤退しています。その後しばらくアメリカ法人はクローズしていましたが、日本からの輸出は続けていました。

しかし、日本の商社が当社の商品を買い付けて、アメリカに輸出しているケースは増えています。そのような中で、ヨーロッパだけでなく、来年以降は特にアメリカ向けの商品を考えて開発し、あらためてチャレンジしようと考えています。今年はそのための準備期間です。

社内でも、当社が昔アメリカでビジネス展開していたことを知らない若い世代の人たちからは、アメリカ研修から帰ってくると「どうしても取り組みたい」という話も出ていますので、そのような若い方々の感覚も大切にしたいと思っています。

また、日本の商社がアメリカに当社の商品を輸出してくれている実績もありますので、そのような実績のある商社とある程度タッグを組み、もう一度アメリカやヨーロッパにチャレンジしていきたいと考えています。

今年度はまだ計画の数字には入れていませんが、来年度以降の1つの計画として準備を始めたところです。

今後の展開 3.モール出店露出増大による売上増加

繰り返しになりますが、粗利率を上げるために一番重要なことは、直販の金額を増やすことです。当然ですが、直接販売するとその分粗利率が増えますので、そのような意味ではECサイトをもっと活用していかなければならないと考えています。

今、ECサイトのトップページもどんどん入れ替えており、まとめ買いセットのようなものも考えています。併せて、今期は楽天市場やAmazon、Yahoo!などにも出店する方向で準備を進めています。そのような出店によって、ある程度売上を増やしていきます。

この2年間は自分たちだけでECサイトを運営してきました。2025年3月期で3年目に入りましたので、あらためてモールを使いつつ、当社のECサイトでもいろいろな企画を考えながら情報を発信することで、売上の数字を上げていきます。

2年後の計画では5,200万円となっていますが、私は個人的には桁を変えるぐらいのつもりで取り組んでほしいと考えています。

この数字を伸ばすためには、1つはプライベートブランド商品をさらにたくさん作り、たくさん売ることです。

プライベートブランド商品といってもけっこうコストがかかります。あまり作りすぎてもコストに引っ張られて利益が出ませんので、スクラップアンドビルドで、やめるべき商品はやめて新しい商品を投入します。

このように、ECサイトの売上を拡大することと、プライベートブランド商品をたくさん作ることとの2本立てで、多少売上の伸びが鈍化しても粗利率を伸ばしていきたいと考えています。

今後の展開 4.自社ECサイト拡充

自社ECサイト拡充にあたっては、スライドに示したような施策を進めています。

株主優待としては、今まで100株、200株、300株で区切り、当社の株主さまの優待を行っていたところ、昨年3月末からは新たに400株から499株、500株以上の2つの区分を加えています。

みなさまもよくご覧になっていると思いますが、当社の株価は指標の割には高くなっています。個人投資家の方に支えていただいており、その個人投資家の方のほとんどは創健社のファンだという方々で、やはりそこが大きいのではないかと思っています。

そのため、個人投資家のみなさまにもう少し株を持っていただき、よりECサイトをご利用いただくことで、創健社の商品をもっと知っていただきたいと考えています。

昨年11月のリリースでは、機会があればお友だちにもご紹介いただきたいという思いも込めて、株主様優待品として当社ECサイトで使えるギフトカードを発行することを発表しました。

400株から499株までの方には5,000円相当を、500株以上の方には1万円相当のギフトカードをご提供します。特に個人投資家の方にさらに応援していただきたいと考えています。

また、ヘビーユーザーの方にまとめ買いしていただけるようなセット販売を企画するほか、ショップに行っても買えない、当社ECサイトでしか買えない創健社の商品も展開していきたいと考えています。

今後の展開 5.Instagramのさらなる活用によるユーザーとの接点増大

ECサイトに集客するにあたり、現在もっとも活用しているのは「Instagram」です。レシピや商品の深掘り企画のほか、アンバサダーの方々には我々が気がつかないような当社商品の使い方を発信していただいています。

また、企業コラボも実施しています。例えば、環境に配慮したビジネスをされている企業からは「お客さまのファミリーを呼んでイベントをしたいので、協賛として『メイシーちゃん』のお菓子などを提供してほしい」というお誘いを受けています。そのような企画にはなるべく協力し、お互いにコラボしようと考えています。

当社「Instagram」アカウントのフォロワーは現在約1万5,500人です。いろいろな手を使えばいくらでもフォロワー数を増やすことはできると思いますが、やはり生きているフォロワーを増やしていくためには、時間かかりますが、最終的にはこのようなコラボなどをコツコツと行っていくことがよいのではないかと考えています。

今後の展開 6.ジロロモーニシリーズの拡充

また、オーガニックの中心商品である「ジロロモーニ」シリーズの拡充に向けて、さらにファンを増やそうと、「ジロロモーニ」だけの「Instagram」アカウントも立ち上げています。

こちらは残念ながら、まだ数百名ぐらいしかフォロワーがいませんが、すでにファンミーティングを3回開催しており、ファンは着実に増えてきている状況です。このように直販でも数字を伸ばしていきたいと考えています。

今後の展開 7.メイシーちゃんシリーズの拡充

先ほどお話しした「メイシーちゃん」シリーズは、創健社を知らない方々に入ってきていただく切り口として、とてもよい商品です。

特に「メイシーちゃん」のアニメを見て育った方々は、今、ちょうど小さいお子さんがいらっしゃる世代で、「メイシーちゃんだ、懐かしい」と覚えてくださっています。さらにオーガニックのお菓子も展開し始めましたので、そのような部分からも「メイシーちゃん」のキャラクターを活用していきます。

また、ただ商品を売るだけではなく、「メイシーちゃん」を活用した企画もどんどん打ち出していきます。スライド右側にあるバスの形をした箱は「メイシーちゃん」のお菓子を詰め合わせたもので、昨年度のクリスマスに向けて展開した企画です。

このように「メイシーちゃん」をさらに多くの方に知っていただきながら、創健社や当社の他の商品を知っていただく1つのきっかけとして、さらに力を入れていきたいと考えています。

今後の展開 8.持続可能な社会の実現に向けた当社の取り組みをパッケージで伝える

そのような状況の中で、最近ではエコやSDGsに関係してオーガニック等いろいろな言葉がありますので、当社としては、マークを活用してどのような商品なのかを表していきたいと考えています。

例えば、有機JAS認証マークやバイオマスインキマークのほか、当社オリジナルの国産原料100パーセントマークや、プラントベースマークなどがあります。

このようなマークを使い、消費者のみなさまに、ぱっと見ただけでどのような商品なのかをお伝えできるようにしたいと思っています。

今後の展開 9.新たなターゲット(ペルソナ)へのものづくり/環境への対応

「新たなターゲット(ペルソナ)へのものづくり」とスライドに記載していますが、新しいお客さまをどんどん開拓していかなければなりません。しかし、今までの我々の概念の中で考えた商品ばかり作っていても、なかなか新しいお客さまは開拓できません。

そこで、これからどのようなお客さまをターゲットにしてご購入いただくかを想像しながら商品開発を行うために「新しいものづくり課」という課を作りました。

営業、商品開発、販促チームとさまざまなところからメンバーを集め、全員が兼務しています。責任者は男性ですが、それ以外は全員女性です。

今はよくジェンダーフリーと言われていますが、「女性目線の商品開発」など、女性を押し出すのも逆に良くないと思っています。私もそのような表現をあまり使わないようにしていますが、しかし、当社の商品を買おうと決めてくださっているご愛用者の8割から9割は明らかに女性です。

私は今現場に携わっていませんが、我々のような「おじさん」が、一所懸命「まずい」「おいしい」などと考えても仕方がないと思っています。やはり、商品の購入を決めている方々と同じような目線で見られる人たちが考えて商品を作るのがよいだろうと思います。

初めはプロジェクトとしてスタートしましたが、課として成立させることによってしっかりと進めてもらおうと、2023年の4月から「新しいものづくり課」を立ち上げました。

やはり、特に女性に手に取っていただけるような商品を考えており、今は特に腸活や更年期サプリなど、女性のライフステージに合わせた商品を開発しています。

そして、それらの商品をフェムテックとして女性向け商品の展示会や女性が集まりそうな展示会など、今まで当社が出たことがないような展示会にも出展することで、少しでも多くの方に創健社の商品を知っていただけるように活動しています。

ちなみに当社の女性社員比率は、ちょうど40パーセントぐらいです。やはり、各ご家庭で我々の商品に対して購入決定権限があるのは女性ですので、私は常々「6割くらいでもいい」と言っています。

そのような意味では、女性に限らず、男性でもよいのです。そのような目線と感覚を持った人たちが、新しいものをどんどん作っていってくれればよいと思っています。

今はたまたま、責任者以外は全員女性ですが、そのような目線を持つ男性が出てきても当然不思議ではありませんし、今も探せば適任者がいるかもしれません。そのような人たちをどんどん活用しながら、新しい消費者を開拓することで、数字を伸ばしていきたいと考えています。

子会社:髙橋製麺の取組

子会社の高橋製麺については、スライドをご覧いただければと思います。

中村氏からのご挨拶

今年度、それから来年度に向けて、本日お話ししたような内容で創健社を進めたいと思います。ぜひみなさまからもご支援をいただき、1人でも多くの投資家のみなさまにご紹介いただければありがたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス
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