メイホーホールディングスのニュース
【QAあり】メイホーHD、経常利益は予想を上回る前年比+24.9%で着地 売上高・各段階利益のすべてで過去最高を更新
本日の要旨
尾松豪紀氏(以下、尾松):メイホーホールディングスの尾松です。本日はよろしくお願いします。それでは資料に沿ってご説明します。
最初にメイホーグループの概要をお話しした後、2023年6月期決算実績、2024年6月期業績予想、最後に今後の取り組みについてご説明します。
中小企業支援プラットフォーム
メイホーグループの概要です。一言で私どもを説明すると、「私たちメイホーグループは中小企業支援プラットフォームを核とした実業を営む中小企業の集合体です」と、このように考えています。
中小企業支援プラットフォーム
もう少し詳しくお話しすると、私たちメイホーグループは、将来不安を感じている中小企業や、これから大きくなっていきたいという成⾧意欲の高い中小企業との資本提携を推進し、これらの中小企業の経営効率化・人材支援・業務連携をサポートすることで、各企業の利益を増大させ、さらなる中小企業との資本提携を推進している企業グループである、と考えています。
メイホーグループの成⾧サイクル
今お話ししたことを成長サイクルとして図に表すと、スライドのようになります。私どもは、ご縁をいただいた中小企業とさまざまなコミュニケーションを取ることで、まずはグループ理念を共有します。
同時に、その会社の経営効率化、人材支援、業務連携の推進、すなわち、会社の生産性の向上に一生懸命取り組んでいきます。
それにより、ご縁をいただいたグループ各社の利益が増大します。1社1社の利益が増大するため、結果としてグループ全体の資金力が増大していきます。
グループ全体として資金力が増大していくと、さらに数多くの、そしてより大きな企業のM&Aが可能になっていきます。
そのようにしてM&Aをした会社に対しても、グループ理念の共有と生産性の向上に取り組み、また各々の会社の利益が上がるというかたちで成長させ続けていくことが、私どもの基本的な成長の考え方です。
中小企業支援プラットフォーム
先ほどのご説明の中で「生産性を上げる」とお伝えしましたが、中小企業支援プラットフォームで行っていることを、スライドにある4項目で具体的にご説明します。
1つ目はネットワークです。M&Aの推進を通じ、各地元で何十年にわたり、一例としては建設業や測量業などで安定した受注を重ねてきた企業の全国ネットワークを構築することに取り組んでいます。
2つ目は経営効率化です。長年営んできた会社では、生産性がまだ低いところがあります。このような会社の生産性を上げるために、月次でPDCAを回せる会社に変えていくことが一番大事だと思っています。
そのためにまず取り組むことは、月次決算をきちんとしたかたちで可能にすることです。私どもは経営会議と呼んでいますが、月次で予算と実績の管理を行います。この取り組みで、コスト意識や目標達成意識をしっかりと芽生えさせます。これにより生産性が上がるということです。
私どもにはいろいろな関連会社がありますが、資金が潤沢な会社もあれば、そうでない会社もあります。そのような会社全体を、私どもがグループとして資金を一括管理します。資金調達において、投資が必要なところには最も効率のよいかたちで投資を行います。
また、長年にわたり地域で営んできた会社には、一般論としてコンプライアンス意識やガバナンス体制が弱い節があります。私どもは上場企業グループとして耐えられるだけのコンプライアンス対応、ガバナンス意識の醸成などを共有することで、結果として経営の効率化に取り組んでいます。
3つ目は人材支援です。地方の企業は人材の面で苦労しており、「人材の採用ができない」ということをよく耳にします。また、社員に対してOJTを行っているものの、職場以外の教育訓練であるOff-JTはあまり取り組んでいない傾向が多く見られます。
理念共有と記載しているように、私どもは、考え方に対する教育訓練を行っています。合わせて、OJTに加えて資格の取得や技術力の向上といったOff-JTを提供することで人材支援に取り組んでいます。また、グループ一括採用やセグメント採用のかたちで人材採用においても尽力しています。
4つ目は業務連携です。私どものグループ内には事業内容の似た会社があり、強い会社、弱い会社とさまざまです。
そのため、弱い会社は強い会社に教えてもらい、相互補完を進めています。従来は自信がなく手を挙げられなかった仕事に対し、同じグループ内で「それはうちが得意です」という会社もあるため、技術協力などによって双方が相互成長を目的として実務連携を行っています。
このように技術協力を頻繁に行っていますし、技術が身に付くまでの2年から3年の間は人材を出向させるような人材支援も行っています。
加えて、一般的には地元の協力会社にお願いする仕事を、受注が足りていないグループ会社があればそちらに振り向けるといった業務連携などにも取り組んでいます。
以上の4項目を、十分なコミュニケーションを取った上で、中小企業支援プラットフォームにおいて取り組むことで、長年地域を支えてきた中小企業の生産性が向上していきます。企業が安定していくため、安定した職場の提供とともに、上がった利益の中から社員の所得にも還元され、所得の向上というかたちで好循環サイクルを回していくことができればと考えています。
当社の成⾧戦略
当社の成長戦略です。社内では「三段ロケット推進方式」と呼んでいます。
先ほどご説明した内容は、既存事業会社の成長のことでした。中小企業支援プラットフォームやセグメントを中心としたさまざまな関わりによって既存事業会社が成長していくことは、スライドのグラフの一番下の薄いピンク色に示されています。
加えて、私どもはセグメントとして、建設関連、建設、人材、介護の4つの分野を持っていますが、この既存セグメントにおける新たなM&Aによる成長が、グラフの中央に示されています。こちらは事業内容にも詳しいため積極的に取り組みやすく、M&Aを行うことで、結果として成長していきます。
グラフの一番上の赤い濃い部分は、既存セグメント以外のM&Aです。中小企業支援プラットフォームとしてはこちらを積極的に取り組んでいきたいと考えています。
このようにグラフが三段に分かれていることから成長戦略を「三段ロケット推進方式」と呼んでおり、この取り組みを通じて売上高、利益、社数、社員数、その他を拡大していきたいと考えています。
グループビジョン
私どものビジョンです。私どものグループに集った主体的な仲間とともにイキイキと働いて、やりがいを感じていただいて、満足できる給与や休暇を得ることができる企業の全国ネットワークを作っていきたいというのが、「私はこんなふうになりたい」という根っこにある部分です。
企業規模について、お話を聞いているみなさまは、数字が先行して「何年に300社ですか?」「それ、どのようにやるのですか?」と考えると思います。私は「47都道府県のどこに行ってもメイホーグループの会社がある」ということをイメージしています。
大きな県と小さな県、例えば、面積的に北海道のようなところもあれば、神奈川県や大阪府のような規模のところもあり、一概に言えませんが、1つの都道府県に5つから7つくらいの会社が存在し、私がどこへ出張しても我々のグループ企業があるというイメージになります。
そこで、スライドに掲げたビジョンのように、みながイキイキと働き、仕事を通じてやりがいを感じ、地元でしあわせに暮らすことができる企業グループを作りたいと思っています。
したがって、各県に平均で6社、47都道府県をおおよそで50都道府県と仮定したとき、計算をすると300社くらいの数になります。そうすると、「売上は1,000億円から2,000億円となり、社員数も1万人を超えるだろう」と私は思っています。
どうしても数字が一人歩きしますし、もちろん数字は数字でこだわるのですが、どこへ行ってもメイホーグループの企業がある、そのような会社を作っていきたいというのが私の一番の思いです。
このビジョンを実現するために、我々はM&Aを積極的に行い、能動的に主体的に生きることが一人ひとりのしあわせにつながることを共有する企業文化を形成する、そのようなことが、私が一番成し遂げたいことです。
我々のグループ理念に「全従業員のしあわせ」がありますが、社員がしあわせになるには、どうしても会社の力だけでは難しいため、社員一人ひとりが能動的に主体的に生きるというところにご理解いただくことが必要だと思っています。
したがって、能動的に主体的に生きることが、一人ひとりのしあわせにつながることを共有する企業文化の、永続的発展をしていきたいと考えています。それを数字で表すと、スライドの「企業数300社」や、「売上1,000億円」「社員数10,000人」というかたちになります。
グループネットワークは現在19社(含 当社)
現在のネットワークは19社です。スライド右側の日本地図をご覧のとおり、北は旭川から南の佐賀まで、東北、甲信越、関東、中部はもちろんのこと、中国、四国、九州と、一通り拠点を持っています。また、カンボジアにも拠点があります。
過去10年間の売上高推移
過去10年間の売上高の推移です。スライドに示したように順調に伸びています。数字については後ほど詳細にお話しします。
変わる勇気が、未来を変える。
ここまでお話ししてきましたが、メイホーグループは中小企業のネットワークを創り、中小企業が変わることで日本の閉塞感を変えていきたいと考えています。従業員一人ひとりが変わる勇気を持ち、未来へ挑戦していく、そのようなことを行っていきます。
連結損益計算書
2023年6月期の決算実績についてご説明します。
まずは連結損益計算書です。2023年6月期は、売上高は73億7,100万円、売上総利益は22億2,400万円、営業利益は4億6,200万円、経常利益は4億9,600万円、税引前当期純利益は4億9,400万円、当期純利益は2億7,000万円でした。売上高、すべての利益ともに過去最高を更新しました。
連結貸借対照表
連結貸借対照表です。純資産は前期比で2億6,500万円増加しました。自己資本比率は51.2パーセントで、前年末は50.1パーセントでした。M&Aを2つと事業譲受を1つ実施し、自己資本比率は1.1ポイント増加しました。
連結キャッシュ・フロー計算書
連結キャッシュ・フロー計算書です。スライドのとおり、現金及び現金同等物の期末残高は、前期比2億3,400万円増加し、11億2,600万円となっています。
売上高(連結)
売上高です。先ほどお伝えしたように、2023年6月期は73億7,100万円でした。2022年6月期が61億1,300万円でしたので、前年同期比で12億5,800万円の増加、20.6パーセント増となりました。当初予想は70億円でした。したがって、当初予想比で3億7,100万円増加、5.3パーセント増となりました。
(参考)売上高の推移
スライドには、参考として直近5期の売上高の推移をお示ししています。順調に伸びてきていますが、2020年6月期から株式を上場した2021年6月期にかけての2年間は、内部管理体制強化のためにM&Aをあえて凍結しており、オーガニックグロースのみの成長となっています。
2021年6月期を除き、2022年6月期以降の棒グラフを左へ平行移動して見ていただくと、自然な成長曲線がイメージしやすいと思います。
売上総利益(連結)
売上総利益は前年同期比で3億9,500万円の増加、21.6パーセント増となりました。粗利がこれだけ伸びており、本業の稼ぐ力がしっかり上がっているとご理解いただければと思っています。
営業利益(連結)
営業利益です。2023年6月期は4億6,200万円でした。2022年6月期が3億4,300万円でしたので、前年同期比で1億2,000万円の増加、34.9パーセント増となりました。当初予想比較では9,200万円増加、25パーセント増です。
(参考)営業利益の増減分析
営業利益の増減分析です。グループネットワークの拡大等により売上総利益は増加しました。のれん償却額も増加しています。人材採用など、さらなる成長に向けて経営基盤を強化しています。
2022年6月期の営業利益は3億4,300万円でした。売上総利益の伸びが3億9,500万円で、人件費が1億4,000万円、のれん償却額が6,900万円、仲介手数料は前期と同程度、その他販管費が7,000万円増えました。
営業利益は3億4,300万円から2023年6月期には4億6,200万円に増加しており、諸々の投資を売上総利益の伸びでカバーできた結果と考えています。
(参考)営業利益推移
営業利益の推移です。先ほどの売上高の推移と同様ですが、2020年6月期から2021年6月期にかけての2年間は内部管理体制強化のためにM&Aを凍結したため、M&Aに伴うフィーなどの経費が発生せず、2021年6月期は利益が大きくなっています。
したがって、やはり2021年6月期を除いて2022年6月期以降の棒グラフを左へ平行移動して見ていただくと、2020年6月期の2億8,600万円から3億4,300万円、4億6,200万円へと、利益の成長曲線がわかりやすいと思います。こちらは一次関数的に上がっています。
経常利益(連結)
経常利益です。2023年6月期は4億9,600万円でした。2022年6月期が3億9,700万円でしたので、前年同期比で9,900万円増加、24.9パーセント増でした。当初予想比で1億1,600万円増加、30.4パーセント増です。
我々は、どうしても当初予想より大きめの数字が出る傾向にあります。その事情についてご説明します。我々は建設系の仕事をしており、北海道から九州まで会社を持っています。そして、毎年日本のどこかでいろいろな災害が起きています。
そのような災害が、結果として我々の売上を増やすことは大いにあります。しかしながら、予算を作る段階で、災害が起きるなどという予測は立てません。
一方で、これは一概に言えることではなく、災害が起きすぎると本来取る予定だった仕事が忙しさで取れなくなることもあります。そのため、災害すべてが必ずしも売上増につながるわけではありません。傾向の話として、災害を予測していない当初予想に対して、実際は災害を起因とする売上が乗ってくることが多いということです。
親会社株主に帰属する当期純利益(連結)
親会社株主に帰属する当期純利益は、2023年6月期は2億7,000万円でした。2022年6月期は2億2,400万円でしたので、前年同期比で4,600万円増加、20.4パーセント増です。当初予想比で6,000万円増加、28.5パーセント増です。
(参考)連結売上高に対する当社販管費の推移
売上高に対する当社の販管費率はピークアウトしてきているのではないかと思っています。スライドの赤い棒グラフが当社の販管費です。2021年6月期の株式上場に備えて2億8,400万円、3億5,500万円、4億300万円と上昇し、そこからさまざまな機能強化で4億6,100万円、4億9,700万円と上がっています。
そして、灰色の棒グラフが売上高です。この売上高に対する販管費率を折れ線で見ていくと、株式上場の年が7.6パーセントとピークで、前々期は7.5パーセント、前期は6.7パーセントと下がっています。
販管費自体の金額は上げていかなければと思っていますが、販管費率はピークアウトしているのではないかと考えています。
(参考)受注高と受注残高の推移
我々は、期末受注残高が翌期の売上高を予測する上でとても重要です。スライドの濃い灰色と赤色の棒グラフが建設コンサルタントや測量業などの建設関連サービス事業です。そして、薄い灰色と赤色の棒グラフが建設事業です。その期末受注残高だけを比較します。
建設事業の期末受注残高については、2022年6月期末は4億7,800万円で、2023年6月期末は10億7,300万円と、5億円強増えています。
一方、建設関連サービス事業の期末受注残高については、2022年6月期末は16億8,900万円であったのに対して、2023年6月期末では20億900万円ということで、3億円くらい増えました。
両事業の増加分を足して、当期は8億円くらい受注残高が増えているということも、2024年6月期を考える上での前提となっています。
通期連結業績予想
当期の通期連結業績予想です。売上高は80億円、営業利益は5億円、経常利益は5億3,000万円、当期純利益は3億円を予想しています。2023年7月にグループに加わった北海道のフジ土木設計については、業績予想に織り込んでいます。
私どもはM&Aを積極的に行っている会社です。これ以降に1件でもM&Aを行うことで、売上が上振れることや、利益がフィーやのれんによって変化することがあるだろうと思いますが、現状では、先ほどお伝えしたような予想をしています。
今後の取り組み
今後の取り組みです。グループビジョンの実現に向けて成長のプラットフォームをしっかり整えていきたいというのが基本的なところです。このことが長期的には、先ほどお話しした、全国どこに行ってもメイホーグループの会社があり、みんながイキイキと働いている、そのような企業グループを作ることにつながっていくと考えています。
目先のところでは、M&Aを推進し売上高100億円体制を早期に実現したいと思っています。そのためには、グループとしてのさらなる一体感の醸成をしていかなければいけないと思っています。
メイホーグループは、冒頭にお伝えしたような事業を営む会社です。過去には「お宅は建設業ですか?」「建設業のM&Aをする会社なのですよね?」というご質問をいただくことも多かったのですが、そうではなく、「我々は中小企業支援プラットフォームです」ということの認知が徐々に進んでいます。メイホーグループの知名度の向上を目指してがんばりたいと思っています。
質疑応答:M&Aの新たな事業領域について
司会者:「成長戦略で、既存セグメント以外のM&Aによる成長とありますが、どのような事業領域への進出を想定しているのでしょうか?」というご質問です。
尾松:私どもは、建設業や人材派遣業も営んでいますが、もともとは建設業をコアとして、少しずつ建設周りの領域へと発展していきました。そうした中で、建設というのは行政からのお仕事を受注するということですので、行政関連の仕事を広げていきたいと昔から思っていました。
そうした中で、たまたま介護事業のご縁をいただいたことで、こちらも我々のグループの生業になったのですが、現状、介護事業は順調に成長しています。
どうしてできているのかと言うと、セグメントリーダーも兼任している介護事業会社の社長がしっかり運営していることに加え、先ほどお伝えした当社の月次でのPDCAがうまく機能することで成長しています。
そのため、損益を稼ぐしっかりとした財政基盤があって、なおかつそこを回すリーダーの方さえいれば、どんな事業でもある程度うまく成長できるのではないかと現状は考えています。
そのような中でも、我々はM&Aを中心に行いますので、分野については選べる部分と選べない部分があります。ただし、もし選べるとしたら、行政に関係するものや行政のアウトソーシングを受けているものが我々にとっては一番扱いやすいと思っています。
その1つとしては、インバウンド系でなおかつ行政に関連している部分や、インバウンドに関連した農林水産といった分野も、行政と絡んだかたちで推進していければと思っています。
ただしこれは、介護事業でうまくできたように、うまく運営できる人と生業があって初めて参入できることであり、私どもはこの業種だから良い、悪いとは考えません。その会社であれば運営できるかどうかで考えています。
実は、我々はM&Aを積極的に行う分、ある意味どこよりもM&Aに臆病な会社なのだと思っています。一方ではM&Aを積極的に行いますが、臆病なのです。そのため、非常に慎重に会社を選んでいます。そのような中で、先ほどのインバウンドや農林水産、行政関連などの部分に参入できればと考えています。
質疑応答:過去のM&Aの規模感について
司会者:「過去のM&Aの株式譲渡額、売上等の規模感、また、年間のM&A件数はどのくらいでしょうか?」というご質問です。
尾松:コントロールしているわけではないのですが、過去の経験で言うと年間のM&A件数は3件くらいが多いです。売上高の規模感は、3億円から7億円、8億円と10億円未満のところで行ってきています。譲渡価格については、その会社の持っている資産によるため一概に言えませんが、感覚的には5億円から6億円程度が多いと思います。
私どもはのれん償却をそれほど長く見たくないと考えているため、ある程度の期間で確実にのれん償却ができる案件を選んでいます。
質疑応答:M&Aの資金調達方法について
司会者:「今後、M&Aを進めるにはそれ相応の資金が必要になると思いますが、資金の調達方法はどのようにお考えでしょうか?」というご質問です。
尾松:資金調達の方法は2つしかありません。1つは金融機関からの借入で、これが一番手っ取り早く、一番普通にできる方法だと思っています。合わせて、直接的に株を売り出すことも、マーケットの状況を見ながら考えるかもしれません。今のところはその2つを考えています。
質疑応答:M&Aによる営業利益への影響と今後の見通しについて
司会者:「M&Aを実施すると仲介手数料やのれんが発生し、営業利益に影響が出ると思いますが、2023年6月期の営業利益は増加しています。M&Aによる営業利益への影響と今後の見通しについて、考えを教えてください」というご質問です。
尾松:M&Aにおけるのれん償却の理論値を考える時に、私どもはM&Aをした会社の生み出すキャッシュが、のれんを償却する元手になると考えます。そのため、我々が当初想定した利益とのれんが行って来いになるため、本来はプラスマイナスゼロになります。
それから仲介手数料とデューデリジェンスも加わりますが、これは一過性のもので、M&Aをしたその年の一期にしか出ない費用です。
その後、例えば5年でのれんを償却するのであれば、その5年間は毎年の利益額とのれんがプラスマイナスゼロになります。そのため、理論的には1年目だけが仲介手数料とデューデリジェンスの費用でマイナスになり、売上は上がりますが、利益は下がります。2年目からは、利益は横ばいになると言いますか、M&Aをした会社からの利益は0円になるというのが我々の基本的な理論値です。
それに対して、我々は中小企業支援プラットフォームとして「これを実施したらどうですか?」「あれをやってはどうですか?」と、すぐにいろいろなことを始めます。そのため、我々の提案が効いたことで売上・利益の増加になっているのか、ラッキーなことに売上・利益の増加になっている部分もあるのか、そこはわかりません。
いずれにせよ、当初予定していた理論値よりも利益が増える方向に行けば、利益は必ず上振れします。そのため、「なぜこうなったのですか?」と問われれば、当初予定していた利益よりも実際の利益が大きかったということであり、それは中小企業支援プラットフォームの効果もあったでしょうし、ラッキーだったからかもしれません。私としては、プラットフォームの効果であってほしいと思っています。
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