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いすゞ自動車のニュース
*10:02JST オーハシテク Research Memo(2):独立系自動車部品サプライヤーで、独自のポジションを確立
■会社概要
1. 会社概要
オーハシテクニカ<7628>は自動車部品のグローバルサプライヤーである。いずれの自動車メーカーの傘下にも属さない独立系企業として、乗用車・商用車の全ての日系自動車メーカーと幅広く取引関係を構築している。経営理念として「新たな価値を創造し、世界のお客様に信頼される会社を実現する」ことを掲げ、ミッション・ステートメントとして「もっといい車を作ろうとしている人に もっといい部品をお届けします 車づくりに欠かせない会社を目指して」を定めている。グループ内企業で製造を行う「ファクトリー機能」と、調達先企業と共同で製造を行う「ファブレス機能」を併せ持つ点が特徴であり、自動車業界において独自のポジションを確立している。事業は「日本」「米州」「中国」「アセアン」「欧州」「台湾」の6つの地域別セグメントで構成され、売上構成は日本・海外でおおむね半々を占めている。同社グループは、同社及び子会社13社、関連会社2社で構成されている。
2. 沿革
同社は1951年に大橋吉夫(おおはしよしお)氏がボルト・ナットなど締結部品の販売業として個人で創業し、1953年に大橋商事(株)を設立した。当初は造船会社向け商社として事業を行っていたが、自動車産業の成長に伴い、1965年から自動車メーカー向けに切削品・圧造品の納入を開始した。1987年には米国に販売子会社を設立し、海外展開を開始した。製造機能は1994年の米国工場設立を皮切りにタイ・中国に製造拠点を設置し、国内では2007年にオーハシ技研工業(株)を買収し子会社化した。2000年に日本証券業協会へ株式を店頭公開し、2002年に東証二部へ上場した。2004年に東証一部に指定替えとなり、2022年に東証プライム市場へ移行した。
■事業概要
「ファクトリー機能」と「ファブレス機能」の両輪、最大の強みは「人材」
1. 事業内容
同社グループは、エンジン・ミッション関連部品、サスペンション・ボディ・ステアリング部品、内装関連部品など自動車の幅広い領域において約2万点の精密加工部品を製造・販売している。品質保証機能や物流業務も担い、総合的な部品供給体制を構築している点が特徴である。販売先は主要日系自動車メーカーを中心にグローバルに展開し、2025年3月期の販売比率は、本田技研工業<7267>系41%、トヨタ自動車<7203>系17%、商用車20%、日産自動車<7201>系10%、その他12%となる。また、販売先上位10社で同社単体売上の約70%を占め、その構成に大きな変動はない。上位10社の内訳は、トヨタ自動車、日野自動車<7205>、本田技研工業、アイシン<7259>、いすゞ自動車<7202>、テイ・エス テック<7313>、(株)武部鉄工所、三菱ふそうトラック・バス(株)、デンソー<6902>、日産自動車となっており、自動車産業の主要企業が中心を占めている。
競合環境においては、同社と同一のビジネスモデルを展開する企業は存在せず、競争相手は各部品を製造する専業メーカーが中心である。幅広い取扱品目に加え、顧客ニーズに基づく加工技術の開発、グローバルでの現地生産・調達体制など、同社のポジショニングはユニークであり、競争優位性が高いと言える。EV化が進展しても、同社が取り扱いを増やしている足回り、パワートレイン、シート、ボディ、ステアリングなどは電動車と内燃機関車(ガソリン車、ディーゼル車など)で共通して使用される部品も多く、事業基盤への影響は限定的である。
2. 特長と強み
(1) 「ファクトリー機能」「ファブレス機能」を併せ持つ供給体制
同社グループの特徴は、グループ内工場で製造する「ファクトリー機能」と、調達先メーカーと協働して製造・供給する「ファブレス機能」の双方を併せ持つ点である。これにより、自社の加工技術を生かしながら、約400社の調達先ネットワークを活用し、最適な品質とコストで部品供給を可能にしている。各自動車メーカーにおける車両モデルの多様化や地域ごとのニーズに柔軟に対応できる体制を構築している。
(2) 独自の開発機能に基づく市場創造型ビジネス
幅広いマーケティング活動に基づき新たな加工技術を開発し、市場創造型ビジネスを展開している。独自の接合技術である圧入プロジェクション接合は、電動化に伴う部品の“軽量化、高強度化、高精度化ニーズ”を捉え、複数の自動車メーカーで採用され、グローバル部品への適用が進んでいる。精密プレス技術分野でもグループ企業、親密調達先メーカーとの協業により高い技術を有し、同社の主力製品に数多く採用されている。
(3) 調達先メーカーとの信頼関係
同社は約400社の調達先と共同開発や開発費の負担、設備投資の支援など、多岐にわたる連携を実施している。こうした取り組みを通じて長期的な信頼関係を構築している。また自動車メーカーと直接取引を行うTier1(ティアワン)としての口座開設は参入障壁が高いが、同社は日本の全ての自動車メーカーと直接取引口座を持ち、販売戦略上、大きな武器となっている。
(4) グローバル生産・供給体制
日本・米州・中国・アセアン・欧州に販売ネットワークを展開し、開発機能、製造機能、調達機能を駆使して得意先のグローバル調達ニーズに貢献している。特に、日本・米国・タイ・中国の4極で冷間圧造、精密プレス、切削の3工法を扱う自社製造体制の構築を目指している。
(5) 「人材」
同社の競争力を支える最も重要な要素は「人材」である。自動車メーカーの開発部門に深く入り込み、図面化される前の潜在ニーズを把握したうえで、最適な部品供給を提案する営業活動には、長年にわたる自動車部品、加工技術知識の蓄積と得意先、調達先との信頼関係が不可欠である。同社では創業時代から継続している独自の教育システムが整備されており、こうした人材育成のベースとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
<MY>
1. 会社概要
オーハシテクニカ<7628>は自動車部品のグローバルサプライヤーである。いずれの自動車メーカーの傘下にも属さない独立系企業として、乗用車・商用車の全ての日系自動車メーカーと幅広く取引関係を構築している。経営理念として「新たな価値を創造し、世界のお客様に信頼される会社を実現する」ことを掲げ、ミッション・ステートメントとして「もっといい車を作ろうとしている人に もっといい部品をお届けします 車づくりに欠かせない会社を目指して」を定めている。グループ内企業で製造を行う「ファクトリー機能」と、調達先企業と共同で製造を行う「ファブレス機能」を併せ持つ点が特徴であり、自動車業界において独自のポジションを確立している。事業は「日本」「米州」「中国」「アセアン」「欧州」「台湾」の6つの地域別セグメントで構成され、売上構成は日本・海外でおおむね半々を占めている。同社グループは、同社及び子会社13社、関連会社2社で構成されている。
2. 沿革
同社は1951年に大橋吉夫(おおはしよしお)氏がボルト・ナットなど締結部品の販売業として個人で創業し、1953年に大橋商事(株)を設立した。当初は造船会社向け商社として事業を行っていたが、自動車産業の成長に伴い、1965年から自動車メーカー向けに切削品・圧造品の納入を開始した。1987年には米国に販売子会社を設立し、海外展開を開始した。製造機能は1994年の米国工場設立を皮切りにタイ・中国に製造拠点を設置し、国内では2007年にオーハシ技研工業(株)を買収し子会社化した。2000年に日本証券業協会へ株式を店頭公開し、2002年に東証二部へ上場した。2004年に東証一部に指定替えとなり、2022年に東証プライム市場へ移行した。
■事業概要
「ファクトリー機能」と「ファブレス機能」の両輪、最大の強みは「人材」
1. 事業内容
同社グループは、エンジン・ミッション関連部品、サスペンション・ボディ・ステアリング部品、内装関連部品など自動車の幅広い領域において約2万点の精密加工部品を製造・販売している。品質保証機能や物流業務も担い、総合的な部品供給体制を構築している点が特徴である。販売先は主要日系自動車メーカーを中心にグローバルに展開し、2025年3月期の販売比率は、本田技研工業<7267>系41%、トヨタ自動車<7203>系17%、商用車20%、日産自動車<7201>系10%、その他12%となる。また、販売先上位10社で同社単体売上の約70%を占め、その構成に大きな変動はない。上位10社の内訳は、トヨタ自動車、日野自動車<7205>、本田技研工業、アイシン<7259>、いすゞ自動車<7202>、テイ・エス テック<7313>、(株)武部鉄工所、三菱ふそうトラック・バス(株)、デンソー<6902>、日産自動車となっており、自動車産業の主要企業が中心を占めている。
競合環境においては、同社と同一のビジネスモデルを展開する企業は存在せず、競争相手は各部品を製造する専業メーカーが中心である。幅広い取扱品目に加え、顧客ニーズに基づく加工技術の開発、グローバルでの現地生産・調達体制など、同社のポジショニングはユニークであり、競争優位性が高いと言える。EV化が進展しても、同社が取り扱いを増やしている足回り、パワートレイン、シート、ボディ、ステアリングなどは電動車と内燃機関車(ガソリン車、ディーゼル車など)で共通して使用される部品も多く、事業基盤への影響は限定的である。
2. 特長と強み
(1) 「ファクトリー機能」「ファブレス機能」を併せ持つ供給体制
同社グループの特徴は、グループ内工場で製造する「ファクトリー機能」と、調達先メーカーと協働して製造・供給する「ファブレス機能」の双方を併せ持つ点である。これにより、自社の加工技術を生かしながら、約400社の調達先ネットワークを活用し、最適な品質とコストで部品供給を可能にしている。各自動車メーカーにおける車両モデルの多様化や地域ごとのニーズに柔軟に対応できる体制を構築している。
(2) 独自の開発機能に基づく市場創造型ビジネス
幅広いマーケティング活動に基づき新たな加工技術を開発し、市場創造型ビジネスを展開している。独自の接合技術である圧入プロジェクション接合は、電動化に伴う部品の“軽量化、高強度化、高精度化ニーズ”を捉え、複数の自動車メーカーで採用され、グローバル部品への適用が進んでいる。精密プレス技術分野でもグループ企業、親密調達先メーカーとの協業により高い技術を有し、同社の主力製品に数多く採用されている。
(3) 調達先メーカーとの信頼関係
同社は約400社の調達先と共同開発や開発費の負担、設備投資の支援など、多岐にわたる連携を実施している。こうした取り組みを通じて長期的な信頼関係を構築している。また自動車メーカーと直接取引を行うTier1(ティアワン)としての口座開設は参入障壁が高いが、同社は日本の全ての自動車メーカーと直接取引口座を持ち、販売戦略上、大きな武器となっている。
(4) グローバル生産・供給体制
日本・米州・中国・アセアン・欧州に販売ネットワークを展開し、開発機能、製造機能、調達機能を駆使して得意先のグローバル調達ニーズに貢献している。特に、日本・米国・タイ・中国の4極で冷間圧造、精密プレス、切削の3工法を扱う自社製造体制の構築を目指している。
(5) 「人材」
同社の競争力を支える最も重要な要素は「人材」である。自動車メーカーの開発部門に深く入り込み、図面化される前の潜在ニーズを把握したうえで、最適な部品供給を提案する営業活動には、長年にわたる自動車部品、加工技術知識の蓄積と得意先、調達先との信頼関係が不可欠である。同社では創業時代から継続している独自の教育システムが整備されており、こうした人材育成のベースとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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