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―コロナ禍で「密」を避けるツーリングも人気、新車販売台数増加で関連市場も活発化―
バイク王&カンパニー <3377> [東証2]が11日に発表した21年11月期単独決算は、営業利益が15億5800万円(前の期比2.2倍)と急拡大した。商品ラインアップの適正化や2店舗の新規出店、5店舗の移転・増床などの「リテール拡大戦略」が奏功し、リテール部門の売上高が前の期の87億円から120億円へ急拡大したことが牽引役となった。
決算発表後の同社株価は、材料出尽くし感もあって軟調な展開となっているが、新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、人々の行動の変化により「密」を避ける移動手段としてバイク志向が高まっており、環境は良好。今期もこの傾向が続くとみられることから、22年11月期は営業利益17億5000万円(前期比12.3%増)と2ケタ増益となる見通し。もちろん同社だけではなく、他のバイク関連企業もバイク志向の高まりを背景にした好環境の享受が期待できよう。
●20年のバイク新車販売台数は2ケタ増
国土交通省の調べによるとバイクの保有台数は増加を続けている。軽二輪車(126~250cc)及び小型二輪車(251cc以上)合計の保有台数は、2021年3月末時点で376万2277台(前年同期比2.3%増)となり、9年連続で増加した。
保有台数だけではなく、販売台数も増加している。全国軽自動車協会連合会によると、軽二輪車及び小型二輪車合計の20年の新車販売台数は14万1771台(前年比13.6%増)となった。ここ数年、新車販売台数は12万台で推移していたが、20年は前年比2ケタ増と急増した。
20年に新車販売台数が急増した背景には、コロナ禍があるとみられている。「密」を避けて電車を使わず通勤するためにバイクに乗る人が増えたほか、趣味として1人でのツーリングであれば「密」にならずに済むことから、バイクに乗る人が増えたとみられている。
●リターンライダーが市場を牽引
これらを牽引しているのが、「リターンライダー」と呼ばれる人たちの存在だ。リターンライダーとは、若い頃にバイクに乗り、その後仕事や結婚などの理由で乗らなくなったが、再びバイクに乗り始める人のこと。50歳代、60歳代を迎えた1970~80年代のバイクブーム世代が子育てを終え、また経済的、時間的に余裕ができたことで再びバイクに乗り始め、リターンライダーとして市場を活性化させている。
日本自動車工業会が20年4月に発表した「2019年度の二輪車市場動向調査」によると、二輪車購入者全体の平均年齢は前回調査(17年度)の52.7歳から54.7歳に上昇し、購入者の約4割は60歳代以上が占めた。これらの全ての人がリターンライダーというわけではないものの、販売台数の増加とあわせて考えると、市場の牽引役となっているのは間違いないだろう。
●世界販売台数は10年間で18%増へ
一方、世界に目を向けると、20年の世界の二輪車市場は、新型コロナウイルスの影響で販売台数が落ち込んだ。矢野経済研究所(東京都中野区)が21年6月に発表した「世界の二輪車市場に関する調査を実施(2021年)」によると、アジア新興国における販売台数の落ち込みで、20年の世界全体の販売台数は前年比15.2%減の5557万台となったという。ただ、今後はインドやASEANなどの市場拡大や電動二輪車の販売台数増加などで30年には6576万3000台に成長すると予測している。
バイク市場が回復基調にあることは、各社の販売目標からも見て取れる。バイクの世界シェアでトップを誇るホンダ <7267> は、21年3月期の二輪事業の販売実績は1513万2000台だったが、22年3月期は1750万台を見込む。ヤマハ発動機 <7272> も20年12月期の二輪車販売台数合計は380万2000台だったが、21年12月期は459万3000台を見込む。
●バイク用品など周辺銘柄に注目
好環境が見込まれるバイク関連だが、足もとでは半導体不足やサプライチェーンの問題なども考慮しなければならない。ホンダ、ヤマハ発、スズキ <7269> 、川崎重工業 <7012> の世界大手バイクメーカーよりは、前述のバイク王などその周辺銘柄に注目したい。
アークコア <3384> [名証C]は、中古バイク買い取りの「バイクランド」を店舗・Webで運営しており、買い取ったバイクの直販も手掛けている。22年2月期第3四半期累計(3-11月)単独決算では、業者間オークションの相場好況から、バイク販売台数は7652台(前年同期比11.1%増)となり、バイク事業のセグメント利益は1億9000万円(同2.5倍)と拡大し全体を牽引した。なお、通期予想では全体営業利益1億円(前期比2.7倍)を見込む。
SHOEI <7839> は、世界最大手クラスの二輪車用ヘルメットメーカー。ライダーの高齢化に伴う高級モデルへの移行や買い増しの動きなどを背景に、コロナ禍にあっても需要は堅調で、21年9月期末の受注残高は約220億円と、22年9月期の生産枠はほぼ埋まっている状況。22年9月期も日本や北米などの需要堅調を見込んでいることから、生産能力を前期の68万個から77万個に増やす方針だ。今期の連結営業利益は66億2000万円(前期比9.9%増)を見込む。
クルーバー <7134> [JQ]は、中古カー・バイク用品の買い取り・販売を全国で店舗展開しているほか、自社ECサイトを通じた買い取り・販売も行っている。22年3月期上期は、前期に続いて公共交通機関から自家用車へのシフト、新車買い控えによるパーツの買い替え需要などで、これらリユース業態が好調に推移。下期もこの基調が継続するとみて、通期では営業利益5億6000万円(前期比24.9%増)を見込む。
デイトナ <7228> [JQ]は、二輪車用品の開発・販売や国内外の二輪車部品・用品メーカーからの仕入れ販売を行う。21年12月期第3四半期累計(1-9月)連結決算では、主力の国内拠点卸売事業でツーリングバッグ、インカム、スマートフォンマウントなどのツーリング用品を中心にメンテナンス用品や新型車対応商品など、ほとんどの取り扱いジャンルが伸長し、営業利益は14億1400万円(前年同期比73.0%増)と大幅増益を達成した。これを受けて通期予想を上方修正しており、営業利益17億2000万円(前の期比45.0%増)を見込む。
G-7ホールディングス <7508> は、カー用品の全国ブランド「オートバックス」や業務スーパーのフランチャイジーのほか、バイク専門店「バイクワールド」を展開している。22年3月期上期決算でバイクワールド事業は、ヘルメットの粗利率が改善し増益基調を維持した。精肉事業の採算悪化などで上期の連結営業利益は32億7400万円(前年同期比5.2%減)となったが、通期予想では同74億円(前期比4.8%増)と増益を見込む。
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