チノーのニュース
【QAあり】チノー、売上高・各利益いずれも過去最高額を更新 営業利益は中計最終目標を2年前倒しで達成
2025年3月期決算説明
豊田三喜男氏:社⻑の豊田です。本日は、どうぞよろしくお願いします。
あらためまして、みなさま、こんばんは。本日は、当社のセミナーにご参加いただきまして、誠にありがとうございます。
それでは早速になりますが、これから当社の事業内容と2025年3月期の決算について説明します。当社の事業をご理解いただくための簡単な動画を用意しましたのでご覧ください。
目次

それでは、ここから、この目次に沿って説明していきます。
1. チノーグループの概要

最初に、先ほどの動画と重複しますが、当社グループの概要についてご説明します。
会社概要

当社は、産業の現場や試験研究の場などにおいて、温度を軸とした計測・制御・監視に関わるセンサと機器や、それらを組み合わせてお客さまの課題を解決するシステムや装置の開発・設計・製造・販売をしているメーカーです。
創業が1913年、株式会社として設立したのが1936年で、今年で創業112年、設立89年になる会社です。
当社の生産拠点・販売拠点

国内の生産拠点は、群馬県の藤岡市、埼玉県の久喜市、山形県の天童市にあります。
販売拠点としては、全国に16の営業所と1つの出張所、1つの分室を設けています。
国内グループ会社(6社)

また、ご覧のように、国内には6つのグループ会社があります。左上のチノーソフテックスは当社製品の組み込みソフトやPCアプリなどの開発、またその下の浅川レンズは放射温度計用のレンズの生産など、当社の生産活動や開発活動に関わっているグループ会社です。
ほかの4社は、独立系のグループ会社になります。左下の三基計装はクリーンルームなどの空調設備の設計・施工や植物工場の管理機器のご提供が主なビジネスになります。
右側上段のアーズは、色々な企業から受託するソフト開発に強みがあり、またアドバンス理工は金属材料などの熱物性の分析・評価用の装置に強みを持っています。また明陽電機は船舶関係のセンサメーカーです。
グループ会社全体で、技術や製品でのシナジー効果を生む活動を推進しています。
海外グループ会社(6社)

海外のグループ会社は、中国に当社製品の販売会社と生産工場の2社のほか、韓国、インド、タイ、アメリカにあり、また欧米・台湾・アセアン地域にも代理店がありまして、世界に向けても当社の製品や技術をお届けしています。
沿革

このスライドは、当社の沿革になります。冒頭にもお話ししましたが、1913年に創業し、徐々に事業を拡大しながら、今日に至っています。
1986年の設立50周年のタイミングで、社名を千野製作所からチノーへと変更しています。
また、2011年には藤岡事業所に生物多様性の保全をめざした、ビオトープを開設しました。
そして2022年4月には、東証市場第一部よりプライム市場に移行しています。
企業理念と経営ビジョン

当社の事業ドメインとしては、企業理念で示していますように、「計測・制御・監視」の分野で、お客さまにおける課題を解決することを支援しながら、産業の発展に寄与し、社会に貢献していくことです。
この経営ビジョンは、2021年度から2026年度に向けて推進しています中期経営計画において策定したものになります。
共創・特⻑・信頼のコアバリューでビジョンを示して活動しているところです。
2. 事業の概要

次に、当社の事業の概要についてご説明します。温度計測というと、身近なところでは体温計などがありますが、当社の扱っている製品は、ものづくりの現場や研究・開発用途向けのBtoBが主力となります。
当社グループの事業セグメント

これは、当社グループの事業セグメントになりますが、計測制御機器、計装システム、センサ、その他の大きく4つに分類しています。
これから、各セグメントの製品について説明します。
<計測制御機器>

まず、計測・制御機器ですが、このセグメントには、温度などを記録・監視する「記録計」、温度制御などに使われる「調節計」、調節計からの信号でヒータなどの熱源を操作する「電力調整器、サイリスタレギュレータともいいます。そして温度などを収録するロガーなどのラインナップがあります。
<計装システム>

次に、計装システムです。当社は、お客さまのニーズに合わせて、機器やセンサをアプリケーションソフトも含めてコーディネートする計装システムをご提供しています。
特⻑ある技術を活かし、30年以上にわたって、車や次世代の電源などで使われている酸素と水素から電気を起こす燃料電池の性能を評価する試験装置をご提供してきました。
また、最近ですと水から燃料電池で使われる水素を生成する装置を評価する水電解評価装置や、車や家電のエアコンで使われるコンプレッサの性能を試験する装置、また、“ものづくりの現場“における生産設備全体の温度制御や機械の稼働率、設備の異常などをモニタリングするシステムをはじめ、機器・センサなどを組み合わせてお客さま現場の課題を解決するためのシステムをご提供しています。
<センサ>

続いてセンサです。
当社のセンサには、物体に接触して温度を測定するセンサと、物体から放射している赤外線エネルギーを捉えて温度に変換する非接触の放射温度計や、熱を2次元で捉えて温度分布を画像化する熱画像装置(サーモグラフィともいいます)、また赤外線によるセンシング技術を利用した水分計や成分計、そのほか湿度計、CO2濃度計、水素濃度計などがあります。
また、センサの測定値の正しさを検査・確認・補正するためのスライド右側にあるような校正装置なども取り揃えています。
セグメント別売上高

この円グラフは、今ご説明しました各セグメント別の2024年度の売上状況です。年度によって多少の変動はありますが、それぞれが約30パーセントずつを占めています。
地域別売上高

15ページの円グラフは、2024年度の地域別の売上高ですが、海外売上高は約20パーセントで、主な販売エリアは中国と韓国になっています。
3. チノーの強み

続いて、事業展開する上での当社の強みについてご説明します。
事業の特長ループソリューションによる顧客価値の創造

当社の事業領域としては、おもに温度を軸に、さまざまな産業のお客さまの課題解決をご支援させていただいていますが、当社グループのお客さまは製造業が主でして、自動車・航空機、エネルギーはじめ、さまざまなお客さまの現場の課題解決のためのセンサ・機器・システムでソリューションをご提供しています。
お客さまの生産や試験・研究の場においては、計測・制御・監視されているさまざまな物理量がありますが、特に温度は、品質や生産性向上、安心・安全の面でしっかりと管理しなければなりません。
当社は、その温度を計測するセンサ、制御・記録・監視する機器や、また、エンジニアリング力やシステム化する技術をすべて持ち合わせていますので、お客さまの課題を解決する最適な、いわば温度に関わるループソリューションをワンストップでお客さまにお届けできるということが、当社の特⻑の1つと言えると思っています。
ループソリューションとは

そのループソリューションについて説明を加えておきますと、このスライドは、産業のさまざまな分野で使われています電気を利用して金属などの材料を加熱処理する電気炉で、ある材料を熱処理しているところを示しています。
このような現場においては、単に温度を測定するだけでなく、品質良く作るための温度制御、正しく物ができているかを監視、管理と、このように計測・制御・監視のループでお客さまは操業することになります。
この、温度に関わる一連のソリューション機能を、ループソリューションと言っています。
ちなみに“ループソリューション”は当社の登録商標になります。
校正事業、標準温度センサ(世界29か国で採用)

また、海外においても、当社の温度に関する技術に信頼を置いていただいている証として、正確な測定結果を担保するための温度標準となる当社のセンサや機器をご利用いただいているところでもあり、世界29か国で標準温度センサとして採用されています。
このような信頼していただける温度に関する技術力も当社の特⻑の1つであると思います。
当社の強み

ということで、当社の強みとしては、あらゆる産業で必要不可欠である温度管理の分野で、「マイナス269度の極低温から3,500度の超高温まで計測・制御・監視することができる」センサや機器のご提供や、それらを組み合わせたシステムのご提供、そして先ほどのスライドでご説明した「標準温度センサなどのご提供」など、温度に関する技術力・信頼性が当社の強みとなっていると思っています。
また、「燃料電池や水電解の研究開発用の装置・システムのご提供」などで、脱炭素社会実現といった、社会のサステナビリティにも大きく貢献しているところでもあります。
4. ソリューション事例

それでは、どのような場面で当社の製品が使われているかについて、いくつか、みなさまにわかりやすい事例をご紹介します。
産業別ソリューション

先ほどお話ししたように、温度はさまざまな現場で管理されますので、当社のお客さまは多岐にわたっています。
温度に関しては、それぞれの現場でそれぞれの課題があります。
温度帯別ソリューション

このスライドで示すように、産業分野ごとに管理される温度帯はそれぞれです。
当社は、極低温から超高温までの幅広い温度領域に対応可能な技術・製品を有していますので、このように、さまざまな現場での温度管理をご支援させていただいています。
半導体関連(製造プロセスの温度管理)

まず、半導体分野での事例です。半導体の製造プロセスはさまざまな工程から成り立っています。
半導体の基になるのはご案内のように、シリコンウェハがありますが、最近ですと電気自動車等に利用される「パワー半導体SiC(炭化ケイ素)」がありますが、その基になるシリコンなどの結晶を成⻑させる上では厳密な温度管理が必要になります。
当社は、このような超高純度の単結晶シリコンなどの製造現場に、以前より赤外線放射温度計をご提供してきています。
水素関連①(水素を「使う」)

次は、水素社会実現に貢献するシステム例で、燃料電池評価試験装置があります。
燃料電池は、水素と酸素を化学反応させることで電気と水に変換する電池であり、温室効果ガスを出さずに発電する有効な手段として以前より注目されています。
燃料電池は近年、自家用車のみならずフォークリフトや鉄道・バス、エネファームなどでも利用されていますが、この装置は、燃料電池が効率よく電気を起こしているかどうか、また耐久性はどうか等を評価する装置になります。
燃料電池を利用した脱炭素の動きはグローバル規模で今後ますます加速されるものと思われます。
水素関連②(水素を「作る」)

次ですが、これは水電解評価装置です。
水の電気分解は、中学校の時に行った理科の実験と同じように、水に電気を流すことで水を水素と酸素に分解する化学反応で、前のスライドで説明した水素と酸素から電気を起こす燃料電池とは逆の流れになります。
このスライドにある水電解評価装置は、水を水素と酸素に分解するときに効率よく水素を取り出す条件を、いろいろな触媒やパラメータを変えながら評価する装置で、水素を作る上での試験・研究で多くの企業さまにご利用いただいています。
環境関連(エアコンの自然冷媒対応)

続いて空調用コンプレッサ性能試験装置です。
猛暑で大活躍のエアコンですが、高効率で省エネなエアコンを普及させるために、エアコンメーカーは研究開発に注力しています。
エアコンの性能は、冷媒と呼ばれるものが決め手で、その冷媒が、室内の”暑さ”を外に運ぶ役割をします。
冷媒は⻑らく、性能の良いフロンガスが用いられていましたが、オゾン層を破壊しますので、エアコンメーカーは環境にやさしい自然由来の冷媒への移行を進めてきています。
当社はエアコンメーカーの自然冷媒ガスを利用したコンプレッサ開発における評価試験を支援させていただいています。
この装置や、先ほどの燃料電池評価試験装置、水電解評価装置は実際にはもっと大規模な装置になります。
食品関連(食品の温度管理)

続いて、食品関連になります。
当社は、食中毒対策の分野にもソリューションを提供していまして、このような、温度管理の確実性と現場の負担軽減を両立する製品を提供しています。
スライド右下にあります「防水形の中心温度計」は、食品の加熱工程において食品の中心温度を正確に測定できる製品で、学校給食、病院、食品工場、外食チェーンなど、衛生管理が求められる現場で幅広く活用されています。
高い防水性能と洗浄性により、繰り返し使用できる衛生設計となっていまして、簡単な操作で誰でも正確な温度管理が行える点が評価されています。
今後も、安心・安全といった調理現場のニーズに応える製品として、安定した需要が期待されています。
食品関連(穀物サイロ内の温度管理)

続いて、この「穀温監視システム」は、お米や⻨やトウモロコシなど、穀物の保管中に発生するカビや害虫のリスク、発熱リスクに対応するため、穀物を貯蔵するサイロ内の温度を常時監視するシステムになります。
数十メートルのサイロ内に、縦方向に温度センサを配置し、収集したデータを専用表示器でリアルタイムに可視化することで、温度分布や異常発熱をいち早く把握できます。
また、過去の温度データを蓄積・再現できるため、穀物の品質管理や履歴管理にも活用いただいています。
現場の管理負担を軽減しながら、穀物の品質保持と保管効率の向上を支援しているシステムになります。
環境関連(熱中症監視)

次は、熱中症を予防するためのシステムです。
今年の6月1日より改正労働安全衛生規則が施行になり、事業者に対して「職場での熱中症対策」が義務化されました。
熱中症の重篤化を防止するため「体制整備」「手順の作成」「関係者への周知」が事業者に義務付けられました。
熱中症リスクを判断する基準としては、「WBGT」という指標が使用されます。
WBGTは、暑さ指数とも呼ばれ、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標で、単位は気温と同じ摂氏度で示されますが、気温とは異なる値となります。
規則では、そのWBGT値が28度以上または気温が31度以上の環境下で、連続1時間以上または1日4時間を超えての作業がある場合には、労働者の安全を守るため、現場における環境測定や警戒レベルの管理が必要となったわけです。
当社の「熱中症監視システム」は、暑さ指数のWBGT値をリアルタイムに測定・表示できる装置になります。実際に、学校や、テーマパークのような多くの人が集まる場所や、また、工場の現場でも、安全管理に役立てていただいています。
猛暑・酷暑で熱中症が年々深刻化する中、私たちの計測技術が社会の安全に役立っている事例になります。
ちなみに、このスライド右下にあるQRコードで、このシステムの紹介動画が見れますので、アクセスしていただければと思います。
その他のソリューション事例

その他、当社がご提供していますソリューション事例については、当社HPに数多く掲載していますので、ぜひご覧いただければと思います。
5. 決算概要

32ページからになりますが、ここから2025年3月期の決算についてご説明します。
当期の日本経済は、エネルギー価格の高止まりや物価の高騰、中国経済の低迷など不透明な状況が続きました。
また、足元ではアメリカの関税政策や中国のレアアース輸出規制などが世界経済全般に影響を及ぼすことが懸念されています。
決算ハイライト

そのような状況の中での当期の連結業績ですが、受注高は、脱炭素関連である燃料電池評価試験装置や水電解評価装置の需要継続および計装システムの大型案件の受注などにより、297億2,100万円(前期比8.2パーセント増)となりました。
売上高については、当社グループの事業全般に関係する製造業の設備投資が堅調に推移したことなどにより、293億2,900万円(前期比6.9パーセント増)となりました。
利益面については、増収による効果や継続的な原価低減の取組みに加え、2024年4月に実施した製品価格改定の効果が顕れて、営業利益は28億7,900万円(前期比32.4パーセント増)、経常利益は30億3,400万円(同25.7パーセント増)・親会社株主に帰属する当期純利益は19億9,100万円(同13.4パーセント増)と増益となり、増収増益となりました。
営業利益については、中計の最終目標である27億円を2年前倒しで達成しました。
セグメント別業績 計測制御機器

セグメント別の業績です。
まず、計測・制御機器セグメントの実績は、売上高が97億4,400万円、セグメント利益は15億1,100万円と増収増益となりました。
主に、半導体・電子部品の製造設備や熱処理装置向けを中心に需要が堅調であったことにより増収となりました。
利益面では、昨年4月に実施させていただきました製品価格の改定の効果が顕れ増益となりました。
セグメント別業績 計装システム

次に、計装システムです。売上高は99億5,800万円、セグメント利益は15億5,100万円と増収増益となりました。
内容としては、繰り返しで恐縮ですが、脱炭素化関連として自動車向けなどの燃料電池評価試験装置や、水素のエネルギー利用での研究・開発用途の水電解評価装置の需要が拡大したことや、コンプレッサ評価試験装置が自然冷媒対応エアコンの需要が拡大していることなどにより、増収となりました。
また、利益面では、大型案件の利益率改善により増益となっています。
セグメント別業績 センサ

続いてセンサセグメントです。売上高は85億9,700万円、利益が17億600万円と増収増益となっています。
内容としては、電子部品の製造装置や熱処理加工向けを中心に需要が堅調であったことや、グループ会社の明陽電機の売上高が増えたことなどにより増収となりました。また、利益面では、増収効果などにより増益となりました。
FY2025の業績予想(2025年5月13日発表)

これは、5月13日に発表しました2025年度の業績予想です。
今年度の業績予想は売上高300億円、営業利益29億円、経常利益30億5,000万円、当期純利益20億円と前期比で僅かではありますが、増収増益と予想しています。
6. 今後の取組み

38ページからになりますが、ここから、当社の今後にむけた事業活動における方針・方向性について簡単にご説明します。
事業環境認識

まず、申すまでもありませんが、私たちを取り巻く事業環境は常に変化しており、政治・経済・技術・社会など、さまざまな分野での変化が加速しています。
特に近年は、DX(デジタル化)・GX(グリーン化)・SX(サステナビリティ)といった大きな潮流が継続しており、社内外での対応が重要な課題となっています。
さらに今年度は、「アメリカの関税」や「中国によるレアアース輸出規制」など、 経済安全保障に関わる動きも顕在化してきており、より一層の注視が必要となっています。
企業に要請される価値

そのような変化の中、お客さまや社会からは、経済的な価値だけでなく、社会的な価値や、環境的な価値も要請されていますので、当社としてもこれらの提供価値をしっかり製品などに組み込んで発信していくことが、一層重要であると考えています。
2025年度の設備投資(大企業)の状況

そのような環境変化がありますが、当社の業績はお客さまの設備投資動向に大きく影響されます。
今年度の設備投資状況ですが、今月に発表された日銀短観では、全産業の設備投資計画は、 前年比で7.5パーセントの増加の計画でして、企業の投資意欲は堅調な見込みです。しかしながら、今後のアメリカの関税リスク等により下振れする可能性もあると予想されます。
水素社会実現に向けた政策

設備投資計画の中味を見ていきますと、世界的にはGX(グリーントランスフォーメーション)の取り組みが加速してもいまして、日本政府も2023年に「水素基本戦略」を策定し、15年間で官⺠合わせて15兆円を投資し、2040年には水素の利用量を2023年の6倍の約1,200万トンに拡大する方針になっています。
さらに、昨年10月には「水素社会推進法」が施行され、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、国が主導して水素の供給・利用・貯蔵を推進していくことになっています。
また、今年5月には経産省が水素モビリティ普及のため、燃料費の補助制度を開始すると発表しています。これにより、車の燃料電池車への転換も進んでいくと見られます。
このような投資により、水素は今後、エネルギーとしての普及が一層進むと考えられます。
水素社会に向けた事業活動

この水素関連分野における、水素を「作る、運ぶ、貯める、使う」といったそれぞれの現場では、生産性・コスト・効率などの解決していかなければならない課題が、まだ数多くあります。
当社としても、かねてから、サプライチェーンの高度化を目指す各研究機関や企業さまのイノベーションをご支援するかたちで、数多くのシステムやセンサ・機器をご提供していきました。
今後も、脱炭素社会実現の軸となる水素関連では、当社がこれまで培ってきた知恵・知識や新たな技術で貢献していきたいと思います。
成長市場拡大にむけて

それから、水素以外にも注目されている市場がありますが、たとえば、DXやAIなどの進展に伴って、半導体や電子部品関係の需要の拡大が見込まれますし、また自動車の電動化に伴って、個体電池など次世代電池の開発や、車体の強靭化や軽量化では新素材など開発も活発化しています。
ここに示しています分野など、各企業さまの動きもさらに活発化すると予想される市場・分野があります。
このような成⻑市場分野に向けても、当社として特徴あるソリューションをグローバルにお届けできるよう、活動していきます。
7. トピックス

次にトピックス、みなさまへのお知らせになります。
藤岡事業所の緑化推進運動が評価され「内閣総理大臣表彰」を受賞

まず、1つ目ですが、当社・藤岡事業所の⻑年にわたる、ビオトープなどの工場緑化推進活動や、地域社会への貢献などが評価され、これまでに、スライド左側にあるように、各方面から評価していただいていますが、このたび「緑化推進運動功労者内閣総理大臣表彰」という最高賞を受賞しました。
チノービオトープフォレスト

これが、そのビオトープフォレストの概要です。生物多様性の保全活動や当社の環境経営のシンボルとして整備したわけですが、設立以来、大学や地域社会と連携して、希少生物や植物の保護や事業所近隣の小中学生の環境教育現場としても、また、地域社会のコミュニケーションの場としても活用いただいています。
このビオトープは、約1ヘクタールの敷地に里山環境が再生され、年間約1トンのCO2を吸収しています。
また、ビオトープフォレストを紹介している動画やVRがありますので、このスライドの右下に記載しているQRコードでチェックしていただければと思います。是非、ご覧いただければと思います。
健康優良企業「金」の認定

続いて、当社の健康経営に対する取組みですが、従業員の健康づくりに積極的に取り組む企業として健康企業宣言東京推進協議会さまより、2024年12月においても「金」の認定を受けました。
従業員一人ひとりのキャリア自律を支援する研修や面接の機会の提供・勤務間インターバルの確保等、ワーク・ライフ・マネジメントの向上を進めており、従業員が安心・安全な環境でかつ、健康で、能力を遺憾なく発揮できる環境作りを推進していきたいと思います。
8. 株主還元等

続いて、株主さまへの還元施策についてです。
配当方針

まず配当方針として、中計の最終年度である2026年度の配当性向を40パーセントまで引き上げていくことを目指し、持続的な利益成⻑を通じて増配を実現していくことを基本方針としています。
配当の推移

このグラフは、配当金の推移を示しています。
2024年度は1株当たりの配当金は80円で、前期より20円の増配となりました。
2025年度の年間配当は、配当方針に基づき、2024年度よりさらに5円増配し、1株当たり85円と予想しています。
株主優待制度①

また、株主のみなさまの日頃からのご支援に感謝するとともに、当社株式への投資の魅力を一層向上させ、より多くの株主さまに、中長期的に保有していただくことを目的に株主優待制度を導入しています。
毎年3月末現在で300株以上を保有する株主さまを対象に、保有株式数に応じてポイントを贈呈させていただき、Webサイト「チノー・プレミアム優待倶楽部」において、食品・電化製品等、5,000種類以上の商品と交換できるようになっています。
株主優待制度②

株式数と付与ポイントはこのようになっています。
例えば、700株保有の場合は、2万5,000ポイントが付与され利回りが良くなっています。
また、株主さまへの還元をさらに充実させるために、今後は自社株買いも検討していきたいと思います。
株価推移(過去10年間)

このグラフは当社株価の過去10年間の推移になります。当社の株式は6月30日終値で2,436円、時価総額は225億円でPBRは0.94倍となっています。
また、「この株価での売買最低代金」は24万3,000円程度になります。ぜひ当社株式の保有をご検討いただければと思います。
当社ホームページのご案内

最後に、当社ホームページのご案内です。
ホームページには、当社の事業紹介、サステナビリティに対する取組みのほか、トピックスやIR情報も随時開示していますので、お気軽にアクセスしていただければと思います。
Appendix

Appendixとして「財務データ」「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」「中期経営計画」等を記載しています。
私からの説明は以上となります。本日は、最後までご清聴いただき、ありがとうございました。
質疑応答:当社製品のシェアについて

質問:御社製品の競合先・業界シェアを教えてください。
回答:ご質問ありがとうございます。こちらは説明資料のAppendix69ページのスライドでご説明させていただきます。
当社製品すべてにわたる調査結果はありませんが、計測・制御・機器関係の製品別のシェアについては、富士経済さんが調査をされていまして、実際には各メーカーに聞き取り調査するわけですが、2023年の販売実績について調査した結果を公表されていますので、ご紹介します。
国内シェアで、販売金額・販売数量ベースの調査結果になります。
販売金額で比較しますと、記録計は横河電機さん、キーエンスさんと当社の3社でほぼ90パーセントになり、販売金額では、当社は国内市場シェア15.1パーセントで国内3位となっています。
調節計は数多くの企業がそれぞれの得意分野で展開していますが、7社でほぼ90パーセントとなっており、当社のシェアは4.8パーセントで5位となっています。
電力調整器は、こちらも7社ほどで90パーセントのシェアになります。トップには電力インフラ関係で強い富士電機さんがいらっしゃいますが、当社は販売金額の市場シェア19.9パーセントで国内2位となっています。
これらの製品を扱っている企業によって、それぞれ得意市場や得意分野の違いもありますので、この結果もそのような視点でご覧いただければと思います。
得意分野ということでは、当社は熱処理関係のお客さまが多いのが特徴となります。なお、放射温度計は国内1位かと思います。以上です。
質疑応答:資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の取り組みについて

質問:東証から「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請がされていると思いますが、2024年度における取組みとその結果について教えてください。
回答:ご質問ありがとうございます。では、61ページから63ページのスライドでご説明させていただきます。
「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」ですが、「取組み方針」として、このスライドに記載しています、3項目をかかげて取り組んできました。
1つ目の基本戦略をしっかりと展開しての結果になりますが、先ほど説明させていただいたとおり概ね順調に進み、中期経営計画で目標設定した営業利益の27億円を2年前倒しで達成しました。
2つ目の財務・資本戦略のうち、「1 株主還元の充実」については、2026年度に配当性向40パーセントを実現します。「2 政策保有株式の縮減」については、この次のスライドで説明させていただきますが、2021年度以降、売却を進めています。
3つ目のIR活動の充実ですが、機関投資家さま向けの説明会、個人投資家さま向けのWebセミナーを、それぞれ年2回実施しています。また、「IR情報やサステナビリティ情報等の非財務情報」の発信の充実に努めています。

62ページにあります「政策保有株式の縮減」については、中⻑期的な観点から、その保有効果や対象企業の財務状況を定期的に検証し、保有継続の意義が乏しい銘柄については、適宜株価や市場動向を踏まえ売却することとしています。
ご覧のように、2021年度以降、毎年売却を進めており、2024年度には5銘柄の株式を売却し、2025年3月末の時価ベースで、連結の純資産比率は5.6パーセントとなりました。

これらの取組みの結果となりますが、スライド右側の「市場評価」については、株価はこのグラフに記載されているように、順調に伸ばしてきてはいましたが、2025年3月末では、トランプ関税の影響で全体的にも株価が下がり、当社の株価も2025年3月末には1,988円となり、PBR(株価純資産倍率)は0.77倍となりました。
株価推移で説明させていただいたとおり、2025年6月末ではPBRは0.94倍まで回復しています。
それから、スライド左側の「資本収益性・資本コスト」については、2022年度以降は、ROE(自己資本利益率)は株主資本コストを、ROIC(投下資本利益率)はWACC(加重平均資本コスト)を、いずれも上回っており、資本コストを上回るリターンを上げています。
今後も、「取組み方針」を確実に実行し、市場評価・資本収益性の向上を図るとともに資本コストの低減に努めていきます。以上です。
質疑応答:「人的資本経営の実現」に向けた取組みについて

質問:御社の「人的資本経営の実現」に向けての取組みについて教えてください。
回答:人的資本経営については、説明資料のAppendix71ページ、72ページのスライドでご説明させていただきます。
当社が今後も持続的に成⻑し、企業価値の向上を成し遂げていくために最も重要視すべきことは「人財」とその集合体としての「組織」の強靭化・活性化であると考えています。
人的資本経営については、スライド上部に記載しています「人財育成方針」と「職場環境整備方針」を定め、現在、推進しています中期経営計画の中で変化のスピードとスケールに負けないプロフェッショナル人財の確保と育成、並びにその能力を最大限発揮できる職場環境の充実に取り組んでいます。
2024年度は、これまでの自己啓発支援やワーク・ライフマネジメントの充実に向けた諸施策に加え、管理職マネジメントのアップデートや経営幹部候補の育成、デジタル人財の強化に注力するとともに従業員の「チャレンジ」や「やりがい」というコンセプトをより明確にした人事制度の再構築にも着手しました。

また、3年前に開始しましたエンゲージメントサーベイに基づく職場単位の組織改善活動を継続し、活力あふれる組織風土の醸成に向けた取組みを積極的に進めました。
2025年度以降も引き続き、経営戦略を実現する人的資本経営を「従業員も会社も成⻑している」といった実感を大切にしながら、グループ一丸となって推進していきます。以上です。
質疑応答:健康や人命に関するソリューション事例について

質問:ソリューション事例で熱中症監視の説明がありましたが、他に健康や人命に関するソリューション事例はありますでしょうか?
回答:ご質問ありがとうございます。それでは、70ページのスライドでご説明させていただきます。
健康や人命に関するソリューションでわかりやすい事例として、血液保管庫の温度監視システムがあります。
医療・医薬品関連の保管管理では当然のことですが、確実にかつ正確に行うことが必要で、特に血液や血液製剤などの温度管理には、このような当社の温度のモニタリングシステムが重宝されており、血液センターの血液保管庫などで数多くご採用いただいています。
確実に、所定の温度範囲内で保管されているか、保管していたかを確認したりするシステムですが、万が一、保管庫が故障したり、保管庫の扉が開けっ放しになって温度が高くなるような場合には、警報やメールを発信して、速やかに対処できるといったようなシステムになります。
また、コロナワクチンの保管・管理にも、このようなシステムをご利用いただいています。以上です。
質疑応答:中期経営計画の進捗状況・成⻑戦略について

質問:中期経営計画の進捗状況、今後の成⻑戦略について教えてください。
回答:ご質問ありがとうございます。64ページから66ページのスライドでご説明させていただきます。
当社の中期経営計画は、2021年度から2026年度の6年間の計画ですが、前半3年間をPhase1として、成⻑の基盤作りを確実に進展させ、後半3年間をPhase2として、成⻑を加速させて行くことを目指しています。

2024年度(昨年度)は、後半のPhase2の初年度でありました。その業績数値面での進捗状況ですが、中計6年間の売上高は、年平均の進展率の目標6.1パーセントに対して、これまでの4年間の実績は8.6パーセントとなっています。
同じく営業利益は年平均の進展率の目標15.5パーセントに対して、4年間の実績は26.2パーセントと目標ペースを上回っています。
また、ROEは2024年度には9.4パーセントになり、中計KGIである10パーセントにあと僅かまで近づきました。このように順調な成⻑ペースを確保しています。

今後の成⻑戦略についてですが、2024年度からのPhase2である「成⻑の加速フェーズ」では、引き続き、このスライドにあります、中期経営計画の「4つの基本戦略」を着実に実行していきます。
1つ目は「成⻑分野のさらなる開拓・拡大」です。

こちらは、先ほど「今後の取組み」で説明させていただきましたが、そのターゲットとしている成⻑分野として、「脱炭素、水素」分野以外には、このスライドにある「半導体・電子部品」「次世代電池」「新素材」「医薬 医療 食品・ロジスティクス」を取り上げて、他社と差別化した特徴あるソリューションをグローバルにお届けできるよう、活動していきます。

基本戦略の2つ目は「コア事業の高度化と価値創造」、3つ目は「海外事業の基盤強化と拡大」になりますが、これら3つの基本戦略を実行する上では4つ目の経営基盤・土台の強靭化を展開しながら、顧客価値の創造とお客さまを増やすための連携・共創の体制整備や仕組み作りをさらに進めていきます。
特に、当社の製品・サービスの差別化と市場での優位性を高めるため、お客さまの困り事や課題を解決する、機器・センサ・システムの組合せによる「ループソリューション力」のさらなる高度化に取組みながら、Phase2の残り2年間である2025年度、2026年度においても成⻑を継続させ、売上のさらなる積み増しと営業利益率の向上に向けて取り組み、2026年度の目標を実現したいと思います。以上です。
質疑応答:海外市場への取組みについて

質問:海外市場への取組みについて具体的に教えてください。
回答:ご質問ありがとうございます。こちらは、67ページのスライドでご説明させていただきます。
海外での販売については、各地域ごとに重点市場を設定して取り組んでいます。
戦略としては、中国・韓国を重点地域として最大限伸ばし、加えて成⻑が見込まれるASEAN・インドでの需要を取り込んで販売を伸ばしていきます。
海外戦略は大きく2つあります。1つ目は、当社の製品や技術の強みを、現地のどのような市場で発揮できるかを検討しながら、その市場に貢献できる製品を開発・提供する戦略です。
このために、海外グループ会社のマーケティング機能の高度化を進めており、現在では、中国・韓国向けの半導体製造装置用や、中国・インド向けの人工ダイヤモンドの製造装置用として赤外線放射温度計の販売に注力しています。
2つ目は、ASEAN市場への販売強化として、中国の製造拠点の生産能力を高め、そこからASEAN・インドへ供給する体制を整備することと、マーケティング機能と地産地消の連携を図りながら、熱処理向け製品をさまざまな企業で採用されるよう活動しています。
このような取り組みなどにより、2026年度の海外売上目標70億円の達成を目指しています。以上です。
質疑応答:業績予想について

質問:2025年度の業績予想ですが、2024年度の実績を踏まえると、売上高・利益ともに小幅な増加ですが、その理由を教えてください。
回答:ご質問ありがとうございます。37ページのスライドでご説明させていただきます。
今年度の業績予想ですが、エネルギー価格の高止まりや物価の高騰、不安定な為替相場などに加え、当社のお客さまにおいてもアメリカの関税政策の影響がどうなるか等により先行きが不透明な状況が続いていることもあって、売上高・利益ともに前期比で小幅な増収増益の見通しとしています。
なお、「TOPIXを構成する3月期決算企業」の2025年度の業績予想は、新聞による発表をみますと前期比で売上高が僅かながらの減少、営業利益・経常利益・当期純利益も2パーセントから3パーセント程度の減少となっています。以上です。
豊田氏からのご挨拶
本日はみなさまには、お忙しい中、当社のWebセミナーをご視聴いただきまして、誠にありがとうございました。
みなさまには当社の強みや事業内容についてご理解いただけましたでしょうか? 本日の説明資料と合わせて、当社のホームページもぜひご覧いただき、当社についてさらにご理解を深めていただければと思います。
⻑時間にわたりお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
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