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【QAあり】チノー、通期は売上高・各利益いずれも過去最高 製造業の設備投資の堅調な推移や部材供給不足解消等が寄与

投稿:2024/07/24 11:00

2024年3月期決算説明

豊田三喜男氏:社長の豊田でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

あらためまして、みなさま、こんばんは。本日は、みなさまにはご多用のところ、当社のWEBセミナーにご参加いただきまして、誠にありがとうございます。

それでは早速になりますが、これから当社の事業内容と2024年3月期の決算について説明させていただきますが、当社の事業をご理解いただくための簡単な動画を用意いたしましたのでご覧ください。

目次

それでは、ここから、この目次に沿って説明してまいります。

1. チノーグループの概要

まず最初に、先ほどの動画と重複しますが、当社グループの概要についてご説明いたします。

会社概要

当社は、温度を軸とした計測・制御・監視に関わるセンサや機器、そして、それらを組み合わせてお客さまの課題を解決するシステムや装置の開発・設計・製造・販売をしているメーカーでございます。

創業が1913年、株式会社として設立したのが1936年で、今年で創業111年、設立88年になる会社でございます。

当社の生産拠点・販売拠点・国内グループ会社

国内の生産拠点は、群馬県の藤岡市、埼玉県の久喜市、山形県の天童市にございます。

販売拠点としては、全国に16の営業所と1つの出張所、1つの分室を設けております。

また、国内には6つのグループ会社がございます。

海外グループ会社(6社)

海外のグループ会社は、中国に販売会社と生産工場の2社の他、韓国、インド、タイ、アメリカにあり、また欧米・台湾・アセアン地域にも代理店があって、世界に向けても当社の製品や技術をお届けしております。

沿革

このスライドは、当社の沿革になります。冒頭にもお話ししましたが、1913年に創業し、徐々に事業を拡大しながら、今日に至っております。

1986年の設立50周年のタイミングで、千野製作所からチノーへと社名を変更しております。

また、2011年には藤岡事業所に生物多様性の保全をめざした、ビオトープを開設いたしました。そして2022年4月には、東証市場の第一部より東証プライム市場に移行しております。

企業理念と経営ビジョン

当社の事業ドメインとしては、企業理念で示しておりますように、「計測・制御・監視」の分野で、お客さまにおける課題を解決することでお役に立つことにより、産業の発展に寄与し、社会に貢献していくことであります。

この経営ビジョンは、2021年度から2026年度に向けて推進しております中期経営計画において策定したものになります。

共創・特長・信頼のコアバリューでビジョンを示して活動しているところでございます。

2. 事業の概要

次に、当社事業の概要についてご説明いたします。

先ほど申し上げましたとおり、当社は温度を軸に「計測・制御・監視」用のセンサや機器、およびシステムや装置を開発・生産・販売しているメーカーでございます。

温度計測というと、身近なところでは体温計などを思い浮かべるかもしれませんが、当社の扱っている製品は、ものづくり現場や研究・開発用途向けのBtoBが主力となります。

当社グループの事業セグメント

これは、当社グループの事業セグメントになりますが、計測制御機器、計装システム、センサ、その他の大きく4つに分類しております。これから、各セグメントの製品について説明いたします。

<計測制御機器>

まず、計測制御機器ですが、このセグメントには、温度などを記録・監視する「記録計」や「グラフィックレコーダ」、温度制御などに使われる「調節計」、調節計からの制御信号でヒータなどの熱源を操作する「電力調整器(サイリスタレギュレータ)」、そして温度などを収録する「ロガー」などのラインナップがございます。

<計装システム>

次に、計装システムです。当社は、お客さまの目的に合わせて、計測・制御・監視用の機器やセンサをアプリケーションソフトも含めてコーディネートする計装システムをご提供しております。

特長ある技術を活かし、30年以上にわたって、車などで使われている燃料電池の性能を評価する試験装置や、最近では水から水素を生成する装置を評価する水電解評価装置、そして車や家電のエアコンで使われるコンプレッサの性能を試験する装置、また、「ものづくり」における温度制御・温度管理システム、具体的には、生産現場の設備の温度・湿度や機械の稼働率、設備の異常などをモニタリングするシステムをはじめ、機器・センサなどを組み合わせてお客さま現場の課題を解決するためのシステムをご提供しております。

<センサ>

続きましてセンサです。

当社のセンサには、物体に接触して温度を測定するセンサや、物体から放射している赤外線エネルギーを捉えて温度に変換する非接触の放射温度計や、熱を2次元で捉えて画像化する熱画像装置(サーモグラフィ)、また赤外線技術を利用した水分計・成分計、そのほか湿度計やCO2濃度計、水素濃度計などがございます。

また、測定値の正しさを検査・確認・補正するための校正装置なども取り揃えております。

セグメント別売上高

このスライドは2023年度の計測制御機器、計装システム、センサのセグメント別の売上状況です。

年度によって多少の変動はありますが、それぞれが約30パーセントずつを占めております。

地域別売上高

14ページの円グラフは、2023年度の地域別売上高ですが、海外売上高は約20パーセントで、主な販売先は中国と韓国になっております。

3. チノーの強み

次に、事業展開する上での当社の強みについてご説明いたします。

事業の特長 ループソリューションによる顧客価値の創造

当社の事業領域としては、主に温度を軸に、さまざまな産業のお客さまの課題解決をご支援させていただいておりますが、当社のお客さまは製造業が主でありまして、自動車・航空機、エネルギー、半導体・電子部品、医療・医薬、鉄鋼、食品、農業など、さまざまなお客さま現場の課題解決のためのセンサ・機器・システムでソリューションをご提供しているところでございます。

お客さまの生産や試験・研究の場においては、計測・制御・監視されているいろいろな物理量がありますが、特に温度は、品質や生産性向上、安全安心の面でしっかりと管理しなければなりません。

当社は、その温度を計測するセンサ、制御・記録・監視する機器や、またシステム化する技術をすべて持ち合わせておりますので、お客さまの課題を解決する最適な、温度に関わるループソリューションをワンストップでお客さまにお届けできるということが、当社の特長の1つと言えると思っております。

ループソリューションとは

そのループソリューションについて説明を加えておきますと、このスライドは、産業のさまざまな分野で使われている電気炉という、電気を利用して加熱処理する装置ですが、その炉である材料を熱処理しているところを示しております。

このような現場においては、単に温度を測定するだけでなく、品質良く作るための温度制御、正しく物ができているかを監視・管理と、このスライドのように計測・制御・監視のループでお客さまは操業することになります。

この、温度に関わる一連のソリューション機能を、ループソリューションと言っております。

校正事業、標準温度センサ(世界29か国で採用)

また、海外においても、当社の温度に関する技術に信頼を置いていただいている証として、正確な計測結果を担保するための温度標準となる当社のセンサや機器をご利用いただいているところでもありまして、世界29か国で標準温度センサとして採用されております。

このような信頼していただける温度に関する技術力も当社の特長の1つであると思います。

当社の強み

ということで、当社の強みとしては、あらゆる産業で必要不可欠である温度管理の分野で、「マイナス269度の極低温から3,500度の超高温まで計測・制御・監視することができる」センサや機器のご提供や、それらを組み合わせたシステムのご提供、そして先ほどのスライドでご説明した「標準温度センサなどのご提供」、またGXにおいては「燃料電池や水電解の研究開発用装置・システムのご提供」など、温度に関する技術力・信頼性が当社の強みとなっていると思っております。

4. ソリューション事例

それでは、どのような場面で当社の製品が使われているかについて、いくつか事例をご紹介します。

産業別ソリューション

先ほどお話ししたように、温度はさまざまな現場で管理されますので、当社のお客さまは多岐にわたっております。温度に関する課題解決は、それぞれの現場でそれぞれの課題がございます。

半導体関連(製造プロセスの温度管理)

まず最初に、半導体分野での事例です。

半導体の製造プロセスはさまざまな工程から成り立っております。半導体の基になるのはご案内のように、シリコンウェハがありますが、最近ですとパワー半導体SiCがありますが、その基になるシリコンやSiCの結晶を作る上では厳密な温度管理が必要になります。

当社は、このような超高純度の単結晶シリコンなどの製造現場に、以前より赤外線放射温度計をご提供してきております。

航空機・自動車関連(金属熱処理温度管理)

次に、航空機・自動車産業における事例になります。航空機の部品・部材を作る時には、溶接・熱処理などの特殊工程がありますが、その工程の温度管理基準を定めた規格に「AMS2750」という規格がございます。

また、「IATF 16949」という、自動車産業に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格がありますが、その中に、「CQI-9」という「熱処理設備」の高温計測に関する規格がございます。

この両規格ともに、センサの校正精度、デジタル記録であることなどの品質管理上のルールが定められております。

当社としても、自動車・航空機部材のサプライヤーさまがそれらの規格に対応することができる機能を搭載した記録計・グラフィックレコーダをいち早く販売開始し、各現場でご採用いただいております。

水素関連①(水素を「使う」)

次は、水素社会実現に貢献するシステム例で、燃料電池評価試験装置があります。

燃料電池は、水素と酸素を化学反応させることで電気と水を発生する電池であり、温室効果ガスを出さずに発電する有効な手段として注目されています。

燃料電池は近年、自家用車のみならずフォークリフトや鉄道・バス・エネファームなどでも利用されていますが、この装置は、燃料電池が効率よく電気を起こしているかどうか、また耐久性はどうか等を評価する装置になります。

燃料電池を利用した脱炭素の動きは今後ますます加速されるものと思われます。

水素関連②(水素を「作る」)

これは水電解評価装置です。

みなさまは、中学校の理科の実験で水の電気分解を行ったことがあるかと思います。水電解評価装置は、簡単に言えば、水を水素と酸素に電気分解して、効率よく水素を取り出せるかどうかを評価する装置になります。

先ほどの燃料電池は水素と酸素から電気を起こしますが、水電解は、それとは逆に水を電気分解して水素を取り出すことになります。

機能的には燃料電池の逆の流れになりますが、燃料電池評価試験装置で培った技術を応用したものになります。水素は脱炭素時代の有望なエネルギーであり、当社はその生成で重要な役割を担っていると思っております。

このスライドにある水電解評価装置は、水から水素を作り出すところにおいて、その効率や触媒の研究などにおける評価試験の基本システムで、実際にはもっと大掛かりなシステムになりますが、水素を作る上での試験・研究などで当社は多くの企業さまにご協力させていただいておりますし、今後も拡大する需要に対応してまいりたいと思います。

水素関連③(水素を「運ぶ」)

さらに、水素を作る・運ぶ・貯める・使う場面におけるマイナス253度という極低温である液体水素の管理には、当社グループのセンサ技術がお役に立てますので、お客さまがご要望するセンサ技術も、さらに高度化してまいります。

当社グループ会社の明陽電機のセンサ技術により、マイナス253度の液体水素を揺れが多い海上輸送においても正確に温度管理することができるようになっています。

医薬品関連(血液保管庫の温度監視)

27ページは医薬品関連の事例です。当然のことですが、医療・医薬品関連の保管管理では確実にかつ正確に行うことが必要で、特に血液関連などの温度管理には当社の温度のモニタリングシステムが重宝されておりまして、各所で数多くご採用いただいております。

また、コロナワクチンの保管・管理にも、このようなシステムをご利用いただいております。

環境関連(エアコンの自然冷媒対応)

続いて空調用コンプレッサ性能試験装置です。

今やエアコンは生活する上でなくてはならないものとなっておりますが、一方で、エネルギー問題としても、高効率で省エネなエアコンを普及させるために、空調機メーカーさまは研究開発に注力していらっしゃいます。

エアコンの性能は、冷媒と呼ばれるものが決めてで、その冷媒が、室内の暑さを外に運ぶ役割をします。

冷媒は長らく、性能の良いフロンガスが用いられていましたが、オゾン層を破壊するので使用が制限されつつありまして、空調機メーカーさまは自然由来の冷媒、たとえば、二酸化炭素や炭化水素などになりますが、それらへの移行を進めています。

当社もエアコンメーカーさまの自然冷媒ガスを利用したコンプレッサ開発における評価試験を支援させていただいています。

熱中症関連(熱中症の予防監視)

次に、これは、熱中症予防関連のセンサシステムになります(今年の夏も酷暑が予想されます)。

ご案内のとおり、昨年5月に政府は熱中症による死者の数を、2030年までに半減させることを目標に定めた計画を閣議決定し、昨年の夏から熱中症対策を強化しております。

当社の「暑さ指数WBGT監視システム」は、測定した「気温・湿度等」より暑さ指数であるWBGTを算出することで、熱中症の予防監視を行うことができまして、学校をはじめ企業でも導入していただいています。

その他のソリューション事例

その他、当社が提供しておりますソリューション事例につきましては、当社ホームページに数多く掲載しておりますので、ぜひご覧いただければと思います。

5. 決算概要

31ページからになりますが、ここから2024年3月期の決算についてご説明いたします。

当期の日本経済は、新型コロナウイルス感染症が2023年5月に感染症法上の5類に分類されるなどで、経済活動の正常化が進んだものの、一方で長期化するウクライナ情勢、中東情勢の緊迫化など地政学的リスクが継続し、またエネルギー価格高騰、中国経済の減速懸念、不安定な為替相場などで不透明な状況が続きました。

決算ハイライト

そのような状況の中での当期の連結業績ですが、受注高は、脱炭素関連で、当社では特に燃料電池評価試験装置や水電解評価装置の需要が継続するものの、前期は第1四半期に大型案件の受注があったこともあり、前期比で1.3パーセント減の274億5,800万円となりました。

売上高につきましては、当社グループの事業全般に関係する製造業の設備投資が堅調に推移したことや、部材供給不足が一部を除いて解消したことなどにより274億2,500万円(前期比15.3パーセント増)となりました。

利益面につきましては、部材価格の高騰や新規開発案件が利益率に影響したものの、増収効果に加え、販売価格の見直し・政策保有株式の売却等により、営業利益は21億7,300万円(前期比7.7パーセント増)、経常利益は24億1,300万円(同5.2パーセント増)、当期の純利益は17億5,600万円(同14.3パーセント増)と増益となり、増収増益となりました。

業績動向 計測制御機器

セグメント別に見ていきますと、計測制御機器セグメントの実績は、売上高は91億6,900万円、セグメント利益は11億7,300万円と増収減益となりました。

半導体・電子部品の製造設備や熱処理装置向けを中心に需要が堅調であったことにより増収となりました。

利益面では、部材価格の高騰等により減益となりました。

業績動向 計装システム

計装システムですが、売上高が96億9,900万円、セグメント利益は12億6,800万円と増収増益となりました。

内容としては、繰り返しで恐縮ですが、脱炭素化関連として、自動車向けなどの燃料電池評価試験装置や、水素のエネルギー利用での研究・開発用途の水電解評価装置の需要が拡大したことや、自然冷媒対応のエアコン用のコンプレッサ評価試験装置の需要が拡大したことにより、増収となりました。

また、利益面では、新規開発案件の利益率が下振れした影響があったものの、主に増収効果などにより増益となっております。

業績動向 センサ

センサセグメントは、売上高は75億4,900万円、セグメント利益は13億9,800万円と増収増益となっております。

内容としましては、放射温度計、温度センサともに半導体関連の製造装置向けを中心に需要が好調であったことや、さきほどご説明した航空宇宙産業における特殊工程の規格になりますが、AMS規格対応の温度センサの需要が堅調であったことなどにより増収となりました。

また、利益面では、増収効果などにより増益となりました。

中期経営計画の進捗状況(3年目)

2023年度は、2026年度に向けた、弊社中期経営計画の3年目でありました。その業績数値面での中計の進捗状況についてご紹介しておきますと、中期経営計画の前半3年間の各年度はすべて、前期比で増収増益になっております。またROEは2023年度には9パーセントになり、中計は、概ね順調に進んでおります。

引き続き、中期経営計画の後半3年間で成長を継続させ、2026年度に向けて売上高の積み増しと営業利益率の向上に向けて取り組んでまいります。

FY2024の業績予想

次に、2024年度の業績予想についてです。

地政学的リスクの高まり、中国経済の減速懸念、不安定な為替相場など、先行きの不透明感は増しているものの、主要顧客である自動車・電子部品分野や脱炭素社会に向けた水素関連分野での需要拡大が見込まれ、2024年度の業績予想は売上高285億円、営業利益24億5,000万円、経常利益26億5,000万円と前期比で増収増益を予想しております。

なお、当期純利益につきましては、2023年度に政策保有株式の一部を売却したことに伴い特別利益3億2,000万円を計上したこともあって、減益となっております。

6. 今後の取組み

次に、38ページからになりますが、ここから、当社の今後にむけた事業活動における方針・方向性について簡単にご説明いたします。

2024年度の設備投資(大企業)の状況

当社の業績はお客さまの設備投資動向に大きく影響されます。

今月(7月)に発表された日銀短観では、全産業の設備投資状況は前年比で11.1パーセントと増加の計画となっており、企業の投資意欲は底堅い見込みとなっております。

水素社会に向けた事業活動

その設備投資の分野として、当社事業に関係する領域としては水素関連分野があります。水素を「作る、運ぶ、貯める、使う」といったそれぞれの現場では、まだ生産性・コスト・効率などの解決していかなければならない課題が数多くあります。

当社としても、かねてから、サプライチェーンの高度化を目指す各研究機関や企業さまのイノベーションをご支援するかたちで、数多くのシステムやセンサ・機器をご提供してまいりました。

今後も、脱炭素社会実現の軸となる水素利用に関して、当社がこれまで培ってきた知恵・知識や新たな技術で貢献してまいりたいと思います。

成長市場拡大にむけて

それから、水素以外でも、たとえば、DX化、IoT化やAI関連では半導体や電子部品関係の需要の拡大が見込まれますし、また自動車の電動化に伴って、次世代電池の開発や、車体の強靭化や軽量化では新素材などの開発もGXと同期して活発化しておりますように、ここに示しております分野などにおける動きはさらに加速すると予想されます。

このような新たな成長市場・分野に向けても、当社としても特徴あるソリューションをグローバルにお届けできるよう、活動してまいりたいと思います。

海外戦略(2026年度海外売上70億円に向けて)

これは海外戦略のスライドです。各市場ごとに、このような戦略を立てておりますが、海外戦略は大きく2つございます。

1つ目は海外市場のマーケットニーズや課題を把握し、それに合致したグローバル専用製品を開発し、販売を拡大することを推進しておりまして、そのためのマーケティング機能を現地と連携して高度化しているところでございます。

2つ目としては、機器のアセアン地域向けの販売については、中国の製造子会社の生産能力を向上させ、そこから海外市場に直販することにより価格競争力を強化し、販売を拡大させるといった、先ほどのマーケティング機能と地産地消の同期化を進めております。

このような活動を促進することなどで、中期経営計画の最終年度である2026年度の海外売上高70億円の達成に向けて取り組んでまいりたいと思います。

7. トピックス

次にトピックス、みなさまへのお知らせになります。

プライム市場の適合状況等(2024年3月末)

まず、弊社のプライム市場の適合状況でございます。

2021年6月の一次判定時ではプライム市場の上場基準の内、「流通株式時価総額」と「1日平均売買代金」の2項目が未達でありましたが、2023年3月末時点に続きまして、2024月3月末時点においても、その基準をクリアしております。今後も基準に適合した状態を継続するよう、企業価値の向上に向けて努力してまいりたいと思います。

健康優良企業「金」の認定

また、健康経営に対する取組みですが、2022年12月に従業員の健康づくりに積極的に取り組む企業として健康企業宣言東京推進協議会さまより、2023年における「金」の認定を取得し、今年も引き続いて2024年1月から12月の期間においても、「金」の認定を受けました。

従業員一人ひとりのキャリア自律を支援する研修や面接の機会の提供・勤務間インターバルの確保等、ワーク・ライフ・マネジメントの向上を進めており、従業員が安心・安全な環境でかつ、健康で、能力を発揮できる環境作りを推進してまいりたいと思います。

8. 株主還元等

続きまして、株主さまへの還元施策についてです。

株主還元(配当方針の変更)

まず、株主還元についてです。5月13日に東証に適時開示しましたが、配当方針の変更で、「配当性向の引き上げ」を行いました。

2023年度までは、連結配当性向30パーセントを目安に安定的な配当を継続することとしておりましたが、さらなる株主さまへの還元の充実を図るため、中期経営計画の最終年度である2026年度の配当性向を40パーセントまで引き上げていくことといたしました。

引き続き、持続的な利益成長を通じて増配を実現してまいります。

株主還元(配当金)

このグラフは、配当金の推移です。2023年度は1株当たりの配当金は60円で、前期より8円増配となりました。2024年度の年間配当は、先ほどの配当方針に基づき、2023年度よりさらに10円増配し、1株当たり70円と予想しております。

株主優待制度①

また、株主のみなさまの日頃からのご支援に感謝するとともに、当社株式への投資の魅力を一層向上させ、より多くの株主さまに中長期的に保有していただくことを目的に2022年3月期より株主優待制度を導入しております。

毎年3月末現在の株主名簿に記載または記録された、当社株式3単元である300株以上を保有する株主さまが対象になり、株主さまの保有株式数に応じてポイントを贈呈させていただき、ウェブサイト「チノー・プレミアム優待倶楽部」において、食品、電化製品等、5,000種類以上の商品と交換できるようになっております。

株主優待制度②

株式数と付与ポイントはこのようになっております。

例えば、700株保有の場合は、25,000ポイントが付与され利回りが良くなっております。

株価推移(過去10年間)

こちらのグラフは当社株価の過去10年間の推移になります。当社の株式は6月28日終値で2,596円、時価総額は240億円でPBRは1.09倍となっております。

当社ホームページのご案内

最後に当社ホームページのご案内です。ホームページには、当社の事業紹介、サステナビリティに対する取組みのほか、トピックスやIR情報も随時開示しておりますので、お気軽にアクセスしていただければと思います。

Appendix

アペンディックスとして「財務データ」「サステナビリティ関連」「新製品」等を記載しております。

私からの説明は以上となります。本日は、ご清聴いただき、ありがとうございました。

質疑応答:赤外線技術について

質問:センサ事業の説明で「非接触で温度が測れる」とのことでしたが、物体に接触せずに温度を計測できるとはどのような仕組みなのでしょうか?

回答:非接触での温度計測についてのご質問ですが、あらゆる物体は赤外線を発していますが、赤外線も電磁波・光でありますのでエネルギー量を持っていることになります。

その物体から出ている赤外線のエネルギーを、赤外線を検知するセンサ部に光学的に集光して、熱や量子エネルギーに変化させるわけですが、それを電気信号に変換してそして温度値に変換するという仕組みになります。

また、この赤外線技術を応用し、温度だけでなく、水分量やいろいろなフィルムの厚さなども計測することもできます。

質疑応答:当社製品(身近な製品)について

質問:御社の製品は産業用向けが多いとのご説明がありましたが、我々の身近なところで目にするような製品はございますでしょうか?

回答:こちらは説明資料のAPPENDIX66ページのスライドでご説明させていただきます。当社のビジネスはBtoBですので、日常みなさまが目にするような製品はほとんどありませんが、みなさまが身近で目にするものを作る時に当社の製品は活躍しています。

ただ、このスライド右側にあるような装置・カメラを見たことはないでしょうか? これは当社の製品名では「サーモビュー」といいまして、コロナウイルス感染拡大防止のために使われたりしましたが、不特定多数の中から発熱の疑いがある人を特定する製品がございます。

当社は主に産業用の分野に、マイナス20度あたりから2,000度を超える温度を測れる赤外線放射温度計やサーモグラフィー・熱画像装置をご提供しておりますが、この熱画像装置は、発熱者の検知用に、温度測定範囲を体温付近がしっかりと測れるように仕様・機能を変えてご提供してきました。

これは、産業用で培った信頼置ける品質や技術で日常生活にも貢献している例になります。

質疑応答:為替について

質問:最近、円安傾向が続いていますが、御社の業績に対する影響を教えてください。

回答:当社及び国内グループ会社における外貨建ての輸出と輸入は、ほぼバランスがとれており、円安が業績に与える影響は大きくありません。ただ、海外グループ会社の売上高については、連結決算上、円換算いたしますので円安はプラスの効果があります。

質疑応答:東証要請について

質問:2023年3月に東証から「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請があったと思いますが、2023年度における取組みとその結果について教えてください。

回答:こちらは説明資料のAPPENDIX56ページ、57ページのスライドでご説明させていただきます。

2023年度は、「取組み方針」として、このスライドに記載しております3項目をかかげて取り組んでまいりました。1つ目の成長戦略として、中期経営計画の目標である「売上高300億円、営業利益27億円」等を達成する取り組みの推進ですが、2023年度は先ほどご説明させていただいたとおり、概ね順調に進みました。

また、2つ目の財務・資本戦略における、株主さまへの還元の充実につきましては、先ほどご説明いたしましたが、配当方針を変更し、配当性向の目標を2026年度40パーセントとしました。中間配当の再開につきましては、当中間より実施しました。政策保有株式の縮減につきましては、当期に2銘柄の株式売却を実施しました。

3つ目のIR活動の充実ですが、「機関投資家向け説明会」「個人投資家向け説明会」をそれぞれ年2回実施し、個別IRミーティングの機会も拡充させました。

その結果ですが、まず、このスライド左側の「資本収益性・資本コスト」ですが、ROEは株主資本コストを、ROICはWACCを2期連続で上回ることができました。これは資本の調達コスト以上に収益を上げたことになります。

それからスライド右側の「市場評価」につきましては、株価はこのグラフに記載されている4年間を見ますと右肩上がりで上昇し、2023年度末時点では2,618円となり、PBRは1.10倍となっており、取組みの効果が出てきたと認識しております。

質疑応答:水素関連について

質問:水素社会に向けた御社の取組みのご説明がありました。エネルギー市場における水素の役割は今後も増加していくのでしょうか?

回答:こちらは説明資料のAPPENDIX61ページ、62ページのスライドでご説明させていただきます。

2023年6月に政府から、今後15年間で官民あわせて15兆円の投資を行い、2040年の水素の利用量を今の6倍の1,200万トン程度にまで引き上げたいとした「水素基本戦略」が策定されています。

また、最近の水素関連の動きでは、2024年5月に「水素社会推進法」が成立しました。これは、2050年カーボンニュートラルに向けて、今後、国が前面にたって、低炭素の水素等の活用(供給・利用・貯蔵における課題解決がありますが)を早期に促進することというものです。

そして先月(2024年6月)には、日本とEUが「水素の国際規格」の策定に着手することが報道されました。水素が今後ますますエネルギーとしての活躍が期待される状況になっております。

といった背景のもと、当社としても、脱炭素社会・水素社会実現に向けたイノベーションに貢献していきたいと思います。

質疑応答:人的資本について

質問:昨今、企業には人的資本経営が求められていると思いますが、御社の「人的資本の充実に向けた対応」について教えてください。

回答:こちらは説明資料のAPPENDIX59ページ、60ページのスライドでご説明させていただきます。

中期経営計画を達成し、当社が持続的かつ継続的に成長していくために最も重要視すべきことは「人財」であると考えております。

人的資本経営については、スライド上部に記載されております「人財育成方針」を定め、変化のスピードとスケールに負けないプロフェッショナル人財の確保と育成を目指し、2023年度は、キャリア採用の強化、経営幹部候補や中核人財の育成、いわゆるサクセッションプランを実行しておりますし、またいつでも学べる学習基盤の整備としてe-Learningを導入するとともに、DXリテラシーの底上げとDXリーダー層の育成などに取り組みました。

また、同時に働きがい・働きやすさにつながる環境の整備を通じ、魅力あふれる組織風土の醸成に積極的に取り組んでいます。

2024年度は、さらに公平かつ生産性の向上につながる人事関連諸制度の再構築に取組み、人的資本経営を推進してまいります。

質疑応答:共同研究について

質問:新製品等の研究開発を自社だけで行うのは大変だと思うのですが、他社と協力して研究開発を行うことはあるのでしょうか?

回答:ご質問につきましては、説明資料のAPPENDIX67ページのスライドでご説明させていただきます。

かねてから当社は科学技術の研究開発を行う国内最大級の研究機関である、産業技術総合研究所さまにいろいろとご指導を受けながら共同研究を行っておりまして、最近では、電気自動車に搭載されるリチウムイオン電池の製造工程において赤外線計測技術を応用し、「スラリー(電極に塗布する合成塗料)」の塗布が異常なものを検知する方法を開発しております。

また、その他、大学や研究機関、また他社さまとも、お互いの強みを組み合わせることで、社会やお客さまに対して価値を創造するための共創に取り組んでおります。

質疑応答:気候変動リスクへの対応について

質問:御社の気候変動リスクへの対応状況について教えてください。

回答:こちらは説明資料のAPPENDIX65ページのスライドでご説明させていただきます。

気候変動リスクの取組みですが、事業活動による温室効果ガス排出量削減に取り組んでおりまして、2040年度までに事業活動のカーボンニュートラル達成を目指しております。

これまでの取り組み結果として、本社・生産事業所における電力調達の再エネ化を完了したことで、2023年度の自社の事業活動による温室効果ガスGHG排出量のいわゆるScope1、Scope2は基準年度である2020年度に比べ89パーセントの削減を達成しています。

引き続き、営業所の再生可能エネルギー化対応として、公共交通機関へのシフトや社有車のEV化等に取組んで、カーボンニュートラルの達成に向けた具体策を進めてまいります。

質疑応答:ビオトープについて

質問:沿革の説明で2011年に「ビオトープ」を開設したとの説明がありましたが、この「ビオトープ」を通じた具体的な取組みについて教えてください。

回答:こちらは説明資料のAPPENDIX63ページ、64ページのスライドでご説明させていただきます。

「チノービオトープフォレスト」ですが、2011年に当社の生物多様性保全活動のシンボルとして藤岡事業所内に設立しました。「ビオトープ」とは地域の生態系や野生動植物を保全することを目的に、里山環境を人工的に復元した場所になります。

このビオトープでは、大学や地域社会と連携してヤリタナゴという準絶滅危惧種の淡水魚をはじめとする希少生物や植物の保護や、ビオトープ開設から継続している定期的な植物相モニタリング調査と在来種確認などに取り組んでおりまして、いわゆる里山環境を維持・再生・整備をしております。

このビオトープは、事業所近隣の小中学生などの教育現場としても活用していただいています。また、このビオトープは、約1ヘクタールの敷地がありまして、年間約1トンの二酸化炭素を吸収しております。

このような活動に対してこれまでに、このスライドにあるように各方面からご評価いただいておりまして、2022年11月には公益社団法人環境生活文化機構さまより「持続可能な社会づくり活動表彰(生物多様性保全活動賞)」を受賞しました。

今後もビオトープを活用する取組みを積極的に展開し、地域社会に貢献してまいります。

豊田氏からのご挨拶

本日はみなさまには、お忙しい中、当社のWEBセミナーをご視聴いただきまして、誠にありがとうございました。

みなさまには当社の強みや事業内容についてご理解いただけましたでしょうか?

本日の説明資料と合わせまして、当社のホームページもぜひご覧いただければと思います。

長時間にわたりお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス
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