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アクセルのニュース
*12:01JST アクセル Research Memo(1):安定収益基盤と潤沢な資金を持つAIソリューション企業として注目
■要約
アクセル<6730>は、遊技機器(パチンコ、パチスロ)向けグラフィックスLSI(以下、G-LSI)市場で約50%のシェアを握るファブレス半導体メーカー。LSI開発販売関連事業で培った開発力を生かして、AI、Web3.0領域での新規事業展開を進めている。
1. 2023年3月期の業績概要
2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比35.7%増の14,474百万円、経常利益で同81.0%増の1,813百万円と2期連続増収、3期連続増益となった。収益柱であるLSI開発販売関連(パチンコ・パチスロ機市場向け)がG-LSIやメモリモジュールの増加、並びに平均単価の上昇により売上高で前期比36.5%増と大きく伸長したことが増収要因となった。利益面では、円安による仕入コストの上昇と製品ミックスの変化により売上原価率が同1.6ポイント上昇したものの、増収効果で吸収し、売上高営業利益率は同3.3ポイント上昇の11.2%と8期ぶりに10%台に回復した。新規事業関連は売上高で同19.1%増の622百万円、セグメント損失で405百万円(前期は545百万円の損失)となった。機械学習/AI領域の中核技術であるエッジ推論向けディープラーニング・フレームワーク「ailia(アイリア) SDK」の実用化に伴うロイヤリティ収入が増加したほか、FA分野を中心に開発支援案件が増加した。なお、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の公募事業※として開発に取組んできた完全自動運転用AI半導体チップの試作品が完成し、2023年3月より協業先の(株)ティアフォーが中心となって実証実験を開始した。同年夏頃の終了予定で、その後研究成果が発表される。
※公募事業「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発/研究開発項目(1)革新的AIエッジコンピューティング技術の開発」に採択され、「完全自動運転に特化したシステムオンチップとソフトウェアプラットフォームの研究開発」について、東京大学、埼玉大学、ティアフォーと2018年以降共同開発してきた。
2. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期業績は売上高で前期比6.7%増の15,440百万円、経常利益で同15.6%減の1,530百万円を見込んでいる。売上高は、LSI開発販売関連が前期比5.7%増の14,640百万円、新規事業関連が同28.6%増の800百万円と増収基調が続く見通し。一方、利益面では新規事業関連の損失が縮小する見通しなものの、LSI開発販売関連が仕入コストの上昇と製品ミックスの変化による原価率上昇により減益を見込んでいる。前提となるパチンコ・パチスロ市場は前期の158万台から150万台に減少する保守的な前提となっている。主要遊技機メーカー各社の見通しではスマスロをけん引役として前期比で若干増加するとの見方が多い。このため、今後の各社の販売状況次第では上振れする可能性も十分あると弊社では見ている。前期末のLSI開発販売関連の受注残高が24,184百万円と大幅に積み上がっており、このうち2025年3月期納品予定分が100億円弱程度と見られ、今期売上計画分については既に受注済みとなっている。一方、新規事業関連では引き続き機会学習/AI領域での開発支援案件やロイヤリティ収入の増加を見込んでいるほか、M&A・アライアンス戦略による事業拡大も推進していく計画となっている。
3. 今後の成長戦略
同社は今後の成長戦略として、LSI開発販売関連を安定的な収益を獲得するキャッシュ・カウ事業と位置付け、成長ポテンシャルの高い機械学習/AI、Web3.0領域などの新規事業関連にリソースを投下していくことで、高成長を目指す方針を打ち出している。2023年5月にはAI音声認識ライブラリ「ailia AI Speech」をリリースし、自動音声入力ソリューションの拡販活動を開始したほか、同年5月にはWeb3.0関連の要素技術を取り入れたコンテンツ流通基盤ソリューションを展開する(株)&DC3及びその親会社のセルシス<3663>と戦略的パートナーシップを締結した。同社が保有するアプリケーション暗号化技術を使用したライセンス管理ソリューションを共同開発し、&DC3のコンテンツ流通基盤に組み込むことで、同プラットフォームのセキュリティ向上を図り、幅広いコンテンツの流通を可能とすることで、Web3.0ベースの流通プラットフォームの価値を高めていく戦略で、今後も高いセキュリティ技術を強みとしてWeb3.0領域への展開を進めていく予定だ。新規事業関連については順調に進めば2025年3月期にも黒字化が見込まれそうだ。AI、Web3.0領域ともに潜在需要は大きいだけに競争も激しいが、同社がLSI開発販売関連で長年蓄積してきた技術力やノウハウを生かし、M&A・アライアンス戦略なども活用していくことで高成長を実現する可能性はあると弊社では見ている。
■Key Points
・2023年3月期業績はパチンコ・パチスロ機向け半導体需要の拡大により連続2ケタ増収増益を達成
・2024年3月期は製品ミックスの変化と仕入コストの上昇により増収減益を見込むも保守的な印象
・パチンコ・パチスロ機向け事業を安定収益源としたAIソリューション企業として飛躍的成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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アクセル<6730>は、遊技機器(パチンコ、パチスロ)向けグラフィックスLSI(以下、G-LSI)市場で約50%のシェアを握るファブレス半導体メーカー。LSI開発販売関連事業で培った開発力を生かして、AI、Web3.0領域での新規事業展開を進めている。
1. 2023年3月期の業績概要
2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比35.7%増の14,474百万円、経常利益で同81.0%増の1,813百万円と2期連続増収、3期連続増益となった。収益柱であるLSI開発販売関連(パチンコ・パチスロ機市場向け)がG-LSIやメモリモジュールの増加、並びに平均単価の上昇により売上高で前期比36.5%増と大きく伸長したことが増収要因となった。利益面では、円安による仕入コストの上昇と製品ミックスの変化により売上原価率が同1.6ポイント上昇したものの、増収効果で吸収し、売上高営業利益率は同3.3ポイント上昇の11.2%と8期ぶりに10%台に回復した。新規事業関連は売上高で同19.1%増の622百万円、セグメント損失で405百万円(前期は545百万円の損失)となった。機械学習/AI領域の中核技術であるエッジ推論向けディープラーニング・フレームワーク「ailia(アイリア) SDK」の実用化に伴うロイヤリティ収入が増加したほか、FA分野を中心に開発支援案件が増加した。なお、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の公募事業※として開発に取組んできた完全自動運転用AI半導体チップの試作品が完成し、2023年3月より協業先の(株)ティアフォーが中心となって実証実験を開始した。同年夏頃の終了予定で、その後研究成果が発表される。
※公募事業「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発/研究開発項目(1)革新的AIエッジコンピューティング技術の開発」に採択され、「完全自動運転に特化したシステムオンチップとソフトウェアプラットフォームの研究開発」について、東京大学、埼玉大学、ティアフォーと2018年以降共同開発してきた。
2. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期業績は売上高で前期比6.7%増の15,440百万円、経常利益で同15.6%減の1,530百万円を見込んでいる。売上高は、LSI開発販売関連が前期比5.7%増の14,640百万円、新規事業関連が同28.6%増の800百万円と増収基調が続く見通し。一方、利益面では新規事業関連の損失が縮小する見通しなものの、LSI開発販売関連が仕入コストの上昇と製品ミックスの変化による原価率上昇により減益を見込んでいる。前提となるパチンコ・パチスロ市場は前期の158万台から150万台に減少する保守的な前提となっている。主要遊技機メーカー各社の見通しではスマスロをけん引役として前期比で若干増加するとの見方が多い。このため、今後の各社の販売状況次第では上振れする可能性も十分あると弊社では見ている。前期末のLSI開発販売関連の受注残高が24,184百万円と大幅に積み上がっており、このうち2025年3月期納品予定分が100億円弱程度と見られ、今期売上計画分については既に受注済みとなっている。一方、新規事業関連では引き続き機会学習/AI領域での開発支援案件やロイヤリティ収入の増加を見込んでいるほか、M&A・アライアンス戦略による事業拡大も推進していく計画となっている。
3. 今後の成長戦略
同社は今後の成長戦略として、LSI開発販売関連を安定的な収益を獲得するキャッシュ・カウ事業と位置付け、成長ポテンシャルの高い機械学習/AI、Web3.0領域などの新規事業関連にリソースを投下していくことで、高成長を目指す方針を打ち出している。2023年5月にはAI音声認識ライブラリ「ailia AI Speech」をリリースし、自動音声入力ソリューションの拡販活動を開始したほか、同年5月にはWeb3.0関連の要素技術を取り入れたコンテンツ流通基盤ソリューションを展開する(株)&DC3及びその親会社のセルシス<3663>と戦略的パートナーシップを締結した。同社が保有するアプリケーション暗号化技術を使用したライセンス管理ソリューションを共同開発し、&DC3のコンテンツ流通基盤に組み込むことで、同プラットフォームのセキュリティ向上を図り、幅広いコンテンツの流通を可能とすることで、Web3.0ベースの流通プラットフォームの価値を高めていく戦略で、今後も高いセキュリティ技術を強みとしてWeb3.0領域への展開を進めていく予定だ。新規事業関連については順調に進めば2025年3月期にも黒字化が見込まれそうだ。AI、Web3.0領域ともに潜在需要は大きいだけに競争も激しいが、同社がLSI開発販売関連で長年蓄積してきた技術力やノウハウを生かし、M&A・アライアンス戦略なども活用していくことで高成長を実現する可能性はあると弊社では見ている。
■Key Points
・2023年3月期業績はパチンコ・パチスロ機向け半導体需要の拡大により連続2ケタ増収増益を達成
・2024年3月期は製品ミックスの変化と仕入コストの上昇により増収減益を見込むも保守的な印象
・パチンコ・パチスロ機向け事業を安定収益源としたAIソリューション企業として飛躍的成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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