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テックポイント・インクのニュース
*13:53JST テックポイント Research Memo(3):車載カメラ分野は新機種向け・新規顧客向けの受注獲得で出荷増
■業績動向
1. 2023年12月期業績の概要(米国基準)
テックポイント・インク<6697>の2023年12月期業績(米国基準)は、売上高65,645千米ドル(9,310百万円:前期比0.9%増)、営業利益18,025千米ドル(2,556百万円:同6.8%減)、税引前当期純利益20,137千米ドル(2,856百万円:同2.8%増)、同社株主に帰属する当期純利益17,809千米ドル(2,525百万円:同0.8%増)となった。財政状態、財務業績、キャッシュ・フロー、その他を対象とする指標であり、米国で広く浸透しているNon-GAAP指標(株式報酬費用控除前の当期純利益)は19,182千米ドル(2,720百万円:同0.6%減)だった。なお、同社は一時的な変動要素と非現金損益項目のなかで、株式報酬費用のみをNon-GAAP指標の調整項目としている。
監視カメラ・車載カメラ両分野でメーカー過剰在庫が半導体部品の追加調達を抑制する向かい風の事業環境が続くなか、車載カメラシステム市場向け半導体製品の売上高は、上期こそ在庫調整の影響を受けたものの、下期において車載カメラシステム市場向けの新規案件を複数受注し量産移行した効果により出荷数が増加、前期比15.9%の増収となった。一方、監視カメラシステム市場向け半導体製品の売上高は、顧客の在庫調整による出荷数の減少と製品構成の変化による平均売価の低下により、前期比21.5%の減収となっている。監視カメラシステム市場向け半導体製品の売上の落ち込み分を車載カメラシステム市場向け半導体製品の増収によってカバーしたことから、全体の売上高としては前期比微増という結果となった。最大手の半導体ファウンドリー企業であるTSMCの2023年通期の売上高が2兆1,617億台湾元(前期比4.5%減)、大手ファウンドリー企業のUMCの2023年通期の売上高が2,225億台湾元(同20.2%減)と苦戦する半導体業界にあって、同社は自己の持てるアナログ・デジタル混載技術等を武器に完成品メーカーへの要求に柔軟に対応することで、顧客の開拓や新製品の売り込みを行い、その成果として微増ながらも前期比増収を果たせたことは評価されるべきであろう。
売上原価は前期比1,842千米ドル(同6.3%)増加した。また、平均販売価格の低下と製品構成の変化に伴い、売上総利益率は前期の55.2%から52.7%に低下した。研究開発費は前期比621千米ドル(同8.0%)減少した。これは主に、新製品試作のテープアウト及びデザイン費用は1.3百万米ドル減少した一方で、人件費が0.4百万米ドル、及びソフトウェア費用が0.1百万米ドル増加したことが要因である。販売費及び一般管理費は同664千米ドル(同7.6%)増加したが、主に専門家費用0.3百万米ドル、人件費0.3百万米ドル、その他一般管理費0.2百万米ドルの増加と株式報酬費用0.2百万米ドルの減少によるものである。
2. 監視カメラシステム
監視カメラシステム市場向け半導体製品の売上高は20,476千米ドルと、前期比21.5%減(前期は26,098千米ドル)だった。監視カメラメーカーが多く所在する中国本土において、メーカーの過剰在庫による在庫調整が続いていることが影響した。同社では、下期以降は徐々に回復傾向になると期初に予想していたが、過剰在庫問題が想定以上に重症であったことから、2024年12月期第1~2四半期まで調整が長引く可能性もあると予想している。
3. 車載カメラシステム
車載カメラシステム市場向け半導体の売上高は45,169千米ドルと、前期比15.9%増(前期は38,985千米ドル)だった。メーカーの在庫調整により市場全体は低調に推移しているが、同社においては、新規顧客の開拓や既存顧客への新機種向けなどの受注による出荷数増加が功を奏し、製品構成の変化による平均販売価格低下の影響をカバーして増収を確保した。同社の半導体は、BYD Auto純正のドライブレコーダー、カーナビ、サラウンド・ビューモニターに採用されており、BYDからの新機種向けの受注が中国市場での出荷の伸びに大きく貢献した。BYDとの取引が中国での新規顧客獲得の呼び水となっており、今後は電子ミラーやモバイルDVR製品などの車載カメラシステム市場の新しい分野においても、大きな成長が見込まれると弊社では考えている。
4. 四半期ごとの業績推移
四半期ごとの業績推移では、2023年12月期の第1四半期及び第2四半期の売上高はそれぞれ14,142千米ドル、15,298千米ドルと、監視カメラシステム市場向け、車載カメラシステム市場向け半導体いずれも販売先の在庫調整に伴う需要減少を受け低調な推移を見せた。第3四半期以降は主に車載カメラシステム市場向け半導体の売上増が業績を牽引し、第3四半期の売上高は17,511千米ドル、第4四半期の売上高は18,694千米ドルと上昇傾向にあり、過去最高の四半期売上高を更新した。弊社としては今後も、監視カメラシステム市場向け半導体については厳しい状況が続く一方で、車載カメラシステム市場向け半導体については好調が続き、同社の業績を牽引すると見ている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<SI>
1. 2023年12月期業績の概要(米国基準)
テックポイント・インク<6697>の2023年12月期業績(米国基準)は、売上高65,645千米ドル(9,310百万円:前期比0.9%増)、営業利益18,025千米ドル(2,556百万円:同6.8%減)、税引前当期純利益20,137千米ドル(2,856百万円:同2.8%増)、同社株主に帰属する当期純利益17,809千米ドル(2,525百万円:同0.8%増)となった。財政状態、財務業績、キャッシュ・フロー、その他を対象とする指標であり、米国で広く浸透しているNon-GAAP指標(株式報酬費用控除前の当期純利益)は19,182千米ドル(2,720百万円:同0.6%減)だった。なお、同社は一時的な変動要素と非現金損益項目のなかで、株式報酬費用のみをNon-GAAP指標の調整項目としている。
監視カメラ・車載カメラ両分野でメーカー過剰在庫が半導体部品の追加調達を抑制する向かい風の事業環境が続くなか、車載カメラシステム市場向け半導体製品の売上高は、上期こそ在庫調整の影響を受けたものの、下期において車載カメラシステム市場向けの新規案件を複数受注し量産移行した効果により出荷数が増加、前期比15.9%の増収となった。一方、監視カメラシステム市場向け半導体製品の売上高は、顧客の在庫調整による出荷数の減少と製品構成の変化による平均売価の低下により、前期比21.5%の減収となっている。監視カメラシステム市場向け半導体製品の売上の落ち込み分を車載カメラシステム市場向け半導体製品の増収によってカバーしたことから、全体の売上高としては前期比微増という結果となった。最大手の半導体ファウンドリー企業であるTSMCの2023年通期の売上高が2兆1,617億台湾元(前期比4.5%減)、大手ファウンドリー企業のUMCの2023年通期の売上高が2,225億台湾元(同20.2%減)と苦戦する半導体業界にあって、同社は自己の持てるアナログ・デジタル混載技術等を武器に完成品メーカーへの要求に柔軟に対応することで、顧客の開拓や新製品の売り込みを行い、その成果として微増ながらも前期比増収を果たせたことは評価されるべきであろう。
売上原価は前期比1,842千米ドル(同6.3%)増加した。また、平均販売価格の低下と製品構成の変化に伴い、売上総利益率は前期の55.2%から52.7%に低下した。研究開発費は前期比621千米ドル(同8.0%)減少した。これは主に、新製品試作のテープアウト及びデザイン費用は1.3百万米ドル減少した一方で、人件費が0.4百万米ドル、及びソフトウェア費用が0.1百万米ドル増加したことが要因である。販売費及び一般管理費は同664千米ドル(同7.6%)増加したが、主に専門家費用0.3百万米ドル、人件費0.3百万米ドル、その他一般管理費0.2百万米ドルの増加と株式報酬費用0.2百万米ドルの減少によるものである。
2. 監視カメラシステム
監視カメラシステム市場向け半導体製品の売上高は20,476千米ドルと、前期比21.5%減(前期は26,098千米ドル)だった。監視カメラメーカーが多く所在する中国本土において、メーカーの過剰在庫による在庫調整が続いていることが影響した。同社では、下期以降は徐々に回復傾向になると期初に予想していたが、過剰在庫問題が想定以上に重症であったことから、2024年12月期第1~2四半期まで調整が長引く可能性もあると予想している。
3. 車載カメラシステム
車載カメラシステム市場向け半導体の売上高は45,169千米ドルと、前期比15.9%増(前期は38,985千米ドル)だった。メーカーの在庫調整により市場全体は低調に推移しているが、同社においては、新規顧客の開拓や既存顧客への新機種向けなどの受注による出荷数増加が功を奏し、製品構成の変化による平均販売価格低下の影響をカバーして増収を確保した。同社の半導体は、BYD Auto純正のドライブレコーダー、カーナビ、サラウンド・ビューモニターに採用されており、BYDからの新機種向けの受注が中国市場での出荷の伸びに大きく貢献した。BYDとの取引が中国での新規顧客獲得の呼び水となっており、今後は電子ミラーやモバイルDVR製品などの車載カメラシステム市場の新しい分野においても、大きな成長が見込まれると弊社では考えている。
4. 四半期ごとの業績推移
四半期ごとの業績推移では、2023年12月期の第1四半期及び第2四半期の売上高はそれぞれ14,142千米ドル、15,298千米ドルと、監視カメラシステム市場向け、車載カメラシステム市場向け半導体いずれも販売先の在庫調整に伴う需要減少を受け低調な推移を見せた。第3四半期以降は主に車載カメラシステム市場向け半導体の売上増が業績を牽引し、第3四半期の売上高は17,511千米ドル、第4四半期の売上高は18,694千米ドルと上昇傾向にあり、過去最高の四半期売上高を更新した。弊社としては今後も、監視カメラシステム市場向け半導体については厳しい状況が続く一方で、車載カメラシステム市場向け半導体については好調が続き、同社の業績を牽引すると見ている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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