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*16:18JST フルテック Research Memo(8):成長の3本軸で事業領域を拡大する
■フルテック<6546>の中長期の成長戦略
同社は、水平・垂直・“プラスα”の3本の成長軸での成長戦略を描いている。水平方向への成長戦略とは、市場領域の拡大だ。大きな市場を抱える東京を中心とした関東地区におけるシェアアップ及び中部・西日本地区など販売・保守サービス拠点の未進出エリアへの事業拡大を目指す。首都圏では、大型ビル・商業施設での受注増加に伴い会社の認知度も高まってきている。2021年1月に進出した九州地区においても着実に実績を積み上げており、そこでの成功体験を横展開していく。そのためには、同社だけの経営資源では限界があり、同業他社のM&Aなどにより面展開していくことも想定している。
垂直方向への成長戦略とは、ビジネス領域の拡大だ。ストック市場の開拓及び商品開発力の強化を目指す。ストック市場であるリニューアルにおいては、需要掘り起こしのためエンドユーザーとの「つながり」を創出、強化する施策に取り組み、取替台数7,000台の早期達成を目指す。戦略として、リニューアル営業人員の強化、ビル管理会社への営業強化、トータルリニューアルの推進を実施する方針である。トータルリニューアルとは、自動ドア駆動装置、建具、セキュリティシステムなどを別々に個別リニューアルするのではなく、一つの自動ドアユニットとしてリニューアル受注する形態だ。現在も顧客ニーズに応じて積極的に推進しているが、2023年12月期は、自動ドアと建具のリニューアル売上高2,950百万円のうちトータルリニューアルが533百万円となった。近年、自動ドアの用途は、ハンズフリーの自動開閉のみならず、バリアフリーなど障害者対応、省エネ、防犯、防火、防音など多岐にわたっており、これらの用途にマッチした商品開発力の強化は、トータルリニューアルの推進に不可欠であろう。
また、メンテナンスにおいては、戦略として、保守契約率の向上、保守契約先以外の約21万台へのアプローチの強化、IoT活用によるローコストで効率的なメンテナンス体制の構築に取り組む方針だ。特にIoT技術の活用により、24時間365日遠隔モニタリング、年1回の定期点検を実現した保守点検サービス「Fi-R」の拡大を目指す。同社にとっては、保守要員の生産性向上、労務コストの低減、ひいては収益力の強化につながる施策だ。そのほか、保守要員にウェアラブルカメラを装着させ、現場での修理・点検作業について札幌のコールセンターの技術者から指示を受ける取り組みもスタートし、保守要員の早期戦力化、保守サービスの効率化に取り組んでいる。
“プラスα”の成長軸とは、新たな事業領域の拡大だ。新たな価値を付加した自動ドアの提案や、自動ドア以外の新商品の開拓を目指す。同社では、これまでも他社との共同開発により、「eメディアドア」(画像解析AIと自動ドアとの組合せ)や「ソーシャル アイ」(インフォメーション機能を備えた非接触バリアフリートイレドアスイッチ)など、新機能を備えた新商品を提供してきた。同社では、商品開発の内製化を進めることを考えており、M&Aなどによる展開を想定している。その戦略の第一歩がワイズ・コーポレーションの連結子会社化だ。ワイズ・コーポレーションは保管庫セキュリティシステムや遠隔操作・監視・制御技術を有しており、同社の自動ドア及び関連商品の開発内製化を可能にする。また、同社のエンドユーザーとなる施主やビル管理会社などに対して宅配ボックスやオフィスのパーソナルロッカーなどの販売、セキュリティの強化提案などワイズ・コーポレーションの商品・技術の提供が可能となる。すでに、エンドユーザーの一部から制御機能にかかる技術的な要請を受けており、コラボレーションはスタートしているようだ。同社は2024年6月1日付でM&A推進室を新設しており、今後“プラスα”の成長軸を見越したM&Aの検討が加速することになりそうだ。
一方、成長戦略を進めていく上で課題となるのは、充分な人材の確保と育成であろう。同社グループの従業員735名(2024年第2四半期末)のうち約300名は施工・保守サービスを行う技術サービス部のスタッフであり、ストック市場をベースに継続的に成長するためには、技術スタッフの確保は必要不可欠だ。また、リニューアル営業担当者の確保も不可欠となる。2024年12月期は新人採用11名のほか、キャリア採用を34名と前期から増やした。新人採用が厳しくなる中で、キャリア採用を重視した格好だ。同社では、この課題に対して「健康経営」に注力しており、社員1人ひとりのエンゲージメント向上を重点施策に掲げ取り組んでいる。2024年も前年に続き「健康経営優良法人(大規模法人部門)2024」に認定された。2024年12月期には地域別職種別手当の新設、転勤者に対する優遇策の実施、人事考課及び人事評価制度の改善を図ることとしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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同社は、水平・垂直・“プラスα”の3本の成長軸での成長戦略を描いている。水平方向への成長戦略とは、市場領域の拡大だ。大きな市場を抱える東京を中心とした関東地区におけるシェアアップ及び中部・西日本地区など販売・保守サービス拠点の未進出エリアへの事業拡大を目指す。首都圏では、大型ビル・商業施設での受注増加に伴い会社の認知度も高まってきている。2021年1月に進出した九州地区においても着実に実績を積み上げており、そこでの成功体験を横展開していく。そのためには、同社だけの経営資源では限界があり、同業他社のM&Aなどにより面展開していくことも想定している。
垂直方向への成長戦略とは、ビジネス領域の拡大だ。ストック市場の開拓及び商品開発力の強化を目指す。ストック市場であるリニューアルにおいては、需要掘り起こしのためエンドユーザーとの「つながり」を創出、強化する施策に取り組み、取替台数7,000台の早期達成を目指す。戦略として、リニューアル営業人員の強化、ビル管理会社への営業強化、トータルリニューアルの推進を実施する方針である。トータルリニューアルとは、自動ドア駆動装置、建具、セキュリティシステムなどを別々に個別リニューアルするのではなく、一つの自動ドアユニットとしてリニューアル受注する形態だ。現在も顧客ニーズに応じて積極的に推進しているが、2023年12月期は、自動ドアと建具のリニューアル売上高2,950百万円のうちトータルリニューアルが533百万円となった。近年、自動ドアの用途は、ハンズフリーの自動開閉のみならず、バリアフリーなど障害者対応、省エネ、防犯、防火、防音など多岐にわたっており、これらの用途にマッチした商品開発力の強化は、トータルリニューアルの推進に不可欠であろう。
また、メンテナンスにおいては、戦略として、保守契約率の向上、保守契約先以外の約21万台へのアプローチの強化、IoT活用によるローコストで効率的なメンテナンス体制の構築に取り組む方針だ。特にIoT技術の活用により、24時間365日遠隔モニタリング、年1回の定期点検を実現した保守点検サービス「Fi-R」の拡大を目指す。同社にとっては、保守要員の生産性向上、労務コストの低減、ひいては収益力の強化につながる施策だ。そのほか、保守要員にウェアラブルカメラを装着させ、現場での修理・点検作業について札幌のコールセンターの技術者から指示を受ける取り組みもスタートし、保守要員の早期戦力化、保守サービスの効率化に取り組んでいる。
“プラスα”の成長軸とは、新たな事業領域の拡大だ。新たな価値を付加した自動ドアの提案や、自動ドア以外の新商品の開拓を目指す。同社では、これまでも他社との共同開発により、「eメディアドア」(画像解析AIと自動ドアとの組合せ)や「ソーシャル アイ」(インフォメーション機能を備えた非接触バリアフリートイレドアスイッチ)など、新機能を備えた新商品を提供してきた。同社では、商品開発の内製化を進めることを考えており、M&Aなどによる展開を想定している。その戦略の第一歩がワイズ・コーポレーションの連結子会社化だ。ワイズ・コーポレーションは保管庫セキュリティシステムや遠隔操作・監視・制御技術を有しており、同社の自動ドア及び関連商品の開発内製化を可能にする。また、同社のエンドユーザーとなる施主やビル管理会社などに対して宅配ボックスやオフィスのパーソナルロッカーなどの販売、セキュリティの強化提案などワイズ・コーポレーションの商品・技術の提供が可能となる。すでに、エンドユーザーの一部から制御機能にかかる技術的な要請を受けており、コラボレーションはスタートしているようだ。同社は2024年6月1日付でM&A推進室を新設しており、今後“プラスα”の成長軸を見越したM&Aの検討が加速することになりそうだ。
一方、成長戦略を進めていく上で課題となるのは、充分な人材の確保と育成であろう。同社グループの従業員735名(2024年第2四半期末)のうち約300名は施工・保守サービスを行う技術サービス部のスタッフであり、ストック市場をベースに継続的に成長するためには、技術スタッフの確保は必要不可欠だ。また、リニューアル営業担当者の確保も不可欠となる。2024年12月期は新人採用11名のほか、キャリア採用を34名と前期から増やした。新人採用が厳しくなる中で、キャリア採用を重視した格好だ。同社では、この課題に対して「健康経営」に注力しており、社員1人ひとりのエンゲージメント向上を重点施策に掲げ取り組んでいる。2024年も前年に続き「健康経営優良法人(大規模法人部門)2024」に認定された。2024年12月期には地域別職種別手当の新設、転勤者に対する優遇策の実施、人事考課及び人事評価制度の改善を図ることとしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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