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木村化工機のニュース
―決算発表が一巡、向かい風強まるなかで上方修正に踏み切った上値期待の好実態株に照準―
3月期決算企業による24年4~9月期の決算発表がおおむね出揃った。上期決算では第1四半期の好調な業績が持続できるかにマーケットの注目が集まったが、中国経済の低迷などで苦戦を強いられ、直近3ヵ月の7~9月期(第2四半期)は半数以上が経常利益段階で前年同期比マイナスに沈んだ。製造業を中心に業績見通しを下方修正する企業が散見される一方、銀行や鉄道、半導体関連の一角などでは通期予想を引き上げる動きが多くみられた。折り返し地点にあたる上期決算時点で先行きに自信を示した企業は、一段の業績上振れや来期の収益拡大も期待できる有力株として注目される。今回は直近で通期予想の上方修正に踏み切った企業のうち、株価指標面で割安感が強く、上値が期待できそうな銘柄を探った。
●業績の好不調が二極化する傾向に
10月1日から11月22日までに25年3月期通期の業績見通しを修正した企業を集計したところ、経常利益(米国会計基準と国際会計基準は税引き前利益)予想を引き上げた企業は408社に上った。昨年の同時期より劣るものの、世界景気の減速懸念や変動の激しい為替相場などを考慮して先行きに慎重姿勢をみせていた企業が多かったこともあり、およそ5社に1社が上方修正した格好だ。業種別に見ると、貸出金利の上昇などで資金利益が伸びた銀行業のほか、インバウンドや国内観光需要を捉えた鉄道、AI(人工知能)需要の高まりが追い風となった半導体製造装置や素材メーカーなどに上方修正した企業が目立つ。
一方、期初に立てた業績予想が下振れする見通しを示した企業も多く、22日までに281社が通期の経常利益予想を下方修正している。中国や欧州の景気低迷に伴う需要の減退に加え、為替相場が急速に円高方向に振れたことが逆風となった輸送用機器や電気機器、鋼材市況の悪化が重荷となった鉄鋼業などに業績見通しを引き下げる動きがみられた。
●投資妙味膨らむ中小型株にスポット
東京株式市場ではトランプ米次期政権の政策への警戒感から主力大型株に海外リスクが意識されるなか、出遅れ感のある中小型株に見直し機運が高まりつつある。今回は通期業績見通しを大幅に上方修正した銘柄のうち、株価指標面に割安感のある中小型株に注目。以下では、25年3月期の経常利益予想を上方修正した企業のなかから、予想PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)の水準が低く、投資妙味の膨らむ好業績バリュー株を6銘柄ピックアップした。
【中国塗料 <4617> [東証P]】
中国塗は船舶用で世界トップクラスのシェアを有する塗料メーカー。4~9月期は新造船向けの大型案件で大幅に拡大した韓国を中心に販売を伸ばしたほか、販売価格の適正化や高付加価値品の販売増加で収益性が改善した。更に海外における原材料調達コストの低下や円安効果もプラスに働き、売上高、経常利益ともに上期ベースの過去最高を達成。好調な業績を踏まえ、通期の経常利益予想を2期連続の最高益となる152億円(前期比16.7%増)に引き上げ、配当も従来予想比4円増の年85円(前期は80円)に増額修正した。株価は好決算を受けて上場来高値圏に浮上したが、目先は利益確定売りに押される形で調整含みにある。予想PER9倍台、配当利回り3%超と指標面に割高感はなく、押し目買い候補として注視したい。
【住友理工 <5191> [東証P]】
住友理工はエンジンなどの振動を抑える自動車用防振ゴムの世界トップメーカー。前期は半導体不足の解消による自動車生産台数の増加や円安進行が追い風となり、税引き前利益308億500万円(前の期比2.1倍)と過去最高益を大幅に更新した。今期の同利益は期初段階で260億円に落ち込む計画だったが、上期の好決算を踏まえて328億円(前期比6.5%増)へ上方修正すると発表。原価低減や経費支出の抑制が進んでいることを織り込み、一転して連続最高益を見込む。配当も従来予想比15円増の年53円(前期は36円)に積み増した。自動車の販売不振で減益を強いられる部品メーカーも多いなか、業績上方修正に踏み切ったことが評価され、株価は8日に約16年9ヵ月ぶりの高値をつけたが、予想PER7倍台、PBR0.8倍近辺と割安で更なる上値に期待したいところだ。
【いよぎんホールディングス <5830> [東証P]】
いよぎんHDは伊予銀行を中核に、いよぎんリース、いよぎん保証などを擁する金融グループ。中期経営計画では27年3月期末までに政策保有株式を250億円削減する方針を示し、総還元性向50%以上の目標を掲げる。足もとの業績は好調で上期の決算発表と同時に、有価証券関係損益が想定より膨らむことを反映する形で、通期の経常利益見通しを前期比22.9%増の720億円に上方修正した。従来予想(21.5%減)を上回り、一転して最高益を更新する見通しだ。あわせて、70億円規模の自社株買いを実施することも発表。好決算や株主還元の強化を受け、株価は8日に上場来高値1694円まで上値を伸ばしたものの、その後は軟調な展開となっている。27日からは自社株の取得期間に入ることから、需給面での下支え効果による反転上昇が期待される。
【ヤマックス <5285> [東証S]】
ヤマックスは九州最大の土木用・建築用コンクリート二次製品メーカー。本社を置く熊本県内では半導体関連産業の集積に伴う用地整備や工場建設、住宅供給などの設備投資が多く計画されるほか、防衛省関連案件も増加基調にあるなど、事業環境は良好だ。上期業績は自社製造品の割合増加による利益率の改善に加え、徹底した工場操業度の平準化によるコストダウンが進み、売上高100億900万円(前年同期比16.6%増)、経常利益11億9200万円(同71.5%増)といずれも上期の過去最高を大幅に塗り替えた。足もとの好調な受注状況も踏まえ、通期の業績見通しと配当予想を増額修正している。株価は半年ぶりの高値圏に急浮上したが、株価指標は予想PER8倍前後、配当利回り3.6%台と割安水準にあり、見直し余地は大きいとみられる。
【NCD <4783> [東証S]】
NCDは独立系のシステムインテグレーターで駐輪場の管理・運営も展開するユニークな業態のIT企業。前期はシステム分野で従来型SIビジネスから付加価値の高いサービス提供型への転換を進めたうえ、コロナ禍で大きな打撃を受けたパーキングシステムでは構造改革が進展し、収益性が大きく改善した。今期はIT関連事業で保険会社向け案件を中心に業務領域が拡大し、パーキングシステム事業も駐輪場の料金改定などで利用料収入が好調だ。上期決算発表とあわせて最高益予想だった通期の経常利益を27億円(前期比26.2%増)に上乗せし、配当も従来計画の年54円から66円(前期は50円)へ増額修正した。株価は2015年8月以来の高値圏を舞う展開にあるが、予想PERは10倍台と割安で一段の上値期待は大きい。
【木村化工機 <6378> [東証S]】
木村化は化学プラントの設計・製作・据付工事・メンテナンスまでを一貫で行う総合エンジニアリング企業。省エネ技術に強く脱炭素に向けた環境対応ニーズを捉えるほか、核燃料の輸送容器や濃縮関連機器、放射性廃棄物処理装置なども展開しており、原子力発電関連としても注目度が高い。4~9月期業績は大型の工事進行基準案件が想定以上に進捗したことに加え、工程の見直しなどで原価率も改善し、期初計画を大きく上回って着地した。業績上振れに伴い、通期の経常利益を27億7000万円と減益予想だった前回の2倍近くに大幅上方修正。3期ぶりのピーク益更新を見込み、配当も従来予想比12円増の年30円(前期は25円)に積み増した。株価は急騰後に1000円近辺でもみ合うが、予想PER10倍近辺は過去の水準と比較しても割安感が強く上昇余力は十分にありそうだ。
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