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藤商事 Research Memo(1):新機種の稼動力に手応え、2025年3月期業績は上振れ余地あり

配信元:フィスコ
投稿:2024/12/12 16:11
*16:11JST 藤商事 Research Memo(1):新機種の稼動力に手応え、2025年3月期業績は上振れ余地あり ■要約

藤商事<6257>は、パチンコ・パチスロ遊技機の中堅メーカーで、新規性のある演出の企画開発力に定評がある。若年層向けに「アニメ」「萌え」のほか、「ホラー」のIPを活用した機種開発に注力している。無借金経営で手元キャッシュは220億円超と潤沢にあり、財務の健全性は高い。

1. 2025年3月期中間期の業績概要
2025年3月期中間期(2024年4月〜9月)の連結業績は、売上高が前年同期比37.3%増の25,114百万円、営業利益が同121.6%増の5,725百万円と大幅増収増益となった。パチスロ遊技機の販売台数が同40.6%減の10.0千台と減少したものの、新規タイトルを4機種投入したパチンコ遊技機が同85.2%増の53.4千台と伸長したことが増収要因となった。新機種の販売はいずれも順調で、特に「P貞子」については稼働週が伸び、計画を上回る販売台数を達成した。パチスロ遊技機の下取り回収を戦略的に強化したことで売上総利益率は同2.7ポイント低下したものの、増収効果や研究開発費の減少等により営業利益は大幅増益となった。なお、下取り回収を増やしたことで、下期以降に投入されるパチスロ遊技機は部材のリユース率が高まり、原価率低減が見込まれる。

2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の業績は売上高が前期比0.0%増の37,000百万円、営業利益が同2.4%増の5,000百万円と期初計画を据え置いた。販売台数はパチンコ遊技機で同18.0%増の72.0千台、パチスロ遊技機で同38.4%減の18.0千台を計画している。パチスロ遊技機については同社の主力タイトルとなった「とある」シリーズの第3弾「スマスロ 一方通行 とある魔術の禁書目録」を第3四半期に投入予定で、通期の販売台数は計画を若干上回る可能性が高い。一方、パチンコ遊技機は若者世代をターゲットに開発した「P世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する」を第4四半期に投入するほか、シリーズ後継機種の販売により計画達成を目指す。費用面では研究開発費が下期に増加する予定だが、売上総利益率の改善効果もあり、通期業績は計画を上振れする可能性があると弊社では見ている。

3. 成長戦略
同社では「とある魔術の禁書目録」「とある科学の超電磁砲」のように若者世代に人気のあるコンテンツの版権を積極的に取得し、人気機種に育て上げている。今後も顧客に支持され、パチンコホールの集客力向上につながる魅力的な機種を開発し続けることで、業界全体が伸び悩むなかでも市場シェアを拡大し収益成長を目指す。パチンコ遊技機では現在7%前後のシェアを10%以上に、パチスロ遊技機では3%台のシェアを5%以上に引き上げることを当面の目標としている。特に、パチスロ遊技機では年間2タイトルの投入ペースを2026年3月期以降は3タイトル以上に増やすべく開発ラインを増強した。パチンコ遊技機では、現在もレギュレーション変更によるゲーム性の拡大やスマパチ優遇に特化した新たな検討もされており、ゲーム性の向上によりパチンコ遊技機もスマート遊技機の普及が加速する可能性があり、開発力に定評のある同社にとっては収益を拡大する好機になると弊社では見ている。

4. 株主還元策について
同社は配当方針として1株当たり50.0円を下限とし、業績連動部分として連結配当性向30%以上を目標としている。これにより2025年3月期の1株当たり配当金は、前期と同額の55.0円(配当性向31.1%)を予定している。同社の株価はPBRで1倍を下回っているが、今後も経常利益で30億円以上の水準を継続し(株主資本コストを上回るROE)、配当方針の継続や流通株式比率の向上、IR活動の強化に取り組むことで企業価値を高めていく考えだ。

■Key Points
・2025年3月期中間期は新機種の販売が順調で大幅増収増益に
・業界全体が緩やかな縮小傾向を辿るなか、スマート遊技機の開発力が成長のカギを握る
・2025年3月期業績は期初計画を据え置くも上振れ余地あり
・経常利益30億円以上を継続する経営基盤の構築と株主還元の充実、IR活動強化によって企業価値の向上を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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配信元: フィスコ
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