キャリア、今期は増収減益の見込み 市場の追い風を受けながら、シニアケア事業は医療系人材ニーズ対応に注力

2024年9月期決算概要・決算トピックス

川嶋一郎氏：株式会社キャリア代表取締役会長兼社長の川嶋です。この度は、当社2024年9月期決算説明会の動画をご覧いただき、誠にありがとうございます。

さっそくですが、決算説明を始めます。まずは、2024年9月期の決算トピックスです。

外部環境では、人手不足感の強まりから人材派遣の需要が高まっています。特に、ITエンジニアなどIT関連職や介護職の需要が高まっており、当社としても、主にシニアケア事業への強い追い風になると考えています。

2024年9月期はシニアワーク事業の落ち込みが激しく、減収減益となっている一方で、シニアケア事業は堅調に成長を続け、増収となっています。介護施設向けの派遣事業など、オーガニックの売上は引き続き好調です。

2024年9月期決算概要・連結業績推移

グループの売上高は167億900万円、営業利益は4億2,800万円、親会社株主に帰属する当期純利益は2億4,900万円となり、前年同期比では減収減益となりました。

2024年9月期決算概要・売上及び利益

大幅な減益の要因は、シニアワーク事業の落ち込みに加え、当期では収束していますが、利益率の高い新型コロナウイルスワクチン特需の売上による影響や、前期に一時的に発生した派遣スタッフの社会保険料の想定以上の戻りによる影響が大きいと考えています。

2024年9月期決算概要・貸借対照表比較

2024年9月期の財政状態です。自己資本比率が7.9ポイント上昇し、44.7パーセントとなりました。大きな要因は、借入金を約2億円返済したことによる有利子負債の減少です。

純資産が減少している大きな要因は、連結子会社である株式会社キューボの株式を追加取得したことによる資本剰余金及び非支配株主分の減少です。

しかし、前期末と比べて利益剰余金が2億2,800万円増加していることから、純資産の減少幅は軽微なものとなっています。

2024年9月期決算概要・シニアケア事業売上高

事業別の業績概要です。シニアケア事業の売上高は前期比107.7パーセントの141億4,400万円で、増収となりました。

前期の売上構成には新型コロナウイルスワクチン特需が含まれていますが、今期はオーガニックの売上のみで、特需の影響がないものだけとなります。その結果、売上高は前期を上回り、オーガニックの売上高のみで比較すると、約119パーセントの増収となっています。

2024年9月期決算概要・シニアワーク事業売上高

シニアワーク事業の売上高は前期比55.1パーセントの25億6,500万円で、大幅な減収となりました。

前期の売上高の大半を占めていた新型コロナウイルスワクチン特需案件がなくなり、シニアケア事業と同様、もともとオーガニックの強化を目指していましたが、シニアワーク事業においては予定どおり推移せず、スライドに記載したとおりの結果となりました。

具体的な要因としては、第2四半期決算説明会にもご説明したとおり、中長期的にコールセンター派遣事業からBPO請負事業にシフトするため、コールセンター派遣事業のリソースをBPO事業にシフトしていました。しかし、BPO事業がうまく立ち上がらなかったことが要因となり、その影響が期末まで引きずったためです。

今後は既存事業にリソースを戻し、現状の需要を確実に確保しつつ、堅調な成長を取り戻す方向で動いています。

2025年9月期業績予想・業績予想

2025年9月期の業績予想です。アフターコロナの中、経済活動活性化の動きが見られていることと、円安などの影響によってインバウンド需要が増加すると考えており、周辺業務のニーズも増加してきています。

おかげさまで底堅い状況ではないかと思っており、その追い風をもって推移していくと予想していることから、増収増益を見込んでいます。

具体的な取り組み施策として、シニアワーク事業では引き続きオーガニックに注力し、堅調な成長を推移させていきます。また、以前から実施している障がい者雇用支援サービスをさらに成長させていきたいと考えています。

シニアケア事業では、新型コロナウイルスワクチン接種業務で開拓に成功した医師・看護師のダブルワーカー等を活用したスポット的に発生する医療系人材ニーズに対応することで、人材の幅を増やしています。

それによって、より広域の介護施設や医療施設への人材マッチングを可能にしており、市場の追い風を受けながら、引き続き成長させていきます。

市場環境及び成長戦略・売上の成長イメージ

キャリアグループの売上の成長イメージです。今後は、特に医療や介護の分野により多く投資し、成長を加速させていくことでシェアを拡大します。

また、これまでは全国の施設に人材を提供していましたが、今後は人材以外のサービスも提供することを目指しており、引き続き、医療や介護の人手不足問題に貢献していければと思っています。

今後はシニアの就労だけでなく、医療や介護領域におけるマーケットプレゼンスを高めていきたいと考えています。

市場環境及び成長戦略・2030年の人手不足の展望

2030年の労働市場における、業界別の人手不足の予測です。スライドの右から2番目のグラフが、当社のシニアケア事業の領域である医療・福祉の数値であり、2030年には約187万人が人手不足になると予測されています。

市場環境及び成長戦略・新規事業「メディカルシェア」（日々紹介）

2024年3月より、シニアケア事業の新サービスとして「メディカルシェア」を開始しました。このサービスの特徴は、看護師、薬剤師、登録販売者などと、雇用先となる福祉施設や医療現場をつなぐワークシェアリングです。

当事業は人材紹介と採用代行サービスを組み合わせた事業であり、人材の確保から応募、採用までを一貫して行うことで煩雑な採用管理の負担を軽減し、必要なタイミングで即戦力となるプロの人材を雇用することが可能となるサービスです。

当事業を通じて、福祉施設や医療業界の看護師、薬剤師、登録販売者のマッチングの機会を増やし、医療福祉業界が抱える人材不足問題に貢献できればと考えています。

以上で、2024年9月期の決算説明を終わります。誠にありがとうございました。