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【IRアナリストレポート】日進工具(6157)

著者:鈴木 行生
投稿:2023/05/25 10:54

~超硬小径エンドミルで業界No.1、新開発センターで市場開拓を加速~

・今期の会社計画は減益を見込んでいる。自動車関連の需要回復が金型に結びつくには少し時間を要しよう。スマホ需要に対する生産シフトもみられる。一方で、原材料費の値上がりはまだ続きそうである。昨年11月の受注分から主力製品の値上げを実施している。マーケットを見ながら慎重に判断したが、値上げは順調に浸透している。

・当社の高付加価値経営は、製品開発サイクルを「営業⇒開発⇒生産」と一体で回していく。営業を通して顧客からフィードバックされるニーズを製品開発に活かし、他にない製品やそれを作り込む装置を開発する。安定したバラツキのない生産を通して、高性能な製品を作り、営業がその製品価値を正しく顧客に伝えていく。

・もともと価格で勝負する領域には入らない方針である。情報と性能で勝負していく。開発センターで実際のニーズを捉え、新しい性能を追求する。例えば2枚刃を4枚刃にすることで、精度は向上し、寿命も長持ちする。顧客の加工時の生産性が上がれば、4枚刃の価格が高くても、トータルのコストは下がる。当社にとっても、高付加価値化が進む。

・開発面では、コーティングにおける「無限プレミアムPlus」の応用範囲を拡大している。①より固いものを削る、②より長持ちする、③より高い精度を出すことが基本であり、削り刃を増やして、コーティングで摩耗を減らすという方向にある。最先端の精密加工に焦点を当てている。

・日本機械工具工業会より、2022年度の「環境特別賞」を受賞した。GHG(温暖化ガス)排出量削減の実績が評価された。仙台工場を中心とした小集団活動「オレンジFC活動」の継続が成果を上げており、生産性の向上とコスト低減に結びついている。デトロイトに設立したNS TOOL USAの活動も本格化し、現地に在庫センター機能を持たせている。海外売上高に占める米国の比率は6%と低かったが、今後数年で大きく伸びよう。

・後藤社長の経営哲学は、利益率重視で規模は追わない。顧客が新製品の加工方法を開発している段階から関わっていく。需要が好転すれば、業績向上に弾みがついてこよう。グローバルな競争力は高まっている。ニッチな市場での高収益に引き続き注目したい。

目次
1.特色 超硬小径エンドミルで業界トップ
2.強み 一貫した集中と差異化で攻める
3.中期経営戦略 ユニークな精密・微細加工技術で内外の新市場を開拓
4.当面の業績 今期は市場の回復待ち、後半から好転へ
5.企業評価 競争力を強化し、高収益へ復帰

日進工具 <6157>
企業レーティング
株価
(2023年5月24日)
1138円
時価総額 285億円
(25百万株)
PBR 1.67倍
ROE 7.8%
PER 21.3倍
配当利回り 2.2%
総資産 18857百万円
純資産 17200百万円
自己資本比率 90.1%
BPS 680.5円
(百万円、円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 EPS 配当
2015.3 7402 1481 1534 973 39.0 10.0
2016.3 8382 1914 1954 1342 53.7 12.5
2017.3 8825 2013 2026 1420 56.8 20.0
2018.3 9767 2685 2733 1903 76.1 22.5
2019.3 10476 2879 2894 1970 78.8 22.5
2020.3 9531 2219 2231 1545 61.8 22.5
2021.3 8100 1512 1712 1214 48.6 17.5
2022.3 9524 2111 2156 1522 60.9 22.5
2023.3 9656 2108 2131 1475 59.2 22.5
2024.3(予) 10300 2000 2000 1330 53.5 25.0
2025.3(予) 11000 2300 2300 1550 62.3 25.0

(2023.3ベース)

(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2017年1月に1:2、2021年4月に1:2の株式分割を実施。2022.3期以前のEPS、配当は修正ベース。2017.3期は2部上場記念配(5円)、2018.3期は1部上場記念配(5円)を含む。

企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。

レポート全文はこちらから
https://www.belletk.com/niltusinnkougu202305.pdf

日本ベル投資研究所の過去レポートはこちらから

配信元: みんかぶ株式コラム
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