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【IRアナリストレポート】日進工具(6157)

著者:鈴木 行生
投稿:2023/02/13 18:26

~超硬小径エンドミルで業界No.1、新開発センターで市場開拓を加速~

・昨年11月の受注分から主力製品の値上げを実施している。マーケットを見ながら慎重に判断したが、値上げは順調に浸透しているとみられる。値上げ前に一部駆け込み需要が発生したので、3Q(10~12月)の業績はその分押し上げられた。4Qは反動が出ようが、それでも2023年3月期の業績は会社計画を上回ろう。さらに、来期は増益に転じよう。

・今期前半は部品不足による自動車減産の影響が出た。半導体や電子部品の需要にも一巡感が出ている。原材料高、エネルギー高のコストアップに対して、11月より製品価格の値上げを実施している。4Q以降寄与してこようが、自社努力も必要である。

・5軸マシニングセンタ用3枚刃ボールエンドミルの新製品から、「NS Connect(コネクト)」というスマホによるWebサイトとの連動を開始した。加工条件や加工事例を手軽に見ることができる。利便性が高いので、逐次広げていく方向にある。

・開発面では、コーティングにおける「無限プレミアムPlus」の応用範囲を拡大している。新製品は、①より固いものを削る、②より長持ちする、③より高い精度を出すことが基本であり、削り刃を増やして、コーティングで摩耗を減らすという方向にある。最先端の精密加工に焦点を当てている。

・日本機械工具工業会より、2022年度の「環境特別賞」を受賞した。GHG(温暖化ガス)排出量削減の実績が評価された。仙台工場を中心とした小集団活動「オレンジFC活動」の継続が成果を上げており、生産性の向上とコスト低減に結びついている。

・昨年9月に、米国シカゴで4年ぶりに催された工作機械展示会「IMTS2022」に出展した。自動車、メディカル、宇宙関連などの企業にアプローチした。デトロイトに設立したNS TOOL USAの活動も本格化し、現地に在庫センター機能を持たせている。これまで海外売上高に占める米国の比率は6%と低かったが、今後数年で大きく伸びよう。

・後藤社長の経営哲学は、利益率重視で規模は追わない。顧客が新製品の加工方法を開発している段階から関わっていく。需要が好転すれば、業績向上に弾みがついてこよう。グローバルな競争力は高まっている。ニッチな市場での高収益に引き続き注目したい。

目次
1.特色 超硬小径エンドミルで業界トップ
2.強み 一貫した集中と差異化で攻める
3.中期経営戦略 ユニークな精密・微細加工技術で内外の新市場を開拓
4.当面の業績 値上げの浸透で、来2024年3月期は増益へ
5.企業評価 競争力を強化し、高収益へ復帰

日進工具 <6157>
企業レーティング
株価
(2023年2月13日)
1047円
時価総額 262億円
(25百万株)
PBR 1.57倍
ROE 7.8%
PER 19.8倍
配当利回り 2.1%
総資産 18163百万円
純資産 16873百万円
自己資本比率 91.7%
BPS 667.4円
(百万円、円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 EPS 配当
2015.3 7402 1481 1534 973 39.0 10.0
2016.3 8382 1914 1954 1342 53.7 12.5
2017.3 8825 2013 2026 1420 56.8 20.0
2018.3 9767 2685 2733 1903 76.1 22.5
2019.3 10476 2879 2894 1970 78.8 22.5
2020.3 9531 2219 2231 1545 61.8 22.5
2021.3 8100 1512 1712 1214 48.6 17.5
2022.3 9524 2111 2156 1522 60.9 22.5
2023.3(予) 9600 1950 1950 1320 52.9 22.5
2024.3(予) 10300 2300 2300 1550 62.1 22.5

(2022.12ベース)

(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2017年1月に1:2、2021年4月に1:2の株式分割を実施。2022.3期以前のEPS、配当は修正ベース。2017.3期は2部上場記念配(5円)、2018.3期は1部上場記念配(5円)を含む。
 
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。

レポート全文はこちらから
https://www.belletk.com/niltusinnkougu202302.pdf
 

日本ベル投資研究所の過去レポートはこちらから

配信元: みんかぶ株式コラム
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