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アドバネクスのニュース
■要約
アドバネクス<5998>は、精密ばねの大手専業メーカー。2019年6月に、2015年より開始した世界の工場面積をほぼ倍増にする拡張計画を完了した。2021年3月期より収益力向上の本格的な収穫期入りを見込む。グローバルニッチトップを標榜しており、中長期的に精密金属加工分野で世界一の企業となることを目指している。
1. 最新鋭のスマートファクトリーと匠の技術で競争優位性を築く
2017年の日本の時間当たり労働生産性は米国の3分の2程度の水準であり、OECD加盟36ヶ国中20位にとどまる。同社の場合、生産人員1人当たり売上高で見た工場別生産性において、日本はタイの約1.7倍、イギリス、米国、上海(中国)の約2倍、インドネシアの6倍以上と極めて高い。埼玉工場は、省力化・省人化に注力したスマートファクトリーを標榜する自動車専用工場である。2019年6月の拡張工事では、次世代自動車向けに精密ばね業界では類を見ないクリーンルームと高機能洗浄機を設置し、10月からパワーコントロールユニット用リードフレームの量産を開始した。ばねは、40年前と比べても外観上の変化が少ないため金属加工技術が陳腐化しにくく、長い経験に裏付けされた匠の技術が競争優位性と付加価値の源泉となる。グローバル並行生産では、日本で量産設備の設計・製造を行い、海外に量産設備及び金型を移管することで多拠点における早期の立ち上げと品質の均一性を実現している。特に自動車と医療市場では量産品の良品率が最重要視されるため、生産技術のデジタル化と匠の技術の融合が強みとなる。
2. 2020年3月期第2四半期の連結業績と通期予想
2020年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比0.1%減の10,473百万円となり、営業利益が前年同期の2百万円から150百万円へ増加した。売上高は自動車向けが堅調に推移したが、OA機器と精密機器向けが大幅に減少した。営業利益は、2020年3月期から稼働したチェコとインドの新工場の“創業赤字”があったものの、インドネシア工場の黒字転換とメキシコ工場の赤字圧縮により増加した。親会社株主に帰属する当期純損失は117百万円となった。イギリス工場の統合による特別退職金や訴訟関連損失などの特別損失が発生したため、通期業績は、売上高が21,900百万円(前期比4.4%増)、営業利益が330百万円(同396.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が50百万円の期初予想が据え置かれた。
3. 事業環境の変化に強く、長期的に持続的な成長を実現する体制が整う
2020年3月期第2四半期におけるチェコ工場の新設と埼玉工場二期工事の竣工にて、ハコ物投資は完了した。ここ4年間で埼玉、メキシコ、インドネシア、ベトナム、チェコ、インドに新工場を開設し、17拠点、11ヶ国にまたがった生産体制を築いた。多極化によりリスクが分散され、顧客の生産地変更や世界情勢の変化に柔軟に対応できるようになった。主要顧客である自動車と医療機器の製品ライフサイクルは10~20年と長い。上流の共同開発、設計提案を積極的に行い、引き合いが旺盛なことから、今後は長期的に持続的な成長が期待される。
Key Points
・中長期的に精密金属加工分野で世界一の企業となることを目指す
・CASEに関連した引き合いも多い
・今後、本格的な成長フェーズに入る
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<SF>
アドバネクス<5998>は、精密ばねの大手専業メーカー。2019年6月に、2015年より開始した世界の工場面積をほぼ倍増にする拡張計画を完了した。2021年3月期より収益力向上の本格的な収穫期入りを見込む。グローバルニッチトップを標榜しており、中長期的に精密金属加工分野で世界一の企業となることを目指している。
1. 最新鋭のスマートファクトリーと匠の技術で競争優位性を築く
2017年の日本の時間当たり労働生産性は米国の3分の2程度の水準であり、OECD加盟36ヶ国中20位にとどまる。同社の場合、生産人員1人当たり売上高で見た工場別生産性において、日本はタイの約1.7倍、イギリス、米国、上海(中国)の約2倍、インドネシアの6倍以上と極めて高い。埼玉工場は、省力化・省人化に注力したスマートファクトリーを標榜する自動車専用工場である。2019年6月の拡張工事では、次世代自動車向けに精密ばね業界では類を見ないクリーンルームと高機能洗浄機を設置し、10月からパワーコントロールユニット用リードフレームの量産を開始した。ばねは、40年前と比べても外観上の変化が少ないため金属加工技術が陳腐化しにくく、長い経験に裏付けされた匠の技術が競争優位性と付加価値の源泉となる。グローバル並行生産では、日本で量産設備の設計・製造を行い、海外に量産設備及び金型を移管することで多拠点における早期の立ち上げと品質の均一性を実現している。特に自動車と医療市場では量産品の良品率が最重要視されるため、生産技術のデジタル化と匠の技術の融合が強みとなる。
2. 2020年3月期第2四半期の連結業績と通期予想
2020年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比0.1%減の10,473百万円となり、営業利益が前年同期の2百万円から150百万円へ増加した。売上高は自動車向けが堅調に推移したが、OA機器と精密機器向けが大幅に減少した。営業利益は、2020年3月期から稼働したチェコとインドの新工場の“創業赤字”があったものの、インドネシア工場の黒字転換とメキシコ工場の赤字圧縮により増加した。親会社株主に帰属する当期純損失は117百万円となった。イギリス工場の統合による特別退職金や訴訟関連損失などの特別損失が発生したため、通期業績は、売上高が21,900百万円(前期比4.4%増)、営業利益が330百万円(同396.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が50百万円の期初予想が据え置かれた。
3. 事業環境の変化に強く、長期的に持続的な成長を実現する体制が整う
2020年3月期第2四半期におけるチェコ工場の新設と埼玉工場二期工事の竣工にて、ハコ物投資は完了した。ここ4年間で埼玉、メキシコ、インドネシア、ベトナム、チェコ、インドに新工場を開設し、17拠点、11ヶ国にまたがった生産体制を築いた。多極化によりリスクが分散され、顧客の生産地変更や世界情勢の変化に柔軟に対応できるようになった。主要顧客である自動車と医療機器の製品ライフサイクルは10~20年と長い。上流の共同開発、設計提案を積極的に行い、引き合いが旺盛なことから、今後は長期的に持続的な成長が期待される。
Key Points
・中長期的に精密金属加工分野で世界一の企業となることを目指す
・CASEに関連した引き合いも多い
・今後、本格的な成長フェーズに入る
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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