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アドバネクスのニュース
■業績動向
1. 2019年3月期の業績概要
アドバネクス<5998>の2019年3月期の業績は、売上高が前期比3.3%増の20,967百万円、営業利益が同74.4%減の66百万円、経常利益が同70.7%減の69百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が107百万円(前期は49百万円の利益)であった。第2四半期決算発表時点で利益予想を下方修正したが、実績はさらに悪化した。工場新設による立ち上げコストが増加しているところに、米中貿易摩擦や材料費の高騰の悪影響を受けた。インドネシア子会社は、買収前の品質管理に問題があり取引量を削減された。同社の生産管理や品質管理のノウハウを導入し、顧客の信頼を回復し、業績は回復方向にある。ただし、当初見込んだ量産計画が遅れているうえ、材料費の高騰と現地通貨安を受けて、のれん代67百万円を減損処理した。特別損失が121百万円と膨らんだことから、親会社株主に帰属する当期純損失に陥った。中国は国内向けがほとんどであり、貿易摩擦の直接的な影響はないが、景気の悪化など間接的な影響を受けた。米国工場は、輸入鋼材に高関税がかかり原材料高となった。中長期的な要因としては、工場新設やM&Aを計画通り実施した一方、本格稼働が遅れ、立ち上がりコスト負担増が挙げられる。
(1) 所在地別動向
日本の所在地別売上高は、自動車向けが好調で前期比6.4%増加したが、セグメント損失が前期の87百万円から115百万円に拡大した。千葉工場と埼玉工場の稼働率向上に手間取った。米州は、同11.9%の増収を達成し、損失は前期の369百万円から360百万円へとわずかながら縮小した。医療向けの売上高が増えた一方、インフラ・住設向けが減少した。メキシコ工場のスタートアップコストと原材料費高騰が収益低迷要因であった。欧州は、売上高が同8.1%伸び、自動車及び航空機向けが好調であった。チェコ工場の開設準備負担と原材料費高騰により、利益は同21.4%落ち込んだ。アジアは、売上高が同2.9%減、利益は同26.3%減となった。
(2) 市場別動向
市場別で増収となったのは、航空機器が前期比32.7%増、医療機器が同19.9%増、自動車(輸送機器)が同6.3%増、その他が同4.2%増。減収となったのは、情報通信機器が同13.4%減、AV・家電が同8.9%減、インフラ・住設が同8.0%減、OA機器が同5.8%減、精密機器が同3.7%減であった。増収となった市場は、同社が製品開発をし、供給体制を整え、営業努力を積み重ねてきた成果が出た。一方、減収となった市場は、市場の動向や完成品メーカーの競争力に影響を受ける。インフラ・住設機器は、商社など流通網が規格品の初期在庫手当を終了したことが一因となる一過性のものだ。
2. 財務状況とキャッシュ・フロー計算書
2019年3月期末の総資産は、22,705百万円と前期末比2,390百万円増加した。流動資産は238百万円減少したが、固定資産が2,628百万円増えた。有形固定資産は、工場リノベーションなどにより3,019百万円増加した。負債の部においては、負債合計が16,625百万円、うち有利子負債が10,079百万円となった。設備投資額は、減価償却費の1,008百万円を上回る4,144百万円であった。設備投資額は、2020年3月期は2,118百万円に減少する見込みである。財務の安全性比率である流動比率は120.0%、自己資本比率が26.6%へと低下した。
2019年3月期末の現金及び現金同等物の残高は2,864百万円と前期末比668百万円減少した。営業活動によるキャッシュ・フローの収入が1,278百万円あったが、投資活動によるキャッシュ・フローの3,589百万円の支出をまかなえず、財務活動によるキャッシュ・フローの借入金増加でカバーした。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<SF>
1. 2019年3月期の業績概要
アドバネクス<5998>の2019年3月期の業績は、売上高が前期比3.3%増の20,967百万円、営業利益が同74.4%減の66百万円、経常利益が同70.7%減の69百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が107百万円(前期は49百万円の利益)であった。第2四半期決算発表時点で利益予想を下方修正したが、実績はさらに悪化した。工場新設による立ち上げコストが増加しているところに、米中貿易摩擦や材料費の高騰の悪影響を受けた。インドネシア子会社は、買収前の品質管理に問題があり取引量を削減された。同社の生産管理や品質管理のノウハウを導入し、顧客の信頼を回復し、業績は回復方向にある。ただし、当初見込んだ量産計画が遅れているうえ、材料費の高騰と現地通貨安を受けて、のれん代67百万円を減損処理した。特別損失が121百万円と膨らんだことから、親会社株主に帰属する当期純損失に陥った。中国は国内向けがほとんどであり、貿易摩擦の直接的な影響はないが、景気の悪化など間接的な影響を受けた。米国工場は、輸入鋼材に高関税がかかり原材料高となった。中長期的な要因としては、工場新設やM&Aを計画通り実施した一方、本格稼働が遅れ、立ち上がりコスト負担増が挙げられる。
(1) 所在地別動向
日本の所在地別売上高は、自動車向けが好調で前期比6.4%増加したが、セグメント損失が前期の87百万円から115百万円に拡大した。千葉工場と埼玉工場の稼働率向上に手間取った。米州は、同11.9%の増収を達成し、損失は前期の369百万円から360百万円へとわずかながら縮小した。医療向けの売上高が増えた一方、インフラ・住設向けが減少した。メキシコ工場のスタートアップコストと原材料費高騰が収益低迷要因であった。欧州は、売上高が同8.1%伸び、自動車及び航空機向けが好調であった。チェコ工場の開設準備負担と原材料費高騰により、利益は同21.4%落ち込んだ。アジアは、売上高が同2.9%減、利益は同26.3%減となった。
(2) 市場別動向
市場別で増収となったのは、航空機器が前期比32.7%増、医療機器が同19.9%増、自動車(輸送機器)が同6.3%増、その他が同4.2%増。減収となったのは、情報通信機器が同13.4%減、AV・家電が同8.9%減、インフラ・住設が同8.0%減、OA機器が同5.8%減、精密機器が同3.7%減であった。増収となった市場は、同社が製品開発をし、供給体制を整え、営業努力を積み重ねてきた成果が出た。一方、減収となった市場は、市場の動向や完成品メーカーの競争力に影響を受ける。インフラ・住設機器は、商社など流通網が規格品の初期在庫手当を終了したことが一因となる一過性のものだ。
2. 財務状況とキャッシュ・フロー計算書
2019年3月期末の総資産は、22,705百万円と前期末比2,390百万円増加した。流動資産は238百万円減少したが、固定資産が2,628百万円増えた。有形固定資産は、工場リノベーションなどにより3,019百万円増加した。負債の部においては、負債合計が16,625百万円、うち有利子負債が10,079百万円となった。設備投資額は、減価償却費の1,008百万円を上回る4,144百万円であった。設備投資額は、2020年3月期は2,118百万円に減少する見込みである。財務の安全性比率である流動比率は120.0%、自己資本比率が26.6%へと低下した。
2019年3月期末の現金及び現金同等物の残高は2,864百万円と前期末比668百万円減少した。営業活動によるキャッシュ・フローの収入が1,278百万円あったが、投資活動によるキャッシュ・フローの3,589百万円の支出をまかなえず、財務活動によるキャッシュ・フローの借入金増加でカバーした。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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