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昭和鉄工 福田俊仁社長インタビュー

「熱」の技術を活かすモノづくりをコンセプトに事業展開!

 地方証券取引所の上場銘柄は、全国的な「知名度」の低さなどから、東証銘柄の陰に隠れてしまいがちだが、そこにはキラリと光る優良な企業が多く存在する。福岡証券取引所の単独上場会社の会(通称:単場会)http://fse.irnavi.minkabu.jp/にもそんな魅力溢れる銘柄がある。この単場会銘柄企業のトップが、自身の言葉でビジネスモデルや成長戦略、経営課題などを語ってくれている。インタビュー記事からは、持続的成長を目指す各社の取り組みが理解でき、思わず応援したくなるほどに熱い意気込みが伝わってくる。3年目を迎える単場会銘柄の特集をご覧になり、ポートフォリオの再検討に役立てていただきたい。

5953:昭和鉄工
代表取締役社長 福田俊仁氏


 
 創業以来130年を超える歴史を誇る昭和鉄工 <5953> は、環境に配慮した「熱」の技術を活かすモノづくりを行っている。中期事業計画の進捗状況を踏まえた同社のビジネスにおける特徴やこだわり、ビジネスリスクなどについて福田俊仁社長が熱く語ってくれた。

【1】貴社の事業の状況について伺います。
 貴社では、当該期の業績をどう分析し、評価されていますか? また、今後の見通しについてはどのようにお考えですか?

 当社が年度当初に公表した計画の売上・利益とも上回ることができたのは評価に値すると考えております。しかしながら、前年対比におきましては減収・減益という結果に終わりました。前年がサーモデバイス事業の大型案件が集中したことにより大幅な増収・増益となった反動ではありましたが、増収・増益とできなかったことに関しましては残念に思います。但し、中期経営計画の数値目標に向けては順調に推移していると考えております。

【2】「熱」の技術を活かすモノづくりをコンセプトに据える貴社のビジネス展開についてお話しください。
 貴社では、「機器装置」、「素形材加工」、「サービスエンジニアリング」の3分野を事業展開されていますが、ビジネスにおける特徴やこだわり、そして新たな事業展開の可能性についてお話しください。

 当社の今につながる製品の原点は約110年前に創業者が国産化に成功した鋳物製のラジエーター(暖房器)であります。それ以降「熱」と「鋳物」をコア技術として事業を営んでおります。「熱」には100年以上前からボイラーに使用している燃焼による「熱」、約30年前にお風呂の循環温浴器の保温用ヒーターとして開発した超薄型面状電気ヒーターによる「熱」、約10年前から空調用と給湯用に開発したヒートポンプによる「熱」の3つの熱技術で機器装置事業を展開しております。サービスエンジニアリング事業はそれらの製品のサービス・メンテナンスを中心とした事業です。もう一つのコア技術であります「鋳造(鋳物)」ですが、これらは自社ブランドとして、鋳鉄製ボイラー・ヒーターや橋梁用防護柵を中心とした素形材加工事業を行っております。鋳鉄部品は高温耐熱材を得意とし、主にガスタービン部品を中心に事業展開しております。

 電気ヒーターは液晶や有機EL、自動車の板金の熱処理炉、半導体装置などに展開しており、用途は無限であります。ヒートポンプ技術も空調や業務用給湯の省エネ技術として展開しております。燃焼用の「熱」は業務用給湯用を中心に展開しておりますが、産業分野やヒートポンプとの組み合わせによる業務用給湯の省エネ技術としても展開しております。

 これらの熱技術の展開は、単独またはそれらの組み合わせにより無限ともいえる可能性を秘めており市場も国内外問わず展開可能と考えております。
 

写真1:明治天皇お召し列車の暖房用に採用された「鋳鉄製ラジエーター」
 

写真2:最新型温水ヒーター「エルゴン」
 

写真3:お風呂の循環温浴器(24時間風呂) 当社製品名「バスポカ」
 

写真4:各種の「精密鋳造品」
 

写真5:各種の「超薄型面状電気ヒーター」
 

写真6:鋳鉄製「橋梁用防護柵」
 
【3】中期経営計画について伺います。
 2019年度までに、連結売上高120億円以上、安定的に連結売上高営業利益率4%以上を実現することを目標に、中期経営計画を推進されていますが、現在の状況をご説明願います。
 また、目標達成のための重要課題についてもお話をお聞かせください。

 2014年度に中期経営計画として「連結売上高120億円以上、連結売上高営業利益率3%以上を実現する」を掲げてスタートし、2015年度には目標を達成したため「連結売上高120億円以上、安定的に連結売上高営業利益率4%以上を実現する」と営業利益率を上方修正いたしました。その後売上高は2016、2017年度とも120億円を超え、2018年度も大きく上回る計画としており、ここまでは順調といえると考えております。現在、当社は「本業回帰で筋肉質な企業体質を実現する!」をスローガンに、次の中期経営計画で大きく飛躍するための足場固めと柱となる事業の見極めとそこへの集中投資を行っていこうと考えております。そういった観点ではまだ不充分であり、あと2年間でやるべきことは多いと思っております。

【4】経営のリスクについてお話をお願いします。
 貴社のビジネス展開におけるリスクは何でしょうか? また、リスクの内容に変化はありますか?

 当社がいま比較的好調に来ているのは、中国を中心とした液晶・有機ELなどの投資が盛んであることが一因です。投資が一巡したときの各社の対応が大きなリスクとなります。当社としましては、自動車、半導体、その他の業界への展開を急ぐことでそのリスクに備えております。

 また、当社が永年販売しているボイラーや空調機は非常に沢山のお客様にご使用いただいております。そのお客様が安全に、快適に、経済的にも喜んでご使用いただくためにサービスエンジニアリング事業と製品の製造販売との連携を強め、IoT技術も加えてお客様により良い提案を行っていくことでコア事業の安定化を図ってまいります。そのためにいま外部コンサルの力も借りて「プロジェクトSkye」を立ち上げ取り組んでおります。

【5】最後に、投資家に向けてお話をお願いします。
 事業会社は「ステークホルダーの方々と向き合う経営」を標榜し、資本市場での知名度向上や事業への理解促進に努めることが求められる環境下、貴社からは、投資家に対してどのようなコミットが可能でしょうか? 貴社の経営理念に絡めた上で、具体的なお話しをいただければ幸いです。

 当社の企業理念として「社員の誇りと幸せ」「顧客の満足と信頼」「社会への貢献」を掲げ、それらを継続的に行っていくために「適正利益の追求」を挙げております。本来社会貢献ができないと企業の存在価値はないのですが、当社はまだまだ充分とは言い難いと考えております。そのためにもまず社員が自分の会社に誇りと幸せを感じられる会社にしないと「顧客の満足と信頼」「社会への貢献」には思いが至らないのではないかとの思いから、現時点では「社員の誇りと幸せ」を中心に追求しております。

 残り2年の中期経営計画「本業回帰で筋肉質な企業体質を実現する!」で足場固めを行うと同時に、次期中期経営計画で柱となる事業を見極め集中投資を行うことで成長しなければなりません。その中心となって実行していく社員が仕事に対して誇りと幸せを感じることで、必ずや大きな飛躍を成し遂げてくれるものと確信しております。

【自社アピール】
 当社の創業は明治16年(1883年)まで遡り、今年の10月には135年目を迎えます。創業者の斎藤一は当時、九州にはまだ電気もガスも無い時代に電気工学や機械工学を学び、福岡の地に斎藤製作所を立ち上げました。まもなく九大病院の前身である県立福岡病院院長の大森博士と出会い、医療用蒸気消毒器を開発・製造を開始。これによって蒸気という熱技術を手に入れ、また、同病院の暖房器としてそれまで欧州にしかなかった鋳物製のラジエーターを国産化したことによって、鋳物の製造技術を手に入れました。

 1913年、斎藤一は今でも主力事業の1つになっている国産初の鋳鉄製ボイラーの実用化に成功します。また、彼の甥である斎藤省三は東京で暖房工事・管工事を学び、現在の空気調和・衛生工学会である暖房冷蔵協会を設立しました。「業界の向上発展のため関係者が各個の利己を超え団結すべき」と考えてのことでした。2人とも当時の思いは「国の発展のため」という民間企業の価値観には収まらないものでした。

 以降も当社は「熱」と「鋳物」に関連した事業を展開し、現在でも製品や技術の原点となっています。

 当社の製品・サービスと顧客・取引先の信頼は、先人たちが築き上げて私達に託してくれた大きな贈り物です。私達はそれを謙虚に受け止め、現状に満足することなく、さらに大きく育てて次世代に譲り渡すのが使命だと考えます。創業者たちの思いをもう一度噛みしめる意味でも、現在の中期経営計画では「本業回帰で筋肉質な企業体質を実現する!」を掲げて取り組んでいます。

 私達の歴史は「熱」と「鋳物」へのこだわりでしたが、実際にはその都度、苦難を乗り越えるための変化も必要でした。「原点回帰」を強力に推し進めながらも、次のステップへの成長のためには大胆な変化もいとわない覚悟です。

 これからの昭和鉄工に是非注目していただきたいと思います。
 
●資料請求・問い合わせ先
昭和鉄工株式会社 総務部
〒811-2101 福岡県糟屋郡宇美町宇美3351-8
TEL:092-933-6391 / FAX:092-933-6395
Email:showa@showa.co.jp
http://www.showa.co.jp/

配信元: みんかぶ株式コラム
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