サークレイスのニュース
サークレイス、構想策定からシステム開発、CSまで一気通貫の展開が強み 2030年までにCAGR21%目指す
今回のセミナーでお伝えしたいこと
佐藤潤氏(以下、佐藤):みなさま、こんにちは。サークレイス株式会社代表取締役社長の佐藤潤でございます。本日は、スライドに記載の4つの構成で進めていきます。初めに会社概要、2番目に事業概要と市場環境、3番目に当社の強みと特長、4番目に成長戦略と中期経営計画についてご紹介します。よろしくお願いいたします。
会社概要
佐藤:会社概要です。サークレイス株式会社の設立は2012年11月で、後ほど沿革でもご説明しますが、当時はプライム上場企業のパソナグループの一社として設立しました。2022年4月にグロース市場に上場し、設立から10年以内に上場を果たすことができました。
拠点は東京本社と福岡営業所、合弁会社(ジョイントベンチャー)としてベトナムに子会社があります。また、2023年4月1日現在の社員数は274名です。
ミッション
佐藤:当社のミッションをご説明します。私たちは「Create Happiness」を声明(STATEMENT)としており、こちらは社員全員で考えた言葉です。
この声明をベースとして、2014年に「ビジョン 2020」を作りました。その中には「上場してパブリックカンパニーとなり、しっかりとみなさまに幸せを創造してお届けしたい」という目標もありましたが、その言葉のとおり、IPOも実現しました。
沿革
佐藤:沿革です。冒頭でお伝えしたとおり、当社はパソナグループの一員として設立しました。当時、株式会社パソナで「Salesforce」を導入するためのプロジェクトを立ち上げていましたが、日本では「Salesforce」の技術者が枯渇しており、プロジェクトをスタートする目処がなかなか立ちませんでした。
そこで、当時のパソナの社長であり、現在の当社の会長である佐藤司が「それなら日本で「Salesforce」導入の会社を作り、パソナで「Salesforce」を導入し、その後、日本のお客さまに人材リソースやノウハウの提供ができれば喜んでもらえるのではないか」と考え、当社の設立に至りました。
設立当初は「パソナテキーラ」という社名でした。「テキーラ」とは、アイルランドにあるTquila International PTE Ltd.という会社のことです。当時、ヨーロッパにおいて約100名規模で「Salesforce」のコンサルティングを行っていたテキーラのノウハウを活用させていただくということで、ヨーロッパから日本へ人材リソースを提供していただき、合弁会社を設立しました。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):「Salesforce」に最初に目を付けた理由を教えてください。
佐藤:アメリカではすでに「Salesforce」の利用企業がかなり増えていたため、日本でもきっと広まるだろうと思っていました。
また、当時はCRMの製品はSAPなどが提供する製品を代表としていくつかありましたが、SaaS型、かつ、さまざまな営業活動を自動化し、より効率化していくという機能にフォーカスしたサービスは他になかったため、非常に有効だと思い、目を付けました。
坂本:確かに、2013年頃から「Salesforce」導入の機運が高まっていたと思います。その頃はかなりエンジニアが少なかったのでしょうか?
佐藤:そのとおりです。今はクラウドを使う企業も増えていますが、当時は自社にサーバーを立てアプリケーションを入れる「オンプレミス」という環境がほとんどでした。このような設立経緯で、Salesforce社から出資していただき事業を拡大してきました。
また、創業時に「Salesforce」のコンサルティングシステム開発、「Salesforce」の運用保守に携わる人材の派遣、「Salesforce」の教育事業という3つの事業を同時に立ち上げたことが、当社の大きな特徴です。設立当初はかなり苦労しましたが、その苦労を乗り越えてきたおかげで、現在はシナジーを発揮しながらビジネスができています。
そして、2016年に「Salesforce」以外のSaaS型ビジネスアプリケーションの取り扱いを拡大しようと始めたのがAnaplan Japanとの協業です。「Anaplan」は主に大手企業の予算編成や収益のシミュレーションに使われる製品です。こちらも日本では比較的早めに取り扱いを開始し、現在も順調にビジネスを行っています。
このように、SaaSやクラウドのビジネスアプリケーションを中心にビジネスを拡大しており、今後もその方針で進めていく予定です。ただし、日本にはなかなか人材がいませんので、今年ベトナムに設立した合弁会社をはじめ、今後は海外の人材も活用しながら成長していきたいと考えています。
これまでと未来
佐藤:当社の目指す姿についてご説明します。先ほどお伝えしたように、設立当初は3つの事業を立ち上げ、それぞれの事業を一生懸命行っていました。しかし、その状態では、より付加価値の高いサービスを提供したり、お客さまのニーズをタイムリーに知ったりすることができず、本当の意味での「一気通貫」のサービスは提供できていませんでした。
そこで、「Salesforce」の徹底的な活用と同時に「Circlace」という自社プラットフォームの開発を開始しました。その結果、さまざまな新サービスを生み出し、AIの活用も進んだことで、より付加価値の高いサービスが提供できるようになってきています。
とはいえ、コンサルタントやデベロッパーといった人材の数を増やすビジネスモデルは未だに変わっていません。スライド下部に記載している課題を解決するため、自社で培った「Circlace」をSaaSとして販売したり、AIを徹底的に活用して効率化したり、海外の人材を活用したりすることで、目指す姿の実現に向かっています。
ビジネスモデルについても、個別のプロジェクトをシステム開発して終わるのではなく、マネージドサービスやアウトソーシングのように、その後もお客さまと一緒に利益を追求するかたちを目指しています。最終的には一緒に会社を作るなどして、お客さまと共にビジネスを行っていければと思っています。
事業の概要
佐藤:事業概要です。当社は、コンサルティングサービスとプラットフォームサービスの2つの事業領域から成り立っています。
コンサルティングサービスは、文字どおり、お客さまのビジネス戦略の構想をお聞きしてシステムを作る、あるいは業務改革をするといった要件を定義し、システム構築等を行う事業です。繰り返しになりますが、この事業は単価向上により成長するモデルで、人材の増加が必要不可欠です。
一方で、プラットフォームサービスは、人材の増加以上にお客さまを増やすことができるというビジネスを定義しています。派遣によって保守・運用、定着化を進めてきましたが、システムやAIを活用することで、より効率化が進んできています。
エデュケーションについては、もともと教室(対面型)で行っていたものが今はオンラインに変わりました。また、DXと定義している「Circlace」と「AGAVE」というSaaS型サービス2製品を拡販していくことで、プラットフォームサービスを伸ばしていこうと考えています。
坂本:御社のコンサルティングサービスは、主に「Salesforce」のプラットフォームを用いていると思いますが、具体的にはどのようなことを行っているのでしょうか?
佐藤:いくつかのケースがあります。1つは「ビジネスとしてこんなことをやってみたい」という緩やかなご相談をいただくケースです。その場合は、当社の強みであるシステム構築を行う前提で、コンサルティングサービスとして、ビジネスを実現するためのシステム構想のようなものを作成します。加えて、その構想からシステムを作る開発のお仕事も当然ながら行います。
また、お客さまあるいはコンサルティングファームが作られた構想をもとに提案をさせていただくケースもあり、さまざまな対応ができる体制になっています。
坂本:私は「Salesforce」の実物を見たことがないのですが、意外とカスタマイズができるようなシステムになっているのでしょうか?
佐藤:大変良いご質問ありがとうございます。「Salesforce」には、大きく分けて2つの形態があります。1つはSaaSと呼ばれるノーコードで設定だけで動かせるもの、もう1つは「AWS(Amazon Web Services)」などと同じ位置付けである、ゼロから作る仕組みの開発プラットフォームです。ここでお話ししているコンサルティングサービスとは、ゼロから作るほうのサービスになります。
坂本:ゼロから作るにはけっこうな技術力が必要になってきますし、お客さまが何を求めているかがわからなければ良いものができないと思います。
佐藤:おっしゃるとおりです。ゼロから作ると言うものの、すでに作られている「Salesforce」の便利な機能を活用することで、高い生産性かつ大きな問題を発生させないシステムを作ることができます。そこを知っているか知らないかというノウハウも非常に重要になってきます。
坂本:なるほど。カスタマーサクセスにも含まれると思いますが、「Salesforce」導入時に、自社の技術者が要件定義から開発まで行うのは、相当専門的なスキルが必要なため無理に近いのではないかと思います。そのあたりの環境はどうなっていますか?
佐藤:ノーコード系はある程度可能だと思いますが、自社でゼロから作っている会社はほとんどいないのではないかと思います。
坂本:その場合は、御社の力に頼ることが一般的なのでしょうか?
佐藤:おっしゃるとおりです。
坂本:また最近は、多くの企業がDXの推進を課題としているため、おそらく一番予算が付きやすいセグメントなのではないかと思います。意外と「何かやりたいのですが」というご相談も多く寄せられるのでしょうか?
その際はコンサルティングだけの対応でお返しするのか、一番最後のエデュケーションまでのすべてに対応することが多いのか、流れを教えていただければと思います。
佐藤:「何かやりたいのですが」というご相談は、当社にはあまり来ない気はしますが、世の中にはまだそのようなご相談もあるとは聞いています。
当社へご相談に来るお客さまは、たいてい「Salesforce」を活用されます。「Salesforce」の強みは、お客さまとの接点を強化し、接点を活かしたビジネスを作れるところですので、そのような事例等をよく調べてお声がけいただくケースが多く、比較的絞りやすい状況です。
事業の概要
佐藤:各サービスの売上高構成比です。コンサルティングサービスが61パーセント、プラットフォームサービスが39パーセントとなっています。
非常に大まかな区分けですが、コンサルティングサービスがフロー型、プラットフォームサービスがストック型のビジネスです。当然ながら、ストック型ビジネスの比率を上げることを重要な戦略としています。
コンサルティングサービス
佐藤:スライド左側には、コンサルティングサービスのポジショニングマップを記載しています。当社が作成したマップのため、いろいろなご意見があるとは思いますが、イメージをお伝えできればと思います。
縦軸がDX・ビジネスコンサルティング領域で、戦略コンサルティングの部分にはマッキンゼー・アンド・カンパニーなどの会社が該当します。DX・アジャイル開発領域は、右端に近づくにつれて、クラウド環境で使えるものによりプロトタイピングを行い、結果を見てフィードバックを得ながらビジネスを迅速に進めていくイメージとなっています。
当社は、中央に位置する大手SIベンダーのような長期のウォーターフォール型開発プロジェクトよりも、SaaSなどのクラウドを使ったアジャイル型が得意なため、そちらに軸足を置いています。
また、当社は下請けとして請け負うことはなく、お客さまとは100パーセント主契約で行っていますので、ビジネスにコミットしていかなければお付き合いしていただけません。そのため、ビジネス戦略のほうにも軸足を置いています。
総合コンサルティングファームとして意識しているのはアクセンチュアです。アクセンチュアは非常に強力で、大規模な取引も多い会社ですが、中規模以下に関してはまだサービスを提供できる余地があります。そのため当社は、「アクセンチュア型」というのも変ですが、コンサルだけではなく、BPOやさまざまな新規事業創出を含めたサービスを中小規模でも行っていきたいと考え、このような位置付けにしています。
プラットフォームサービス
佐藤:プラットフォームサービスは大きく3つのサービスに分かれます。そのうちの1つがカスタマーサクセスで、こちらも「Salesforce」がメインです。
当社が開発したお客さまのカスタマーサクセスも引き続き一気通貫で行いますが、スライド右側のグラフに記載のとおり、その割合は10パーセントほどしかありません。残りの90パーセントは、他社が構築もしくはお客さま自らが構築された「Salesforce」の活用および運用・保守の支援となっています。
坂本:他社が構築したシステムへの支援ニーズが多いのは、他社が作ったシステムに問題があるのだと思います。どのあたりが問題で、どの部分を御社がきれいに作ったり追加したりしてお返しするのでしょうか? 御社の強みの1つだと思いますので、イメージを教えてください。
佐藤:基本的な日本のスタイルなのかもしれませんが、システム構築が終わると構築した会社とは契約が終わり、運用・保守はお客さま自身で行うケースが多いです。しかし、お客さま自身ではなかなか運用ができず、開発した会社に依頼しても運用サービスを提供しておらず断られることが多いそうです。
当社は保守だけではなく、活用を徹底的にガイドするサービスが特長ですので、そのような方からのお声がけが非常に多いです。
坂本:他社に作ってもらったシステムを御社が支援するということですね。また、「Salesforce」は新機能の追加なども日夜行っているのでしょうか? 御社はその対応なども行っていますか?
佐藤:3ヶ月を目安にアップグレードされています。その都度、差分をご提案したり検証したりしています。
プラットフォームサービス
佐藤:教育事業(エデュケーション)では、「Salesforce」および「Tableau」という製品のトレーニングを提供しています。日本で「Salesforce」の教育を提供できる会社は4社あり、当社はそのうちの1社です。
トレーニング受講者数は累計7,000名を超えており、本事業も非常に古くから行っています。
プラットフォームサービス
佐藤:SaaS製品についてです。こちらは十分に伸ばしていきたいため、重要な戦略に位置付けています。社名でもある「Circlace」は、当社のビジネスでも徹底的に使っているプラットフォーム(基盤)です。また、「AGAVE」は、海外駐在員向けの情報共有などのサービスを提供しています。
「Circlace」については後ほど触れるため「AGAVE」についてご説明します。おかげさまで「東京商工リサーチ」の海外駐在員向け情報管理SaaSの調査で、国内シェアNo.1のお墨付きもいただいている、海外駐在員向けに特化したサービスです。「AGAVE」を使用し、パソナが給与計算や経費精算のサービスを、日本通運が海外引っ越し前後のさまざまな手続きを代行するサービスを、それぞれ提供しています。
坂本:なぜ海外駐在員管理に特化したサービスを行おうとしたのか、開発当時の背景を含めて教えてください。
佐藤:こちらは、パソナのBPO事業を効率化するために作ったソフトウェアが元になっています。このソフトウェアの機能が豊富になってきたため、BPOサービスを除いた機能だけでもお客さまに使っていただけるのではないかと考え、若干マーケティングをした上で、SaaSで売れるように作り直したというのが背景です。
坂本:海外駐在員の管理サービスは「AGAVE」以外に聞いたことがありませんので、2番手をかなり引き離して大きなシェアを持っていると思います。給与計算の話が少しありましたが、必要な要素としてどのようなシステムが入っているのでしょうか?
佐藤:海外への赴任時には、例えば、ビザの取得や予防接種、ご家族の学校などのさまざまな手続きがあります。そのプロジェクト管理を、赴任する当事者や本社の人事部が行うことができるような要素が入っています。
その中には、先ほどお話しした日本通運も入っており、引っ越しもプロジェクト管理内で進めることが出来ます。赴任後は、本社の人事部とのコミュニケーションを十分に行いながら、現地通貨もしくは日本円での税金や給与振込の効率化などの給与計算支援等を行っています。
市場環境
佐藤:「Salesforce」に関連する市場環境についてです。スライドのグラフはSalesforce社が出している市場の成長率を示しています。2026年までで18.8パーセントと公表されていますが、実際はこれ以上の市場成長を実感しており、それを裏付けるデータもいくつかありますので、今後も伸ばしていけるマーケットだと言えます。
当社のビジネスモデル
佐藤:当社のサービスの付加価値を高め、顧客との接点を強めているものの中心が、社名でもある「Circlace」というプラットフォームです。メールやチャットなど、さまざまなツールを使って行っていたものをすべて「Circlace」で行えるように、ナレッジやお客さまとのコミュニケーションのデータを集約しています。
当社の特長
佐藤:スライドの図の左上に記載している「業務プロセス」とは、当社のサービスにおいて、システム開発やコンサルティングのプロジェクト、あるいはカスタマーサクセスのお客さまからの問い合わせに対する回答などを指しています。
その中では、日々さまざまなコミュニケーションが発生し、議事録や提案書、見積もりなど多くの成果物が生まれます。「Circlace」では、これらをきっちりと保存してナレッジ化するプロセスを非常に簡単にできる仕組みを導入しています。
それにより、次回から同様のサービスを行う際に効率的に提供できます。加えて、現在はAIの活用も進んでおり、問い合わせに対する回答の自動化などが実現されつつあります。
当社のビジネスモデル
坂本:「Circlace」の導入社数と課金体系を教えてください。課金体系はIDもしくは事務所・会社単位なのか、そのあたりも含めて教えてください。
佐藤:まず、当社とお付き合いのあるお客さまには漏れなく使っていただいており、すでに100社を超えています。「Circlace」へのアクセスは当然無料で、使い勝手も含めたフィードバックをいただきながら日々開発しています。
また、SaaSとして提供している「Circlace」のお客さまは、まだ10社ほどです。そのため、今年度は販促費を十分にかけて拡販し、今期の成長戦略として進めています。
おかげさまで、さまざまな機能開発についてのご要望をいただいています。そちらを開発しリリースすることで、当社のビジネスが良くなるだけではなく、お客さまにも喜んでもらえるという、非常に良い効果が生まれています。
当社の強み・特長
佐藤:上場時にもご説明した顧客への提供価値について、あらためてお話しします。スライド左側には、顧客課題として大きく3つ挙げています。
1つ目は、プロジェクトの実現可能性が明確ではないということです。一般的なITプロジェクトの品質アンケートの結果を記載していますが、プロジェクトの成功率は5割程度、コスト遵守率は8割程度しかなく、納期遵守率も100パーセントではありません。
2つ目はサービスの分断です。構想策定はコンサルが行い、システム構築はSIが行い、運用・保守は人材派遣を頼むという方針で進めると、分断が起こりがちです。
そのため、プロジェクトがなぜ始まり、誰が何を意思決定するのかがわからず、業務の目的が曖昧になることで、3つ目に記載しているDX実現におけるブラックボックス化が起こります。
そのような課題を解決できることが、当社の強みとなっています。
1プロジェクトを成功に導く実現力
佐藤:コンサルティングサービスにおいて、当社はアジャイル型が得意です。特に、当社は請け負いではなくお客さまと主契約を締結するため、システム構想の段階からしっかりと関われることが強みとなっています。
1プロジェクトを成功に導く実現力
佐藤:当然ながら、技術力も高めています。「Salesforce」において最難関開発資格である「テクニカルアーキテクト」の取得者数は、アクセンチュアとデロイト トーマツ コンサルティングに挟まれ3位です。
また、カスタマーサクセス領域で非常に重要な資格である「上級アドミニストレーター」も、テラスカイに続いて現在3位です。そうそうたる会社に挟まれ、社員数わずか300人弱の規模の会社においては非常に資格者が多いことをご理解いただけると思います。
2一気通貫のサービス展開
佐藤:当社の強みは、構想策定からシステム開発、カスタマーサクセスまで一気通貫で提供できることです。逆に言いますと、このような会社は少ないということです。
カスタマーサクセスまできちんと踏み込んでいくと、その先のプロジェクトの開発につながります。そのため、「Circlace」を活用して顧客基盤をしっかりと保ち、日々の情報を集積および分析することで、お客さまのニーズを掘り起こしていきます。
2一気通貫のサービス展開
佐藤:「カスタマーサクセス」という言葉も、最近はかなり聞くようになってきました。1番、2番というと大げさかもしれませんが、日本では本当に早い時期から、当社はカスタマーサクセスというサービスを行っています。
最近は派遣ビジネスを行う会社が増えてきましたが、当社が蓄積してきたさまざまな人材育成のノウハウや、サービスそのもの、「Salesforce」の知識は、次のステージに進むための先行者利益となっています。
4最新テクノロジーの積極的な活用
佐藤:先月発表しましたとおり、「Circlace」に「ChatGPT」を組み入れた機能の開発を開始しました。後ほど詳しくご説明しますが、わかりやすく言いますと、当社がこれまでのノウハウを蓄積したデータを元に「Salesforce」の設定や操作に関する質問に自動回答できるチャット機能で、おそらく日本初の機能だと思います。
成長戦略の考え方
佐藤:一番重要な成長戦略についてご説明します。当社の事業ポートフォリオは、4つの事業から構成されており、日々戦略的に入れ替えています。
1つ目の「基盤」は「Salesforce」のコンサルティングサービスで、先ほどもお伝えしたとおり、売上高は全体の6割以上を占めます。
2つ目の「再構築」では、収益的にも非常に安定している事業をより成長させ、収益率を高めていきます。現在は、AIの発展によって事業環境が変わってきたため、カスタマーサクセスの再構築をしています。
3つ目の「次世代」では、いろいろな課題を解決するため、ベトナムをはじめとした海外拠点および合弁会社の設立などへの投資を行います。
4つ目の「成長」として、現在ポートフォリオに入っているのがSaaS事業です。
ビジョン 2030
佐藤:5月に中期経営計画「ビジョン 2030」を発表し、プライム市場への上場を宣言しました。2030年まであと7年ありますが、その中で実現していきたいです。そのために、テクノロジーと海外人材を活用し、海外事業も進めていきます。
中・長期計画1
佐藤:売上高と営業利益の実績および予測値です。2030年までに、年平均成長率21パーセントとなる売上高100億円を目標としています。
また、営業利益は20億円、営業利益率は20パーセントを目指します。年平均成長率は49パーセントで、非常にチャレンジングな数字ですが、かなりの成長投資をしている中での数字となりますので、軌道に乗れば十分達成できると考えています。
中・長期計画2
佐藤:「従業員数」と「従業員一人当たり売上」を新たなKPIとして出しています。従業員数は現在300人弱で、10年後に600人という目標は若干コンサバティブに見えるかもしれません。IT人材の採用が非常に難しいという環境もありますが、年平均10パーセント以上はしっかりと伸ばしていきたいと考えています。
従業員一人当たり売上は、昨年、今年と1,000万円を少し下回っていますが、これを高めることで、より高付加価値のサービスを提供し、収益性の高い事業モデルにしていきます。
坂本:かなりチャレンジングな数字だと思いますが、社長は意外と自信がありそうな感じですね。こちらは、今までの投資をそのまま伸ばしていくパターンなのか、M&Aが含まれているものなのかを教えてください。
佐藤:この数字に関しては、既存の事業を伸ばしていけば達成できると考えています。コンサルティングサービスは非常に収益率が高いため、今でも、従業員一人当たり売上は達成できています。
しかし、事業ポートフォリオの再構築に入れているカスタマーサクセスについては、もともと派遣事業で行っていたため、一人当たりの売上や利益は非常に限られます。当社では「自社のDX」と言っていますが、現在は「Circlace」を活用しながら、派遣を自社に戻してチームを編成し、チーム型のコンサルサービスに切り替えています。それにより単価も上がり、サービスを提供できる一人当たりの担当客数も増えるため、収益率が高まっています。
坂本:いったんは人材を手当てできると思いますが、現状からはおそらく倍になるイメージでしょうか?
佐藤:おっしゃるとおりです。
坂本:採用について、中途と新卒の割合を教えてください。
佐藤:今は新卒が10パーセントと、かなり積極的に採用を始めています。
坂本:基本的には中途が多いということですか?
佐藤:そのとおりです。昨年から新卒採用を開始し、今年4月に2期生が入社しました。今後もさらに増やしていきます。
中・長期計画3
佐藤:先ほどお伝えした600名という目標の実数に、海外人材は入れていません。しかし、ベトナムでも100名程度の体制にしていきたいと考えています。
トピック
佐藤:当社が独自で行うのではなく、ベトナムに強みを持っている会社と提携したほうがよいと考え、グロース市場に上場されているハイブリッドテクノロジーズと提携しました。同社からは、ベトナム現地での採用をご支援いただいています。
また、日本の製造業に向けて非常に高度なIT人材の活用を提案できるグロースリンクとの提携により、当社も製造業向けに「Salesforce」以外のサービスを提供していこうと考えています。
中期計画のポイント1
佐藤:ベトナムを皮切りに、今後はアジア圏や北米でのビジネス展開も考えています。
中期計画のポイント2
佐藤:カスタマーサクセスの再構築についてです。付加価値を向上するために「ChatGPT」を代表とするAIを活用します。今後リリースされる機能を着実に使って生産性を向上し、顧客数を増やしていきます。
中期計画のポイント3
佐藤:従業員一人当たり売上はもちろんですが、やはりSaaS事業が重要です。SaaS事業は、従業員数をそれほど増やさずとも顧客数を大きく増やせる可能性を持っていますので、今期はSaaS事業への販促費を積極的に投入していきます。
中期計画のポイント4
佐藤:プライム市場への上場に向け、ダイバーシティーや女性管理職比率などにもしっかりと取り組んでいくつもりです。そのため、これらの数字もKPIとして発表しています。
中期計画のポイント 5
佐藤:3年間の投資額は、24億円を予定しています。そのため、この3年間の収益率は若干抑え気味になるかもしれませんが、しっかりと投資の結果を出していきます。それを踏まえて、先ほどお伝えした「売上高100億円、営業利益20億円」の目標を達成していく計画を立てています。資料を用いたご説明は以上です。
質疑応答:配当の方向性について
坂本:成長企業ですので、配当よりは成長に振れるのが基本だと思っていますが、個人投資家のみなさまは意外と配当について気になっているようです。配当の方向性についておうかがいできればと思います。
佐藤:大変気になる部分かと思います。上場前から一貫して「グロース市場にいる期間は、利益は成長投資に活かしていきたい」とお伝えしていますので、プライム市場への上場後にしっかりと配当できるように、高収益なビジネスを作っていきたいと考えています。
質疑応答:単価向上と新規開拓について
坂本:「売上高、利益は今後も増加していく見通しになっていますが、単価増の実現予定はありますか? また、今後は新規取引先の拡大はあまり積極的に行わず、今お付き合いのあるところを深掘りしていくのでしょうか? 両方かとは思いますが、施策がありましたら教えていただきたいです」というご質問です。
佐藤:当然ながら、単価はまだ上げられる余地が残っています。そちらが、先ほどお伝えした「一人当たりの売上1,700万円」というプランにもつながりますので、全サービスでしっかりと取り組んでいきたいと思います。
新規顧客の開拓については、サービスによって考え方が違います。現在の主力事業であるコンサルティングサービスにおいては、既存のお客さまが企業数および売上で6割から7割を占めます。そのため、既存のお客さまをしっかり「基盤」として拡大していくことに加えて、新しいお客さま、重要なお客さま、キーとなるお客さまの開拓を積極的に行っています。
併せて、カスタマーサクセスは他社が構築したお客さまが9割ですので、今後も積極的に新規開拓を行っていきます。
質疑応答:Salesforce社からの出資について
坂本:「Salesforce社から出資を受けているというご説明がありましたが、開示されている株主の名前には出てきません。32.8パーセントを保有するテキーラ リミテッド社がSalesforce社なのでしょうか? そうでなければ、Salesforce社の保有割合を教えてください」というご質問です。良いほうに出ているレベルでかまわないと思います。
佐藤:Salesforce社にご出資いただいたのは設立当時で、上場後は大量保有報告書等でもお伝えしているとおり、順次売却をしています。そのため、正確な数字はわかりませんが、現在は1パーセントあるかどうかというところです。
質疑応答:得意としている業界について
増井麻里子氏(以下、増井):御社の得意とされている業界はありますか?
佐藤:製造業のお客さまが比較的多いという特色はありますが、業種よりも、お客さまに対する接点強化というソリューション側に強みを持っています。そのため、サービス業や金融業においても、DXという観点で非常に重要視されています。
もともとは製造業にフォーカスしていましたが、最近はいろいろな業種が増えてきているという状況です。
増井:中小規模から攻めていくイメージでしょうか?
佐藤:お客さまは非常に大手の企業が多いのですが、プロジェクトはプロトタイプから始まり、中小規模を攻めながら徐々に大きくなっていくという流れが多いです。
質疑応答:「Circlace」と「Salesforce」のサービス内容について
坂本:「『Circlace』と『Salesforce』は、グループウェアとデータベース管理システムを組み合わせたサービスという認識でよろしいでしょうか? その場合、導入メリットを顧客が感じられるように、カスタマイズやコンサルを含めた総合的および継続的なサービスを行っているのでしょうか?」というご質問です。
佐藤:「Circlace」についてはご理解のとおりです。また、「Salesforce」は開発基盤になりますので、作ろうと思えばさまざまなものを作ることができます。おっしゃるとおり、データベースの整備もしっかり行いますが、当然ながら開発だけではなく、活用支援までサービスを提供しています。
質疑応答:新卒採用について
坂本:「新卒採用は苦戦している企業が多いと思いますが、サークレイスはどのような工夫をされていますか?」というご質問です。
佐藤:確かに苦戦はしていますが、さまざまな手を尽くしています。普通のことかもしれませんが、学生向けのスカウトサービスをいくつか利用しています。また、説明会では私も話しますし、学生との面談も基本的にすべて行います。学生の方々に「来ていただきたい」という熱意が伝わるような取り組みを徹底して行っています。
坂本:中途で御社に入られる方の中にはいると思うのですが、新卒で御社を志望される方の中で「『Salesforce』のシステムに携わりたい」という明確な意思を持った方はいらっしゃるのでしょうか?
佐藤:当社を受けてくださる学生の中で「Salesforce」を最初から知っている方は少ないです。しかし知らない方でも、説明会等を通して「世界一のシステムなのですね」「非常に生産性が高いのですね」と興味を持ってくれます。その上で「Salesforce」に携わりたいという希望を持って入社されます。
坂本:最近は「稼げるエンジニア」が人気だとよく言われています。「AWS」や「Salesforce」の技術者のうち、「テクニカルアーキテクト」など上級の資格を持っている人は各社2人から5人という世界ですので、その資格を持っていれば稼げるのではないかと思うのですが、新卒だとそこまで考えて入社する方は少ないのでしょうか?
佐藤:そうですね。しかし、技術者として入社する方たちは「テクニカルアーキテクトを目指したい」と言って入社しますので、頼もしいです。
坂本:良い方向性ですね。
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