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スカラのニュース
■スカラ<4845>の業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) IT/AI/IoT/DX事業
IT/AI/IoT/DX事業の売上収益は前期比17.6%増の4,875百万円、営業利益は同68.8%減の236百万円となったが、Non-GAAP指標での全社費用配賦前営業利益は同4.0%増の1,084百万円であった。売上形態別で見ると、月額課金収入が前期2.1%増の2,571百万円、従量課金収入が同52.1%増の893百万円、受託開発等の一時売上が同35.5%増の1,411百万円となった。企業や地方自治体のDX推進に向けて新サービスの企画・開発を推進するなど、共創案件の大型案件の受注獲得に注力したことにより、主力サービス「i-シリーズ」の新規顧客獲得ペースが鈍化し、売上収益の伸び悩みにつながった。一方、エッグの子会社化により従量課金収入及び一時売上は大きく伸長した。四半期ベースで見ると第3四半期から第4四半期にかけて従量課金収入が234百万円、一時売上が119百万円それぞれ増加しているが、大半はエッグの寄与によるものと見られる。なお、エッグは月額課金収入も計上しており、第4四半期の月額課金収入が伸長しているのは同様の理由となる。
共創案件としては、シノケングループ<8909>と共同開発した「不動産のトラストDXプラットフォーム」が第2四半期に売上計上されたことが増収要因となっている。同プラットフォームは当事者型書名方式と立会人型書名方式が選択できるハイブリッド型の不動産売買電子契約プラットフォームで、マイナンバーカードと連携したデジタルIDソリューション(xID)を個人認証システムとして利用する業界初の仕組みであり、今後も追加機能の開発を継続する予定であるほか、ほかの不動産事業者への横展開も視野に入れている。
また、大手製薬会社や大手損保会社との共創案件として、「スマートヘルスケアプラットフォーム」の構築を目的とした協業を開始した。企業の健康経営をサポートするヘルスケアサービスの開発を進めている。畜産DXとして取り組んでいる「U-メディカルサポート」については、遠隔診療に関する機能開発や乳牛ゲノム検査結果データ活用アプリ「EGゲノム(仮称)」の開発が進捗しており、リリースの目途も立っているようだ。なお、畜産DXについては、協業先であるデザミス(株)及び三井住友海上火災保険(株)と共同開発費用を折半していることから、売上は計上するものの利益への影響はほとんどなく、ユーザー(畜産農家や獣医師など)からの月額利用料をシェアして収益化するスキームとなっている。
利益面では、全社費用配賦前営業利益で前期比42百万円の増益となったが、エッグの寄与が10百万円程度(買収費用を含む)あったと見られる。このほか、新規案件の開発費用等が増加したものの増収効果で吸収し、増益を確保した。
(2) カスタマーサポート事業
カスタマーサポート事業の売上収益は前期比26.1%減の1,357百万円、営業損失は31百万円(前期は12百万円の損失)、全社費用配賦前営業損失は28百万円(同32百万円の利益)となった。売上の大半を占める光通信グループ向けの従来型コールセンター業務で、コロナ禍で継続していたコールセンターニーズの減少傾向に改善の兆しが見られたほか、新たに複数のコールセンター案件の引き合いもあり、2023年6月期より業務開始となる案件の獲得も進んでいる。利益面でも、沖縄コールセンターへの案件移管によるコスト改善やRPAを活用した各種BPO業務の効率化などにより、利益率の改善に取り組んでいる。
(3) 人材・教育事業
人材・教育事業の売上収益は前期比10.2%増の1,468百万円、営業利益は472.4%増の61百万円、全社費用配賦前営業利益は同31.6%増の227百万円となった。コロナ禍により前期は低調に推移した人材事業が回復したことで、大幅な増収増益となった。新卒学生向けの支援体制を強化したほか、採用関連イベント数も前期比9件増加の81件とコロナ禍前の水準まで回復したことが要因で、同事業の売上収益、営業利益はともに過去最高を更新した。
教育では、前期より運営を開始した学童「UK Academy」の児童確保に注力するとともに、保育園等で各種イベントを開催するなど、コロナ禍でも柔軟な施策を実施した。このほか、プロバスケットボールチームの運営、国や自治体と連携したスポーツ行政関連事業の検討を推進している。
(4) EC事業
EC事業の売上収益は前期比26.1%増の1,654百万円、営業利益は同47.0%増の239百万円、全社費用配賦前営業利益は同40.4%増の281百万円と2ケタ増収増益が続き、過去最高を更新した。コロナ禍においてトレーディングカードのオンライン売買ニーズが継続するなか、SEOをはじめとしたデジタルマーケティングへの取り組みが奏功した。また、前期末にリリースしたiOSアプリのユーザー数が順調に拡大し、ECサイト「カードショップ - 遊々亭 -」の会員数が前期末比34.3%増の188千人に増加したことも収益拡大に寄与した。
(5) 保険事業
保険事業の売上収益は452百万円、営業損失は28百万円となった。ペット関連産業の拡大を背景にペット保険の契約件数が順調に推移し、保険収益も前年比で増加傾向にある。一方、利益面では、ペットの病気やケガによる医療機関への受診回数の増加や医療費の高騰を受け増加傾向にあるものの、買収費用もあり損失を計上した。
(6) 投資・インキュベーション事業
投資・インキュベーション事業の売上収益は前期比143.7%増の206百万円、営業損失は866百万円(前期は387百万円の損失)、全社費用配賦前営業損失は353百万円(同138百万円の損失)となった。売上収益は、「逆プロポ」が順調に拡大したほか、ワーケーションサービス※が伸長し、増収となった。一方、利益面では、成長に向けた開発費用や人件費等の先行費用の増加、事業投資に伴う各種アドバイザリー費用の増加、SCSV1号投資事業有限責任組合における投資先上場企業の株価下落等などが損失要因となったものの、これらの費用の大半は一過性のものである。
※好きな場所や新しい仕事を通じて、地域や人とつながる体験を提供するサービスで、主にワーケーション施設の紹介サイト「KomfortaWorkation」の運営を行っている。
「逆プロポ」のマッチング成約件数は前期比4件増の6件、マッチングをきっかけとする受託開発件数は同2件増の3件と、着実に実績を積み上げている。「逆プロポ」とは、大企業やスタートアップ企業などの民間企業が、社会課題解決型の新規事業を実施する際に、当該事業の需要動向の把握や仮説検証等をスピーディに実施したいときに活用するサービスとなる。従来の公募プロポーザルは、自治体が予算を持って公募するプロジェクトに対して、受注を狙う企業が事業計画書を作成・提出し、それを第三者機関が評価し選定するといったものだが、「逆プロポ」では企業が費用を負担して企画する社会課題解決型のテーマに対して、参加を希望する自治体を公募する流れとなる。参加可能な自治体はテーマに則した実証実験などの提案書を作成・申し込みを行う。選定する自治体数は複数でも可能なため、企業は多くの実証実験を行うことも可能となる。なお、選定された自治体に対しては公募する企業側から「寄付受納」という形で予算が支払われる。直接得られる収益は少ないが、同プロジェクトで活用するシステム開発を同社が受注するケースがあるほか、マッチングした自治体に対してDX支援などほかのプロジェクトを受注する可能性も増えるため、官民共創プロジェクト拡大のフック役と位置付けている。実際、「逆プロポ」のマッチングをきっかけとして、滋賀県日野町から新型コロナワクチン接種の予約システム及びマイナンバーカードを活用した予約システムの開発を受託した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業セグメント別動向
(1) IT/AI/IoT/DX事業
IT/AI/IoT/DX事業の売上収益は前期比17.6%増の4,875百万円、営業利益は同68.8%減の236百万円となったが、Non-GAAP指標での全社費用配賦前営業利益は同4.0%増の1,084百万円であった。売上形態別で見ると、月額課金収入が前期2.1%増の2,571百万円、従量課金収入が同52.1%増の893百万円、受託開発等の一時売上が同35.5%増の1,411百万円となった。企業や地方自治体のDX推進に向けて新サービスの企画・開発を推進するなど、共創案件の大型案件の受注獲得に注力したことにより、主力サービス「i-シリーズ」の新規顧客獲得ペースが鈍化し、売上収益の伸び悩みにつながった。一方、エッグの子会社化により従量課金収入及び一時売上は大きく伸長した。四半期ベースで見ると第3四半期から第4四半期にかけて従量課金収入が234百万円、一時売上が119百万円それぞれ増加しているが、大半はエッグの寄与によるものと見られる。なお、エッグは月額課金収入も計上しており、第4四半期の月額課金収入が伸長しているのは同様の理由となる。
共創案件としては、シノケングループ<8909>と共同開発した「不動産のトラストDXプラットフォーム」が第2四半期に売上計上されたことが増収要因となっている。同プラットフォームは当事者型書名方式と立会人型書名方式が選択できるハイブリッド型の不動産売買電子契約プラットフォームで、マイナンバーカードと連携したデジタルIDソリューション(xID)を個人認証システムとして利用する業界初の仕組みであり、今後も追加機能の開発を継続する予定であるほか、ほかの不動産事業者への横展開も視野に入れている。
また、大手製薬会社や大手損保会社との共創案件として、「スマートヘルスケアプラットフォーム」の構築を目的とした協業を開始した。企業の健康経営をサポートするヘルスケアサービスの開発を進めている。畜産DXとして取り組んでいる「U-メディカルサポート」については、遠隔診療に関する機能開発や乳牛ゲノム検査結果データ活用アプリ「EGゲノム(仮称)」の開発が進捗しており、リリースの目途も立っているようだ。なお、畜産DXについては、協業先であるデザミス(株)及び三井住友海上火災保険(株)と共同開発費用を折半していることから、売上は計上するものの利益への影響はほとんどなく、ユーザー(畜産農家や獣医師など)からの月額利用料をシェアして収益化するスキームとなっている。
利益面では、全社費用配賦前営業利益で前期比42百万円の増益となったが、エッグの寄与が10百万円程度(買収費用を含む)あったと見られる。このほか、新規案件の開発費用等が増加したものの増収効果で吸収し、増益を確保した。
(2) カスタマーサポート事業
カスタマーサポート事業の売上収益は前期比26.1%減の1,357百万円、営業損失は31百万円(前期は12百万円の損失)、全社費用配賦前営業損失は28百万円(同32百万円の利益)となった。売上の大半を占める光通信グループ向けの従来型コールセンター業務で、コロナ禍で継続していたコールセンターニーズの減少傾向に改善の兆しが見られたほか、新たに複数のコールセンター案件の引き合いもあり、2023年6月期より業務開始となる案件の獲得も進んでいる。利益面でも、沖縄コールセンターへの案件移管によるコスト改善やRPAを活用した各種BPO業務の効率化などにより、利益率の改善に取り組んでいる。
(3) 人材・教育事業
人材・教育事業の売上収益は前期比10.2%増の1,468百万円、営業利益は472.4%増の61百万円、全社費用配賦前営業利益は同31.6%増の227百万円となった。コロナ禍により前期は低調に推移した人材事業が回復したことで、大幅な増収増益となった。新卒学生向けの支援体制を強化したほか、採用関連イベント数も前期比9件増加の81件とコロナ禍前の水準まで回復したことが要因で、同事業の売上収益、営業利益はともに過去最高を更新した。
教育では、前期より運営を開始した学童「UK Academy」の児童確保に注力するとともに、保育園等で各種イベントを開催するなど、コロナ禍でも柔軟な施策を実施した。このほか、プロバスケットボールチームの運営、国や自治体と連携したスポーツ行政関連事業の検討を推進している。
(4) EC事業
EC事業の売上収益は前期比26.1%増の1,654百万円、営業利益は同47.0%増の239百万円、全社費用配賦前営業利益は同40.4%増の281百万円と2ケタ増収増益が続き、過去最高を更新した。コロナ禍においてトレーディングカードのオンライン売買ニーズが継続するなか、SEOをはじめとしたデジタルマーケティングへの取り組みが奏功した。また、前期末にリリースしたiOSアプリのユーザー数が順調に拡大し、ECサイト「カードショップ - 遊々亭 -」の会員数が前期末比34.3%増の188千人に増加したことも収益拡大に寄与した。
(5) 保険事業
保険事業の売上収益は452百万円、営業損失は28百万円となった。ペット関連産業の拡大を背景にペット保険の契約件数が順調に推移し、保険収益も前年比で増加傾向にある。一方、利益面では、ペットの病気やケガによる医療機関への受診回数の増加や医療費の高騰を受け増加傾向にあるものの、買収費用もあり損失を計上した。
(6) 投資・インキュベーション事業
投資・インキュベーション事業の売上収益は前期比143.7%増の206百万円、営業損失は866百万円(前期は387百万円の損失)、全社費用配賦前営業損失は353百万円(同138百万円の損失)となった。売上収益は、「逆プロポ」が順調に拡大したほか、ワーケーションサービス※が伸長し、増収となった。一方、利益面では、成長に向けた開発費用や人件費等の先行費用の増加、事業投資に伴う各種アドバイザリー費用の増加、SCSV1号投資事業有限責任組合における投資先上場企業の株価下落等などが損失要因となったものの、これらの費用の大半は一過性のものである。
※好きな場所や新しい仕事を通じて、地域や人とつながる体験を提供するサービスで、主にワーケーション施設の紹介サイト「KomfortaWorkation」の運営を行っている。
「逆プロポ」のマッチング成約件数は前期比4件増の6件、マッチングをきっかけとする受託開発件数は同2件増の3件と、着実に実績を積み上げている。「逆プロポ」とは、大企業やスタートアップ企業などの民間企業が、社会課題解決型の新規事業を実施する際に、当該事業の需要動向の把握や仮説検証等をスピーディに実施したいときに活用するサービスとなる。従来の公募プロポーザルは、自治体が予算を持って公募するプロジェクトに対して、受注を狙う企業が事業計画書を作成・提出し、それを第三者機関が評価し選定するといったものだが、「逆プロポ」では企業が費用を負担して企画する社会課題解決型のテーマに対して、参加を希望する自治体を公募する流れとなる。参加可能な自治体はテーマに則した実証実験などの提案書を作成・申し込みを行う。選定する自治体数は複数でも可能なため、企業は多くの実証実験を行うことも可能となる。なお、選定された自治体に対しては公募する企業側から「寄付受納」という形で予算が支払われる。直接得られる収益は少ないが、同プロジェクトで活用するシステム開発を同社が受注するケースがあるほか、マッチングした自治体に対してDX支援などほかのプロジェクトを受注する可能性も増えるため、官民共創プロジェクト拡大のフック役と位置付けている。実際、「逆プロポ」のマッチングをきっかけとして、滋賀県日野町から新型コロナワクチン接種の予約システム及びマイナンバーカードを活用した予約システムの開発を受託した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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