スペースシャワーSKIYAKIホールディングスのニュース
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【QAあり】スペースシャワーSKIYAKIHD、新中計「Ignite 2027」では売上高240億円を掲げコンテンツとテクノロジーの融合により成長基盤を強化
会社概要
林吉人氏(以下、林):本日はお集まりいただきありがとうございます。スペースシャワーSKIYAKIホールディングス共同社長の林と申します。よろしくお願いします。
小久保知洋氏(以下、小久保):同じく共同社長の小久保と申します。よろしくお願いします。
林:本日は当社グループを初めて知る方もいらっしゃると思いますので、最初に当社グループの概要を簡単に説明した後、先週発表した2025年3月期の中間決算と中期経営計画についてお話したいと思います。
まず、会社概要についてです。当社グループは2024年4月1日に旧スペースシャワーネットワークと旧SKIYAKIが経営統合し、新しくできた会社です。存続会社がスペースシャワーネットワークである関係で設立が1996年12月となっています。
従業員数は現在連結で388名です。ホールディングス会社の下に、主な事業会社6社が連結している構成です。
ミッション
林:当社グループのミッションについてです。キャッチフレーズは「EMPOWER ARTISTS & CREATORS, ENRICH FAN EXPERIENCE」です。
今は多様性や包摂が重要視されている時代です。そのため、我々はエンタテインメントの領域において、さまざまなアーティストやクリエイターとともに、豊穣な文脈を持った良質なコンテンツを提供し、ユーザーに感動を届けます。みなさまの心の内面を彩り豊かにし、社会の多様性の実現に貢献していきたいと考えています。
また、個人へのパワーシフトが進む時代になっており、個人で活動されているアーティストやクリエイターも多数いらっしゃいます。
そのような方々が経済的にも豊かに、長く活動を続けられるように、我々は活動を支える利便性の高いソリューションを360度で提供します。そして、表現活動をする方々の裾野を広げ、その価値を高めることが我々の社会的使命であると考えています。
事業概要
林:個別の事業については後ほどご説明しますので、ここでは詳細は省きますが、アーティストやクリエイターを中心にさまざまな事業を展開しています。
デビュー間もない方から大御所の方まで、さまざまなキャリアステージのアーティストやクリエイターと、さまざまなビジネスの接点を持って事業展開しています。
主催大型フェス
林:当社グループの事業の中で一番大きなものとして、主催の大型フェスがあります。スライド左側の「SWEET LOVE SHOWER」というロック系のフェスは1996年から始まり、山中湖で毎年夏に3日間開催し、約8万人を動員しています。
もう1つは、スライド右側の「POP YOURS」です。これは今世界的にも非常に広がっているヒップホップのフェスで、コロナ禍の2022年にスタートしました。毎年5月に開催しており、3年目となる今年は3万5,000人を動員し、前年比で16パーセント成長しています。お客さまの8割以上が25歳未満で、Z世代に非常に支持されているフェスとなっています。
主催大型フェス
林:主催大型フェスについて補足します。グラフに青色で示した部分が「SWEET LOVE SHOWER」の売上です。2015年頃は年間動員が約5万人でしたが、コロナ禍に入る直前の2019年が8万人となっています。
コロナ禍のうち、2年間は休止して2022年は制限付きの開催となり、完全復活した2023年にはコロナ禍前の8万人動員まで回復しました。
グラフは売上高を示しています。同じ8万人でも、その間に野外フェスやライブのチケット単価が大幅に上がっていることもあり、お客さま1人あたりのARPUが上がっていることから売上は増加傾向にあります。
しかし、残念ながら2024年度は台風10号が直撃しました。3日間開催のうち2日間は交通機関の乱れなどもあり、来場できなかったお客さまへのチケット払い戻しを実施しています。8万枚のチケットが完売しながら、1万8,000人分のチケット払い戻しを実施したことから、6万2,000人の来場となっています。
グラフの紫色の部分は「POP YOURS」で、動員数、売上ともに着実に伸びています。
アーティスト関連
林:アーティストの方々のマネジメントやエージェント業務も行っています。アーティスト全員の話はできませんが、我々がマネジメントを行っている中心的なアーティストであるSuchmosに関しては、2021年から活動休止していましたが、2025年6月に横浜アリーナで5年ぶりの復活ライブを開催すると発表しています。2025年横浜アリーナのライブを皮切りに活動を再開することから、我々もSuchmosを押していきたいと考えています。
また、今年10周年を迎えるTempalayは2024年10月に初の武道館ワンマンライブを成功させ、まだまだ飛躍が期待できるアーティストです。
エンタテインメントカフェ
林:秋葉原で展開している「あっとほぉーむカフェ」についてです。カフェ自体は2004年に創業し、2016年に当社が子会社化しました。2024年で20周年を迎え、2016年は5店舗でしたが現在は大阪を含めて10店舗まで拡大しています。
コロナ禍は除けば、来店者数は店舗が拡大するにつれて確実に増加しており、2016年度当時の年間来店者は約37万人でしたが、2023年は73万人とほぼ倍増しています。
さらなる需要はあるとみており、2025年新エリアとして名古屋への出店を決定しています。具体的なオープン予定は決定していませんが、本年度中には新しく2店舗をオープンさせ、12店舗体制となる予定です。
2024年度は既存の10店舗だけでも、前年同期比で約106パーセントの来店者増が実現できており、この調子で進捗すると今年度は80万人近い数になる見通しです。
CS有料放送事業
林:CS有料放送事業についてです。スペースシャワーネットワークグループはもともと有料放送からスタートした会社です。今から35年前の1989年、邦楽のロックやオルタナティブを中心とする音楽専門チャンネル「SPACE SHOWER TV」としてスタートしています。
そこから13年後の2002年に音楽の第2チャンネルをスタートさせ、それが「SPACE SHOWER TV Plus」です。こちらはJ-POP、アニソン、アイドル、K-POPなど、よりメインストリームのポップ系の楽曲を紹介する音楽チャンネルです。
ファンプラットフォーム・ファンクラブ
小久保:ここからはSKIYAKIが行っているファンプラットフォーム・ファンクラブビジネスについてご説明します。2011年からファンクラブ業界に参入し、2020年にはオープン型プラットフォームを提供しています。
スライドをご覧いただいてもおわかりいただけるように、アーティストをはじめ、さまざまなジャンルの方にご利用いただいています。例えばスポーツチームや日本相撲協会のほか、声優や俳優はもちろん、「Bitfan」のオープン型プラットフォームでもYouTuberやTikTokerなどさまざまな方にご利用いただいています。
現在、FCサービスは1,190サービスとなっています。有料会員数はグループ会社であるコネクトプラスの数字も合算すると132万7,000人の方々にご利用いただいています。
ファンプラットフォーム・UGCメディア
小久保:「LiveFans」というUGCメディアも運営しています。音楽ライブのセットリストを掲載する国内最大級の音楽ライブ情報サービスです。
2011年から提供しており、コロナ禍ではライブが行われなかったことから落ち込んだ時期もありましたが、現在は月間900万PVまで戻ってきており、順調に成長しているサービスです。
ディストリビューション事業
小久保:ディストリビューション事業についてです。この事業自体はCDの流通なども含め、2006年から行っていますが、2021年にオランダのFUGA社との合弁会社を作りました。
現在世界で25ヶ所のグローバルネットワーク及び国内外200ヶ所以上のDSPとつながっており、海外に強いディストリビューションサービスとして非常に好評いただいているサービスです。
クリエイティブソリューション事業
小久保:クリエイティブソリューション事業として、2つご紹介します。1つはMV・映像制作です。もともと1993年からMV制作を行っている老舗のSEPが、大きなクライアントとクオリティの高い映像制作を行っています。
もう1つは2022年から行っているイベント受託制作です。スペースシャワーネットワークが持っているライブ制作のノウハウをお客さまに対して提供しているもので、大きなところでは福岡の「FUKUOKA MUSIC FES.」、群馬の「GFEST」などがあります。
以上が主な事業内容となります。
株主優待制度の拡充
小久保:中期経営計画発表にあたり、株主向けの優待制度を拡充しています。
先ほど林からもご説明があったように、今年の「SWEET LOVE SHOWER」は残念ながら台風が直撃してしまいましたが、8万人分のチケットも即完売となり、抽選でもなかなか当たらない状況にもなっています。「POP YOURS」も即完売する勢いでしたので、このようなチケットが取りにくいイベントで、株主向けの抽選枠の開始を考えています。
そのほかにも、「あっとほぉーむカフェ」の優待や、受託制作を行っている福岡の「FUKUOKA MUSIC FES.」、群馬の「GFEST.」でも、同様にイベントへのご招待を計画しています。
これには、やはり会社のファンを増やしていきたいという思いが強くあります。我々が行っている事業やサービスのファンの方にそのまま株主になっていただきたいという思いから、このような株主優待制度の拡充を行っています。
2025年3月期通期業績予想
小久保:業績予想と中間決算についてご説明します。今期の通期業績予想はスライドのとおりとなります。
売上高195億7,800万円、営業利益7億6,800万円を目指しています。当然のことながら、SKIYAKIの数字が入ってくるため前期比でプラスの数字となっています。
2Q業績サマリー
小久保:第2四半期業績サマリーについてです。通期業績に対する進捗となりますが、スライド右側に記載している第2四半期累計期間では、実績値として売上高が105億8,100万円、営業利益5億8,100万円となっています。
YoYで見るとマイナスになっていますが、先述のとおり台風直撃でチケットの払い戻しが発生したため、その減収インパクトが約1億6,000万円となります。また、「あっとほぉーむカフェ」でも同様に台風のさなかにイベントがあり、それらを含めると約2億円の台風による減収インパクトとなりました。
それらを鑑みると、前年同期比で営業利益は約1億円下がっているものの、他の事業が好調なことから約1億円盛り返していると見ていただければと思います。
中期経営計画「Ignite 2027」(2026年3月期〜2028年3月期)の策定
林:ここからは中期経営計画の概要についてご説明します。今回の中期経営計画には「Ignite 2027」というタイトルをつけています。
もともとコンテンツ業界に携わってきたスペースシャワーネットワークと、テクノロジーを中心としたSKIYAKIという違う文化が新たに交わることで、新しい発想や創造の発火点になるものを生み出していきたいという思いから「Ignite 2027」というタイトルをつけています。
詳細はスライドに文章で記載していますが、中期経営計画期間としては次の時代のエンタテインメントを作っていくことや、日本のエンタテインメント業界のDXの一助になる、社会やエンタメ業界に対して新しい価値を提案していくことに、できるだけ高い視座で取り組んでいきたいと考えています。
セグメント区分について
林:事業の戦略についてです。中期経営計画においては、コンテンツセグメントとソリューションセグメントの2セグメントに分けています。
コンテンツセグメントは、自社で企画プロデュースするオリジナルコンテンツを、エンドユーザー、末端の消費者に提供し、その方々からお金をいただくBtoCのビジネスと定義しています。
一方でソリューションに関しては、さまざまなクライアントがいますが、多くは企業クライアントが中心です。彼らが抱えている課題を解決するためのサービスやソリューションを提供し、その企業クライアントからお金をいただくBtoB型のビジネスだと考えています。
中期経営計画達成に向けた組織再編
林:スペースシャワーネットワークとSKIYAKIの経営統合により、互いに重複する機能もあります。同時にスペースシャワーネットワークは設立後35年が経過し、いくつかの機能がグループの中で分散化しているものもあります。そのため、事業整理をすることを目的に、2024年4月に向けて組織再編を行います。
1つ目に、スペースシャワーグループにもファンクラブ事業を展開するコネクトプラスがありますが、このタイミングでSKIYAKIに吸収合併し、SKIYAKIで一元的に展開していきます。
2つ目に、スペースシャワーグループには、映像やイベントなどを受託して制作する機能がさまざまなところにあります。我々がクリエイティブソリューションと呼んでいる、映像やイベントを作るソリューション機能についてはSEPに集約していきます。
3つ目に、音楽配信はこれまでスペースシャワーネットワークと子会社のSPACE SHOWER FUGAで別々に行っていました。今後、デジタル音楽配信はすべてSPACE SHOWER FUGAで一元的に行います。
2025年4月以降のホールディングス体制では、スペースシャワーネットワークとINFINIAはコンテンツを扱う会社に、SEP、SKIYAKI、SPACE SHOWER FUGAはソリューションを扱う会社となります。事業セグメントと組織がきれいに整理できることになりますので、これを中期経営計画のスタートにしたいと考えています。
セグメント毎の注力戦略(コンテンツセグメント)
林:各セグメントにおける中期経営計画の重点施策や戦略についてです。
コンテンツに関してはスペースシャワーネットワークが主体となります。そもそも違うタイプのコンテンツを扱っていますので、まずスペースシャワーネットワークのご説明をしてから、そのあとにINFINIAについてご説明します。
スペースシャワーネットワークが扱っているコンテンツは、大きく分けると「SWEET LOVE SHOWER」や「POP YOURS」のようなイベント系と、アーティストIPとなります。
イベントコンテンツの事業戦略としては、我々は水平展開と呼んでいますが、東京でのイベントを地方展開する、夏に開催したものを春や冬に通年開催するなど、お客さまとのタッチポイントを増やし、エンゲージメントを維持することでビジネスを広げていく展開を考えています。
アーティストIPについては、最初にお話ししたとおり当社グループにはソリューションが多くありますので、我々が持つさまざまなソリューションを使いアーティストの価値を上げていきます。これにより一段上のステージに上がっていただき、さらにビジネスを広げていくことが中心となっていきます。
また、今はファンダムやスーパーファンの時代になっていることからオンラインでのサービス展開も行います。今後、アーティストやIPに関するものは、いかにファンとの関係性を構築していくか、いかにファンとの間のビジネスを広げていくのかが大きなテーマとなっていきます。その意味でSKIYAKIが展開している「Bitfan」「Bitfan Pro」を活用していきます。
アーティストは当然通常のファンクラブも運営しますが、「SWEET LOVE SHOWER」や「POP YOURS」のようなイベントにも固定のお客さまがいます。そのような方々のエンゲージメントを高めるようなファンサービスなどもSKIYAKIと一緒に展開していきたいと考えています。
また、今あるコンテンツをさらに大きくしていくことも重要ですが、コンテンツを育てるためには長い時間を要しますので、将来のためのコンテンツは今から育てていかなければいけません。現状のコンテンツをビジネスにすることと同じぐらい、将来のコンテンツを見つけ育てることにも注力していきます。
それがスライド下段に記載している「新人発掘の強化」の部分です。ライブハウスはアーティストとの非常に重要な接点となっています。「WWW」というライブハウスでは、ありとあらゆるジャンルの音楽が毎日展開されており、日本の音楽業界や音楽シーンの縮図がそこにあると言ってもよいと思います。
その一例として、大きく盛り上がりを見せているヒップホップシーンの可能性を考えて作り出したものが「POP YOURS」です。大きなフェスを展開することで、ヒップホップシーンやヒップホップのアーティスト、観客を盛り上げていく非常に重要な場としてライブハウスが機能しています。
さらに、手前味噌ですが当社グループには非常に目利きのあるA&Rたちがいます。A&Rとはレコード会社で新しい才能を見つけて育てていく人材のことです。彼らが新しいアーティストを見つけ、将来のヒットコンテンツやヒットアーティストを日々模索し、育成していくことがコンテンツセグメントにおける音楽系の戦略です。
「あっとほぉーむカフェ」については、現状では店舗を広げることが事業の拡大に直結していますので、まだしばらく地方展開も続けられそうです。東京では秋葉原にしか店舗がありませんが、首都圏には池袋など他にも展開できる地域がありますので、そのような展開余地に対する取り組みも進めていきます。
また、「あっとほぉーむカフェ」にはコアなファンが大勢いますので、その方々に向けたファンクラブサービスもSKIYAKIと一緒に準備を進めています。
今日の段階では具体的にお話しできることはありませんが、カフェについては「あっとほぉーむカフェ」だけではなく将来的には新しいブランドのカフェも考えていきたいと思っています。
セグメント毎の注力戦略(ソリューションセグメント)
小久保:ソリューションセグメントでは、ミッションとして「利便性の高いソリューションを360度でお客さまに提供していく」ということを掲げていますので、戦略としてはそこを目指しています。
もともとSKIYAKIではスライド中段にあるように、ファンプラットフォームの開発と提供にのみ注力していました。しかし今回の経営統合により、オンライン、オフライン問わず、多くのものをお客さまに一体で提供できるようになったことは非常に大きいことだと思っています
例えば楽曲のリリースに伴うキャンペーンなどを行う際には、1つの会社でさまざまなことが提供できると、事務所側としても個別の会社とやり取りするよりもコミュニケーションコストが非常に低くなります。
また、ボリュームディスカウントのようなことも可能になりますので、我々としては、多様なグループ内のソリューションを一体で提供できるお客さまを増やしていくことをメインの戦略としています。
一方で、360度でサービスを提供するといっても、やはりまだ我々の中にないものもあります。その部分については新規ビジネスを作っていくことが必要だと思っていますので、検討中のものを2つご紹介します。
1つ目はイベントのDXソリューション提供です。フェスにはDX化ができる領域や余白がまだまだあります。フェスをDX化するためのアプリのサービスなどをスペースシャワーネットワークと一緒に考えながら作っていきます。
それが我々のフェスで適用できた暁には、世の中には我々の主催イベント以外にもフェスはたくさんありますので、SEPの営業網を使い、クライアントに提供することも可能になると考えています。
2つ目はファイナンスサービスの提供です。海外も含め、アーティストやクリエイターへのさまざまな資金提供が活発になっています。例えば、ライブにもやはりお金が必要ですし、アーティストが発行するクレジットカードをファンが使うことなども、まだまだできる余地が非常にあると思っています。
また、バックオフィス系のサービスについても、個人化が進んでいくとさらに需要が増えていくと思っていますので、アーティストやクリエイターを支える新しいサービスをさらに作っていきたいと考えています。
以上がそれぞれのセグメントの成長戦略です。
全体の事業戦略
小久保:今回の経営統合により、コンテンツとソリューションの2つを併せ持った会社となりました。
コンテンツが成長すれば、ソリューションの収益も増加します。また、新しいさまざまなソリューションができれば、コンテンツの獲得機会も増えていきます。このように、スパイラル状に成長していくことがホールディングス全体の事業戦略となっています。
中期経営目標(2028年3月期目標)
小久保:中期経営目標の定量目標についてご説明します。2028年3月期の目標として、売上高240億円、営業利益16億円、経常利益率7パーセント、ROE10パーセント超を掲げています。
ROEに関しては、当社グループの資本コストが現在おおむね7.6パーセントとなっていますので、少なくとも10パーセントを超えるROEを出していきたいと考えています。
中期経営目標(売上高と営業利益の推移)
小久保:こちらのスライドは売上高と営業利益の推移をグラフで示したものです。2025年3月期対比で売上高は122パーセント、営業利益は157パーセントとしています。
営業利益については、2025年3月期の発射台を7億6,900万円と記載していますが、本年度は統合の一時費用があります。収益を生み出す力としては業績予想ベースで10億円ほどあると認識していますので、そこから16億円を目指します。
配当方針の変更(累進配当の導入)および配当予想の修正
小久保:最後に株主還元についてご説明します。こちらは先週中期経営計画とともに発表した内容です。
配当予想の修正を行っており、前回予想の10円から、記念配当3円を含めた13円への修正を発表しています。
また、配当方針についても変更を行っています。本中期経営計画期間中は、最低配当を13円とし、累進配当を行う方針とします。配当性向は35パーセントから45パーセントの間を目標として配当を行っていきたいと考えています。
自己株式取得の実施
小久保:また、自己株式取得の実施も発表しています。今年12月1日から実行予定で、上限を1億円として2025年11月30日まで実施します。
スライドの表下には1年間の自己株式取得上限を2億円と記載しています。出来高によって我々が取得できる制限もありますので、目安としては最大2億円程度の取得を行います。しかし、まずは12月1日から1億円の上限で自己株式の取得を決議しているという状況です。
そのため、さらに取得できるようであれば、再度リリースを出す予定です。このように自己株式の取得は積極的に行っていきたいと考えています。
以上が今期の中間決算報告と中期経営計画のご説明です。ご視聴いただき、誠にありがとうございました。
質疑応答:経営統合による効果と共同代表制の継続について
林:「経営統合による効果が出ているとは思えませんが道半ばでしょうか? また来年、再度組織体制の変更を予定しているようですが、共同代表制もやめるのでしょうか?」という質問です。
まず経営統合の効果については、今年8月に発表した決算資料に一部コスト削減効果が8,000万円と記載しており、さらにコスト削減効果が出るのではないかとお話ししています。
事業に関しては、コンテンツ側ではソリューションの力を使って新しいものを作ろうとしており、ソリューション側ではまずソリューション間でどのように営業を広げるかなど、それぞれにいくつかのテーマがあります。
統合してまだ半年ですので、答えや結果は出せてはいません。そのため、ご質問にあるとおり道半ばだと思います。今後、できるだけ早期になんらかの成果が出るように努力していきたいと考えています。
共同代表制については、もともと共同代表制を採用した背景として、対等に経営統合するということがあります。まだ実際には半年しか経っておらず、オフィスも今年10月1日に初めて統合したところです。
お互いに組織的にも人員的にも融合するためには時間もかかりますし、背景も文化も違う会社ですので、すぐに共同代表制をやめることは考えていません。永遠に共同代表制を続けるつもりはありませんが、少なくとも来年度は共同代表制を継続する予定です。
質疑応答:横断的部署への考え方について
林:「組織体制の変更について、コンテンツとソリューションで相互送客できるようになればおもしろいと思いますが、新たな組織体制では横断的にまたがるような部署を作る予定でしょうか? 結局両者で別々のことをしてしまうのではと懸念しています」というご質問です。
小久保:まさにおっしゃるとおりで、ここが非常に肝なのではないかと思っています。現状でSKIYAKI側が取り組んでいることとして、コンテンツ側のアーティストのマネジメントに長く携わっている方にSKIYAKIの役員に入っていただきました。現在、例えばマネジメントエージェントを提供しているアーティストに対し、どのようなサービスやソリューションの提供ができるかなどを活発に議論しています。
必要に応じて横断的な部署を作る必要はあるかもしれませんが、今のところは両社の役員ベースで横断的なチームが疑似的に作られていますので、大々的に部署を作らずとも可能ではないかと思います。
場合によっては横断チームなどを作って加速させることもあり得るかと思います。基本的に非常におっしゃるとおりです。アドバイスありがとうございます。
質疑応答:社内の雰囲気や大株主との連携強化について
林:「率直に統合後の社内の雰囲気はいかがでしょうか? また大株主のCCCとの連携も強化されていくのでしょうか?」というご質問です。
社内の雰囲気のベースは、やはり非常に音楽好きな人たちが多いため、個人ベースでは同士のようにそこまで違和感なく融合しています。ギクシャクした感じはまったく見受けられず、非常によかったと思っています。
大株主との連携については、経営統合によって、スペースシャワーネットワークとSKIYAKIのどちらから見ても、以前よりビジネスのウイングが非常に広がっています。
大株主にとって事業連携の接点が非常に増えていることが関係しているのだと思いますが、CCCに限らず、伊藤忠商事やさまざまな大手企業株主からも連携のお話をいただいています。今はそれを一つひとつ話している段階ですので、具体的なビジネスの展開につなげていきたいと思っています。
質疑応答:統合による株価時価総額へのインパクトについて
林:「経営統合してもあまり株価時価総額へのインパクトがなかったと思いますが、率直にどのように受け止めていますか?」というご質問です。
私も小久保も、株価時価総額では想像以上にマイナスのインパクトが出てしまったことは、真摯に受け止めています。今回中期経営計画を発表しましたが、今、大事なことはやはり統合の結果を出していくことだと思っています。
中期経営計画では最終年の定量的目標では売上高や営業利益だけではなくROEの目標も掲げ、配当の考え方もお示ししました。2025年度、2026年度でしっかりと結果を出し、みなさまに「統合してよかったね」と思っていただける結果を出すことが重要だと考えています。
小久保:私も同じように考えています。株価については、これから上げる努力をしていきたいと思っています。
しかし、これからは本日ご説明したような我々のさまざまな施策が進んでいきます。スピード感としてはきちんと出せていない認識もありますし、アウトプットとしてお出しできていませんが、裏側ではコンテンツ戦略でご説明したような、重要なIPを持っているもののファンクラブ化なども現場で着実に進んでいます。
先ほど、社内の雰囲気についてのお話がありましたが、ちょうど昨日、突然スペースシャワーネットワークの社員からランチに誘われました。そこにいたSKIYAKIの社員も含めてランチに行くと、「何の音楽が好きですか」というところから非常に濃い話をしていました。
やはり、両社の社員は音楽好きが多かったり、オタクカルチャーに非常に造詣が深かったりします。10月にオフィスも統合しましたので、両社の社員同士で「もっとこういうことができないか」という話が行われると、非常におもしろいことが起きるのではないかと感じました。
質疑応答:今後の統合一時費用について
林:「統合一時費用は2025年度には出ない想定でしょうか? また、構造改革の費用は2025年度にどのくらい想定していますか?」というご質問です。
統合一時費用に関しては2023年度と2024年度に発生しており、2025年度には基本的に発生しない認識で問題ありません。
構造改革の費用についても、基本的には2025年度に出ることはないとご認識いただければと思います。いずれも、基本的にはほぼ2024年度で発生すると考えていますが、現段階では具体的に見積もることができないため、具体的な回答は控えます。わかり次第公表します。
質疑応答:経営統合後の具体的な施策について
林:「経営統合によるシナジーのイメージは想像できるのですが、具体的に施策として何をするのかがわかりません。経営統合して組織再編し、その次はどのようなことをされるのでしょうか? 施策があるから組織再編をすると期待してよいでしょうか?」というご質問です。
小久保:ソリューション系の施策としては、例えば「あっとほぉーむカフェ」のファンクラブや大型フェスのファンクラブ的なものを進めていくとご紹介しました。これらは具体的な施策として、ほぼ決定しているものです。
組織再編に関わる部分では、コンテンツを扱う会社とソリューションを扱う会社が明確に分かれました。ソリューション側としては「ソリューションを広げていく会社群なのできちんと横連携しましょう」と、ソリューション間の横連携が非常にスムーズに、よりクリアに行えるようになります。
林:コンテンツ側は特に組織再編による影響はあまりありません。
質疑応答:今後の成長ドライバーについて
林:「今後成長ドライバーとなる事業はどこでしょうか?」というご質問です。
「これです」と言うのはなかなか難しいところがあります。コンテンツ系では、やはり収益のインパクトとしてはイベントの収益が非常に大きいものがあります。イベントをどれだけ横展開していくのか、新しいイベントをどのように投入し、どのように新しいマーケットを開くのかが大きなドライバーになっていくと思います。
個人的には、SKIYAKIが持っているようなデジタルプラットフォームは、フィジカル系のライブなどとは異なり、成長する際の速度が幾何級数的に大きくなっていく可能性があるビジネスでもあると思っています。
グループとしては、そのようなデジタル系のビジネスを大きくしていくことにも当然注力する必要があり、大きな成長余地のあるところだと思っています。
また、秋葉原の「あっとほぉーむカフェ」には私も長年関わっていましたので、お客さまから非常に熱い支持があることも肌で感じています。
カフェだけではなく、もう少しビジネスを広げるチャンスもあるのではないかとも感じています。そのような意味では、カフェだけに限らない周辺ビジネスの開拓も個人的には非常におもしろいだろうと思っています。
小久保:当然のことながら、成長ドライバーは1つにはなりません。スライド右下にも「DRIVERS OF GROWTH」とさまざまな要素を記載しています。林からも話がありましたが、さまざまな角度から成長ドライバーを生み出していけるのではないかと考えています。
質疑応答:株主優待の抽選制について
林:「もっとオタクに刺さるような株主優待が考えられるだろうと思いました。また、音楽ライブイベントに抽選で招待するのではなく、1万株保有者には確定で招待するのはいかがでしょうか?」というご質問です。
株主優待に関しては社内でも数ヶ月議論し、いろいろなことを考えました。これまでは「QUOカード」の贈呈にとどまっていましたが、我々が広く展開しているコンテンツを株主のみなさまにもご理解いただき、会社のファンになっていただくことを考えると、まずはさまざまなラインナップを揃えることが大事だろうと思っています。
ご質問にもあった確定での招待も可能性としてはありますが、現状の株主数などを考慮し、今回は抽選制が妥当だろうと考え、抽選での招待を決定しました。今回の株主優待が未来永劫続くとも限りませんので、将来改定する際にはいただいたご意見を参考にしたいと考えています。
小久保:スライド下部に小さな文字で記載していますが、SKIYAKIのシステムを使って株主優待の専用サイトを提供する予定です。現状では今開示したレベルの優待ですが、さらなるブラッシュアップを行っていきます。
本日のような機会を通じて、株主のみなさまからさまざまなご意見をいただけると我々としても大変参考になります。先ほどのご質問をいただいて、このサイト内でもご要望を受け付けられる機能なども考えられると感じましたので、今後の参考にしたいと思います。
質疑応答:KPIの開示について
林:「説明資料を含め、内容がわかりづらいと思ってしまいます。長年SKIYAKIの株主でしたが、ユーザー会員数などのKPIはもう開示しないのでしょうか? 現在、御社のKPIとして株主は何を見ればよいでしょうか?」というご質問です。
小久保:SKIYAKIに関しては、今後コネクトプラスも統合されますので、四半期単位では有料会員数などのKPIの開示は継続する予定です。SKIYAKIでは月次で開示していましたが、統合後はさまざまな重要性などを鑑み、四半期単位での開示となっています。
林:スペースシャワーネットワークに関しては、決算説明等の資料でKPIなどをあまり開示してきていません。ご質問にあるとおり、外部の方や株主のみなさまに会社をご理解いただくためにKPIは非常に役に立つ指標だと思います。
今後、決算開示資料の中でKPIを整理し、少しでも株主のみなさまに会社の状況がわかりやすいような資料にしていきたいと思っています。
質疑応答:経営統合でシナジーを見込んだ事業について
林:「それぞれの会社が一緒になることで、『既存事業のここが伸びる』と判断したと思います。それぞれどこを伸ばすために本経営統合を進めたのかを教えてください」というご質問です。
私としては2つあります。1つは、スペースシャワーネットワークはコンテンツの会社としてスタートしていますが、長い歴史を経て、統合する直前にはソリューション系のビジネスにも取り組んでいました。しかし、ソリューションビジネスでは今ひとつ力強い成長を生めていませんでした。
これからの時代のソリューションは、フィジカルソリューションももちろん大事ですが、テクノロジーやITを使ったソリューションを揃えていかなければソリューションとして機能せず、ビジネスを広げることが難しいと考えていました。
そのような意味で、しっかりとテクノロジーを持っているSKIYAKIのような会社と一緒になることで、スペースシャワーネットワークにもともとあったソリューション事業も広げられると思っていました。
もう1つは、スペースシャワーネットワークが扱っているコンテンツに関してです。我々はコンテンツをフィジカルに展開することに非常に長けている会社です。
さまざまなコンテンツにはさまざまなお客さまやファンがいますが、スーパーファンと言われる人はものすごい熱量を持っており、1回のライブを見ただけでは満たし得ないようなコンテンツへの願望があります。
そのようなものを本当に満たしていくためには、やはりスーパーファンやファンダムの方々に対して、SKIYAKIが持っているようなファンプラットフォームを使っていくことが必要です。そして、それは実はコンテンツの価値を上げることにもつながると強く思っていました。
特にスペースシャワーネットワークのフィジカル系のコンテンツの価値を上げるためにも、SKIYAKIと一緒になることは大変価値があると考え、私自身は経営統合を進めたいと思いました。
小久保:SKIYAKIは取り組んでいることがけっこうシンプルですので、経営統合によりアーティストやクリエイターのお客さまが増えることが一番の判断基準です。
その理由として、ファンクラブは作ろうと考えたタイミングでしか声掛けができないというジレンマがあります。どのアーティストやクリエイターが「そろそろファンクラブを作ろう」と考えるのかは、なかなかわからないものです。門を叩いて「今はそういうのはやりたくない」と言われても、その数年後に実は他社で始めていたということもありえます。
スペースシャワーネットワークは、フェスだけではなく「WWW」で毎日のようにライブを開催したり、「スペースシャワー列伝」という番組で新人のアーティストをサポートしたりしています。アーティストとの接点が絶対的に増えるため、SKIYAKIには非常に良いことがあると考えました。
さらに、スペースシャワーネットワークがマネジメントやエージェントを担当しているアーティストや、運営している「あっとほぉーむカフェ」などのファンクラブを一緒に考えることで、「これで実際にこういうことを考えて、こうやってみたらここが伸びた」というノウハウを他のお客さまに展開できます。そのノウハウによって、さらにお客さまが増える可能性もあると考えていました。
経営統合前に私が「すごい会社だな」と感じたのは、「POP YOURS」でZ世代の圧倒的な熱狂を見た時でした。私は世代的にも放送のイメージが強かったのですが、新しい世代にサービスを展開できることは、会社の未来には非常に重要だと思いました。
質疑応答:グループ間シナジーの追求とファイナンスサービスについて
林:「今後の成長戦略はグループ間シナジーの追求と資金事業だと思います。グループ間シナジーをどのように追求していきますか? また、グループ間シナジーを測る指標の開示は検討していますか?」というご質問です。
グループ内のシナジーの追求はもちろん進めていく必要があると思います。ただし、個人的には役員レイヤーで決めていくことと、現場ベースで自然発生的に生まれていくことの両面がなければいけないと思っています。
先ほど資料で示したような新規ビジネスの展開など、社員も目で見られるような形にして見せていくことで、「あ、こういうことをやっていくのね」と社員にもわかりやすくなります。そこから「こういうことをやっていけばいいんだ。じゃあこういうことはできないか?」とアイデアも出てくると思います。このような部分の大枠は、もう少し上の役員レイヤーで考えていく必要があります。
もう一方の現場ベースについては、実は先日オフィス統合し、初めて社員全員での懇親会でお酒を飲みました。このように社員の本当の交流というものが促進され、お互いの事業の理解も進み、新しいビジネスが生まれてくると、「本当にグループ間シナジーが生まれたな」と思えるのではないかと私は思います。
最初は役員レイヤーで大がかりなものを考えていくことが必要だと思いますが、グループ間シナジーの追求という意味では、草の根の何かが出てくることが非常に重要だと個人的には感じています。
資金事業については、ファイナンスサービスを指していると理解した上でご回答します。
先ほど小久保から話があったとおり、個人化していく社会や、大きな資本ではなく小さな企業でやっていく時代では、やはりキャッシュフローは非常に切実な問題になっていきます。そのため、キャッシュフローを支援するサービスは非常に重要性が高いと思いますが、同時にリスクのあるビジネスでもあるため、しっかりとリスクコントロールを行いながら取り組んでいきたいと思っています。
グループ間シナジーを測る指標の開示については、現段階で具体的に指標になるものが出せるかわからない状況です。しかし、さまざまな開示のタイミングで、「グループ間で新しくこういうものができた」とトピックスとしてお伝えするようにしていきたいと思っています。
小久保:資金事業について補足します。実はアメリカではそのようなスタートアップがかなり大きくなっています。代表的なKaratをはじめとして、今の評価額でもユニコーン企業になっているような領域です。やはりクリエイターの資金事業は日本でも同様にニーズがあるのではないかと考えています。
質疑応答:早期退職による特別損失の見込み額について
林:「早期退職を促す取り組みをされていますが、特別損失はどの程度見込んでいますか?」というご質問です。
先ほどもご質問がありましたが、先週、早期退職を含む構造改革について発表しました。現段階ではどの程度の特別損失を見込んでいるかは見積もることができず、発表のとおり、15名程度の早期退職の募集にとどまっています。したがって、現時点で具体的な特別損失の見積もりについての回答は差し控えます。
質疑応答:経営統合後の株価について
林:「自己株式を取得するということは、現在の株価は納得できないということでしょうか? 経営統合後の株価のイメージを教えてください」というご質問です。
なかなか答えにくいご質問ですが、現状の株価はご存知のとおり直近ではPBR1倍を割れています。我々も現状の株価が適正なところにあるとはもちろん思っていません。基本的には市場にご理解いただけるよう、IRをしっかり行っていきたいと考えています。
現在の株価の納得度合いと自己株式取得の関係性について特に考えているわけではありません。長い目で見た株主のみなさまへの還元策の1つとして、今回中期経営計画の期間中に自己株式の取得を決定したとご理解いただければと思います。
経営統合後の株価のイメージについては、私自身は少なくともPBR1倍割れは早期に解消したいと思っています。おそらく株主のみなさまも同じだと思いますが、経営統合が発表された当時の株価が1つの目安になるだろうと思いますので、その水準の株価を目指しながら経営していきたいと考えています。
質疑応答:アーティスト紹介の施策案について
林:「いろいろな所属の歌手を浅く理解できるようなアプリはできないでしょうか? 1曲ずつ無料のムービーが見られるようなイメージです」というご質問です。
小久保:広くあまねく、さまざまな事務所のアーティストという意味でお答えします。今は例えば「YouTube」などでもショート動画が非常に流行っていますので、これのアイデアは私もすごくよいと思います。
やはり、アーティストやクリエイターがどのように売れていくのかという問題に対しては、みなさま切実だと思います。全員がアニメのタイアップ曲を歌えるわけではありませんので、どのようにプロモーションしていくかを考えなければなりません。
「Spotify」でもいろいろな歌手をザッピングできるような機能があり、そのような発見の機会は重要だと思います。しかし、そのためにはかなり多くのユーザー数が必要です。「YouTube」や「TikTok」などの規模であれば可能かもしれませんが、今の我々の規模で多くのオーディエンスを持つアプリを開発することはなかなか難しいかと思います。
ただし、ソリューションセグメント間においても、プロモーションをどのように手伝うかについてはやはり重要なテーマだと考えています。ディストリビューションでも、DSPへの働きかけや広告自体の運用でプロモーションを手伝っていますので、いかにグループでプロモーションのお手伝いをできるかは1つの大きなテーマだと考えています。
質疑応答:競合他社について
林:「『コンテンツ、ソリューションの両方のサービスを持った会社は他にない』とおっしゃっていましたが、強いて言えば近い性質を持つ会社はどこだと考えていますか?」というご質問です。
他にないとは思いませんが、独立系の会社では、ある程度の規模感のコンテンツもソリューションも持っている会社は極めて少なく、あまり例はないと思います。
近い性質を持っているという意味では、例えばグローバルメジャーな会社のソニー・ミュージックエンタテインメントがあります。すばらしいコンテンツもソリューション群も持っている会社です。
しかし、我々が競合だと言うことは極めておこがましいものがありますので「インディペンデントなソニー・ミュージックエンタテインメント」とご理解いただければと思います。
質疑応答:コンテンツとソリューションの相乗効果について
林:「コンテンツとソリューションのサービスが揃っていれば、アーティストから『ぜひマネジメントしてほしい』とお話がありそうだと期待していますが、間違っていますか?」というご質問です。
おっしゃるとおり、アーティストをサポートするソリューションがしっかりしており、非常に効果があると認めていただければ、当然そのようなお話にもつながっていきます。それが我々がコンテンツとソリューションの相乗効果として生みたいと思っていることですので、ご認識いただいている内容で間違いはないと思っています。
質疑応答:グッズの品質やファンクラブの会費について
林:「以前、SKIYAKIの総会に参加してグッズのサンプルを見ましたが、正直安っぽい印象でした。もっと高級路線で利益率も高いものにできませんか? また、最近は物価高ですが、ファンクラブ会費をさらに上げてもよいのではないでしょうか?」というご質問です。
小久保:グッズに関してはなかなか難しいところがあります。売価の設定については、ファンの購買能力なども含めてやはりアーティストの考えるものがあります。
サンプルは安っぽい印象だったということで申し訳なく思いますが、実はけっこう幅広く展開しています。高級路線のグッズもあり、指輪など数万円のグッズなども扱っていますが、買えるファンが限られてしまいますし、アーティストやクリエイター側がそのような高級路線を作りたいと思わなければ、作ることはできません。それはクライアント次第です。
しかし、できるだけ原価を抑えて良いものを作ることには取り組んでいます。「良いものを提供したい」というアーティストも多くいます。できるだけ競争力のあるグッズを作っていくために、MDチームも含めて日々商材を探しています。
ファンクラブの会費の値上げについては、実は継続して取り組んできています。平均月額単価の推移も示しながら「今の平均はこれくらいですよ」とアーティストに対しておすすめしています。できるだけ平均単価が上がるように取り組んでおり、単価も徐々に上がってきている状況です。
質疑応答:株主優待の「QUOカード」について
林:「株主優待の『QUOカード』に、人気の所属外タレントの写真を刷るのはいかがでしょうか?」というご質問です。
小久保:我々がマネジメントしているわけではありませんので、なかなか難しいと思います。
林:当社グループが関連するさまざまなアーティストやタレントの写真・肖像を「QUOカード」に貼ることは、物理的に不可能ではないと思います。ただし、当然ですがアーティストやタレントの許諾が必要であり、コストもかかるといった問題があります。
したがって、ご質問いただいた方のお気持ちは受け止めますが、なかなか簡単なことではないと回答するにとどめたいと思います。
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