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テクノスJPN Research Memo(2):ERP・CRM導入支援が主力(1)

配信元:フィスコ
投稿:2020/07/31 15:02
■会社概要

1. 事業概要
テクノスジャパン<3666>は、企業向けDX(デジタルトランスフォーメーション)のコンサルティング、基幹システム(ERP)・顧客管理システム(CRM)・自社サービス(CBP)を組み合わせたシステムグランドデザイン支援、ビジネスコンサルティング、要件定義、設計、開発・保守に至る一連のシステムサービスを提供する独立系のICTシステムサービス企業である。質の高いコンサルティング力や技術力、独自テンプレートの活用などに強みがあり、SAPを軸としたERP導入支援では、製造業を中心に220社を超える実績を誇る。世界規模でデジタル化の流れが加速するなかで、「企業・人・データをつなぎ社会の発展に貢献する」を新たなグループミッションに掲げ、ERP・CRM(企業最適)と業界最適型の協創プラットフォームCBP(企業間連携)を組み合わせ、そこで蓄積されたデータ活用による価値提供(顧客のビジネス変革)を通したDX事業推進に取り組んでいる。

業種別売上構成比(2020年3月期実績)は、食品消費財が44%、ハイテク・組立・部品が35%、プロセス・材料が7%、自動車が2%、その他12%となっており、現時点においては、ERPによる基幹システム再構築に取り組む大手製造業向けが中心となっている。もっとも、今後はサプライチェーン全体の最適化を図るプラットフォームビジネスの展開により、物流や小売を含めた他業種に分散されていくことが予想される。

事業セグメントは、「情報システムソリューションサービス」の単一であるが、提供するサービスの内容により、「基幹システム及び周辺ソリューション」及び「その他」に区分している。さらに前者については、主力のERP・CRM関連事業のほか、新たな注力分野であるCBP推進事業に大別される。「情報システムソリューションサービス」が連結売上高全体の高い割合を占めている。

(1) ERP・CRM 関連事業
1)創業来の主力であるERP(基幹システム)関連事業は、顧客企業の最適なソリューションを実現する「Best of Breed」※を戦略の基本に据え、世界規模で流通している様々なERPベンダーが提供するERPパッケージの導入支援を展開している。具体的には、顧客企業のロジスティクス管理業務(購買、生産、販売)におけるモノの流れの適時的確な把握のほか、会計管理業務(財務会計、管理会計)における業績の適時把握及び将来予測、グローバル化する企業グループの業績管理などに対して、上流(コンサルティング)から下流(保守・改善)までを一気通貫で手掛けている。取り扱うERPパッケージは、SAPジャパン(株)のSAP S/4 HANAを中心に、生産管理に強いビジネスエンジニアリング<4828>のmcframeなどである。

※各分野で最良のハードウェアやソフトウェアを選択し、その組合せでシステム構築を行うアプローチ。


軸となるSAP S4/HANAは、1996年9月にSAPジャパンとパートナー契約を締結(製品の取扱いは創業時の1994年から開始)し、220社を超える導入支援実績を誇る。また、海外関連のプロジェクトにも力を入れており、ロールイン・ロールアウト(日本企業の海外現地法人及び外資系企業の日本法人向けの導入)を支援している。さらには、これまでの導入経験により作成したテンプレート※を活用することにより、短納期・低コスト導入や新たな付加価値の提供も可能としている。

※同社がERPパッケージや他のソフトウェアの導入実績で得た、他社でも必要と考えられる設定や追加機能をERPパッケージに適用した新たなパッケージを指す。新規導入時に、ERPパッケージとともにそれらの設定や機能を追加することで、導入期間の短縮化や低コスト化を図ることができる。


また、ERPパッケージの導入とともに、周辺技術を組み合わせ、さらに進化したトータルソリューション(需要予測やマーケティング関連など)に対するニーズも高まっており、それに対応するためにEPM※1/BI※2製品や、EAI※3等にも取り組んでいる。

※1 Enterprise Performance Management(企業業績管理)の略。企業が戦略に基づいて業績を管理し対策を打てるようにするためのコンセプトやツールを指す。
※2 Business Intelligenceの略。企業内外のデータを蓄積・分類し、検索・分析・加工して、ビジネス上の意思決定に役立てるというコンセプトやツールを指す。
※3 Enterprise Application Integration の略。複数のシステムを連携させて、データやプロセスを統合すること。


2)一方、ERPと並ぶ「もう一つの基幹領域」と位置付けているCRM(顧客管理システム)についても、米国を中心にSIビジネスを展開するLirikのグループ化(2018年6月)により本格参入した。ERPとの連携により、企業内の経営情報に加え、顧客情報の一元化も可能となり、ビッグデータやAI活用の有用性をさらに高めるとともに、DX実現に向けて推進しているプラットフォームビジネス(企業間をまたぐサプライチェーン全体の最適化)への展開にも重要な役割を担う。2020年1月には国内でCRMのクラウド関連サービス等を提供している(株)アックをグループ化し、さらに同社を存続会社とする形でアックを2020年10月1日付で吸収合併することを、7月10日に発表した。アックの取り扱うCRM製品の軸は( 株 )セールスフォース・ドットコムのCRMプラットフォームであり、吸収合併によって、CRMビジネスの強化をより迅速に推進していく。

(2) デジタルトランスフォーメーション(DX)推進事業
世界規模でデジタル化の流れが加速するなかで、DX対応型のERP切替ニーズ※1に対応していくことに加え、ERPにおいて培ってきた企業グループ内の標準化及び全体最適化ノウハウをサプライチェーン全体へと拡げ、CRMや最先端デジタル化技術(IoTやブロックチェーン等)、そしてそれらを企業間でシームレスにつなぐ同社独自のプラットフォーム(CBP)※2の構築により、DX実現に向けた事業(サプライチェーン全体の最適化)を推進している。また、そこで蓄積されたビッグデータをAI等で最大限に活用することにより顧客のビジネス変革を促進するとともに、同社にとってもアセットビジネスとしてストック型の安定収益源が確保できるものである。

※1 SAPはDX対応型のERPの姿を前面に打ち出しており、従来型のERPのサポートについては2027年(当初予定していた2025年から期限を延長)に打ち切る方針である。
※2 Connected Business Platformの略。企業間の枠組みを超えてビジネス全体での最適化をもたらす新たなビジネスプラットフォーム。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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配信元: フィスコ
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