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*15:48JST NCD Research Memo(8):パーパスは「人の鼓動、もっと社会へ。」
■NCD<4783>の成長戦略
1. パーパス
同社は、トータル・ソリューション・プロバイダーとしての成長戦略を加速するため、「私たち一人ひとりが未来に胸をときめかせ、誰もが活き活きと輝ける社会をつくる。」という思いを込めたグループのパーパス「人の鼓動、もっと社会へ。」を掲げ、経営理念を「ユニークな技術とサービスにより、明るい未来に貢献する。」としている。また、DXビジョン「私たちNCDグループは、お客様のビジネスの変革や社会の発展に貢献し、かつ、従業員が活き活きと仕事をすることで、グループ全体の成長が持続する企業を目指します。その実現のために、グループ一人ひとりが知恵を絞り、意識の変革を行い、新たな発想のデジタル技術とサービス創出に挑戦します。」を掲げ、DX推進を本格化させる方針を打ち出している。さらに、創業の精神を継承しつつ、パーパスの実現に向けて今後もグループ企業が一体となり、ブランド価値向上・持続的成長を目指すという決意のもと、2024年1月1日付で商号をNCDに変更した。
中期経営計画「Vision2026」の目標数値を再上方修正
2. 中期経営計画「Vision2026」
同社は2023年5月に、持続的成長と企業価値向上を目指して2032年のありたい姿(グループビジョン)を検討し、基本方針を「より収益性の高い企業への変革を図り、NCDグループの持続的成長へ繋げる」「新しい事業領域への挑戦により、第3の事業柱を構築する」「NCDグループで働くことに幸せを感じ、かつ成長することのできる、“Well-beingカンパニー”を目指す」とした。2032年の目標値には売上高400億円、営業利益40億円、営業利益率10.0%を掲げた。
そして、ありたい姿からバックキャストした中期経営計画「Vision2026」(2024年3月期~2026年3月期)を策定した。グループビジョン実現に向けたファーストステップの期間と位置付けて、基本方針を、既存ビジネスの付加価値向上と新しいビジネスの創出によるさらなるNCDバリューの追求(IT関連事業とパーキングシステム事業のさらなる連携強化、新規事業創出の制度化による第3の事業柱構築に向けた新しいビジネスの追求)、企業価値向上に向けた経営基盤の強化(サステナビリティ経営の推進、人材の価値を最大限に引き出す人的資本経営への取り組み強化、DX推進によるビジネス変革と持続的成長への貢献)、最適なグループ事業体制の再構築(事業シナジーを最大化する組織体制の追求)とした。方向性としては、業界平均よりも低い収益性の改善、事業部間連携の強化、新規事業領域への取り組み強化、既存事業の付加価値向上、人材の確保と育成、働きがいへの取り組み強化など、既存ビジネスの土台固めと長期的視点による投資を行い、次期中期経営計画(2027年3月期~2029年3月期)及び2032年のグループビジョン目標達成に向けた飛躍につなげる方針としている。
なお中期経営計画「Vision2026」においては当初、目標数値を最終年度2026年3月期売上高26,000百万円、営業利益1,800百万円、営業利益率6.9%、ROE15.0%以上としていたが、各事業の想定以上の売上拡大や収益性向上、JCS子会社化などにより、初年度の2024年3月期に売上高、営業利益とも目標数値を上回ったため、2024年5月13日付で2026年3月期の目標数値を上方修正して売上高30,000百万円、営業利益2,400百万円、営業利益率8.0%、ROE20%以上とした。さらに、この修正後の2026年3月期目標を2025年3月期に前倒し超過達成の見込みとなったため、2026年3月期の目標数値を再上方修正して売上高32,000百万円、営業利益3,000百万円、営業利益率9.4%、ROE20%以上とした。IT関連事業、パーキングシステム事業とも収益性が想定以上に向上していることが主因である。再修正後の2026年3月期セグメント別計画(売上高は外部顧客への売上高、セグメント利益は全社費用等調整前営業利益)は、システム開発事業が売上高13,700百万円、セグメント利益2,140百万円、セグメント利益率15.6%、サポート&サービス事業が売上高10,100百万円、セグメント利益1,050百万円、セグメント利益率10.4%、パーキングシステム事業が売上高8,200百万円、セグメント利益1,860百万円、セグメント利益率22.7%とした。また投資目標は3ヶ年合計1,800百万円(人的資本投資700百万円、研究開発・新規事業関連投資600百万円、その他投資500百万円)としている。
重点戦略として、IT関連事業では高付加価値サービス提供型への変革を目指し、顧客のDXに貢献するNCDサービスモデルの進化と拡充による付加価値向上、既存ドメインのさらなる深耕と大企業を中心とした新規顧客へのアプローチ強化、体制拡大とサービス提供能力を高める事業基盤の強化などを推進する。パーキングシステム事業では、リーディングカンパニーとして強固な地位の確立に向けて、構造改革プロジェクトの完遂による収益基盤の安定化、駐輪場事業で培ったノウハウと市場ニーズを還流した高付加価値ビジネスの創出、事業体制の最適化などを推進する。コーポレート部門ではプライム上場企業に求められるガバナンス水準を目指し、サステナビリティ経営・人的資本経営・ガバナンス態勢高度化などを推進する。
また新規事業創出に関しては、戦略の一環として事業アイデア公募制度「co-do project」を開始し、募集アイデアのプレゼン選考会を実施するなど、多方面的な取り組みを展開している。サステナビリティ経営に関しては、マテリアリティを各部門施策に反映してKPIモニタリングをスタートした。今後は非財務情報開示の拡充に向けた取り組みを強化する。人的資本経営については、人材戦略の基本コンセプトとして「自律的なキャリア形成と対話を通じた組織風土の変革」を掲げ、人材開発と組織開発を両輪とした人材マネジメントの変革を図る。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の取り組みとしては、収益力向上(既存ビジネスの付加価値向上と新規ビジネス創出などによる利益率のさらなる改善と利益の拡大)、資本の最適配分(安定的かつ継続的な株主還元の実施、人的資本投資などの成長投資の実行)、サステナビリティへの取り組みの一層の強化と非財務情報開示の拡充(サステナビリティ経営のさらなる推進、統合報告書の発行)、IR・PR活動の強化(開示情報のさらなる充実と株主・投資家との対話の拡充、コーポレートロゴ変更などブランディング強化)を一層強化するとしている。なお2024年11月には同社初となるNCDグループ統合報告書「Integrated Report 2024」を発行した。
下條治(しもじょうおさむ)代表取締役社長は「IT関連事業における品質・生産性向上等の施策、パーキングシステム事業における業務効率化や価格改定等の施策の成果として収益性が着実に向上し、中期経営計画の最終年度目標値を再上方修正した。長期ビジョンで掲げた2032年の目標数値の達成も現実的になってきたと考えており、引き続き各種取り組みを着実に推進することで一段の収益性向上を目指していきたい。また企業価値のさらなる向上に向けて株主還元充実やIR活動強化も推進していきたい。」と意気込みを語っている。中期経営計画の進捗は極めて順調と弊社では評価している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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1. パーパス
同社は、トータル・ソリューション・プロバイダーとしての成長戦略を加速するため、「私たち一人ひとりが未来に胸をときめかせ、誰もが活き活きと輝ける社会をつくる。」という思いを込めたグループのパーパス「人の鼓動、もっと社会へ。」を掲げ、経営理念を「ユニークな技術とサービスにより、明るい未来に貢献する。」としている。また、DXビジョン「私たちNCDグループは、お客様のビジネスの変革や社会の発展に貢献し、かつ、従業員が活き活きと仕事をすることで、グループ全体の成長が持続する企業を目指します。その実現のために、グループ一人ひとりが知恵を絞り、意識の変革を行い、新たな発想のデジタル技術とサービス創出に挑戦します。」を掲げ、DX推進を本格化させる方針を打ち出している。さらに、創業の精神を継承しつつ、パーパスの実現に向けて今後もグループ企業が一体となり、ブランド価値向上・持続的成長を目指すという決意のもと、2024年1月1日付で商号をNCDに変更した。
中期経営計画「Vision2026」の目標数値を再上方修正
2. 中期経営計画「Vision2026」
同社は2023年5月に、持続的成長と企業価値向上を目指して2032年のありたい姿(グループビジョン)を検討し、基本方針を「より収益性の高い企業への変革を図り、NCDグループの持続的成長へ繋げる」「新しい事業領域への挑戦により、第3の事業柱を構築する」「NCDグループで働くことに幸せを感じ、かつ成長することのできる、“Well-beingカンパニー”を目指す」とした。2032年の目標値には売上高400億円、営業利益40億円、営業利益率10.0%を掲げた。
そして、ありたい姿からバックキャストした中期経営計画「Vision2026」(2024年3月期~2026年3月期)を策定した。グループビジョン実現に向けたファーストステップの期間と位置付けて、基本方針を、既存ビジネスの付加価値向上と新しいビジネスの創出によるさらなるNCDバリューの追求(IT関連事業とパーキングシステム事業のさらなる連携強化、新規事業創出の制度化による第3の事業柱構築に向けた新しいビジネスの追求)、企業価値向上に向けた経営基盤の強化(サステナビリティ経営の推進、人材の価値を最大限に引き出す人的資本経営への取り組み強化、DX推進によるビジネス変革と持続的成長への貢献)、最適なグループ事業体制の再構築(事業シナジーを最大化する組織体制の追求)とした。方向性としては、業界平均よりも低い収益性の改善、事業部間連携の強化、新規事業領域への取り組み強化、既存事業の付加価値向上、人材の確保と育成、働きがいへの取り組み強化など、既存ビジネスの土台固めと長期的視点による投資を行い、次期中期経営計画(2027年3月期~2029年3月期)及び2032年のグループビジョン目標達成に向けた飛躍につなげる方針としている。
なお中期経営計画「Vision2026」においては当初、目標数値を最終年度2026年3月期売上高26,000百万円、営業利益1,800百万円、営業利益率6.9%、ROE15.0%以上としていたが、各事業の想定以上の売上拡大や収益性向上、JCS子会社化などにより、初年度の2024年3月期に売上高、営業利益とも目標数値を上回ったため、2024年5月13日付で2026年3月期の目標数値を上方修正して売上高30,000百万円、営業利益2,400百万円、営業利益率8.0%、ROE20%以上とした。さらに、この修正後の2026年3月期目標を2025年3月期に前倒し超過達成の見込みとなったため、2026年3月期の目標数値を再上方修正して売上高32,000百万円、営業利益3,000百万円、営業利益率9.4%、ROE20%以上とした。IT関連事業、パーキングシステム事業とも収益性が想定以上に向上していることが主因である。再修正後の2026年3月期セグメント別計画(売上高は外部顧客への売上高、セグメント利益は全社費用等調整前営業利益)は、システム開発事業が売上高13,700百万円、セグメント利益2,140百万円、セグメント利益率15.6%、サポート&サービス事業が売上高10,100百万円、セグメント利益1,050百万円、セグメント利益率10.4%、パーキングシステム事業が売上高8,200百万円、セグメント利益1,860百万円、セグメント利益率22.7%とした。また投資目標は3ヶ年合計1,800百万円(人的資本投資700百万円、研究開発・新規事業関連投資600百万円、その他投資500百万円)としている。
重点戦略として、IT関連事業では高付加価値サービス提供型への変革を目指し、顧客のDXに貢献するNCDサービスモデルの進化と拡充による付加価値向上、既存ドメインのさらなる深耕と大企業を中心とした新規顧客へのアプローチ強化、体制拡大とサービス提供能力を高める事業基盤の強化などを推進する。パーキングシステム事業では、リーディングカンパニーとして強固な地位の確立に向けて、構造改革プロジェクトの完遂による収益基盤の安定化、駐輪場事業で培ったノウハウと市場ニーズを還流した高付加価値ビジネスの創出、事業体制の最適化などを推進する。コーポレート部門ではプライム上場企業に求められるガバナンス水準を目指し、サステナビリティ経営・人的資本経営・ガバナンス態勢高度化などを推進する。
また新規事業創出に関しては、戦略の一環として事業アイデア公募制度「co-do project」を開始し、募集アイデアのプレゼン選考会を実施するなど、多方面的な取り組みを展開している。サステナビリティ経営に関しては、マテリアリティを各部門施策に反映してKPIモニタリングをスタートした。今後は非財務情報開示の拡充に向けた取り組みを強化する。人的資本経営については、人材戦略の基本コンセプトとして「自律的なキャリア形成と対話を通じた組織風土の変革」を掲げ、人材開発と組織開発を両輪とした人材マネジメントの変革を図る。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の取り組みとしては、収益力向上(既存ビジネスの付加価値向上と新規ビジネス創出などによる利益率のさらなる改善と利益の拡大)、資本の最適配分(安定的かつ継続的な株主還元の実施、人的資本投資などの成長投資の実行)、サステナビリティへの取り組みの一層の強化と非財務情報開示の拡充(サステナビリティ経営のさらなる推進、統合報告書の発行)、IR・PR活動の強化(開示情報のさらなる充実と株主・投資家との対話の拡充、コーポレートロゴ変更などブランディング強化)を一層強化するとしている。なお2024年11月には同社初となるNCDグループ統合報告書「Integrated Report 2024」を発行した。
下條治(しもじょうおさむ)代表取締役社長は「IT関連事業における品質・生産性向上等の施策、パーキングシステム事業における業務効率化や価格改定等の施策の成果として収益性が着実に向上し、中期経営計画の最終年度目標値を再上方修正した。長期ビジョンで掲げた2032年の目標数値の達成も現実的になってきたと考えており、引き続き各種取り組みを着実に推進することで一段の収益性向上を目指していきたい。また企業価値のさらなる向上に向けて株主還元充実やIR活動強化も推進していきたい。」と意気込みを語っている。中期経営計画の進捗は極めて順調と弊社では評価している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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