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構造計画研究所のニュース
~3D都市モデル×シミュレーションで土砂災害対策やヒートアイランド対策の計画高度化を支援~
株式会社構造計画研究所(本社:東京都中野区、代表執行役会長:服部 正太)は、国土交通省が主導する「Project PLATEAU」に参画し、先進的なユースケース開発の実施を通して社会課題の解決に取り組んでいます。この度、2023年度のユースケース開発に参画し、「精緻な土砂災害シミュレーション」および「熱流体解析に関する大規模シミュレーション」の開発および実証を行いました。
■ 本リリースの要点
1.国土交通省が主導する「Project PLATEAU」における2023年度のユースケースに参画。
2.家屋の倒壊状況等を加味した精緻な土砂災害シミュレーションを実現。解析結果は専門外のユーザーも直感的に把握できるよう3D可視化。土砂災害対策への活用を見据える。
3.ノンエンジニアでもWeb上で手軽に、条件構築から結果の可視化まで実施できる熱流体シミュレーションシステムを開発。ヒートアイランド対策など、都市計画実務への展開を見据える。
■背景
「Project PLATEAU」は、国土交通省が主導する日本全国の3D都市モデルの整備・オープンデータ化プロジェクトです。都市活動のプラットフォームデータとして3D都市モデルを整備し、様々な領域でユースケースを開発するとともに、誰もが自由に都市のデータを引き出せるようにすることで、オープン・イノベーションの創出を目指しています。
近年、シミュレーションによる施策検証に対する期待が高まっていますが、特に都市に関するシミュレーションを実施する上では、必要なデータの整備に大きなコストがかかっていました。「Project PLATEAU」において3D都市モデルが整備されたことで、シミュレーション実施の障壁が大きく下がり、施策検証への活用が期待されています。
今回のユースケース開発においては、「Project PLATEAU」の3D都市モデルと、WebGISや当社が有する多様なシミュレーション技術等を活用した3D可視化の技術を組み合わせました。
■取り組み事例
1.精緻な土砂災害シミュレーション(対象:岡山県備前市)
株式会社ウエスコと当社の共同提案体として、岡山県備前市を対象に、家屋の倒壊状況等を加味した精緻な土石流流体数値シミュレータおよびその3D可視化システムの開発を行いました。
現在運用されている土砂災害警戒区域等のハザード情報は、地形から力学的に推定される最大範囲を網羅するものとなっています。しかし、中山間地等では、土石流警戒区域等が幾重にも重なり、避難計画立案が困難な状況が発生しています。
今回、「Project PLATEAU」で整備された3D都市モデルを用いることで、土石流等が家屋に衝突することによってもたらされる、エネルギーや流動方向の変化を考慮した土石流シミュレーションが実施できるようになりました。これにより、家屋の倒壊等を考慮した形で土石流の氾濫範囲を緻密に解析し、比較的リスクの低い地点等を工学的根拠に基づいて示すことが可能となります。
土石流の解析には、氾濫や流出、津波、土石流モデル等の様々な数値シミュレーションを実行可能なフリーソフト「iRIC」を利用し、土石流・泥流の流動・堆積過程を表現可能なiRICの解析ソルバー「Morpho2DH」をカスタマイズして活用しました。カスタマイズにあたっては、Morpho2DHの開発者である京都大学 竹林洋史准教授、広島大学 三浦弘之教授監修のもと、3D都市モデルの読み込み機能および家屋倒壊判定機能を追加実装しました。
さらに、解析結果として出力される土石流の氾濫範囲・氾濫速度および家屋損壊の状況を、土木や工学の専門知識を持たないユーザーがWebブラウザ上で直感的に把握できるよう、3D可視化プラットフォームとして「Terria Map」を採用し、Web上で解析結果をアニメーション表示できるようにしました。
今後は、評価ロジックの精度向上等、システムのブラッシュアップを図るとともに、土砂災害対策に対して課題を有する地方公共団体等に対して、本システムを活用したコンサルティングを展開してまいります。行政職員や地域住民、さらには解析を担当するコンサルタント等の幅広い関係者に今回の取り組み成果を活用いただくことで、土砂災害に対する避難計画の高度化が促進されることを期待しています。
関連ウェブサイト:https://www.mlit.go.jp/plateau/use-case/uc23-02/
WebGIS上で土石流シミュレーション結果を可視化した様子
2.熱流体解析に関する大規模シミュレーション(対象:神奈川県横須賀市)
3D都市モデルから建築物の三次元形状・属性情報(用途)、土地利用区分、地形といった情報を取得しつつ、Web上から利用可能な熱流体シミュレーションシステム(CFD:Computational Fluid Dynamics)を開発しました。
都市部のヒートアイランド対策としては、屋上緑化や壁面緑化、公共施設グラウンドの芝生化、打ち水といった策が取られていますが、効果の定量評価にあたっては、対策実施前後の気温や風向の実測値を示すことが一般的であり、効果を事前に検証することが困難という課題がありました。また、効果の事前検証としてシミュレーションを実施する場合でも、測量データの整備・シミュレーションモデル構築・熱流体解析の実行・結果可視化といった一連の業務を、地方公共団体等からコンサルタント会社等に外部委託する必要がありました。
今回開発した熱流体シミュレーションシステムを用いることで、シミュレーションの条件構築・実行・結果可視化に至るまで、一連の熱流体解析に関する業務フローの大部分を、地方公共団体等のノンエンジニア属性のユーザーが自ら、外部委託せずとも実施することが可能となりました。
開発にあたっては、東京工業大学 稲垣厚至助教の監修のもと、シミュレーションエンジンとして、オープンソースのCFDソフトウェアである「OpenFOAM」を利用しました。Webアプリ上のGUI操作で、シミュレーション要件、現況調査に基づく解析条件を容易に設定できるよう設計しています。また、シミュレーション結果(各地点の風の向き、中空温度、暑さ指数)はWebアプリ内で3D描画することができ、さらには住民等の一般ユーザーにシミュレーション結果を公開できる機能も備えています。
今回、地方公共団体職員を対象としたシステム実証において、開発したシステムの機能性・有用性について一定の評価を得ることができました。今後は、システム実証で挙がった意見を踏まえ都市計画実務へのサービス展開を図るとともに、将来的には都市計画以外の行政分野への利用拡大も視野に入れた機能拡充を検討していきます。
関連ウェブサイト:https://www.mlit.go.jp/plateau/use-case/uc23-25/
シミュレーション結果の表示画面(暑さ指数)
今回のユースケースにおける成果を活用することで、避難計画の高度化や都市計画/環境政策における、合理的根拠に基づく政策立案(EBPM:Evidence Based Policy Making)の推進に寄与してまいります。
■会社情報
【株式会社構造計画研究所】
構造計画研究所は、工学知を用いて社会の諸問題の解決に挑む技術コンサルティングファームです。1956年に構造設計事務所として創業して以来、「大学、研究機関と実業界をブリッジする Professional Design & Engineering Firm」として、建設・防災、情報・通信、製造分野や意思決定支援など多様な領域に事業を拡げてきました。工学知をベースにしたエンジニアリングコンサルティングおよびプロダクツサービスの提供を通じて、複雑化する社会課題の解決に日々取り組んでいます。
会社ウェブサイト:https://www.kke.co.jp
※ 構造計画研究所および、構造計画研究所のロゴは、株式会社構造計画研究所の登録商標です。
その他、記載されている会社名、製品名などの固有名詞は、各社の商標又は登録商標です。
株式会社構造計画研究所(本社:東京都中野区、代表執行役会長:服部 正太)は、国土交通省が主導する「Project PLATEAU」に参画し、先進的なユースケース開発の実施を通して社会課題の解決に取り組んでいます。この度、2023年度のユースケース開発に参画し、「精緻な土砂災害シミュレーション」および「熱流体解析に関する大規模シミュレーション」の開発および実証を行いました。
■ 本リリースの要点
1.国土交通省が主導する「Project PLATEAU」における2023年度のユースケースに参画。
2.家屋の倒壊状況等を加味した精緻な土砂災害シミュレーションを実現。解析結果は専門外のユーザーも直感的に把握できるよう3D可視化。土砂災害対策への活用を見据える。
3.ノンエンジニアでもWeb上で手軽に、条件構築から結果の可視化まで実施できる熱流体シミュレーションシステムを開発。ヒートアイランド対策など、都市計画実務への展開を見据える。
■背景
「Project PLATEAU」は、国土交通省が主導する日本全国の3D都市モデルの整備・オープンデータ化プロジェクトです。都市活動のプラットフォームデータとして3D都市モデルを整備し、様々な領域でユースケースを開発するとともに、誰もが自由に都市のデータを引き出せるようにすることで、オープン・イノベーションの創出を目指しています。
近年、シミュレーションによる施策検証に対する期待が高まっていますが、特に都市に関するシミュレーションを実施する上では、必要なデータの整備に大きなコストがかかっていました。「Project PLATEAU」において3D都市モデルが整備されたことで、シミュレーション実施の障壁が大きく下がり、施策検証への活用が期待されています。
今回のユースケース開発においては、「Project PLATEAU」の3D都市モデルと、WebGISや当社が有する多様なシミュレーション技術等を活用した3D可視化の技術を組み合わせました。
■取り組み事例
1.精緻な土砂災害シミュレーション(対象:岡山県備前市)
株式会社ウエスコと当社の共同提案体として、岡山県備前市を対象に、家屋の倒壊状況等を加味した精緻な土石流流体数値シミュレータおよびその3D可視化システムの開発を行いました。
現在運用されている土砂災害警戒区域等のハザード情報は、地形から力学的に推定される最大範囲を網羅するものとなっています。しかし、中山間地等では、土石流警戒区域等が幾重にも重なり、避難計画立案が困難な状況が発生しています。
今回、「Project PLATEAU」で整備された3D都市モデルを用いることで、土石流等が家屋に衝突することによってもたらされる、エネルギーや流動方向の変化を考慮した土石流シミュレーションが実施できるようになりました。これにより、家屋の倒壊等を考慮した形で土石流の氾濫範囲を緻密に解析し、比較的リスクの低い地点等を工学的根拠に基づいて示すことが可能となります。
土石流の解析には、氾濫や流出、津波、土石流モデル等の様々な数値シミュレーションを実行可能なフリーソフト「iRIC」を利用し、土石流・泥流の流動・堆積過程を表現可能なiRICの解析ソルバー「Morpho2DH」をカスタマイズして活用しました。カスタマイズにあたっては、Morpho2DHの開発者である京都大学 竹林洋史准教授、広島大学 三浦弘之教授監修のもと、3D都市モデルの読み込み機能および家屋倒壊判定機能を追加実装しました。
さらに、解析結果として出力される土石流の氾濫範囲・氾濫速度および家屋損壊の状況を、土木や工学の専門知識を持たないユーザーがWebブラウザ上で直感的に把握できるよう、3D可視化プラットフォームとして「Terria Map」を採用し、Web上で解析結果をアニメーション表示できるようにしました。
今後は、評価ロジックの精度向上等、システムのブラッシュアップを図るとともに、土砂災害対策に対して課題を有する地方公共団体等に対して、本システムを活用したコンサルティングを展開してまいります。行政職員や地域住民、さらには解析を担当するコンサルタント等の幅広い関係者に今回の取り組み成果を活用いただくことで、土砂災害に対する避難計画の高度化が促進されることを期待しています。
関連ウェブサイト:https://www.mlit.go.jp/plateau/use-case/uc23-02/
WebGIS上で土石流シミュレーション結果を可視化した様子
2.熱流体解析に関する大規模シミュレーション(対象:神奈川県横須賀市)
3D都市モデルから建築物の三次元形状・属性情報(用途)、土地利用区分、地形といった情報を取得しつつ、Web上から利用可能な熱流体シミュレーションシステム(CFD:Computational Fluid Dynamics)を開発しました。
都市部のヒートアイランド対策としては、屋上緑化や壁面緑化、公共施設グラウンドの芝生化、打ち水といった策が取られていますが、効果の定量評価にあたっては、対策実施前後の気温や風向の実測値を示すことが一般的であり、効果を事前に検証することが困難という課題がありました。また、効果の事前検証としてシミュレーションを実施する場合でも、測量データの整備・シミュレーションモデル構築・熱流体解析の実行・結果可視化といった一連の業務を、地方公共団体等からコンサルタント会社等に外部委託する必要がありました。
今回開発した熱流体シミュレーションシステムを用いることで、シミュレーションの条件構築・実行・結果可視化に至るまで、一連の熱流体解析に関する業務フローの大部分を、地方公共団体等のノンエンジニア属性のユーザーが自ら、外部委託せずとも実施することが可能となりました。
開発にあたっては、東京工業大学 稲垣厚至助教の監修のもと、シミュレーションエンジンとして、オープンソースのCFDソフトウェアである「OpenFOAM」を利用しました。Webアプリ上のGUI操作で、シミュレーション要件、現況調査に基づく解析条件を容易に設定できるよう設計しています。また、シミュレーション結果(各地点の風の向き、中空温度、暑さ指数)はWebアプリ内で3D描画することができ、さらには住民等の一般ユーザーにシミュレーション結果を公開できる機能も備えています。
今回、地方公共団体職員を対象としたシステム実証において、開発したシステムの機能性・有用性について一定の評価を得ることができました。今後は、システム実証で挙がった意見を踏まえ都市計画実務へのサービス展開を図るとともに、将来的には都市計画以外の行政分野への利用拡大も視野に入れた機能拡充を検討していきます。
関連ウェブサイト:https://www.mlit.go.jp/plateau/use-case/uc23-25/
シミュレーション結果の表示画面(暑さ指数)
今回のユースケースにおける成果を活用することで、避難計画の高度化や都市計画/環境政策における、合理的根拠に基づく政策立案(EBPM:Evidence Based Policy Making)の推進に寄与してまいります。
■会社情報
【株式会社構造計画研究所】
構造計画研究所は、工学知を用いて社会の諸問題の解決に挑む技術コンサルティングファームです。1956年に構造設計事務所として創業して以来、「大学、研究機関と実業界をブリッジする Professional Design & Engineering Firm」として、建設・防災、情報・通信、製造分野や意思決定支援など多様な領域に事業を拡げてきました。工学知をベースにしたエンジニアリングコンサルティングおよびプロダクツサービスの提供を通じて、複雑化する社会課題の解決に日々取り組んでいます。
会社ウェブサイト:https://www.kke.co.jp
※ 構造計画研究所および、構造計画研究所のロゴは、株式会社構造計画研究所の登録商標です。
その他、記載されている会社名、製品名などの固有名詞は、各社の商標又は登録商標です。
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