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ヘリオス Research Memo(6):2024年12月期中間期の売上収益は契約一時金の計上により大幅増収に

配信元:フィスコ
投稿:2024/12/10 13:06
*13:06JST ヘリオス Research Memo(6):2024年12月期中間期の売上収益は契約一時金の計上により大幅増収に ■ヘリオス<4593>の業績動向

1. 2024年12月期中間期業績
2024年12月期中間期の連結業績は、売上収益で508百万円(前年同期比401百万円、372.4%増)、営業損失で1,331百万円(前年同期は1,555百万円の損失)、税引前損失で2,968百万円(同1,321百万円の損失)、親会社の所有者に帰属する中間損失で2,958百万円(同1,392百万円の損失)となった。

売上収益の増加は、アステラス製薬子会社からのライセンス契約一時金(3百万米ドル)及びAND medical groupからの契約一時金(60百万円)の受領によるものである。研究開発費はHLCM051やHLCN061など各パイプラインの研究開発を推進したことにより同72百万円増加したほか、販管費も同87百万円増加したが、売上収益の増加が営業損失の縮小要因となった。

税引前中間損失が拡大したのは、金融収益が同155百万円増の463百万円となった一方で、金融費用が同2,025百万円増の2,100百万円と膨らんだことによる。ただ、これらの大半は非現金損益項目となっており、手元キャッシュへの影響はほとんどない。金融収益の主な内訳は、Saiseiファンドにおける外部投資家持分への損益振替額※1 431百万円及び受取利息29百万円の計上であり、前年同期比では外部投資家持分への損益振替額201百万円が増加要因となった。一方、金融費用の主な内訳はデリバティブ評価損※2 1,692百万円、有価証券評価損293百万円、社債利息※3 56百万円及び新株予約権発行費55百万円であり、前年同期比ではデリバティブ評価損及び有価証券評価損の増加が主な要因となった。

※1 Saiseiファンドにおける外部投資家持分への損益振替額とは、連結子会社であるSaisei Bioventuresの損益をSaisei Bioventuresに出資している同社以外のパートナーに対して振替計上しているもの。
※2 主に同社が発行した第21回新株予約権及び第22回新株予約権を公正価値で評価していることにより発生する評価損であり、国際会計基準(IFRS)の規則により計上している。IFRSでは新株予約権の払込額を負債に計上後、毎期末、公正価値を測定し評価損益を金融収益または金融費用に計上する。
※3 社債利息56百万円のうち、36百万円は償却原価法により計上した費用(非現金支出費用)である。IFRSでは、社債発行額から発行手数料を控除した手取り収入額を負債項目として計上することから、社債の額面金額と負債として計上される金額とに差異が生じるため、その差額を社債利息として毎期償却(費用化)する。

なお、2024年12月期の連結業績予想については、新たな事業提携や新規シーズの獲得の可能性など、現時点で未確定な要素が多いことから、適正かつ合理的な数値の算出が困難なため、非開示としている。費用面では、研究開発費・販管費ともに前期とほぼ同水準となる見通しだ。


今後の資金調達は発行済新株予約権行使・ロイヤリティ投資・第三者割当増資の方針

2. 財務状況
2024年12月期中間期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比2,656百万円増加の17,811百万円となった。流動資産では社債の発行等により現金及び現金同等物が2,172百万円増加し、非流動資産ではその他の金融資産が325百万円増加した。

一方、負債合計は前期末比3,258百万円増加の14,546百万円となった。流動負債ではその他の金融負債が新株予約権の公正価値見直し(評価損計上)等によって1,969百万円増加し、非流動負債では社債及び借入金が1,599百万円増加した。資本合計は前期末比602百万円減少の3,266百万円となった。新株発行により2,181百万円増加した一方で、中間損失2,951百万円を計上したことによる。

ネットキャッシュ(現金及び現金同等物−社債・借入金)は2,851百万円となった。今後の事業活動資金については、発行済みの第21回及び第22回新株予約権の行使によって調達(すべて行使されれば約47億円を調達できる見込み)するほか、培養上清液の販売収入、ライセンス契約一時金等で賄うことになるが、不足する場合は子会社を通じたロイヤリティ投資や第三者割当増資等により、投資ファンド等から調達する方針である。骨髄由来細胞、iPSC再生医療分野に加えて医療材料分野を育成するハイブリッド戦略を推進し、早期の収益化を目指す。

3. 今後の成長戦略
同社は今後の成長戦略として、骨髄由来細胞(HLCM051)やiPS再生医療分野での開発を継続していくとともに、医療材料事業を新たに展開することで早期収益化を目指すハイブリッド戦略を推進する方針だ。

HLCM051に関しては、グローバルでの権利を獲得したことにより、成長ポテンシャルが一段と高まった。まずはARDS治療薬の日本での条件及び期限付承認取得と米国での第3相試験の開始を最優先に取り組む方針で、並行してアジアや欧州でのライセンス交渉も進めていく。

iPSC再生医療等製品分野では、eNK細胞による次世代がん免疫療法の開発を子会社で進めることにしており、開発資金はロイヤリティ投資や第三者割当増資、共同開発契約などによって調達する方針だ。また、眼科領域で網膜色素上皮裂孔を有する患者を対象としたRPE細胞を用いた治療法の開発については、共同開発パートナーである住友ファーマにて第1/2相臨床試験を開始しており(予定組入れ数21例)、2024年に1例目の被験者組入れが行われたが、当面同社の業績に与える影響はなさそうだ。ただ、海外で新たな非独占的ライセンス契約が締結される可能性はある。

医療材料事業については、前述した培養上清液の拡大が見込まれるほか、研究開発用材料としてUDCやiPS細胞株など、またアサシスから取得した細胞医薬品の自動冷凍解凍在庫管理システム「SIFU」の販売についても推進することにしている。

特に、培養上清液の販売が計画どおりに伸長すれば、2026年12月期にも営業利益の黒字化が射程圏に入ってくるものと予想される。また、ARDS治療薬の米国での開発に成功すれば30〜50億ドル規模の製品に育つ可能性がある。同社は大量生産が可能な3次元培養設備と製造ノウハウをアサシスから取得しており、事業化の目途が立てば設備増強を行って国内から製品を海外に輸出し、医薬品の貿易赤字縮小に貢献することを目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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配信元: フィスコ
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