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DWTI、上市品のロイヤリティ収入によりベース収益を確保、「H-1337」や「DWR-2206」へ投資し、さらなる成長へ
目次
日高有一氏:株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所代表取締役社長の日高有一です。2023年12月期の通期決算説明会をはじめます。目次のとおり、まずは2023年12月期の通期業績と事業進捗、最後に2024年12月期の見通しについてご説明します。
連結損益計算書(対前期比)
まずは、2023年12月期の通期業績についてです。売上高は前期比4.4パーセント減の4億2,800万円となりました。今期は一時金(マイルストーン収入)がなかったことがその理由です。一方でロイヤリティ収入は、前期比6.7パーセント増となりました。
ロイヤリティ収入については、昨年「グラナテック(単剤)」の物質特許が切れたことにより料率が下がっています。一方で「DW-1002」と「グラアルファ」の伸びが通期寄与したため、トータルでロイヤリティ収入が伸長しました。
研究開発費については、「H-1337」の米国フェーズ2b試験と「DWR-2206」の開発費用が計上されたことにより、前期比98.2パーセント増の9億3,000万円となりました。営業損失がマイナス7億9,800万円、経常損失がマイナス7億9,600万円で着地しています。
連結損益計算書(対通期予想比)
スライドは、連結損益計算書を通期予想比で示したものです。昨年2月13日に公表した通期予想においては、売上高4億円、営業損失マイナス14億円、経常損失マイナス14億1,000万円としていました。
通期実績は、売上高は通期予想比7.1パーセント増の4億2,800万円、営業損失はマイナス7億9,800万円、経常損失はマイナス7億9,600万円です。売上高の増加と、「H-1337」の開始時期のズレが4ヶ月ほどあったこと、「DW-5LBT」の支払マイルストーンがなかったなどの理由で、研究開発費がマイナス20.7パーセントとなり、営業損失が若干少なくなっています。
連結貸借対照表
連結貸借対照表です。現預金は18億6,700万円と、前期比マイナス4億6,700万円となりました。主に研究開発費の使用による減少ですが、現預金水準は良好に推移していると考えています。その他流動資産は、「H-1337」治験薬製造などにより若干増加しています。
固定資産については、「DW-1002」の契約関連無形資産の償却があったため減少しました。
流動負債は「DW-1002」の事業譲受資金の完済として1億2,000万円の計上、さらに「H-1337」「DWR-2206」の開発費用の発生等による未払金の増加があり、トータルでは減少しているものの、開発費としては増加しています。
固定負債については、「DWR-2206」の開発費用の融資による長期借入金の増加が1億5,600万円、社債の転換による減少が1億2,800万円ありました。
結果として純資産は、当期純損失マイナス8億1,200万円の計上と、社債転換及び新株予約権行使等による資本金と資本準備金が、それぞれ1億1,700万円増加しました。
連結キャッシュ・フロー計算書
連結キャッシュ・フロー計算書です。営業キャッシュ・フローはマイナス5億8,600万円となっています。その内訳には、税金等調整前当期純損失がマイナス8億2,600万円、未払金の増加9,500万円、売上債権の減少5,300万円、減価償却費4,800万円、特別損失の計上分3,000万円、棚卸資産の減少2,200万円が含まれます。
投資キャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出でマイナス1,200万円となっています。財務キャッシュ・フローは、長期借入れによる収入1億6,600万円と、新株予約権の行使による収入が8,800万円、その一方で借入金の返済がマイナス1億2,000万円あり、トータルプラス1億3,400万円で着地しました。期末の手元流動性は、18億6,700万円となっています。
2023年12月期 トピックス
事業の進捗をご説明します。「グラナテック(単剤)」はロイヤリティが減少したものの、「グラアルファ(配合剤)」で通期寄与がありました。
一方、ブリリアントブルーG(BBG)の「DW-1002」が、単剤・配合剤ともに販売が好調です。開発パイプラインにある「K-321」は、昨年3月にグローバルのフェーズ3を開始しました。「DW-1002」の配合剤は、7月に米国でオーファンドラッグ指定を受け、申請の準備中です。単剤では中国で5月に申請を行っています。
また「H-1337」は8月にフェーズ2b試験の投与を開始しました。メドレックスと共同で開発している「DW-5LBT」は、2024年1月に再申請しています。
期初に見込んでいたイベントの達成状況
期初に見込んでいたイベントの達成状況についてご説明します。「H-1337」については米国でフェーズ2bのトップラインデータの公表を見込んでいましたが、開始がずれ込んだため2024年に変更となっています。
「DW-5LBT」は再申請と承認取得までが目標でしたが、年内で一度返され、今年1月に再申請しているということで、一部達成しています。
「DW-1001」はフェーズ2の開始予定が、未達となっています。「DW-1002(単剤)」については中国の申請は行いましたが、上市と日本の申請が未達のため、一部達成となっています。
その他、当初計画になかったイベントが3つあります。「DW-1002(配合剤)」の米国オーファンドラッグ指定取得と申請準備、「K-321」のグローバルフェーズ3の開始、「DWR-2206」の開発計画の公表を行いました。
主な開発パイプラインの状況
主要な開発パイプラインの状況です。スライドの緑色の部分が進捗のあったものを表しています。「K-321」、「DW-1002」は米国と中国で、「DWR-2206」は日本で、「H-1337」と「DW-5LBT」は米国で、それぞれ進捗がありました。
緑内障治療剤 リパスジル塩酸塩水和物
個別の上市品についてご説明します。「グラナテック」と「グラアルファ」のリパスジル塩酸塩水和物です。「グラナテック」については、2022年に一部物質特許が切れたこともあり、ロイヤリティが減少しています。
一方、「グラアルファ」自体は2022年12月に上市し、通期にわたり寄与しています。立ち上がりも好調で、ロイヤリティの減少幅は想定範囲内です。また、12月にタイへの申請も行っており、その他アジアの地域への申請準備も行っています。
眼科手術補助剤 DW-1002(ブリリアントブルーG)
「DW-1002」です。ロイヤリティが大幅に増加しており、3億円に近づいている状況です。数量増加と円安の影響を受け、前期比26パーセントの増加となっています。内訳としては、数量が13.1パーセント増、為替要因が12パーセント増と、特に配合剤が大きく伸びています。単剤(中国・日本)、配合剤(米国)の開発計画も新たに追加されたため、今後もロイヤリティについては増加していくと予想しています。
なお、販売会社のDORCから、昨年12月にカールツァイスメディテックに買収されたという発表があり、今後も販売は堅調に推移していくと考えています。
開発パイプラインの状況
スライドに開発パイプラインの一覧を記載しています。それぞれについてご説明します。
フックス角膜内皮変性症 K-321
フックス角膜内皮変性症「K-321」です。2023年6月に先行して進めていた、米国でのフェーズ3である安全性の試験が終了しています。試験の結果は非公表となっています。
また、昨年3月、4月にグローバルのフェーズ3の試験を開始しており、米国とEUで試験を行っています。
現在3つの試験が進行しており、登録上の終了時期となる2025年1月に向けて進めていきます。
眼科手術補助剤 DW-1002
眼科手術補助剤「DW-1002」です。単剤については、昨年5月に中国での申請を行っています。日本については、PMDA(医薬品医療機器総合機構)と申請に向けた協議を進めています。米国のデータを使用した申請を検討していますが、規格・品質に対しての課題が残っています。本年度中の申請を目指していますが、検討状況によっては開発計画がさらに変更される可能性があります。
配合剤については、2023年7月に米国でFDA(アメリカ食品医薬品局)よりオーファンドラッグに指定され、申請準備を行っています。2026年の上市を目指して進めていきます。
緑内障治療剤 H-1337 第二選択薬のFirst Choice
緑内障治療剤「H-1337」です。こちらは自社開発品となり、進捗としては2023年8月に投与を開始している状況です。現在投与から5ヶ月が経過しており、年末の段階で患者投与の進捗率は約5割と、概ね計画どおりです。
単純計算はできないものの、半分を超えたという状況であれば、4ヶ月から5ヶ月での治験完了を目標としています。トップラインデータの開示は、2024年後半に公表を予定しています。
スライド右側に記載の「P2b試験デザイン」の概要について、症例数は200症例、投与期間は28日としています。ポジティブコントロールとしてチモロールを置き、チモロールに対して非劣性を評価します。
H-1337の市場性と開発計画
米国の緑内障市場は、日本と比べ3倍から4倍の市場があります。第一選択薬のPG関連薬が50パーセント近いシェアを持っているため、「H-1337」は第二選択薬を目指しています。対象となる市場としては、最大40パーセント、1,200億円超を目指しています。
開発計画としては、フェーズ2bを本年度中に完了させ、2025年以降にフェーズ3へ進めたいと思います。そのため今年度中に、フェーズ3に必要な毒性試験も進めていきたいと考えています。
今後の開発方針として、自社開発またはライセンスアウトについては、試験の結果によって検討する予定です。
再生医療用細胞製品 DWR-2206
再生医療用細胞製品「DWR-2206」です。こちらはアクチュアライズと共同開発を行っています。昨年、開発計画を提出したものの、PMDAとの協議により開発計画の見直しを実施しました。2024年から治験を開始し、その結果を踏まえた上で、2027年に通常の製造販売承認申請を行う予定です。
当初の計画では1試験でしたが、フェーズ2とフェーズ3の2試験に分けて2024年から2026年の間に実施し、2027年に申請を行う計画に修正しています。
DWR-2206競合について
「DWR-2206」の主な競合品として、「ビズノバ」のほか、国内の再生医療ベンチャーであるセルージョンが手掛けているiPS細胞があります。水疱性角膜症は非常に重篤な疾患であり、移植手術以外に代替できる治療法がないことから、重要な薬剤となっています。
当社共同開発品は凍結製剤であることが特長で、他製品と比べても高い優位性となっています。より使いやすい製品を目指し、現在さらなる開発を進めています。
神経疼痛治療薬 DW-5LBT
「DW-5LBT」については2023年3月に再申請を行い、9月にFDAより2回目の審査完了報告通知を受け取りました。その後データの再解析を行い、1月12日に再申請を行いました。審査の終了目標日は7月11日となっています。開発計画としては、今年度中に再申請、承認、上市まで進めていきたいと考えています。
中期経営計画の最終年度 2024年における取組み
2024年12月期の見通しについてご説明します。2024年は、中期経営計画の「パイプラインの拡充と事業領域の拡大」を進めてきた最終年度となります。
「パイプラインの増加」と「後期の臨床開発の実施」として、スライド左下に記載している開発パイプラインの本数については、概ね2024年に達成できる見込みです。目標である10本まで残り1本となっており、「DWR-2206」の臨床開始に注力し、目標を達成したいと考えています。
また自社開発を行っている「H-1337」にも資金も投入し、開発を順調に進めていくことが現在の目標となっています。
2024年に発生が見込まれるイベント
2024年に発生が見込まれるイベントについてご説明します。「H-1337」は、米国フェーズ2bのトップラインデータの公表がある予定です。「DW-5LBT」の米国再申請についてはすでに達成しており、承認取得から上市が大きなイベントとなります。
さらに「DWR-2206」の治験開始と、「DW-1002」の中国における承認取得と日本での申請が予定されています。またその他にも、新規プロジェクトや新たなコラボレーションなども展開していきたいと考えています。
2024年12月期通期連結業績予想(2024年2月9日公表)
2024年12月期の通期業績予想です。売上高の通期予想が4億円、営業損失がマイナス15億円、経常損失がマイナス15億1,000万円となっています。研究開発費は16億円で、2年連続で大幅な研究開発投資を行う予定となっています。
この研究開発費の内訳については、「H-1337」のフェーズ3に向けた準備資金と「DW-5LBT」の承認取得による支払マイルストーン、そして通常の新薬創薬に向けた研究費用の増加となっています。
開発パイプラインの進捗計画
スライドには、開発パイプラインの進捗計画を示しています。一部、昨年から積み残している「DW-5LBT」の再申請・承認や「DW-1002」の中国での承認などについては、計画どおり着実に進めていきたいと考えています。
成長投資とベース収益の確保
当社の成長戦略についてご説明します。現在は投資フェーズとなっており、「DW-1002」や「DW-5LBT」、「グラアルファ」などのロイヤリティ収入によりベース収益を確保しています。
そこから、自社で開発費用を負担している「H-1337」や「DWR-2206」に投資することにより、さらなる成長につなげていきたいと考えています。
当社の継続した成長サイクル
当社の成長サイクルです。ロイヤリティ収入と資金調達をベースに開発を行っています。現在は「H-1337」のフェーズ3などに備え資金調達が必要となるものの、2026年までにさらなる上市品も見込まれており、それによるロイヤリティ収入の増加と新規の資金調達により、新薬開発への再投資を目指しています。
借入・資金調達の状況
借入金と資金調達の状況です。「DW-1002」のアセット購入資金は完済しています。「DW-5LBT」と「DWR-2206」については、ともにコミットメント期間付タームローン契約による借入を行っています。
その他、無担保転換社債型新株予約権付社債(CB)と新株予約権による資金調達を行っています。現在CBについては32.7パーセントの転換、新株予約権については42.5パーセントの行使が進んでいます。
今後も引き続き資金ニーズがあり、調達環境は厳しいと理解しています。しかしながら、継続して成長資金を投入し、さらなる開発に取り組んでいきたいと考えています。
以上で、ご説明を終了します。
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