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―深刻度増す人手不足、最先端テクノロジーが救うニッポンの将来―
「チャットボット」が、人工知能(AI)という強力な翼を得たことで飛躍的な進化のプロセスをたどっている。チャットボットとは「チャット」と「ボット(ロボット)」を合体させた造語だが、さまざまな分野での活用が進み、現代社会において、まさに不可欠な存在になろうとしている。AI自らが極めて自然な文章を作成することで、ニーズに合った適切な回答を行う「生成AI」という技術の登場が、チャットボット分野の市場拡大を大きく後押ししている。活躍領域を広げる「AIチャットボット」関連株を点検した。
●365日、24時間フル稼働OK
チャットボット市場は、マイクロソフト
同市場の急拡大は、新型コロナウイルスの感染拡大による非対面業務でのニーズと、少子高齢化による労働力の減少という社会的変化によってもたらされた面が大きい。コロナ禍後の訪日客の急増も人手不足を助長する格好となったが、こうした状況を克服すべく、コールセンターやカスタマーサービス業務などでAIチャットボットが活躍することになった。人間の代わりに適切な回答を行い、365日、24時間フル稼働することでコスト削減にも大きく貢献している。サービス領域が大きく広がるなか、AIチャットボットは、まさに日本を救う救世主となろうとしている。
●防災でも活躍期待
深刻な人手不足を背景に、インバウンド需要が急拡大する観光業界では、多言語化が求められる観光案内やコールセンター、そして宿泊予約などで大活躍。更に、医療分野などでもチャットGPTを活用した取り組みが進展しており、クリニック情報をチャット形式で答えてくれるなど、幅広い分野でのニーズを捉えている。
また、自然災害が激甚化・頻発化する日本列島だが、先月には「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表(8月15日終了)され不安が高まるなか、ウェザーニューズ <4825> [東証P]が開発を担い社会実装を進める防災チャットボット「SOCDA(ソクダ)」への関心も高まっている。このWNIウェザだが、業績も快晴そのものだ。同社は、世界トップクラスの民間気象会社で、気象情報がさまざまな分野で重要視されるなか、20年5月期以降は毎期増収増益を続けており、高い収益成長力を誇っている。同社が7月8日に発表した25年5月期の業績予想は、連結営業利益が前期比16%増の38億円と2ケタ増益を計画し、9期ぶりの過去最高利益更新となる見込みだ。
●ユーザーロカ、10期連続最高益へ
ここ最近も、AIチャットボットを活用した新たなサービスが相次いでおり、投資家の熱い視線が注がれている。
こうしたなか、チャットボットの開発や導入支援でリードするユーザーローカル <3984> [東証P]への注目度は特に高い。同社は6月、デジタルテクノロジーを駆使した都市型水族館「マクセル アクアパーク品川」公式サイトに同社のAIチャットボットが導入されたと発表。4月にも、GMOリサーチ&AI <3695> [東証G]が運用するアンケートサイト「infoQ」に、AIを活用した自動応答システムであるサポートチャットボットの提供を開始したと発表している。人手不足が深刻化するなかニーズを捉えることで、更なる活躍期待が高まりそうだ。同社が8月8日に発表した25年6月期の営業利益(非連結)は、前期比7%増の18億4400万円を計画しており、10期連続で過去最高益を更新する見通しだ。
●パークシャはオンラインゲーム特化型
PKSHA Technology <3993> [東証S]は、8月にグループ企業がオンラインゲーム特化型AIチャットボット「PKSHA Chatbot for Games(パークシャチャットボットフォーゲームズ)」をリリース。第1弾としてドリコム <3793> [東証G]のゲーム開発専用AI SaaS プラットフォーム「ai and(アイアンド)」に採用され、「ダービースタリオン マスターズ」のカスタマーサポート機能に新たな機能として実装された。同社のソリューションは、長年培ってきた経験と実績を生かし、金融機関などでも採用されるなど活躍の場を広げている。同社が8月14日に発表した24年9月期第3四半期累計(23年10月~24年6月)の連結最終損益は16億9000万円の黒字(前年同期は3億9500万円の赤字)となり、通期計画の20億円に対する進捗率は84.5%に達している。株価は底値圏でもみ合う展開が続くが、ジワリ値ごろ感も。
●ジーニー、チャット接客ツールで攻勢
ジーニー <6562> [東証G]は、広告収益を最大化するアドプラットフォームを運営するが、マーケティングSaaS事業においては、チャット接客ツール「GENIEE CHAT」で攻勢を掛けている。この接客ツールひとつで、「FAQボット」「有人チャット」「チャットEFO」など、Webサイト上での“おもてなし接客”に欠かせないチャットを用意することができるという。一人ひとりのニーズに合わせたチャットボットを表示し、オンライン接客を行うことが可能となる。8月13日取引終了後に発表した25年3月期第1四半期(24年4~6月)決算は、連結営業利益が前年同期比7.3倍の8億1500万円と急拡大。株価は、これを評価するかたちで上昇し、20日には1400円まで買われ年初来高値を更新した。その後は利益確定売りに押されるも1300円近辺で頑強展開となっている。
●PRTIMEはシンプル+低価格
プレスリリース配信サイト「PR TIMES」を運営するPR TIMES <3922> [東証P]も関連株の一角として取り上げてみたい。同社が運営するカスタマーサポートツール「Tayori(タヨリ)」が6月からAIチャットボット正式版の提供を開始。生成AIによるチャットボット導入にはゼロからの開発が必要となることで、保守運用などを含めると月額で数十万円の費用となることもあるなか、Tayoriが提供するAIチャットボットは月額9400円(税抜き)のプロフェッショナルプランから利用できるという。シンプルな操作性も導入のしやすさにつながっており、今後の展開に期待が掛かる。同社が7月11日に発表した25年2月期第1四半期(3~5月)連結営業利益は、前年同期比41%増の4億8400万円で着地し好調なスタートを切った。同月には、主力の「PR TIMES」の利用企業社数が10万社に到達したことを発表している。
●BBDイニシ、スタティアHなどにも注目
BBDイニシアティブ <5259> [東証G]のグループ子会社ブルーテックが、7月1日にビジネスチャットサービス「DiSCUS(ディスカス)」の生成AI機能に最新の「Chat GPT-4o」と「Gemini 1.5 Pro」を追加したと発表。DiSCUSは、社員間コミュニケーションの中心となるツールだが、より新しい機能をいち早くユーザーに提供することで、顧客のニーズに対応し攻勢を強める。
また、スターティアホールディングス <3393> [東証P]の子会社クラウドサーカスは、6月にAI型チャットボット「IZANAI powered by OpenAI」の提供を開始している。同製品はPDFやURLを登録するだけで学習データに基づいた回答を自動生成するAI型のチャットボットで、低価格が魅力だ。コストの負担や人材不足からチャットボットや生成AIを活用することを断念してきた中堅・中小企業へ提案することで需要を取り込む構えだ。
そのほかでは、生成AIチャットを活用した不動産セールスDXソリューションのPoC(概念実証)を7月に開始したアンビション DX ホールディングス <3300> [東証G]、宿泊予約エンジン「tripla Book」を中心に、AIチャットボットシステム「tripla Bot」などを提供するtripla <5136> [東証G]、チャットボットやチャットサポートシステムで500社以上の導入実績を持つモビルス <4370> [東証G]などにも目を配っておきたい。
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