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サイバネットシステムのニュース
*12:06JST サイバネット Research Memo(6):2023年12月期第2四半期はライセンス更新需要などより増収に転じる
■業績動向
1. 2023年12月期第2四半期累計業績の概要
サイバネットシステム<4312>の2023年12月期の連結業績は、売上高で前年同期比2.7%増の10,003百万円と2年ぶりの増収に転じたが、営業利益で同38.0%減の640百万円、経常利益で同37.4%減の613百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同49.5%減の289百万円と各利益ともに2ケタ減益となった。
売上高は、シミュレーションソリューションサービス事業における国内新規ライセンス販売及びアジアの販売子会社が低調だったものの保守契約の更新が好調に推移したほか、ITソリューションサービス事業もクラウド環境向けセキュリティソリューションを中心に伸長したことで増収を確保した。地域別売上高で見ると、日本が前年同期比2.0%増の7,745百万円、アジアが同11.1%減の880百万円、北米が同22.9%増の948百万円、欧州が同12.1%増の398百万円となった。アジアは中国や台湾における顧客の購買意欲が弱く、また一部案件の納品が第3四半期以降に延伸したこともあり、第2四半期に同29.4%減の471百万円と想定外に低迷したことが響いた。一方、欧米は円安効果もあって2ケタ増収となり、現地通貨ベースでも増収を確保した。平均為替レートは前年同期に対して約10%の円安となっており、北米については現地通貨ベースでも2ケタ増収となった。
子会社別で見ると、前期に伸長したSigmetrixは減収となった。米国におけるIT企業などの業績悪化による投資意欲が減退したことが影響した。ただ、7月には人員を増員し営業体制の強化を図り、下期は回復する見込みである。一方、Maplesoftについては新型コロナウイルス感染症拡大の影響が一巡し、顧客先である大学の予算が回復したことや、注力してきたエンタープライズ向けの受注が伸び始めてきたことで増収となった。2022年10月よりエンタープライズ向け大型案件の受注を強化すべく、10人程度の専門組織を作って営業活動を進めてきた効果が顕在化してきたようで、下期も着実な成長が見込まれている。欧州のNoesisは北米やドイツ向けの売上が伸長し増収となった。なお、いずれの子会社もインフレ対応の賃金改定を実施したことで人件費が増加したため、利益面での貢献は軽微であった。
売上原価率が前年同期の58.6%から60.5%に上昇した要因としては、代理店事業における販売ミックスの悪化や円安に伴うセキュリティソフトウェアの仕入コスト高の影響に加えて、人員体制強化やインフレ手当の支給による人件費の増加が主因となっている。販売ミックスについては、好採算のAnsys製品の売上構成比が低下し、逆に原価率の高い製品・サービスの構成比が上昇した。この結果、売上総利益は前年同期比2.0%減の3,948百万円となった。
販管費は同10.4%増の3,308百万円、販管費率で同2.3ポイント上昇の33.1%となった。主な増加要因としては、人件費や募集採用費、旅費交通費、広告宣伝費等の増加が挙げられる。円安でかさ上げされた海外子会社分を除けば、販管費はおおむね計画どおりの進捗だったと見られる。同社は人員体制の強化に取り組んでおり、上期は新卒15名、キャリア採用21名の合計36名が入社するなど(前年同期は15名)、採用活動についても順調に進んだ。
費用がおおむね計画どおり増加した一方、売上高が伸び悩んだことや為替が円安に進んだことで減益となったが、売上高の先行指標となる受注高は前年同期比7.1%増の11,317百万円と順調に推移している。また第2四半期末の受注残高も前年同期末比12.9%増の9,504百万円と積み上がっていることから、下期は売上高も拡大し利益も増益に転じるものと同社では見ている。
(1) セグメント別業績
a) シミュレーションソリューションサービス事業
シミュレーションソリューションサービス事業の売上高は前年同期比1.3%増の7,769百万円、セグメント利益は同20.9%減の1,115百万円となった。売上高の内訳を見ると、代理店売上が同1.7%減の5,004百万円となった一方で、自社開発製品売上が同6.6%増の1,761百万円、サービス売上が同8.6%増の1,003百万円と順調に増加した。利益面では、販売ミックスの悪化や人件費の増加等が減益要因となった。
代理店売上は国内におけるライセンス更新需要が好調に推移したものの、新規ライセンス販売やアジアの販売子会社が低調に推移したことで減収となった。自社開発製品は海外子会社の増収が寄与し、サービス売上については設計業務の解析支援、AIやAR関連のエンジニアリングサービス等が好調に推移した。なお、同社の開発製品である大腸内視鏡検査向けAI搭載画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN(R)-EYE」※については大きな動きがなかったものの、共同開発先であるオリンパスが内視鏡との一体型製品をリリースし、利便性の向上を図っており、引き続き国内外での保険適用に向けた取り組みを進める方針である。
※大腸内視鏡で撮影された画像をAIが解析し、ポリープなどを検出すると警告を発し、医師による病変の発見を補助するソフトウェア。2020年に管理医療機器(クラスII)として国内で薬事承認され、オリンパスが大腸内視鏡とセットにして同ソフトウェアを医療機関に販売している。
b) ITソリューションサービス事業
ITソリューションサービス事業の売上高は前年同期比7.9%増の2,234百万円、セグメント利益は同17.0%減の241百万円となった。売上高の内訳を見ると、代理店売上が同7.7%増の1,941百万円、自社開発製品売上が同11.5%増の187百万円、サービス売上が同5.1%増の105百万円とそれぞれ増収となった。テレワーク等の新しい働き方の定着・浸透に伴い、クラウド型エンドポイントセキュリティ製品「CrowdStrike」やクラウド環境向けセキュリティソリューション「Netskope」の販売が好調に推移した。利益面では、円安進行による商品原価の上昇や人件費の増加が減益要因となった。
(2) 業種別、契約形態別売上動向(単体ベース)
単体ベースの売上高は前年同期比2.8%増の7,705百万円となった。顧客業種別の前年同期比伸び率を見ると、新規ライセンス販売が低調だった電気機器が3.2%減、輸送用機器が11.1%減とそれぞれ減少した一方で、更新需要の拡大により機械・精密機器が5.5%増、その他製造業が9.5%増と伸長した。また、セキュリティ製品の増加を主因として情報・通信が13.9%増、その他が9.5%増となった。
契約形態別の売上高を見ると、ライセンス形態による売上高は前年同期比5.2%増となった。新規契約が同7.6%減と低迷した一方で、更新契約が同11.6%増と好調に推移した。四半期ベースで見ると、新規ライセンス契約は前年同期比で減少傾向が続いているものの、更新契約については、2022年12月期第4四半期以降、3四半期連続で増収となっており、Synopsysとの代理店契約解消(2021年10月)によるマイナスの影響は完全に払しょくされたと言える。Synopsys製品の代替となるAnsysの光学系製品についても着実に増加しており、今後の売上増に貢献する見通しだ。ライセンス形態以外の売上高は同10.0%減となった。サービス売上が同5.8%増と堅調に推移したものの、ハードウェアが同33.1%減、その他が同78.5%減と落ち込んだことによる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2023年12月期第2四半期累計業績の概要
サイバネットシステム<4312>の2023年12月期の連結業績は、売上高で前年同期比2.7%増の10,003百万円と2年ぶりの増収に転じたが、営業利益で同38.0%減の640百万円、経常利益で同37.4%減の613百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同49.5%減の289百万円と各利益ともに2ケタ減益となった。
売上高は、シミュレーションソリューションサービス事業における国内新規ライセンス販売及びアジアの販売子会社が低調だったものの保守契約の更新が好調に推移したほか、ITソリューションサービス事業もクラウド環境向けセキュリティソリューションを中心に伸長したことで増収を確保した。地域別売上高で見ると、日本が前年同期比2.0%増の7,745百万円、アジアが同11.1%減の880百万円、北米が同22.9%増の948百万円、欧州が同12.1%増の398百万円となった。アジアは中国や台湾における顧客の購買意欲が弱く、また一部案件の納品が第3四半期以降に延伸したこともあり、第2四半期に同29.4%減の471百万円と想定外に低迷したことが響いた。一方、欧米は円安効果もあって2ケタ増収となり、現地通貨ベースでも増収を確保した。平均為替レートは前年同期に対して約10%の円安となっており、北米については現地通貨ベースでも2ケタ増収となった。
子会社別で見ると、前期に伸長したSigmetrixは減収となった。米国におけるIT企業などの業績悪化による投資意欲が減退したことが影響した。ただ、7月には人員を増員し営業体制の強化を図り、下期は回復する見込みである。一方、Maplesoftについては新型コロナウイルス感染症拡大の影響が一巡し、顧客先である大学の予算が回復したことや、注力してきたエンタープライズ向けの受注が伸び始めてきたことで増収となった。2022年10月よりエンタープライズ向け大型案件の受注を強化すべく、10人程度の専門組織を作って営業活動を進めてきた効果が顕在化してきたようで、下期も着実な成長が見込まれている。欧州のNoesisは北米やドイツ向けの売上が伸長し増収となった。なお、いずれの子会社もインフレ対応の賃金改定を実施したことで人件費が増加したため、利益面での貢献は軽微であった。
売上原価率が前年同期の58.6%から60.5%に上昇した要因としては、代理店事業における販売ミックスの悪化や円安に伴うセキュリティソフトウェアの仕入コスト高の影響に加えて、人員体制強化やインフレ手当の支給による人件費の増加が主因となっている。販売ミックスについては、好採算のAnsys製品の売上構成比が低下し、逆に原価率の高い製品・サービスの構成比が上昇した。この結果、売上総利益は前年同期比2.0%減の3,948百万円となった。
販管費は同10.4%増の3,308百万円、販管費率で同2.3ポイント上昇の33.1%となった。主な増加要因としては、人件費や募集採用費、旅費交通費、広告宣伝費等の増加が挙げられる。円安でかさ上げされた海外子会社分を除けば、販管費はおおむね計画どおりの進捗だったと見られる。同社は人員体制の強化に取り組んでおり、上期は新卒15名、キャリア採用21名の合計36名が入社するなど(前年同期は15名)、採用活動についても順調に進んだ。
費用がおおむね計画どおり増加した一方、売上高が伸び悩んだことや為替が円安に進んだことで減益となったが、売上高の先行指標となる受注高は前年同期比7.1%増の11,317百万円と順調に推移している。また第2四半期末の受注残高も前年同期末比12.9%増の9,504百万円と積み上がっていることから、下期は売上高も拡大し利益も増益に転じるものと同社では見ている。
(1) セグメント別業績
a) シミュレーションソリューションサービス事業
シミュレーションソリューションサービス事業の売上高は前年同期比1.3%増の7,769百万円、セグメント利益は同20.9%減の1,115百万円となった。売上高の内訳を見ると、代理店売上が同1.7%減の5,004百万円となった一方で、自社開発製品売上が同6.6%増の1,761百万円、サービス売上が同8.6%増の1,003百万円と順調に増加した。利益面では、販売ミックスの悪化や人件費の増加等が減益要因となった。
代理店売上は国内におけるライセンス更新需要が好調に推移したものの、新規ライセンス販売やアジアの販売子会社が低調に推移したことで減収となった。自社開発製品は海外子会社の増収が寄与し、サービス売上については設計業務の解析支援、AIやAR関連のエンジニアリングサービス等が好調に推移した。なお、同社の開発製品である大腸内視鏡検査向けAI搭載画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN(R)-EYE」※については大きな動きがなかったものの、共同開発先であるオリンパスが内視鏡との一体型製品をリリースし、利便性の向上を図っており、引き続き国内外での保険適用に向けた取り組みを進める方針である。
※大腸内視鏡で撮影された画像をAIが解析し、ポリープなどを検出すると警告を発し、医師による病変の発見を補助するソフトウェア。2020年に管理医療機器(クラスII)として国内で薬事承認され、オリンパスが大腸内視鏡とセットにして同ソフトウェアを医療機関に販売している。
b) ITソリューションサービス事業
ITソリューションサービス事業の売上高は前年同期比7.9%増の2,234百万円、セグメント利益は同17.0%減の241百万円となった。売上高の内訳を見ると、代理店売上が同7.7%増の1,941百万円、自社開発製品売上が同11.5%増の187百万円、サービス売上が同5.1%増の105百万円とそれぞれ増収となった。テレワーク等の新しい働き方の定着・浸透に伴い、クラウド型エンドポイントセキュリティ製品「CrowdStrike」やクラウド環境向けセキュリティソリューション「Netskope」の販売が好調に推移した。利益面では、円安進行による商品原価の上昇や人件費の増加が減益要因となった。
(2) 業種別、契約形態別売上動向(単体ベース)
単体ベースの売上高は前年同期比2.8%増の7,705百万円となった。顧客業種別の前年同期比伸び率を見ると、新規ライセンス販売が低調だった電気機器が3.2%減、輸送用機器が11.1%減とそれぞれ減少した一方で、更新需要の拡大により機械・精密機器が5.5%増、その他製造業が9.5%増と伸長した。また、セキュリティ製品の増加を主因として情報・通信が13.9%増、その他が9.5%増となった。
契約形態別の売上高を見ると、ライセンス形態による売上高は前年同期比5.2%増となった。新規契約が同7.6%減と低迷した一方で、更新契約が同11.6%増と好調に推移した。四半期ベースで見ると、新規ライセンス契約は前年同期比で減少傾向が続いているものの、更新契約については、2022年12月期第4四半期以降、3四半期連続で増収となっており、Synopsysとの代理店契約解消(2021年10月)によるマイナスの影響は完全に払しょくされたと言える。Synopsys製品の代替となるAnsysの光学系製品についても着実に増加しており、今後の売上増に貢献する見通しだ。ライセンス形態以外の売上高は同10.0%減となった。サービス売上が同5.8%増と堅調に推移したものの、ハードウェアが同33.1%減、その他が同78.5%減と落ち込んだことによる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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