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日本カーバイド工業のニュース
■日本カーバイド工業<4064>の中長期の成長戦略
(3) 「セーフティ」「モビリティ」にまたがる主要製品
「セーフティ」「モビリティ」にまたがる主要製品として、高機能樹脂では粘・接着剤、機能性フィルムではナンバープレート用/標識用/広告・看板用再帰反射シート、レーザーマーキングラベル、空中ディスプレイ用リフレクターなどがある。粘・接着剤は各種機能性フィルムの粘着部分に使用されるほか、光学用などの用途拡大が見込まれる。
機能性フィルムでは、再帰反射シートについては、世界的な販売網の充実を進め、今後、アフリカ、南米、アジアなどの新興国でナンバープレート認証を取得しつつ売上拡大を目指す。
日本のナンバープレートには再帰反射シートは使用されておらず、塗装である。しかし、図柄入りナンバープレート(2018年10月1日から全国41地域において交付を開始している、地方版図柄入りナンバープレートなど)にはマーキングフィルムが使用されており、同社は図柄入りナンバープレート向けフィルムの拡販に力を入れていく。地方版図柄入りナンバープレートは、2020年度には新たに17地域が追加され、今後は第3弾も引き続き申請が進む見通し。ナンバープレートは耐候性や視認性、認定品として厳しい品質が要求されるが、同社にはマーキングフィルムや粘・接着剤における高い技術力に加え、海外で培ったナンバープレート用再帰反射シートのノウハウがあり、採用地域拡大と共に売上拡大が期待される。
再帰反射シート技術の応用としては3次元空間に映像を映し出す空中ディスプレイ用リフレクターも潜在成長力がある製品で、いよいよ実用化に向けたトライアルが様々な形で進んでいる。空中ディスプレイ用リフレクターは、何もない空中に反射材を用いて鮮明な映像を再表示させることができる未来志向の製品。過去にも多くの方式で反射物のない自然空中に映像を結像させるために試行錯誤が行われてきたが、大半はフィルムや水蒸気にプロジェクタ投影して空中映像と錯覚させる方式などでごまかしていた。しかし、それでは画面を任意に操作することはできず、用途面で実用化の意味がない形で終始していた。これに対して同社の空中ディスプレイは、明るいところでも結像し、空中に浮かんだ映像がタッチパネルとなるため、タッチパネルに直接触れずに操作することが可能である。今後、自動車などへの搭載をはじめ、エンタテインメント分野、さらには衛生面に優れるため医療や食品業界、飲食店、オイルや危険物質を扱う工場での操作タブレット利用でも注目を集めている。
このような3次元表示システムとしては先行してアスカネット<2438>のASKA3Dプレートがある。画像や物体の放つ光線を1枚の特殊な構造をしたガラスプレートを通過させることで、その反対側の同じ距離の位置に再び光が集まり原版と同じ像を形成する仕組みを利用する鏡面方式を採用している。実用化で先行しているものの、同社と比較し大画面化すると結像が難しくなることやコスト面で課題があると見られる。同社は2019年秋に、現行品よりもさらに画像精度を上げた製品を量産化する予定となっており、現在トライアル中のものが実用化となれば、大きくリードできる可能性がある。同社の空中ディスプレイは再帰反射シート技術を応用しているが、再帰反射シートで量産可能な同社の優位性が生きる分野として、大いに注目される。
(4) 「NCI-2021」実現に3年間の設備投資の5割を新規案件に重点投資
同社は「NCI-2021」実現に向け、高機能樹脂、機能性フィルムを戦略分野とし、「セーフティ」、「モビリティ」を注力領域としているが、設備投資面でも新規案件に重点投資を行う方針。従来は成長路線に向け、海外や新研究開発センター建設などを実行してきたが、今後は積極的に新規案件に重点配分していく。具体的には、2020年3月期から2023年3月期までの3年間で投資総額124億円を計画しているが、この内訳として約5割に当たる59億円を新規案件に充てる計画にあり、高付加価値ビジネスを加速させる方針である。
(5) 「NCI-2021」で2022年3月期のコア事業売上高420億円、営業利益45億円を目指す
コア事業となる電子・機能製品事業とフィルム・シート製品事業のうち、高機能樹脂、機能性フィルムを戦略分野(売上高は非開示)とし、これら戦略分野における「セーフティ」、「モビリティ」の注力領域の売上高を増やすことで、2022年3月期のコア事業の売上高420億円(2019年3月期比18.3%増)、営業利益45億円(同50.0%増)の達成を目指している。現状、2019年3月期のコア事業の営業利益率が8.5%であり、2022年3月期10.7%の達成のためにはいかに戦略分野の売上構成比を高められるかがカギとなるだろう。ちなみに同社では、戦略分野における注力分野の構成比を2019年3月期の35%から39%に引き上げる計画でいるが、実際に新製品寄与が具体化しており、既存事業が米中貿易摩擦激化や世界的な景気減速の加速などがなければ「NCI-2021」の達成は十分可能と判断される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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(3) 「セーフティ」「モビリティ」にまたがる主要製品
「セーフティ」「モビリティ」にまたがる主要製品として、高機能樹脂では粘・接着剤、機能性フィルムではナンバープレート用/標識用/広告・看板用再帰反射シート、レーザーマーキングラベル、空中ディスプレイ用リフレクターなどがある。粘・接着剤は各種機能性フィルムの粘着部分に使用されるほか、光学用などの用途拡大が見込まれる。
機能性フィルムでは、再帰反射シートについては、世界的な販売網の充実を進め、今後、アフリカ、南米、アジアなどの新興国でナンバープレート認証を取得しつつ売上拡大を目指す。
日本のナンバープレートには再帰反射シートは使用されておらず、塗装である。しかし、図柄入りナンバープレート(2018年10月1日から全国41地域において交付を開始している、地方版図柄入りナンバープレートなど)にはマーキングフィルムが使用されており、同社は図柄入りナンバープレート向けフィルムの拡販に力を入れていく。地方版図柄入りナンバープレートは、2020年度には新たに17地域が追加され、今後は第3弾も引き続き申請が進む見通し。ナンバープレートは耐候性や視認性、認定品として厳しい品質が要求されるが、同社にはマーキングフィルムや粘・接着剤における高い技術力に加え、海外で培ったナンバープレート用再帰反射シートのノウハウがあり、採用地域拡大と共に売上拡大が期待される。
再帰反射シート技術の応用としては3次元空間に映像を映し出す空中ディスプレイ用リフレクターも潜在成長力がある製品で、いよいよ実用化に向けたトライアルが様々な形で進んでいる。空中ディスプレイ用リフレクターは、何もない空中に反射材を用いて鮮明な映像を再表示させることができる未来志向の製品。過去にも多くの方式で反射物のない自然空中に映像を結像させるために試行錯誤が行われてきたが、大半はフィルムや水蒸気にプロジェクタ投影して空中映像と錯覚させる方式などでごまかしていた。しかし、それでは画面を任意に操作することはできず、用途面で実用化の意味がない形で終始していた。これに対して同社の空中ディスプレイは、明るいところでも結像し、空中に浮かんだ映像がタッチパネルとなるため、タッチパネルに直接触れずに操作することが可能である。今後、自動車などへの搭載をはじめ、エンタテインメント分野、さらには衛生面に優れるため医療や食品業界、飲食店、オイルや危険物質を扱う工場での操作タブレット利用でも注目を集めている。
このような3次元表示システムとしては先行してアスカネット<2438>のASKA3Dプレートがある。画像や物体の放つ光線を1枚の特殊な構造をしたガラスプレートを通過させることで、その反対側の同じ距離の位置に再び光が集まり原版と同じ像を形成する仕組みを利用する鏡面方式を採用している。実用化で先行しているものの、同社と比較し大画面化すると結像が難しくなることやコスト面で課題があると見られる。同社は2019年秋に、現行品よりもさらに画像精度を上げた製品を量産化する予定となっており、現在トライアル中のものが実用化となれば、大きくリードできる可能性がある。同社の空中ディスプレイは再帰反射シート技術を応用しているが、再帰反射シートで量産可能な同社の優位性が生きる分野として、大いに注目される。
(4) 「NCI-2021」実現に3年間の設備投資の5割を新規案件に重点投資
同社は「NCI-2021」実現に向け、高機能樹脂、機能性フィルムを戦略分野とし、「セーフティ」、「モビリティ」を注力領域としているが、設備投資面でも新規案件に重点投資を行う方針。従来は成長路線に向け、海外や新研究開発センター建設などを実行してきたが、今後は積極的に新規案件に重点配分していく。具体的には、2020年3月期から2023年3月期までの3年間で投資総額124億円を計画しているが、この内訳として約5割に当たる59億円を新規案件に充てる計画にあり、高付加価値ビジネスを加速させる方針である。
(5) 「NCI-2021」で2022年3月期のコア事業売上高420億円、営業利益45億円を目指す
コア事業となる電子・機能製品事業とフィルム・シート製品事業のうち、高機能樹脂、機能性フィルムを戦略分野(売上高は非開示)とし、これら戦略分野における「セーフティ」、「モビリティ」の注力領域の売上高を増やすことで、2022年3月期のコア事業の売上高420億円(2019年3月期比18.3%増)、営業利益45億円(同50.0%増)の達成を目指している。現状、2019年3月期のコア事業の営業利益率が8.5%であり、2022年3月期10.7%の達成のためにはいかに戦略分野の売上構成比を高められるかがカギとなるだろう。ちなみに同社では、戦略分野における注力分野の構成比を2019年3月期の35%から39%に引き上げる計画でいるが、実際に新製品寄与が具体化しており、既存事業が米中貿易摩擦激化や世界的な景気減速の加速などがなければ「NCI-2021」の達成は十分可能と判断される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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