新型肺炎の簡易検査キット

開発着手
デンカ生研、五泉工場拠点に

　新型コロナウイルスによる肺炎の世界的な拡大を受け、デンカ生研（東京）が五泉市の鏡田工場を拠点に「簡易検査キット」の開発に着手したことが７日、分かった。感染の有無の判定に要する時間の大幅短縮を目指す。成功すれば身近な医療機関での検査も可能となり、国内はもとより世界各国での治療や感染防止に大きな効果が見込まれる。

　新型コロナウイルスは無症状の感染者もおり、感染の有無を迅速に診断できる態勢が、拡大防止の鍵となっている。政府も早期開発への支援を表明している。

　現在主流の検査方法では、粘膜などの検体に含まれる遺伝子を増幅させてウイルスの有無を調べている。ただ、増幅には一定の時間と設備を要するため、結果が判明するまで数時間～１日かかり、専門機関以外での検査は難しいのが現状だ。

　同社が取り組む「イムノクロマト法」は、検体を試薬と混ぜた上で試験紙に垂らせば、短時間で感染の有無を検出できる。同社は既にインフルエンザウイルスは５分、ノロウイルスも１５分で反応する製品を開発している。検出には特別な設備が必要なく、一般病院でも使用しやすい利点がある。

　国立感染症研究所が１月末に分離に成功した新型コロナウイルスを活用し、親会社のデンカ（東京）とも協力して研究を進める。政府から業界団体を通じて研究の要請があったという。

　デンカ生研は、

検査試薬の分野で国内トップシェア

を持ち、製造拠点は五泉市に置く。アフリカを中心に流行した

エボラウイルスのキット　

を現地に提供した実績もある。

　これまでの製品では実用化に数年かかったが、デンカ担当者は「感染への不安を解消していくためにも、早期に開発できるよう努める。必要とされる国への輸出も考えている」としている。

　感染症に詳しい東北大の押谷仁教授（ウイルス学）は「患者が日々増えていく中では、絶対に必要な機器だ。薬が開発された後投与の判断をする上でも大きな役割が果たせる」と期待を寄せている。

2020/02/08 10:05（新潟）

早く　民間活用
断固
パンデミック　阻止