3837  東証プライム

アドソル日進

245
お気に入り
レポート銘柄
ブログを書く

会員登録(無料)が必要です

『お気に入り登録、レポート銘柄登録』の他にも、『銘柄の予想投稿』や『ブログ投稿』など、さまざまな機能が使えます。

ログイン

株価(06/26)

1,920.0
+20.0(+1.05%)
売り

目標株価

1,758

株価診断

割高

個人予想

売り

アナリスト

対象外

あなたの予想

未投稿

アドソル日進のニュース

アドソル日進のニュース一覧

【QAあり】アドソル日進、売上高・各利益・営業利益率が過去最高 売上総利益率良化等により、戦略投資を上回る利益創出を実現

投稿:2024/05/28 13:00

総括

篠﨑俊明氏(以下、篠﨑):アドソル日進株式会社代表取締役社長兼CEOの篠﨑俊明です。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

はじめに、業績ハイライトについてご説明します。業績および配当はスライドのとおりです。業績面では期初計画を超過達成し、売上高、営業利益、営業利益率のいずれも過去最高を更新しました。

特に営業利益率は、中期経営計画最終年度の目標値を2年前倒しで達成することができました。

配当は期初計画から4円増配し、前期比5円の増配となる年間43円とし、14期連続増配を達成する見通しです。

総括としては、中期経営計画の1年目を非常に良いかたちで終え、2年目につなぐことができました。

2024年3月期 業績ポイント(売上高・営業利益)

業績のポイントについてご説明します。まず売上高は、当社の主力事業であるエネルギー領域等のICT投資を取り込んだ結果、期初計画を4億7,000万円超過し、前期比9.6パーセント増となる140億7,800万円で着地しました。

営業利益は、コンサルティングなどの高収益案件の拡大や契約条件の改定などによって売上総利益率が良化し、人材育成やオフィス増床などの戦略投資や、処遇改定による販売管理費の増加を吸収した結果、期初計画から1億3,000万円増、前期比18.8パーセント増となる14億3,700万円となりました。また営業利益率は10.2パーセントと、前期比で0.8ポイントアップしています。

2024年3月期 業績ポイント(受注高・受注残高)

次に、先行指標となる受注高、受注残高の状況です。DX・モダナイゼーションを中心に、受注が好調に推移していることから、受注高は13パーセント増の148億6,900万円、受注残高は27.4パーセント増の33億2,700万円となり、いずれも過去最高となりました。

エネルギー(電力領域) 業績推移

ここで、当社の最重要ビジネスの1つである、電力領域の業績推移をご説明します。2020年3月期に、大手電力会社向けの分社化・法的分離案件を中心に大きく業績を拡大しました。

その後、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、2023年3月期第3四半期からは、四半期の売上高10億円ラインを突破し、維持しています。この成長には、レガシーシステムの更新やDX対応といった新たな投資の拡大、さらに2023年4月にオフィスを開設した名古屋でのビジネスが進んでいることが、大きく寄与しています。

また、東京、大阪、福岡と名古屋の4拠点に絞り、経営資源を集中投下していることもポイントとなっています。今後は四半期10億円以上をベースに、さらなるビジネスボリュームの底上げを目指していきます。

そのための新たな取り組みについては、後ほどご説明します。

2024年3月期 配当

2024年3月期の配当については、先ほどご説明したとおり年間43円を予定しています。2025年3月期の配当予想については、後ほどご説明します。

損益計算書

続いて、2024年3月期の連結業績をご説明します。損益計算書はスライドのとおりです。売上高、各段階利益、利益率のいずれも過去最高を更新しました。コンサルティング領域へのシフトや契約単価の改定などにより、売上総利益率が27.1パーセントと良化したことが、過去最高の利益、利益率となった大きな要因として挙げられます。

一方、販売管理費は増加しています。これは人材育成や処遇改定、オフィスの増床、ベトナムでの対応力強化など、2030年以降の持続的成長を見据えた戦略投資によるものです。なお販管費率としては、前期と同じ16.8パーセントを維持しています。

今後も売上総利益率の改善・良化の取り組みと並行して、成長投資とコストコントロールを複合的に推進することで、収益力の強化と利益改善を図っていきます。

社会インフラ事業

セグメント別の業績についてご説明します。まずは社会インフラ事業の業績詳細です。エネルギー分野は、電力領域において中部地区での新たなビジネスが好調に推移し、複数のDX案件を受注しました。ガス領域では、モダナイゼーション、クラウド移行などの案件に取り組みました。

交通・運輸分野では、宇宙・道路で対応領域が拡大しています。また、航空キャリア向け案件では大型プロジェクトを完遂しました。公共分野では、安全保障システムや防災・レジリエンスが拡大しました。通信分野では、無線基地局のシステムなどに継続的に取り組みました。

結果、売上高は82億7,500万円と、9.7パーセントの増収となりました。受注残高も22億1,400万円と大きく増加しています。

先進インダストリー事業

先進インダストリー事業です。製造分野は、大手メーカー向けのDX関連システムが拡大し、自動車領域も継続しました。サービス分野では、キャッシュレス決済やクレジットカード等のペイメント領域やDX・デジタル関連の案件が拡大しました。

エンタープライズ分野では、ローコード、ノーコードを活用したDX対応に継続して取り組みました。医療・ヘルスケア領域は計画どおりに推移しています。

結果、売上高は58億300万円と、9.6パーセントの増収となりました。なお、受注残高は11億1,200万円となりました。

ソリューション事業

ソリューション事業です。公共分野における自治体向けGISソリューションや、製造・サービス分野におけるIoTソリューション等が好調に推移しました。これらの結果、売上高は10億7,800万円と、21.4パーセントの増収となりました。

四半期推移

四半期ごとの売上高、受注高、受注残高はスライドのとおりです。売上高は9四半期連続の増収となり、四半期の売上高として過去最高を更新しました。また、受注高はYoY20.1パーセント増、受注残高もYoY27.4パーセント増と、第4四半期としての過去最高を更新し、好調に推移しています。

経常利益 増減分析

経常利益の分析です。増収効果と原価率の良化が販売管理費の増加を吸収し、前期比19.4パーセント増となる14億8,500万円となりました。

貸借対照表

貸借対照表はスライドのとおりです。自己資本比率は70.1パーセントと健全な状態を保っています。

キャッシュ・フロー計算書

キャッシュ・フローの状況はスライドのとおりです。

2025年3月期 業績予想

次に、2025年3月期の業績予想についてご説明します。上期の業績見通しは、売上高70億円、営業利益7億2,000万円、営業利益率10.3パーセントと、最高売上、最高利益の連続更新を計画しています。

通期業績は、売上高145億円、営業利益15億円、営業利益率10.3パーセントと、最高売上、最高利益に加え、最高利益率の連続更新に挑戦します。

特に、営業利益は15億円と、中期経営計画最終年度の目標額の前倒し達成を目指します。

事業拡大に向けて: 取り組み方針

2025年3月期は、2030年以降の持続的成長に向けた地盤固めの1年と位置付けています。成長と戦略投資のポイントをスライドに記載しています。成長の大きなポイントとして、コンサルティングシフトなどの「ビジネスモデルの転換」、中期経営計画「成長事業へのシフト」、契約条件の改定などの「ベースロードの強化」の、これら3つに取り組みます。

また戦略投資としては、人材、ソリューション、ベトナム・ダナン開発センターの増強、生成AIをはじめとする研究開発、九州支社リニューアルなどのオフィス投資などを行います。

2025年3月期 配当予想

次に、株主還元についてご説明します。このたび株主還元強化に向け、配当方式を変更しました。新たな配当方針のポイントは「累進かつ連続増配(1円以上の増配)」「配当性向40%以上」「年2回(中間・期末)」の3つです。

なお、2025年3月期の年間配当金は前期より7円の増配となる50円とし、15期連続の増配を目指します。

一株当たり配当金の推移

中期経営計画最終年度は創立50周年です。ここで16期連続増配を達成できるよう、経営を進めます。

また、今後も投資家のみなさまにとって魅力ある株主還元のあり方について、内部留保や成長投資とのバランス、ROEや財務指標などを踏まえ、多角的に議論し検討していきます。

株主優待

株主優待です。配当に加え保有株数に応じた優待制度を設けており、梅ギフトやQUOカードを年2回贈呈しています。

ポイントと2024年3月期進捗

2023年5月に策定した中期経営計画「New Canvas 2026」の進捗についてご説明します。スライドには、ポイントをまとめています。業績目標と株主還元については、先ほどご説明のとおり、期初計画を上回る成果を出すことができました。

【再掲】 中期事業戦略 フレームワーク(ビジネス領域の進化・拡大、DXソリューションの拡充・強化)

事業戦略です。スライドは当社の2030年以降の持続的成長を見据えた、中長期的な戦略ポートフォリオです。既存のビジネスから進化・発展させた「エンタープライズDX/モダナイゼーション」をベースロードに、「次世代エネルギー」「スマートインフラ/ライフ」の2つの事業が今後の成長を牽引することを示しています。

この2つの成長事業は、これからの社会の変革にかかわる重要なテーマであることから、例えばアライアンスなら、「どの企業と、どのテーマで行うべきか」「差別化のために、どのソリューションや技術を強化すべきか」など、検討を重ねてきました。

本日は、この2つの成長事業で当社が目指す方向性をご説明します。

成長事業でのフォーカス領域 ①次世代エネルギー

まず「次世代エネルギー」です。エネルギー市場は今後、さらに大きく成長すると考えています。私たちはこの中でも、スマートシティの実現に向けて成長が期待される新たな領域である、マイクログリッドやVPP、エネルギーマネジメントシステムなどの新たな電力網の実現に本格的に挑戦します。

これは、大手エネルギー会社向けとは異なる、需要家向けの新市場です。分析・マネジメントという対応も必要となります。新プレイヤーも登場すると考えています。

新たな共創によるビジネス拡大を目指します。大手エネルギー会社向けには、スライド下段に示している送配電の設備管理など、DX対応のシステム更新や、スマートメーターのデータを利活用したサービスの創出などで、これまで以上に対応を強化していきます。

成長事業でのフォーカス領域 ②スマートインフラ/ライフ

「スマートインフラ/ライフ」です。多岐にわたるこの領域で、当社ならではの強みを発揮するため、都市計画・施設や防災・レジリエンスの「スマートレジリエンス」、物流や交通・モビリティの「スマートモビリティ」、環境・エネルギーの「スマートエネルギー」といった、街や生活におけるデジタル化やスマート化につながる3つのビジネス領域に、集中展開することとしました。

ここに、1976年の創業以来、社会インフラ領域で培ってきたシステム開発力と、AIや宇宙・衛星データ等の最新テクノロジーを融合することで、スマートシティの実現に貢献していきます。

【再掲】ビジネス構造改革:「利益成長型企業」を見据えた投資強化

なお、この中期経営計画では、利益成⻑型企業に向けた戦略投資も進めています。ポイントはスライドのとおりです。

特に、人財面における投資は、当社の成⻑と高付加価値の創出に不可欠です。引き続き、重点的に推進していきます。

アライアンス戦略:仏・シュナイダーエレクトリック社との共創①

中期経営計画の進捗に関する2024年3月期のトピックスをご説明します。まず、成長事業を加速させているアライアンス戦略です。

当社は2021年、世界100ヶ国以上でビジネス展開するフランスのシュナイダーエレクトリック社と、日本企業として初めてSIパートナー契約を締結し、以来インダストリーDXや、マイクログリッド/VPP/エネルギーマネジメントをテーマに協業を進めています。

このパートナーシップの成果として、2024年3月期は幅広い業種・業界で受注をいただくことができました。

アライアンス戦略:仏・シュナイダーエレクトリック社との共創②

今後の協業ポイントの1つは、当社の成長事業である次世代エネルギーにもつながるマイクログリッドやエネルギーマネジメントです。実は、シュナイダーエレクトリック社は、全世界で500件以上、マイクログリッドの導入実績があります。このグローバルでの実績と知見に当社の技術力を融合することで、日本に適したかたちでの導入提案ができると考えています。

太陽光発電の設置が必要な自治体や、AI・半導体需要などを背景に、建設ラッシュが続くデータセンター、災害時の避難拠点となる病院などを中心に、今後、両社で案件発掘と受注拡大に取り組んでいきます。複数で報道もされるなど、現在注目されるテーマです。私自身も、しっかり舵取りをしていきます。

アライアンス戦略:リーディングカンパニーとの共創をさらに加速

次に、ソリューションビジネスの中核である、「GIS:地理情報システム」におけるアライアンスや、ビジネスの進捗です。「GIS:地理情報システム」で20年以上の実績を有する当社は、国内外のリーディングカンパニーとのアライアンスを通じて、GISソリューションの強化を図っています。

2024年3月期は、新たに、データビークル社、ゼンリン社、ジオテクノロジーズ社と提携しました。加えて、当社初のサブスクサービスとして「COCOYA(ココヤ)」をリリースし、東京本社のデジタル・イノベーション・ラボをリニューアルしました。引き続き、ソリューション提案力の強化に努めていきます。

IT人材大国 ベトナムでの取り組み

ベトナムでの取り組みをご説明します。当社は10年以上にわたり、ベトナム人留学生の積極採用と、ベトナムでの開発をマネジメントするブリッジSEの育成、帰国後の起業支援・提携など、オフショア開発の強化に向けた複合的な施策を推進してきました。

中期経営計画では、アジア・オフショア戦略でベトナム・ダナン開発センターにおける高度IT人材1,000名体制を目指した取り組みをさらに強化しています。

アジア・オフショア戦略: ベトナムでの取組みを強化

その成果の1つとして、現地のTechzen(テックゼン)社と資本・業務提携を行いました。Techzen社は、ベトナム人の当社OBが設立したアジャイル開発を得意とするIT企業です。ダナン開発センター1,000名体制の中心を担う企業と位置付けています。

2つ目の成果は、国立のダナン大学との産学連携協定です。ダナン大学とは、この春から日本と同等のプロジェクトルームを完備した「ITトレーニングセンター」の共同運営を開始しました。今後、アジャイル開発の体験講座や、インターンシップなど、Techzen社と連携して提供していく予定です。

ソリューション/技術力強化:宇宙ビジネス共創プラットフォーム「クロスユー」に参画

安全保障やレジリエンスなど、さまざまな領域で注目されている宇宙・衛星データの利活用に関するトピックスです。当社は、宇宙領域におけるICTシステムの開発・提供に加え、「GIS:地理情報システム」「IoT空間情報」を活用した衛星データ利活用ビジネスを進めています。

東京大学大学院工学系研究科とは、宇宙・衛星データの利活用や宇宙IT人材の育成をテーマに共同研究を行っています。こうした取り組みをさらに強化するため、このたび、宇宙ビジネス共創プラットフォーム「クロスユー」に参画しました。加盟企業や研究機関との共創活動により、宇宙関連ビジネスのさらなる加速を図っていきます。

ソリューション/技術力強化:AI(人工知能)の取り組み

次に、AIに関する取り組みです。当社は、自動運転や、医療IoTシステムを中心に、AIを活用したICTシステムを提供しています。

研究開発活動でも、産総研のAI品質向上プロジェクトや、東京大学大学院工学系研究科との共同研究へのAIへの適用を行っています。

近年話題の生成AI関連では、全社横断プロジェクトで、新サービスの企画・開発などに取り組み、昨年末には、情報漏えいのリスクがない、社内向けの生成AIサービスとして、「AdsolChat(アドソルチャット)」をリリースしました。このノウハウを活かし、事業化・サービス展開についても進めていく方針です。

企業価値向上・持続的成長に向けて:オフィス戦略

次に、企業の成長を支えるオフィス戦略についてご説明します。2024年3月期は、名古屋オフィスの新設、東京本社の増床など、オフィス強化を進めてきました。

さらに今年10月には、福岡・博多に構える九州支社の移転・リニューアルを決定しました。九州支社は、大手エネルギー会社やメーカーなどに対してビジネスを展開しており、非常に勢いのある拠点の1つです。

また、九州には半導体などさまざまな企業の進出が予定されており、投資の増加も見込まれます。さらなるビジネス拡大と、新たなビジネスの獲得を目指していきます。

企業価値向上・持続的成長に向けて:人材に関する取組み

次に、成長の源泉である人材に対する取り組みをご紹介します。まず、今年4月には前年から4名増となる38名の新入社員が入社しました。来年春の新卒については、50名以上を目標に採用活動を進めています。

人材育成については、ビジネスモデルの改革に向け、社会インフラに特化したコンサルティング人材の育成を進めています。また社員のエンゲージメント向上のため、昨年に続き、今年も全社員を対象とした処遇改定と初任給の引き上げを行いました。

企業価値向上・持続的成長に向けて:サステナビリティ、外部評価

サステナビリティに関する取り組みです。この4月に、私を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しました。ステークホルダーのみなさまの信頼をこれまで以上得られるよう、今後もサステナビリティの取り組みを継続していきます。

現状分析・評価

最後に、持続的成長と中長期的な企業価値向上に向けた、資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応についてご説明します。本日は、現状の分析および評価、そして改善に向けた今後の取り組みの方向性についてご説明します。

はじめに、現状分析および評価についてです。スライド左側のグラフのとおり、当社のPBRは2倍を超える水準で推移しています。またスライド右側のグラフのとおり、ROEも、2024年3月期は14.3パーセントと、株主資本コストを大きく上回って推移しています。

当社の中長期的な安定性や成長性に対し、今後も株式市場から評価をいただくためには、ROEが株主資本コストを継続的に上回ることが重要だと認識しています。

今後の方向性

スライド左側に示したとおり、PBRはPERとROEに分解することができます。将来の成長期待と資本効率の向上に加え、当社の取り組みを十分にご理解いただけるよう、株主・投資家のみなさまとの対話を、これまで以上に積極的に実施していくことが必要だと考えています。

現在当社は、スライド右側に記載のとおり、さまざまなテーマに対する取り組みを推進しています。今後は2025年3月期中を目処に当社としての注力ポイントと優先順位について、あらためて明確にお示ししたいと考えています。

以上で、2024年3月期決算のご説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:電力関連の再生可能エネルギー開発について

司会者:「電力関連の案件について、再生可能エネルギー関連の開発は、どの程度入ってきているのでしょうか? 今後の市場の可能性とあわせて教えてください」というご質問です。

篠﨑:当社が取り組む際のポイントとしては、再生可能エネルギーそのものというよりも、電気を運ぶ送電網に関わるシステムがポイントかと思っています。

近年は、夏場などに電力の出力制限がされるというお話もあります。せっかく作ったエネルギーを活かしきれない現状が出てくるということです。この状況を回避するために、システム的に電力をマネジメントする動きが出てきています。これが今後のシステム、また設備のリニューアルと並行して進んでいくと見込んでいます。

本格的にはもう少し時間がかかるかと思っていますが、すでにPoCという、これらに対する実証実験などの実績も複数出てきています。引き続きこれらに対応できるよう、準備を進めていきたいと考えています。

質疑応答:株主資本利益率の中長期的な方針とPBR向上のコミットメントについて

司会者:「株主資本利益率の推定値と、それを中長期的に上げる方針を樹形図で示していただけないでしょうか? また株価とPBRを上げるという強いコミットメントを経営陣から打ち出していただけないでしょうか?」というご質問です。

篠﨑:先ほどご説明しました資料の中で、ロジックツリーのかたちでROEの向上に向けたポイントをご説明しました。

まず、現在考えているのは、今回ご説明したいろいろなビジネスの成長をいかに加速させるか、加えてビジネスモデルの構造転換をいかに行うかということです。

コンサルティングやソリューションビジネスの拡大、そして当社のビジネスモデルの構造転換につながる取り組みをしっかりと行い、その成長を示すことで、企業価値向上につなげていきたいと考えています。

財務戦略面においても、当社が取りうる施策は多々あると認識しています。それらを適切なタイミングで実施し、事業拡大との両輪で企業価値向上に努めていきます。

質疑応答:売上総利益の変動要因について

司会者:「単価の向上や上流工程への進出など、売上総利益の変動要因の中で最も貢献した取り組みについて教えてください。案件の質に変化が出ているのでしょうか?」というご質問です。

篠﨑:案件の質という観点では、上流フェーズのコンサルからのご依頼や、「GIS:地理情報システム」などの当社オリジナルのソリューションなどに対するいろいろなビジネスが増加したことが1つの要因だと思います。

単価アップについては、政府の処遇改定要請に加えて、当社の長年の実績やノウハウがお客さまから評価されたことで、単価交渉を比較的行いやすい環境にあったと考えています。

原価率の低減に向けては、先ほどもお話ししたベトナム・ダナンを中心としたオフショア開発によるコストダウン、プロジェクトのトラブル撲滅に対する品質活動の強化、選別受注などを行いました。これにより複合的な結果を生み出し、粗利が向上したものと思っています。

今回、社員の大幅な処遇改定によるコスト上昇を吸収した上で収益がさらに改善したことは、大きなポイントだと思っています。

最大の財産である社員への対応は、今後も継続します。同時に、上流フェーズへのシフト、コンサルの増加、ビジネスの質の変化にも継続的に取り組み、さらなる収益アップを目指したいと考えています。

質疑応答:前期の受注状況を踏まえた今期の業績予想について

司会者:「前期末は過去最高の受注高・受注残高となり、事業環境は非常に良いものと推察します。この受注状況は、今期も継続すると考えて問題ないでしょうか?

一方で、前期の成長率および過去最高の受注残という状況からすると、今期の業績予想はかなり保守的にも見えます。利益面は先行投資が影響するとご説明いただきましたが、売上高プラス3パーセントという目標値はどのような前提で見立てたのでしょうか?」というご質問です。

篠﨑:先ほどご説明したとおり、受注高・受注残高は過去最高を更新しました。足元は、本当に好調に推移していると考えています。

その上で「今期の業績予想が保守的」ということについては、もともと中期経営計画でうたっていたとおり、今期は投資を拡大する計画としています。今中計の3年間で足元を固め、次の2030年に向けてスタートを切るために、大きな投資計画を練っています。このような戦略投資を進めることが、2030年に向けた事業構造改革につながると考えています。

とは言え、やはり足元にもしっかりと取り組まなければいけません。今期は売上高145億円を必達目標としており、こちらを下限とした上で、戦略投資をしながら進めていきます。

また、売上高や利益率を保守的に予想している要因のもう1つは、長い目で見た企業価値の向上のための取り組みです。業績の達成とさらなる拡大、同時に企業価値向上を進め、いろいろな方向性を両輪で回しながら取り組んでいきたいと思っています。

今後、見通しについて変更が生じた場合は、速やかにお知らせをする予定です。

質疑応答:今期で中計業績目標を前倒し達成できた場合について

司会者:「仮に、今期で中期経営計画の業績目標を前倒し達成できた場合、来期は目標値を上方修正されるのでしょうか? それとも別途新たな計画を出されるのでしょうか?」というご質問です。

篠﨑:今、仮定の話にお答えすることは非常に難しいところです。まずは、今期の業績達成が一番重要だと考えています。その上で、早期に目処を立て、株主や投資家のみなさまの期待に応えられるかたちで来期を含めた業績計画を示したいと思います。

質疑応答:今後の採用計画について

司会者:「今後、業績を伸ばすためには採用も重要になりますが、2024年4月の新卒採用者数は38名と変化がないように思います。採用難の状態なのでしょうか? 今後の採用や人材に対する考え方を教えてください」というご質問です。

篠﨑:2024年4月の新入社員は38名で、前年度と比べて4名増となっています。世間では「採用活動の長期化」とも言われていますが、当社としては特に採用難という認識はありません。全国から優秀な学生を採用できています。

また、来年4月については、50名を超える採用を予定し活動を強化中で、今のところ順調という報告を受けています。

当社のビジネスにおける最大の財産は、人材です。今後も、新卒採用と経験者採用に取り組んでいきます。そして、採用した人材を、開発プロジェクトをリードするマネジメントやコンサルの人材として、しっかりと育成し続けていきます。

質疑応答:人材やパートナー企業の確保について

司会者:「人材不足による争奪戦が最も激しい業界という印象を持っています。採用はもちろんですが、パートナー企業は十分に確保しているのでしょうか? また、現在のパートナー企業は、AIや宇宙などの高度な取り組みにも対応できるのでしょうか?」というご質問です。

篠﨑:当社のビジネスにおいて人材動員力は欠かせません。現在、国内では100社から150社ほどのパートナー企業と協業し、案件ごとに対応を進めている状況です。

また、先ほどお話ししたベトナムのダナンでは、1,000名ものオフショア開発体制を目指しています。現在は、当社OBが設立したTechzen(テックゼン)社との提携や、ダナン大学での高度IT人材育成に取り組んでいます。

一方で、宇宙やAIなどの新しい高度領域についても、社員ならびにパートナー企業との連携を強化しています。

特に高度領域に関しては、私どもの理念を共有いただけるパートナー企業との連携を深めていきたいと考えています。

質疑応答:コンサルティング関連の売上高構成比率目標について

司会者:「コンサルティング関連の案件について、将来的な売上高構成比率の目標はありますか?」というご質問です。

篠﨑:日頃から社員にはよく言っているのは、当社の最終目標は「社員全員がコンサル人材、コンサル領域を目指す」というものです。

当社のビジネスを100パーセントコンサルティングビジネスに変えるべく、パートナー企業とも連携しながら進めています。現在は社員がコンサル領域を担当し、パートナー企業が開発フェーズを担当するといった役割分担を行っています。それにより、社会インフラに特化したコンサルティング企業への進化を図っているところです。

したがって、今後は人材育成を強化する中で、コンサルティングは非常に重要になってくると思います。これからの将来の大きな売上伸長に向けて、私自ら対応をしています。

質疑応答:ソリューション事業の状況と今後の利益貢献について

司会者:「ソリューション事業は現状黒字でしょうか? 将来的に、利益率ではどのような貢献を見込んでいますか?」というご質問です。

篠﨑:現在のソリューション事業には、当社独自のソリューションとして「GIS:地理情報システム」や「IoT空間情報」があり、当然ながらすべてが黒字です。しかし、まだ利益的に伸びる余地があると考えています。

ソリューションビジネスは人に囚われないビジネスで、利益を重視し、売上を利益につなげられるストックビジネスになっています。特に、プロダクトのサービス化には期待をしています。

いずれにしても非常に高い専門性が必要になるため、こちらの技術力を武器に、高収益なコンサルティングも増やしていきたいと考えています。その一例が、先ほどお話した「GIS:地理情報システム」です。

この地理情報システムを使いながら、当社初のサブスクサービス「COCOYA(ココヤ)」を発売しています。これにより、いろいろなお客さまから非常に注目されていると感じています。

本格的にソリューションビジネスをスタートして4年目になりました。引き続き、ビジネスの拡大を推進していきたいと思っています。

質疑応答:M&Aの考え方について

司会者:「M&Aの考え方について教えてください。新規事業の獲得と人材の補充では、どちらを優先されるイメージでしょうか?」というご質問です。

篠﨑:当社は「技術のアドソル」として非常にご評価いただいており、社員一同が技術力に強みを持つ会社だと自負しています。

昨今は、生成AIなどのいろいろな革新的な技術も登場していますが、これらを含めて、強みとなる「技術」を一層強化したいと考えています。併せて、M&Aにも積極的に取り組んでいきたいと考えています。

M&Aに対しては「技術力のある人材確保を優先する」ということになるかもしれませんが、当社の強みをさらに伸ばせる、あるいは強みを補完し合い双方が成長できるようなM&Aを目指しています。そのため同業のみならず、異業種も含めて幅広く検討していきたいと考えています。

質疑応答:PBRを上げるための課題について

司会者:「PBRを上げていくために、現時点で一番の課題は何であると考えていますか?」というご質問です。

篠﨑:PBRを上げていくためには、PERの向上とROEの向上という2つの取り組みが必要であると考えています。そして2つの取り組みに対しては、成長性、資本効率、みなさまとの対話が重要な課題だと私は認識しています。

課題感や方向性が具体的に見えてきている部分もあるため、今ご質問いただいた点も含めて取りまとめた上で、あらためて開示の機会を設けたいと考えています。

篠﨑氏からのご挨拶

篠﨑:本日は、ご参加いただきありがとうございました。先ほどご説明したとおり、最高業績を更新し、株主のみなさまからの日頃のご支援に対して増配というかたちでお伝えすることができ、中期経営計画の1年目として非常に良いスタートを切ることができました。

また、足元として、2025年3月期の市場環境も非常に堅調であると認識しています。お客さまとの情報交換においても、DXやAI、デジタルデータや宇宙など、一歩先を行くテーマに取り組んでいる当社に多くの期待をいただいています。

5月14日の日本証券新聞でも、アナリストの平野憲一さまからコメントをいただいており、非常にいろいろな方から多くの期待をいただいています。 

こちらに対し、しっかりと今期計画を達成することはもちろん、2030年以降の持続的成長に向けた取り組みを両輪で進め、株主や投資家のみなさまのご期待に応えられるよう、役員・社員が一丸となって努めていきます。

今後もご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願いします。本日は誠にありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス
銘柄スクリーニング

アドソル日進の取引履歴を振り返りませんか?

アドソル日進の株を取引したことがありますか?みんかぶアセットプランナーに取引口座を連携すると売買履歴をチャート上にプロットし、自分の取引を視覚的に確認することができます。

アセットプランナーの取引履歴機能とは
アセプラ(アセットプランナー)

アセプラを使ってみる

※アセプラを初めてご利用の場合は会員登録からお手続き下さい。