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農業総合研究所のニュース
■事業内容
(3) マーケットエンタープライズ<3135>の強み
近年はリユース品の取引においてフリマアプリなどのCtoC(個人間取引)プラットフォームの成長が注目を集めている。一方、同社の優位性は、均一化された品質担保やロジスティクスの観点から、CtoCでは取引が難しい「大型」「高額」「大量」な商材をメインターゲットとしながら、ニッチで幅広いカテゴリーの商材を取り扱っていることにある。また、CtoCでは、取引相手や取引商材に対する不安(動作不良や品質面など)、仲介機能に対する信頼が低いため、概して低価格商材の取引が多くなる。これに対して、上場企業のような信頼ある業者が仲介することで、品質や価格に対する安心・安全に加え、買取時の作業が簡便化されるため、利用者は高額品を売買することができるのである。同社のような業者が仲介するモデルでは、業者マージンの分不利益になるという懸念が生じるが、以上のような点からむしろ、業者マージン分メリットが大きいということになる。ちなみに、一見競合しているフリマアプリに関しては、リユース市場を活性化させるという意味で、同社にとって歓迎すべき存在と言えるかもしれない。
以下は、リユース企業一般に対する同社の強みである。同社と同等の強みを持っている企業もあるかと思うが、すべてそろっているのは同社だけと言えるかもしれない。
まず、コンタクトセンターでの事前査定で買取額の概算が分かる点。これは、買取依頼のデータを反映して日々更新される、精度の高い「査定データベース」を自社で構築しているためで、適正性や透明性(売り手の納得感)の観点で強みになっている。次に、出張・宅配・店頭の3つの買取方法が選べ、利便性という点で強みとなっている。リユースセンターは全国10ヶ所にあり、売り手や買い手の身近な地域に展開しているため、心理的・物理的障壁を低減している。さらに、同社は販売する際に「3大保証(動作保証・延長保証・買取保証)」を付けているが、リユース品の販売でこうした保証サービスは他に例がなく、買い手にとって非常に手厚いサービスになっていることは容易に推察される。そのほか、充実した業務マニュアルによる標準化されたオペレーション、自社構築だからこその業務システムの安定性、上場企業としての信頼感と取引の安全性、買取価格確定後の最短送金(当日)、自社開発資材による環境に適した梱包・配送。こうした強みは、競合するリユース店ばかりでなく、新品を販売する業者に対してさえ強みとなるものも多い。
インターネット特化型といっても、現実に商材を在庫・保管している。そしてそのための物理的な拠点があり、売り手と買い手がいる。同社の強みは、こうした商材や流通に対する理解と愛着から生じているように思われる。まさに商人の成せる業である。だからこそ、Amazon(アマゾン・ドット・コム)やヤフー(Zホールディングス<4689>)の信頼を得、そうした企業との業務提携に結び付いていると考えられる。
(4) 新たな取り組み(「おいくら」とのシナジー)
同社は、ビジネスモデルの強みを背景に様々な取り組みを行うようになり、企業や地方自治体との幅広い連携を通じてリユース品の新たな流通経路を確立している。世界最大のパワースポーツカンパニーであるポラリスジャパン(株)とはスノーモービルの公式下取りプログラムを共同実施、パナソニック コンシューマー マーケティング(株)とは電動アシスト自転車の公式買取サービスを開始、(株)農業総合研究所<3541>とは農業総合研究所に登録する生産者からの中古農機具の買取サービスを開始するなど、リユース品買取強化でアライアンスを結んだ企業は新たに5社増えた。特にポラリスジャパンやパナソニックのようなケースでは、メーカーのDtoC※戦略の加速を背景にした、新品購入の際の下取りや買取ニーズを捕捉することができると考える。また、不用になった楽器を、自治体を通じて学校や音楽団体などへ寄附し、寄附した楽器の査定価格分が税金控除される「楽器寄附ふるさと納税」制度には、三重県いなべ市など6自治体が参画している。
※DtoC(Direct to Consumer):消費者に対してメーカーが直接商品を販売すること。
新たな取り組みの中で最も同社の収益に貢献しそうなのが、2019年2月にプロトコーポレーション<4298>から買収した「おいくら」とのシナジーである。「おいくら」のビジネスは、消費者(売り手)と、買い手となる1,431店の加盟店リユースショップ(うち有料加盟店舗数は964店/2020年1月)をマッチングするプラットフォームである。不用品の売り手が「おいくら」を通じて査定を依頼し、買い手(加盟店)が買取価格を提示、マッチングが成立した後に売り手と買い手の当事者間で商材のやり取りが行われる。「おいくら」には、広告掲載料と加盟店が売り手に査定額を提示した際に手数料が入るという仕組みである(その他オプションサービスによる収入もある)。
同社のネット型リユース事業は、月間約4万件の買取依頼がある。これを全国10ヶ所の買取拠点でカバーする体制を構築しているが、地域面や価格面の制約によって買取対応ができず、依頼の半分に当たる2万件の買取を事前査定段階で断念してきた。それが、「おいくら」というマッチングプラットフォームを得たことで、買取を断念した月間約2万件について、売り手の了解を得られれば、「おいくら」経由で全国の加盟店に提供することができるようになったのである。買収当初は「おいくら」への送客数が1万件前後で推移していたが、2019年7月に「高く売れるドットコム」との連携を開始したことで送客数が急増した。しかし、マッチング率が悪く10月に送客を一時中止してシステム改善を図り、12月から送客を再開したところ、前年同月比で1.9倍に上る送客数となった。買収時の思惑どおりの貢献を実現しつつあり、同社は今後も送客数が拡大することを見込んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SF>
(3) マーケットエンタープライズ<3135>の強み
近年はリユース品の取引においてフリマアプリなどのCtoC(個人間取引)プラットフォームの成長が注目を集めている。一方、同社の優位性は、均一化された品質担保やロジスティクスの観点から、CtoCでは取引が難しい「大型」「高額」「大量」な商材をメインターゲットとしながら、ニッチで幅広いカテゴリーの商材を取り扱っていることにある。また、CtoCでは、取引相手や取引商材に対する不安(動作不良や品質面など)、仲介機能に対する信頼が低いため、概して低価格商材の取引が多くなる。これに対して、上場企業のような信頼ある業者が仲介することで、品質や価格に対する安心・安全に加え、買取時の作業が簡便化されるため、利用者は高額品を売買することができるのである。同社のような業者が仲介するモデルでは、業者マージンの分不利益になるという懸念が生じるが、以上のような点からむしろ、業者マージン分メリットが大きいということになる。ちなみに、一見競合しているフリマアプリに関しては、リユース市場を活性化させるという意味で、同社にとって歓迎すべき存在と言えるかもしれない。
以下は、リユース企業一般に対する同社の強みである。同社と同等の強みを持っている企業もあるかと思うが、すべてそろっているのは同社だけと言えるかもしれない。
まず、コンタクトセンターでの事前査定で買取額の概算が分かる点。これは、買取依頼のデータを反映して日々更新される、精度の高い「査定データベース」を自社で構築しているためで、適正性や透明性(売り手の納得感)の観点で強みになっている。次に、出張・宅配・店頭の3つの買取方法が選べ、利便性という点で強みとなっている。リユースセンターは全国10ヶ所にあり、売り手や買い手の身近な地域に展開しているため、心理的・物理的障壁を低減している。さらに、同社は販売する際に「3大保証(動作保証・延長保証・買取保証)」を付けているが、リユース品の販売でこうした保証サービスは他に例がなく、買い手にとって非常に手厚いサービスになっていることは容易に推察される。そのほか、充実した業務マニュアルによる標準化されたオペレーション、自社構築だからこその業務システムの安定性、上場企業としての信頼感と取引の安全性、買取価格確定後の最短送金(当日)、自社開発資材による環境に適した梱包・配送。こうした強みは、競合するリユース店ばかりでなく、新品を販売する業者に対してさえ強みとなるものも多い。
インターネット特化型といっても、現実に商材を在庫・保管している。そしてそのための物理的な拠点があり、売り手と買い手がいる。同社の強みは、こうした商材や流通に対する理解と愛着から生じているように思われる。まさに商人の成せる業である。だからこそ、Amazon(アマゾン・ドット・コム
(4) 新たな取り組み(「おいくら」とのシナジー)
同社は、ビジネスモデルの強みを背景に様々な取り組みを行うようになり、企業や地方自治体との幅広い連携を通じてリユース品の新たな流通経路を確立している。世界最大のパワースポーツカンパニーであるポラリスジャパン(株)とはスノーモービルの公式下取りプログラムを共同実施、パナソニック コンシューマー マーケティング(株)とは電動アシスト自転車の公式買取サービスを開始、(株)農業総合研究所<3541>とは農業総合研究所に登録する生産者からの中古農機具の買取サービスを開始するなど、リユース品買取強化でアライアンスを結んだ企業は新たに5社増えた。特にポラリスジャパンやパナソニックのようなケースでは、メーカーのDtoC※戦略の加速を背景にした、新品購入の際の下取りや買取ニーズを捕捉することができると考える。また、不用になった楽器を、自治体を通じて学校や音楽団体などへ寄附し、寄附した楽器の査定価格分が税金控除される「楽器寄附ふるさと納税」制度には、三重県いなべ市など6自治体が参画している。
※DtoC(Direct to Consumer):消費者に対してメーカーが直接商品を販売すること。
新たな取り組みの中で最も同社の収益に貢献しそうなのが、2019年2月にプロトコーポレーション<4298>から買収した「おいくら」とのシナジーである。「おいくら」のビジネスは、消費者(売り手)と、買い手となる1,431店の加盟店リユースショップ(うち有料加盟店舗数は964店/2020年1月)をマッチングするプラットフォームである。不用品の売り手が「おいくら」を通じて査定を依頼し、買い手(加盟店)が買取価格を提示、マッチングが成立した後に売り手と買い手の当事者間で商材のやり取りが行われる。「おいくら」には、広告掲載料と加盟店が売り手に査定額を提示した際に手数料が入るという仕組みである(その他オプションサービスによる収入もある)。
同社のネット型リユース事業は、月間約4万件の買取依頼がある。これを全国10ヶ所の買取拠点でカバーする体制を構築しているが、地域面や価格面の制約によって買取対応ができず、依頼の半分に当たる2万件の買取を事前査定段階で断念してきた。それが、「おいくら」というマッチングプラットフォームを得たことで、買取を断念した月間約2万件について、売り手の了解を得られれば、「おいくら」経由で全国の加盟店に提供することができるようになったのである。買収当初は「おいくら」への送客数が1万件前後で推移していたが、2019年7月に「高く売れるドットコム」との連携を開始したことで送客数が急増した。しかし、マッチング率が悪く10月に送客を一時中止してシステム改善を図り、12月から送客を再開したところ、前年同月比で1.9倍に上る送客数となった。買収時の思惑どおりの貢献を実現しつつあり、同社は今後も送客数が拡大することを見込んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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