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デリカフーズホールディングスのニュース
*13:04JST デリカフHD Research Memo(4):過去最高売上を更新も仕入率悪化や人件費等の経費増により経常損失を計上
■デリカフーズホールディングス<3392>の業績動向
1. 2025年3月期中間期の業績概要
2025年3月期中間期の連結業績は、売上高で前年同期比10.7%増の28,056百万円、営業損失で111百万円(前年同期は329百万円の利益)、経常損失で73百万円(同379百万円の利益)、親会社株主に帰属する中間純損失で66百万円(同320百万円の利益)となった。
市場環境としては、インバウンドも含めた人流の増加により外食業界が活況を呈するなど、旺盛な需要が続いたことで青果物の需要も堅調に推移し、売上高は期初計画(27,000百万円)を上回り過去最高を更新した。一方、利益面では異常気象や天候不順の影響で青果物の価格が高騰したことによる仕入率の悪化や人件費、物流費等の増加、大阪FSセンター稼働開始に伴う減価償却費や一過性費用の増加などにより大幅減益となり、期初計画(300百万円)に対しても下振れて着地した。
利益増減要因を詳しく見ると、数量増効果により659百万円の増益要因となった一方で、仕入率の悪化(前年同期比0.9%減少)で252百万円、経費の増加で857百万円の減益要因となった。仕入率悪化の要因としては、天候不順に伴う野菜価格の高騰のほか、原料品質の悪化に伴う歩留まり率の低下、仕入不足を補うため流通市場から調達したことによる差損の計上などが挙げられる。経費増の主な項目は人件費で331百万円、物流費で210百万円、減価償却費で89百万円などとなっている。人件費については、2024年9月末の正社員、臨時社員含めて前年同期比で約6%増加したことや、2023年6月に正社員のベースアップを実施したほか2024年7月より臨時社員の処遇見直しを実施したことなどが増加要因となった。物流費率については前年同期比で0.1ポイント上昇の7.4%となっている。
経常利益が計画比で373百万円の未達となった要因は、仕入コストの上昇が210百万円と過半を占めたほか、人件費の増加で80百万円、大阪FSセンター開業による一過性費用の上振れで30百万円、周辺エリアの事業拠点(大阪、奈良、兵庫)の稼働率低下で50百万円となった。大阪FSセンターについては、臨時社員の採用が苦戦し、募集費が増加したほか派遣会社などを利用したことがコスト増要因となった。また、人手不足もあって新設ラインのテスト稼働期間が夏場まで掛かったことも影響したようだ。
(1) 部門別・業界別売上動向
部門別売上高を見ると、カット野菜は前年同期比1.9%増の11,919百万円、ホール野菜は同15.9%増の11,197百万円、その他(ミールキット含む)は同24.1%増の4,938百万円とすべての部門で増収となり、過去最高を更新した。カット野菜の伸びが一時的に鈍化しホール野菜が代わりに伸張したが、中期的なトレンドとしては引き続きカット野菜の需要の方が強い。また、その他に含まれるBtoC事業については、ミールキットの主要OEM先の販売が減少したものの、「楽彩」ブランドによる新規メニューの開発や販路開拓などが進み、前年同期を上回る売上水準を確保した。小売・量販店向けミールキットの取扱店も前期末比25店舗増の68店舗と順調に拡大しており(社数ベースでは2社から10社に拡大)、期末までに100店舗での販売を目指している。
業界別売上動向については、外食業界向けが既存取引先を中心に順調に拡大したほか、給食業界向けも新規顧客の開拓により増収となった。一方、小売・量販店業界向けは主要顧客先の伸び悩みにより横ばい水準にとどまったようだ。
(2) 事業セグメント別業績
青果物事業の売上高は前年同期比10.5%増の27,655百万円と過去最高を更新したものの、仕入率の悪化や人件費、物流費の増加、大阪FSセンターの立ち上げ負担などが減益要因となり、セグメント損失(経常損失)112百万円(前年同期は343百万円の利益)を計上した。
物流事業の売上高は前年同期比17.2%増の2,370百万円、セグメント利益は同178.8%増の64百万円と増収増益となった。売上高はグループ内取引の拡大に加え、外部顧客の獲得が進んだことが増収要因となった。外部顧客向けの売上高は同28.0%増の364百万円となり、同事業に占める外部顧客売上比率も前年同期の14.1%から15.4%に上昇した。既存顧客との取引拡大に加えて、食品スーパーなどの新規顧客を開拓した。同社は物流業界の人手不足を背景とした運賃の上昇リスクに対応すべく、ここ数年自社物流の強化に取り組む中で、車両費や人件費等の投資コストを受託物流サービスの拡大により吸収していく戦略であったが、同戦略が十分に機能しているものと評価される。なお、2023年に青果物サプライチェーンの構造変革を目的に業務提携を発表したエア・ウォーター<4088>及び(株)ベジテック※との物流協業体制についても順調に進んでいるようで、エア・ウォーター向けは前年同期比26百万円増の34百万円、ベジテック向けは同10百万円増の11百万円となっている。
※ 青果物加工・仲卸の大手で2024年3月期の連結売上高は672億円。
研究開発・分析事業の売上高は前年同期比13.4%減の42百万円、セグメント利益は3百万円(前年同期は1百万円の損失)となった。売上高は受託分析案件の減少により減収となったものの、人件費の抑制を図ったことで利益は黒字転換した。足許の受注は好調のようで、通期では増収増益が見込まれている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2025年3月期中間期の業績概要
2025年3月期中間期の連結業績は、売上高で前年同期比10.7%増の28,056百万円、営業損失で111百万円(前年同期は329百万円の利益)、経常損失で73百万円(同379百万円の利益)、親会社株主に帰属する中間純損失で66百万円(同320百万円の利益)となった。
市場環境としては、インバウンドも含めた人流の増加により外食業界が活況を呈するなど、旺盛な需要が続いたことで青果物の需要も堅調に推移し、売上高は期初計画(27,000百万円)を上回り過去最高を更新した。一方、利益面では異常気象や天候不順の影響で青果物の価格が高騰したことによる仕入率の悪化や人件費、物流費等の増加、大阪FSセンター稼働開始に伴う減価償却費や一過性費用の増加などにより大幅減益となり、期初計画(300百万円)に対しても下振れて着地した。
利益増減要因を詳しく見ると、数量増効果により659百万円の増益要因となった一方で、仕入率の悪化(前年同期比0.9%減少)で252百万円、経費の増加で857百万円の減益要因となった。仕入率悪化の要因としては、天候不順に伴う野菜価格の高騰のほか、原料品質の悪化に伴う歩留まり率の低下、仕入不足を補うため流通市場から調達したことによる差損の計上などが挙げられる。経費増の主な項目は人件費で331百万円、物流費で210百万円、減価償却費で89百万円などとなっている。人件費については、2024年9月末の正社員、臨時社員含めて前年同期比で約6%増加したことや、2023年6月に正社員のベースアップを実施したほか2024年7月より臨時社員の処遇見直しを実施したことなどが増加要因となった。物流費率については前年同期比で0.1ポイント上昇の7.4%となっている。
経常利益が計画比で373百万円の未達となった要因は、仕入コストの上昇が210百万円と過半を占めたほか、人件費の増加で80百万円、大阪FSセンター開業による一過性費用の上振れで30百万円、周辺エリアの事業拠点(大阪、奈良、兵庫)の稼働率低下で50百万円となった。大阪FSセンターについては、臨時社員の採用が苦戦し、募集費が増加したほか派遣会社などを利用したことがコスト増要因となった。また、人手不足もあって新設ラインのテスト稼働期間が夏場まで掛かったことも影響したようだ。
(1) 部門別・業界別売上動向
部門別売上高を見ると、カット野菜は前年同期比1.9%増の11,919百万円、ホール野菜は同15.9%増の11,197百万円、その他(ミールキット含む)は同24.1%増の4,938百万円とすべての部門で増収となり、過去最高を更新した。カット野菜の伸びが一時的に鈍化しホール野菜が代わりに伸張したが、中期的なトレンドとしては引き続きカット野菜の需要の方が強い。また、その他に含まれるBtoC事業については、ミールキットの主要OEM先の販売が減少したものの、「楽彩」ブランドによる新規メニューの開発や販路開拓などが進み、前年同期を上回る売上水準を確保した。小売・量販店向けミールキットの取扱店も前期末比25店舗増の68店舗と順調に拡大しており(社数ベースでは2社から10社に拡大)、期末までに100店舗での販売を目指している。
業界別売上動向については、外食業界向けが既存取引先を中心に順調に拡大したほか、給食業界向けも新規顧客の開拓により増収となった。一方、小売・量販店業界向けは主要顧客先の伸び悩みにより横ばい水準にとどまったようだ。
(2) 事業セグメント別業績
青果物事業の売上高は前年同期比10.5%増の27,655百万円と過去最高を更新したものの、仕入率の悪化や人件費、物流費の増加、大阪FSセンターの立ち上げ負担などが減益要因となり、セグメント損失(経常損失)112百万円(前年同期は343百万円の利益)を計上した。
物流事業の売上高は前年同期比17.2%増の2,370百万円、セグメント利益は同178.8%増の64百万円と増収増益となった。売上高はグループ内取引の拡大に加え、外部顧客の獲得が進んだことが増収要因となった。外部顧客向けの売上高は同28.0%増の364百万円となり、同事業に占める外部顧客売上比率も前年同期の14.1%から15.4%に上昇した。既存顧客との取引拡大に加えて、食品スーパーなどの新規顧客を開拓した。同社は物流業界の人手不足を背景とした運賃の上昇リスクに対応すべく、ここ数年自社物流の強化に取り組む中で、車両費や人件費等の投資コストを受託物流サービスの拡大により吸収していく戦略であったが、同戦略が十分に機能しているものと評価される。なお、2023年に青果物サプライチェーンの構造変革を目的に業務提携を発表したエア・ウォーター<4088>及び(株)ベジテック※との物流協業体制についても順調に進んでいるようで、エア・ウォーター向けは前年同期比26百万円増の34百万円、ベジテック向けは同10百万円増の11百万円となっている。
※ 青果物加工・仲卸の大手で2024年3月期の連結売上高は672億円。
研究開発・分析事業の売上高は前年同期比13.4%減の42百万円、セグメント利益は3百万円(前年同期は1百万円の損失)となった。売上高は受託分析案件の減少により減収となったものの、人件費の抑制を図ったことで利益は黒字転換した。足許の受注は好調のようで、通期では増収増益が見込まれている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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