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ADワークス Research Memo(2):収益不動産販売とストック型フィービジネスを両輪として成長を続ける

配信元:フィスコ
投稿:2019/06/25 15:02
■事業概要

1. 事業内容
エー・ディー・ワークス<3250>の事業セグメントは収益不動産販売事業、ストック型フィービジネスの2つのセグメントに区分されている。また、連結子会社として国内でプロパティ・マネジメント事業(以下PM事業)を行う(株)エー・ディー・パートナーズ(以下ADパートナーズ)や、リノベーション等の建設業務を行う(株)エー・ディー・デザインビルド(以下、ADD)等の3社、米国で収益不動産販売事業、PM事業、住宅債権への投資事業を行う子会社に加えて、それらを統括する事業統括会社の子会社4社を展開している。

収益不動産販売事業とは、中古賃貸マンションを仕入れ、リノベーションなどのバリューアップを施してから販売する事業で、同社の主力事業となる。仕入物件の対象エリアは中古マンションの賃貸需要が旺盛な都心部が中心。顧客の8~9割は個人富裕層で、物件価格としては200~300百万円台が中心となっている。こうした価格帯の物件は、入居率が高く家賃収入が安定しているほか値下がりリスクも相対的に低く、個人富裕層が投資運用対象として手掛けるには手頃な水準となっている。また、販売対象物件として仕入価格で500百万円超の商用不動産(オフィスビル、商業ビル等)も手掛けており、連結売上高に占める比率は期によって変動するものの、およそ10~30%の水準となっている。さらに、米国カリフォルニア州において、子会社を通じて収益不動産販売事業を行っているほか、2019年3月期からは国内で不動産小口化商品の販売を開始するなど商品ポートフォリオの拡充を進めている。

ストック型フィービジネスとは、販売用不動産を売却するまでに得られる賃料収入のほか、同社が保有・売却した物件に関するプロパティ・マネジメント収入(入退去手続、賃料徴収等管理受託フィー)、既存顧客に対する売買サポートフィー、不動産に関する相続対策等のコンサルティング収入、受託不動産の保守・修繕工事で構成されている。収益不動産残高が積み上がれば賃料収入が連動して増えていくため、同社にとっては安定収益源の機能を果たしている。

2. ビジネスモデルと特色
同社では自社のビジネスモデルをブルーオーシャン型と呼んでいる。その特色は「バリューイノベーション」「少ない競合」「模倣困難性」に集約できる。この独自のビジネスモデルによって、「高付加価値提供」と「低コスト」を両立させ、顧客を囲い込みながら参入障壁の高いクローズド・マーケットの創造を目指している。

(1) バリューイノベーション
バリューイノベーションとは、従来と異なる新たな価値の提供を意味する。同社においては、顧客に対して同業他社とは異なった独自スタイルでのバリュー提供を行っている。具体的には、物件ありきの販売ではなく、顧客ニーズを優先した販売を行っている。また、物件の仕入れからリノベーション、管理、相続相談に至るまですべてをワンストップで提供する体制を構築しており、顧客とは1度だけの取引で終わるのではなく、長期的かつ継続的な関係の維持に努めることで、生涯取引につなげていく取組みを行っている。

顧客側の立場で見れば、不動産投資では物件の仕入れからリノベーションのコスト、あるいは売却時の税金対策や相続対策に至るまで様々な費用が発生する。これらの手続きをその都度、自身で行うよりも、同社に一括して委託したほうがトータル的に「低コスト」を実現できることになる。また、リノベーション後の入居率も高まり、投資収益の最大化(=高付加価値提供)を目指すうえで、同社は重要なパートナーとなっている。

具体的な取組みとして、顧客である不動産オーナーの会員組織「Royaltorch」を2014年に発足させ、運営している。同組織では、専任コンサルタントによるサポートのほか、各種セミナーや勉強会等のイベントを定期的に開催し、オーナー同士の情報交換の場にもなっている。会員数は年々増加しており、2019年3月末時点で200人超となっている。

(2) 少ない競合
同社が主な仕入物件対象としている200~300百万円規模の投資用一棟賃貸マンションなどの収益不動産物件は、事業効率の面から大手不動産会社がほとんど参入してこない領域となっている。また、非上場の中小不動産業者においては、資金面からリノベーションなどのバリューアップを施して販売することは難しく、結果的に不動産業界においては競合が少ない領域となっている。特に中古不動産物件に関しては、瑕疵(かし)物件のリスクが必ず付きまとうだけに、一旦同社が物件を買い取って保有すること、さらには販売後に引き続きプロパティ・マネジメントサービスを提供していることが、買主からの信頼を高める要因となっている。

同社が物件情報の入手先としているのは、大手不動産会社や信託銀行などに在籍する約3,000人の仲介営業担当者で、日々20~30件の案件が同社へ優先的に持ち込まれる。こうして集まった情報の中から、収益化が見込まれる案件を取捨選択し仕入れる格好となるため、必然的に良質の物件が同社に集まることになる。売却物件情報が優先的に同社に持ち込まれるのは、同社に資金調達力があり購入の意思決定が早いためで、売り主側から見た販売効率が高いためだ。とは言え、ここ数年は首都圏を中心に不動産市況が活況だったこともあり、依然よりも競合企業が増加し、同社が適正と判断する価格での仕入が難しくなってきているのも事実である。このため、2020年3月期以降は新規エリア(首都圏、京阪神以外の地方中核都市)への展開や、オフィスビル、商業ビル等の仕入にも注力していく方針となっている。

(3) 模倣困難性
大手不動産会社は物件視点型の販売手法並びに分業体制、規模追求型のビジネスモデルであり、同ビジネスモデルを転換することが効率面から考えても非常に困難となっている。逆にこうした大手の不動産業者などは、同社と補完関係となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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配信元: フィスコ
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