539円
アーバネットコーポレーションのニュース
■要約
1. 会社概要
アーバネットコーポレーション<3242>は、東京23区、駅から徒歩10分以内の立地にこだわった投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売(卸売:BtoB)を基軸事業としている。用地取得からプラン・意匠設計、開発を行い、マンション販売会社・ファンド・富裕層等への1棟販売を手掛けており、「ものづくり」に特化しているところに特徴がある。設計事務所からスタートしたデベロッパーとして、モノトーンを基調とした外観、機能性やデザイン性、開発立地へのこだわりが入居者からの高い支持を受け、空室率の低さを誇っている。都心における不動産開発環境は、用地取得の困難な状況や開発コストの高止まり、建設工期の長期化などが課題となっているが、新型コロナウイルス感染拡大(以下、コロナ禍)においてもキャッシュ・フローの安定した投資用マンションに対する人気は根強く、国内外の不動産投資家、将来の資産形成目的の若年層や相続税対策目的の富裕層、潤沢な資金を確保したファンド・リートからの需要に支えられ、業績は堅調に推移している。また、ストックビジネスの強化にも取り組んでおり、賃貸収益物件の取得に加えて、新たにホテル事業へも参入した※。長期目線での有望分野へ布石を打つことにより、持続的な成長に向けて、販売チャネルの拡大や安定収益源の確保を図るところに狙いがある。
※研究開発と位置付けている自社開発ホテルプロジェクト第1号「ホテルアジール東京蒲田」は2020年10月にオープン。
2. 2021年6月期の業績概要
2021年6月期の業績は、売上高が前期比4.8%減の20,955百万円、営業利益が同6.6%減の2,321百万円と減収減益ながら、計画を上回る着地となった。なお、コロナ禍の影響については、徹底した感染対策等により竣工遅延は生じておらず、販売環境や資金調達も順調であり、業績への影響は受けていない。売上高は、新たに追加された「ホテル事業」が小規模ながら上乗せされた一方、「不動産事業」における販売戸数が15棟683戸(前期比29戸減)に減少したことが減収要因となった(ただし、計画比では9戸増)。利益面では、減収による収益の下押しに加え、「ホテル事業」の新規開業に伴う初期費用等により営業減益となったものの、利益率の高いプロジェクトが数件あったことにより、営業利益率は計画を上回る水準を確保した。また、今後の成長につながるパイプライン(開発物件)の状況については、慎重な用地仕入れ方針を採りながらも、2022年6月期の販売予定分727戸に加え、2023年6月期以降の販売予定分として1,000戸超を確保している。
3. 2022年6月期の業績予想
2022年6月期の業績予想について同社は、売上高を過去最高となる前期比9.8%増の23,000百万円、営業利益を同4.4%減の2,220百万円と増収ながら営業減益を見込んでいる。「不動産事業」における販売戸数の拡大が増収に寄与する見通しである。前提となる販売戸数は727戸(前期比44戸増)を計画しており、すでに568戸が契約済となっている。一方、利益面で営業減益(利益率低下)となるのは、コロナ禍の影響を最小限に抑えるための過去の取り組み(利益確定優先による早期契約の推進)が主因のようだ。
4. 今後の方向性
同社の成長戦略は、既存事業の拡大を軸としつつ、ストックビジネス(自社保有の賃貸収益物件等)や子会社によるBtoC事業(マンション管理及び賃貸業等)の拡大により、事業ポートフォリオの拡充と財務基盤の安定化を図るものである。特に、既存事業については、都心での用地価格が高騰しているなかで、将来リスクも念頭に入れつつ、より採算性やタイミングを重視した用地取得に取り組み、事業環境や景気変動に柔軟に対応しながら、持続的な成長を目指していく方針である。独自のビジネスモデルと安定した財務基盤を活かして、大型プロジェクトや東京都心以外(地方中核都市等)での開発も検討しているようだ。また、研究開発として位置付けているホテル事業については、コロナ禍の影響により厳しい外部環境が続いているものの、中長期的な目線からの可能性を追求していく方針である。さらには、都心の投資用ワンルームマンション開発・1棟販売を主軸としつつ、将来を見据えた活動にも取り組んでいく。
■Key Points
・2021年6月期は減収減益ながら計画を上回る着地
・コロナ禍においても販売環境は好調持続。用地取得は困難な状況が続くものの、着実なパイプラインの積み上げに注力
・2022年6月期の業績予想として同社は増収ながら営業減益と見込む。販売戸数の拡大が増収に寄与する一方、コロナ禍の影響を最小限に抑えるための過去の取り組み(利益確定優先による早期契約の推進)により利益率は低下する見通し
・都心の投資用ワンルームマンション開発・1棟販売を事業の主軸としつつ、ホテル事業のほか、将来を見据えた事業展開にも注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 会社概要
アーバネットコーポレーション<3242>は、東京23区、駅から徒歩10分以内の立地にこだわった投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売(卸売:BtoB)を基軸事業としている。用地取得からプラン・意匠設計、開発を行い、マンション販売会社・ファンド・富裕層等への1棟販売を手掛けており、「ものづくり」に特化しているところに特徴がある。設計事務所からスタートしたデベロッパーとして、モノトーンを基調とした外観、機能性やデザイン性、開発立地へのこだわりが入居者からの高い支持を受け、空室率の低さを誇っている。都心における不動産開発環境は、用地取得の困難な状況や開発コストの高止まり、建設工期の長期化などが課題となっているが、新型コロナウイルス感染拡大(以下、コロナ禍)においてもキャッシュ・フローの安定した投資用マンションに対する人気は根強く、国内外の不動産投資家、将来の資産形成目的の若年層や相続税対策目的の富裕層、潤沢な資金を確保したファンド・リートからの需要に支えられ、業績は堅調に推移している。また、ストックビジネスの強化にも取り組んでおり、賃貸収益物件の取得に加えて、新たにホテル事業へも参入した※。長期目線での有望分野へ布石を打つことにより、持続的な成長に向けて、販売チャネルの拡大や安定収益源の確保を図るところに狙いがある。
※研究開発と位置付けている自社開発ホテルプロジェクト第1号「ホテルアジール東京蒲田」は2020年10月にオープン。
2. 2021年6月期の業績概要
2021年6月期の業績は、売上高が前期比4.8%減の20,955百万円、営業利益が同6.6%減の2,321百万円と減収減益ながら、計画を上回る着地となった。なお、コロナ禍の影響については、徹底した感染対策等により竣工遅延は生じておらず、販売環境や資金調達も順調であり、業績への影響は受けていない。売上高は、新たに追加された「ホテル事業」が小規模ながら上乗せされた一方、「不動産事業」における販売戸数が15棟683戸(前期比29戸減)に減少したことが減収要因となった(ただし、計画比では9戸増)。利益面では、減収による収益の下押しに加え、「ホテル事業」の新規開業に伴う初期費用等により営業減益となったものの、利益率の高いプロジェクトが数件あったことにより、営業利益率は計画を上回る水準を確保した。また、今後の成長につながるパイプライン(開発物件)の状況については、慎重な用地仕入れ方針を採りながらも、2022年6月期の販売予定分727戸に加え、2023年6月期以降の販売予定分として1,000戸超を確保している。
3. 2022年6月期の業績予想
2022年6月期の業績予想について同社は、売上高を過去最高となる前期比9.8%増の23,000百万円、営業利益を同4.4%減の2,220百万円と増収ながら営業減益を見込んでいる。「不動産事業」における販売戸数の拡大が増収に寄与する見通しである。前提となる販売戸数は727戸(前期比44戸増)を計画しており、すでに568戸が契約済となっている。一方、利益面で営業減益(利益率低下)となるのは、コロナ禍の影響を最小限に抑えるための過去の取り組み(利益確定優先による早期契約の推進)が主因のようだ。
4. 今後の方向性
同社の成長戦略は、既存事業の拡大を軸としつつ、ストックビジネス(自社保有の賃貸収益物件等)や子会社によるBtoC事業(マンション管理及び賃貸業等)の拡大により、事業ポートフォリオの拡充と財務基盤の安定化を図るものである。特に、既存事業については、都心での用地価格が高騰しているなかで、将来リスクも念頭に入れつつ、より採算性やタイミングを重視した用地取得に取り組み、事業環境や景気変動に柔軟に対応しながら、持続的な成長を目指していく方針である。独自のビジネスモデルと安定した財務基盤を活かして、大型プロジェクトや東京都心以外(地方中核都市等)での開発も検討しているようだ。また、研究開発として位置付けているホテル事業については、コロナ禍の影響により厳しい外部環境が続いているものの、中長期的な目線からの可能性を追求していく方針である。さらには、都心の投資用ワンルームマンション開発・1棟販売を主軸としつつ、将来を見据えた活動にも取り組んでいく。
■Key Points
・2021年6月期は減収減益ながら計画を上回る着地
・コロナ禍においても販売環境は好調持続。用地取得は困難な状況が続くものの、着実なパイプラインの積み上げに注力
・2022年6月期の業績予想として同社は増収ながら営業減益と見込む。販売戸数の拡大が増収に寄与する一方、コロナ禍の影響を最小限に抑えるための過去の取り組み(利益確定優先による早期契約の推進)により利益率は低下する見通し
・都心の投資用ワンルームマンション開発・1棟販売を事業の主軸としつつ、ホテル事業のほか、将来を見据えた事業展開にも注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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