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富士紡ホールディングスのニュース
*12:09JST 富士紡HD Research Memo(9):半導体市況回復の下、中期経営計画の後半では成長投資をさらに強化(2)
■富士紡ホールディングス<3104>の中期経営計画
3. 事業ポートフォリオ ~中期経営計画「増強21-25」の振り返りと今後~
同社の主力事業は研磨材事業と化学工業品事業であり、準主力事業として生活衣料事業がある。この3事業を中核事業と位置付け、さらなる事業拡大と高収益化を目指している。そのための戦略事業として、化成品(樹脂金型)事業を“第4の柱”に育成する考えである。
一方、生活衣料事業では選択と集中を進め、特化素材などは高採算品に絞り込み、汎用素材は撤退も視野に入れながら、粛々と整理・縮小を進める方針である。
(1) 事業ポートフォリオと事業セグメント別主要施策の取り組み状況
各事業セグメントの主要戦略・施策は、順調に進捗し、おおむね成果を上げた。
(2) 投資実績と計画
オーガニックグロース(自律的成長)を前提に、能力増強・研究開発強化を進めている。特に、研磨材事業における最先端領域強化のための研究開発投資を最重要視し、中期経営計画「増強21-25」の成長投資枠(250~300億円)の範囲内で投資を実施する。また、化学工業品事業の主要製品の一部は需要が堅調に推移し、中長期での需要拡大も見込まれていることから、需要見通しに合わせた受託生産能力拡大を目的に柳井本社工場の敷地内に新たに1ライン増設する。なお、M&Aについては適切な案件がないため、成長投資250億円~300億円は研磨材や化学工業品領域で成長が見込めるオーガニックグロース領域に振り向ける予定である。
4. ROIC重視の経営
同社ではこれまでROIC指向の業務オペレーションに取り組み、一定の成果も上げてきた。現場部門では定常業務のなかで、原材料費の圧縮、売上債権に関する取引条件の見直し、機動的な生産調整による在庫圧縮、設備生産性の向上などROIC向上のための主要施策を実施してきた。
ROIC重視のマネジメントを全社で共有化すべく、ROIC指標をブレイクダウン(貸借対照表B/Sと損益計算書P/Lを因数分解)し、現場の個々の施策と関連付け、全社のROIC向上への貢献度が一目で分かるようにした。ROIC経営では、中期経営計画の進捗と成果フォロー(年2回)のなかで、個々の施策の進捗と成果を測定し、部門の業績評価につなげている。
「資本コストや株価を意識した経営」の実現に向け、取り組みを推進
5. 資本効率の目標と実績
中期経営計画「増強21-25」では「資本効率重視」の経営を進めている。資本コスト(日本企業はおおむね8%)を意識して、最終年度目標:「営業利益率16.7%、ROE・ROIC10%以上」を設定している。中計2、3年目は、半導体不況の影響を受け、自己資本比率以外の目標は未達であった。2025年3月期は半導体市場の緩やかな回復基調により収益面の回復並びにROE・ROICの改善が見込まれる。また、2024年3月期PBR(株価純資産倍率)は、第4四半期決算発表後の株価上昇もあり、同年1月以降は1倍を上回っている(過去5年平均1.05)。これは東京証券取引所(以下、東証)のプライム市場向け「PBR改善要請(PBR1倍以上)」をクリアしている。
6. 「資本コストや株価を意識した経営」の実現
東証は、2023年3月に上場企業に対し、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を要請した。要請に基づき対応策を開示している企業の一覧表を公表するなど、企業の取り組みを後押ししている。また、先行き不透明な時代において、『資本効率』や『資本コスト』を重視する企業が増えており、株主や金融機関をはじめステークホルダーや投資家からも注目されている。
同社では「資本コストや株価を意識した経営」の実現について、まず、“PBR向上=ROE・ROIC改善×PER向上”と定義している。そして、1) 「成長投資の推進」、2) 「ROIC経営の実践」、3) 「情報開示の強化」、4) 「株主還元を重視」の4つの視点で取り組みを進めている。『資本効率』重視の経営の肝となるのは「成長投資の推進」である。特に、最先端半導体分野で研磨材(ソフトパッド)の開発競争で勝ち残っていくためには高水準の研究開発投資を実践継続し、迅速な投資回収と次の成長投資につなげる、いわゆる“キャッシュ・フロー循環”を確立することが肝要であると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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3. 事業ポートフォリオ ~中期経営計画「増強21-25」の振り返りと今後~
同社の主力事業は研磨材事業と化学工業品事業であり、準主力事業として生活衣料事業がある。この3事業を中核事業と位置付け、さらなる事業拡大と高収益化を目指している。そのための戦略事業として、化成品(樹脂金型)事業を“第4の柱”に育成する考えである。
一方、生活衣料事業では選択と集中を進め、特化素材などは高採算品に絞り込み、汎用素材は撤退も視野に入れながら、粛々と整理・縮小を進める方針である。
(1) 事業ポートフォリオと事業セグメント別主要施策の取り組み状況
各事業セグメントの主要戦略・施策は、順調に進捗し、おおむね成果を上げた。
(2) 投資実績と計画
オーガニックグロース(自律的成長)を前提に、能力増強・研究開発強化を進めている。特に、研磨材事業における最先端領域強化のための研究開発投資を最重要視し、中期経営計画「増強21-25」の成長投資枠(250~300億円)の範囲内で投資を実施する。また、化学工業品事業の主要製品の一部は需要が堅調に推移し、中長期での需要拡大も見込まれていることから、需要見通しに合わせた受託生産能力拡大を目的に柳井本社工場の敷地内に新たに1ライン増設する。なお、M&Aについては適切な案件がないため、成長投資250億円~300億円は研磨材や化学工業品領域で成長が見込めるオーガニックグロース領域に振り向ける予定である。
4. ROIC重視の経営
同社ではこれまでROIC指向の業務オペレーションに取り組み、一定の成果も上げてきた。現場部門では定常業務のなかで、原材料費の圧縮、売上債権に関する取引条件の見直し、機動的な生産調整による在庫圧縮、設備生産性の向上などROIC向上のための主要施策を実施してきた。
ROIC重視のマネジメントを全社で共有化すべく、ROIC指標をブレイクダウン(貸借対照表B/Sと損益計算書P/Lを因数分解)し、現場の個々の施策と関連付け、全社のROIC向上への貢献度が一目で分かるようにした。ROIC経営では、中期経営計画の進捗と成果フォロー(年2回)のなかで、個々の施策の進捗と成果を測定し、部門の業績評価につなげている。
「資本コストや株価を意識した経営」の実現に向け、取り組みを推進
5. 資本効率の目標と実績
中期経営計画「増強21-25」では「資本効率重視」の経営を進めている。資本コスト(日本企業はおおむね8%)を意識して、最終年度目標:「営業利益率16.7%、ROE・ROIC10%以上」を設定している。中計2、3年目は、半導体不況の影響を受け、自己資本比率以外の目標は未達であった。2025年3月期は半導体市場の緩やかな回復基調により収益面の回復並びにROE・ROICの改善が見込まれる。また、2024年3月期PBR(株価純資産倍率)は、第4四半期決算発表後の株価上昇もあり、同年1月以降は1倍を上回っている(過去5年平均1.05)。これは東京証券取引所(以下、東証)のプライム市場向け「PBR改善要請(PBR1倍以上)」をクリアしている。
6. 「資本コストや株価を意識した経営」の実現
東証は、2023年3月に上場企業に対し、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を要請した。要請に基づき対応策を開示している企業の一覧表を公表するなど、企業の取り組みを後押ししている。また、先行き不透明な時代において、『資本効率』や『資本コスト』を重視する企業が増えており、株主や金融機関をはじめステークホルダーや投資家からも注目されている。
同社では「資本コストや株価を意識した経営」の実現について、まず、“PBR向上=ROE・ROIC改善×PER向上”と定義している。そして、1) 「成長投資の推進」、2) 「ROIC経営の実践」、3) 「情報開示の強化」、4) 「株主還元を重視」の4つの視点で取り組みを進めている。『資本効率』重視の経営の肝となるのは「成長投資の推進」である。特に、最先端半導体分野で研磨材(ソフトパッド)の開発競争で勝ち残っていくためには高水準の研究開発投資を実践継続し、迅速な投資回収と次の成長投資につなげる、いわゆる“キャッシュ・フロー循環”を確立することが肝要であると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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