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―10月訪日客数がコロナ禍前超え、関連株物色は中長期で盛り上がりへ―
ついにインバウンドが復活した。10月に日本を訪れた外国人の数がコロナ禍前の同時期の水準を上回った。中国人観光客は依然戻ってきていないが、それ以外の国からの観光客増で十分に補った格好だ。一連のインバウンド関連株は既に昨年あたりから業績回復期待を背景に買われだし、今年に入ってからは物色に一巡感が出ていたものの、いま一度改めて注目する必要があるだろう。今後も訪日客の増加基調は続くことが見込まれ、 インバウンド関連は中長期の成長が期待できるテーマとして継続的にマークしておきたい。
●水際緩和1年で訪日客回復、中国客落ち込みでも
日本政府観光局(JNTO)が15日に発表した10月の訪日外客数(推計値)は、コロナ禍前の2019年同月比で0.8%増の251万6500人となった。新型コロナウイルス感染拡大後、19年同月の数値を超えるのは初となる。昨年10月に政府が水際対策を大幅に緩和し、これを機に訪日客数は急増。円安の追い風も加わり、わずか1年でコロナ禍前の水準を回復した。
国・地域別の客数をみると、韓国が63万1100人(19年同月比3.2倍)と断トツ。以降、台湾42万4800人(同2.7%増)、中国25万6300人(同64.9%減)、米国21万1900人(同38.2%増)と続く。19年同月比の伸び率では米国をはじめ、カナダ(37.3%増)やメキシコ(69.3%増)、加えてシンガポール(31.4%増)、インド(20.6%増)、オーストラリア(20.2%増)などが目立つ。
インバウンド復活のカギを握るとされる中国人観光客は、今年8月に中国政府が日本への団体旅行を解禁したものの依然大きく落ち込んだままとなっている。福島原発の処理水放出などを巡る日中関係の悪化が影響しているようだ。もちろん、中国客の動向が訪日客数に与える影響は大きい。しかし今回、世界中の国々からの観光客を取り込み、中国客の回復なしにインバウンド復活を果たすことができた。これは、訪日客需要の回復遅れを懸念していた向きのセンチメント改善につながり、インバウンド関連株にポジティブに作用することだろう。今後の関連株物色の盛り上がりを期待して、妙味株6銘柄を選抜した。
●妙味株6銘柄
インバウンドプラットフォーム <5587> [東証G]は訪日客を軸に国内外の顧客に向けてWi-Fiレンタルサービスを提供。在留外国人への生活サポートやキャンピングカーのレンタル事業も手掛ける。オンライン旅行のエアトリ <6191> [東証P]の子会社で、今年8月に東証グロース市場に新規上場した。直近14日に発表した23年9月期決算は営業2.6倍増益と急拡大。続く24年9月期も3割増益を見込み、最高益トレンドを継続する予想だ。株価は決算発表を受け翌15日は材料出尽くしの売りが先行したが、その後は一転して業績評価の買いが流入し切り返しの動きをみせている。
GENDA <9166> [東証G]はゲームセンター「GiGO(ギーゴ)」などのアミューズメント施設を国内外で展開。グループ全体の店舗数は10月時点で263店舗に及ぶ。通常店舗のほか、スタッフが常駐しないゲームコーナー「ミニロケ」の出店を米国中心に進めている。日本のアニメ・キャラクターは国内はもとより海外からの人気も高く、そうした関連グッズを獲得できるクレーンゲームなどがあるゲームセンターには外国人観光客の姿がよく見られる。20日に24年1月期見通しの上方修正を発表。あわせて、映画配給会社のギャガを子会社化することを明らかにした。
セイコーグループ <8050> [東証P]は「グランドセイコー」ブランドを持つ、言わずと知れた腕時計の国内首位メーカー。直近14日に発表した4-9月期決算は個人消費やインバウンド需要の回復を背景に主力のウオッチ事業が好調だった一方、電子部品などを手掛けるデバイスソリューション事業が減速し、全体の営業利益は前年同期比7.8%減の81億6000万円となった。ただ、通期計画(120億円)に対する進捗率は7割近くと高水準。これが好感され翌15日の同社株は8%超高で大陽線を示現、年初来安値圏の2300円近辺から2500円台後半まで一気に水準を切り上げた。今後の値動きが注目される。
Japan Eyewear Holdings <5889> [東証S]は11月16日に東証スタンダード市場に新規上場した眼鏡メーカー。眼鏡の産地として知られる福井県鯖江市に本社を置く。1950年代に眼鏡卸売りで創業し、現在では企画・製造・販売の一貫体制でファッション性の高い製品を手掛ける「金子眼鏡」事業と、高級ブランド眼鏡の企画販売を行う「フォーナインズ」事業の2本柱からなる。都市部を中心に直営店を運営しているほか、国内外の小売店への卸売り販売も行う。インバウンド客の増加で24年1月期も高成長路線を走る見込み。初配当17円も計画する。
DDグループ <3073> [東証P]はカフェやレストラン、居酒屋など多様な業態を手掛ける外食企業。外食業界はコロナ禍の行動制限緩和による人流回復に加え、急増するインバウンド需要の追い風を捉え、業績回復の著しい銘柄が数多く見られる。同社もその一社で、10月に発表した3-8月期決算は2ケタ増収・営業黒字転換と好調。同時に通期予想の上方修正を発表し、24年2月期営業利益を前期比6.3倍の29億5000万円と4期ぶりに最高益を更新する見通しを示した。更にあわせて、「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載を解消したことも明らかにした。
ランシステム <3326> [東証S]は複合カフェ「自遊空間」を展開。昨年、AOKIホールディングス <8214> [東証P]の傘下に入り、AOKIHDが運営する同業態「快活CLUB」との相乗効果を図っている。4-9月期の売上高は前年同期比9割増の46億800万円、営業損益は前年同期の赤字から8000万円の黒字に転換して着地。通期では売上高70億円、営業利益1億円を計画している。9月初めにバーチャルで働ける環境を提供する新サービス「Vworker」事業を開始すると発表し、これを手掛かりに株価を急騰させる場面があった。その後は反動安が続いたが、足もと200日移動平均線を足場に堅調な展開をみせている。
株探ニュース
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