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日本食品化工のニュース
■強み
同社グループは、小麦・大豆・菜種・トウモロコシの4つの穀物を国内食品メーカーの中で唯一取扱う企業である。製粉業界内におけるシェアは、日清製粉グループ本社<2002>、日本製粉<2001>に次ぐ第3位に位置する。食用油では、J-オイルミルズ<2613>、日清オイリオグループ<2602>に次ぐ第3位に位置する。さらに糖化品では加藤化学(株)、日本コーンスターチ(株)、日本食品化工<2892>に次ぐ第4位に位置している。昭和産業<2004>はいずれもトップではなく、1割から2割ほどのシェアを握っている状況である。しかし、4つの穀物を取扱うポートフォリオと同社のノウハウを用いた提案力が強みとなる。
1. 「国際バルク戦略港湾」に選定されている鹿島臨海工業地帯
世界各国から運ばれてくる多種多量の穀物を貯蔵する大型穀物サイロを鹿島・神戸・船橋の3工場を合わせて合計36.5万トン備えている。鹿島・神戸工場においては、1隻に約7万トンの穀物を搭載できるパナマックス級(パナマ運河を通航できる最大船型)大型穀物船が接岸できるバース(桟橋)も完備しており、取扱う穀物量は食品メーカーの中で日本一を誇る。原料調達の際に多種多量な穀物を扱い、大型船に一度に大量に積み込むことで、輸送コストの削減と効率化が図れる。
資源・エネルギー・食糧などの特定貨物を大量に輸入する拠点として国が選定した港湾である「国際バルク戦略港湾」に選定されている鹿島港において、同社の鹿島工場は、港の中央という一等地にある。バースには、船から穀物を吸い上げる「アンローダー」という設備が3基体制で運用されており、1時間に1,800トンの荷揚げを可能にしている。また、同一拠点に製粉・製油・糖質の工場を配置することで、大型船から荷揚げした穀物を他拠点にある工場へ輸送する手間とコストを省くことができる。さらに、優れた発電効率・環境性能を持つガスエンジンCGS(都市ガス燃料、発電出力 7,800kW、発電効率 49.5%)を鹿島工場内に設置しており、CGSと工場内の既存発電所を組み合わせることで工場における電力の自給率は約70%である。
2. 4つの穀物を取扱うポートフォリオが生かされる
原料価格がリスク要因となる。小麦については政府の国家貿易によって管理されていることから、価格変動があっても大きなリスク要因にはなりづらい。一方で、食用油(大豆、菜種)、糖質・飼料(トウモロコシ)の価格は穀物原料を海外から輸入していることから、世界の需給バランスによる原料相場に影響を受けるほか、為替相場の変動にも影響を受ける。原料相場の上昇や為替相場の円安によって原材料の価格は上昇することになるが、加工メーカーなどへの製品価格へ転嫁ができなければ、業績に影響を与える要因となる。これまでの業績推移を見ると、2015年3月期に営業利益が前期比16.5%減と、4期ぶりに営業減益に転じているが、為替市場での円安、穀物相場上昇の影響とされる。しかしながら、この時は製粉事業が好調であったため業績への影響は限定的であり、こういった意味では小麦・大豆・菜種・トウモロコシの4つの穀物を国内食品メーカーの中で唯一取扱う企業というポートフォリオが生かされていることにつながっている。
3. セブン-イレブン向け パンビジネスはグループシナジーと提案力に優位性
同社グループは、(株)セブン-イレブン・ジャパン向けに冷凍パン生地および菓子類を製造するグランソールベーカリー(株)、その冷凍パン生地を焼成する(株)スウィングベーカリーを連結子会社に持ち、小麦粉・プレミックスなどの原料供給から焼成までの一貫体制を有している。セブン-イレブンでは、コンペを経て納入業者が選定されるが、同社は市場分析はもちろん、小麦粉、プレミックス、食用油、糖化品等幅広く事業展開している利点を生かし、様々なノウハウを用いて迅速な提案活動で対応している。2018年にはカルビー<2229>が保有するガーデンベーカリー(株)の株式66.6%を取得するとともに、ガーデンベーカリーの子会社タワーベーカリー(株)をグループに取り込み、カルビーとの事業連携強化とともに、競争力のある商品の開発と生産性の向上を目指している。一例だが、グループ連携によるパン用のオリジナル原料を開発するとともに、製粉事業の小麦粉やプレミックス、油脂食品事業のオリーブオイル、糖質事業のドーナツシュガーを組み合わせることでシナジー効果を発揮し、パンの品質向上を実現している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一)
<MH>
同社グループは、小麦・大豆・菜種・トウモロコシの4つの穀物を国内食品メーカーの中で唯一取扱う企業である。製粉業界内におけるシェアは、日清製粉グループ本社<2002>、日本製粉<2001>に次ぐ第3位に位置する。食用油では、J-オイルミルズ<2613>、日清オイリオグループ<2602>に次ぐ第3位に位置する。さらに糖化品では加藤化学(株)、日本コーンスターチ(株)、日本食品化工<2892>に次ぐ第4位に位置している。昭和産業<2004>はいずれもトップではなく、1割から2割ほどのシェアを握っている状況である。しかし、4つの穀物を取扱うポートフォリオと同社のノウハウを用いた提案力が強みとなる。
1. 「国際バルク戦略港湾」に選定されている鹿島臨海工業地帯
世界各国から運ばれてくる多種多量の穀物を貯蔵する大型穀物サイロを鹿島・神戸・船橋の3工場を合わせて合計36.5万トン備えている。鹿島・神戸工場においては、1隻に約7万トンの穀物を搭載できるパナマックス級(パナマ運河を通航できる最大船型)大型穀物船が接岸できるバース(桟橋)も完備しており、取扱う穀物量は食品メーカーの中で日本一を誇る。原料調達の際に多種多量な穀物を扱い、大型船に一度に大量に積み込むことで、輸送コストの削減と効率化が図れる。
資源・エネルギー・食糧などの特定貨物を大量に輸入する拠点として国が選定した港湾である「国際バルク戦略港湾」に選定されている鹿島港において、同社の鹿島工場は、港の中央という一等地にある。バースには、船から穀物を吸い上げる「アンローダー」という設備が3基体制で運用されており、1時間に1,800トンの荷揚げを可能にしている。また、同一拠点に製粉・製油・糖質の工場を配置することで、大型船から荷揚げした穀物を他拠点にある工場へ輸送する手間とコストを省くことができる。さらに、優れた発電効率・環境性能を持つガスエンジンCGS(都市ガス燃料、発電出力 7,800kW、発電効率 49.5%)を鹿島工場内に設置しており、CGSと工場内の既存発電所を組み合わせることで工場における電力の自給率は約70%である。
2. 4つの穀物を取扱うポートフォリオが生かされる
原料価格がリスク要因となる。小麦については政府の国家貿易によって管理されていることから、価格変動があっても大きなリスク要因にはなりづらい。一方で、食用油(大豆、菜種)、糖質・飼料(トウモロコシ)の価格は穀物原料を海外から輸入していることから、世界の需給バランスによる原料相場に影響を受けるほか、為替相場の変動にも影響を受ける。原料相場の上昇や為替相場の円安によって原材料の価格は上昇することになるが、加工メーカーなどへの製品価格へ転嫁ができなければ、業績に影響を与える要因となる。これまでの業績推移を見ると、2015年3月期に営業利益が前期比16.5%減と、4期ぶりに営業減益に転じているが、為替市場での円安、穀物相場上昇の影響とされる。しかしながら、この時は製粉事業が好調であったため業績への影響は限定的であり、こういった意味では小麦・大豆・菜種・トウモロコシの4つの穀物を国内食品メーカーの中で唯一取扱う企業というポートフォリオが生かされていることにつながっている。
3. セブン-イレブン向け パンビジネスはグループシナジーと提案力に優位性
同社グループは、(株)セブン-イレブン・ジャパン向けに冷凍パン生地および菓子類を製造するグランソールベーカリー(株)、その冷凍パン生地を焼成する(株)スウィングベーカリーを連結子会社に持ち、小麦粉・プレミックスなどの原料供給から焼成までの一貫体制を有している。セブン-イレブンでは、コンペを経て納入業者が選定されるが、同社は市場分析はもちろん、小麦粉、プレミックス、食用油、糖化品等幅広く事業展開している利点を生かし、様々なノウハウを用いて迅速な提案活動で対応している。2018年にはカルビー<2229>が保有するガーデンベーカリー(株)の株式66.6%を取得するとともに、ガーデンベーカリーの子会社タワーベーカリー(株)をグループに取り込み、カルビーとの事業連携強化とともに、競争力のある商品の開発と生産性の向上を目指している。一例だが、グループ連携によるパン用のオリジナル原料を開発するとともに、製粉事業の小麦粉やプレミックス、油脂食品事業のオリーブオイル、糖質事業のドーナツシュガーを組み合わせることでシナジー効果を発揮し、パンの品質向上を実現している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一)
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