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ヨシムラ・フード・ホールディングスのニュース
■中期経営計画
1.中期成長イメージ
特に中期経営計画はないが、ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>は企業価値を高めるための目標として、経常利益率5%、自己資本当期純利益率(ROE)15%を掲げている。
中小企業のM&Aなどを仲介する、公的相談窓口の事業引継ぎ支援センターの成約実績が、2012年度から2017年度までの累計で1,478件となり、特に2017年度は前年同期比で2倍近いペースに加速、しかも事業承継の約7割が第三者への事業引き継ぎとなった。このような好環境下で、同社は資金調達力など上場会社としてのメリットを生かし、中小食品企業のM&Aをさらに推進する意向である。また、グループ企業の増加に伴ってシナジーを拡大するため、「中小企業支援プラットフォーム」の更なる強化も考えている。中期的にも同社は、販路の共有化や営業の管理・支援、新たな販売チャネルの開拓などによって売上を拡大し、仕入のスケールメリットや製造拠点・管理業務の集約によって利益率を引き上げていく方針である。
なかでも中期成長のために同社が足元ですべきことは、人材を強化することである。プラットフォーム関連のマンパワーについては、物流や品質管理にはまだ猶予があるものの、喫緊の課題となっていた商品開発面では優秀な外部人材を採用するなどすでに手を打った模様である。中小食品企業のネックとなりやすい、製造技術はあっても新しい商品を開発する力が足りないという部分を補う考えだ。また、事業領域の拡大策の1つとして海外への進出を果たしており、高付加価値商品など海外向けの商品開発力のある人材は必要ということになるだろう。M&Aについては、現在の体制でも年間6社程度のM&Aは可能という考えだが、プラットフォームの拡張を進めば、M&A件数は中期的に徐々に増加ピッチを上げていくと予想される。
業績のボラティリティへの対応が課題
2.リスクと課題
同社に特徴的なリスクは、食品の安全性、競合、季節変動、M&Aに関するものである。食品の安全性については、基本事項と位置付け、「中小企業支援プラットフォーム」の仕組みの中で品質管理の事業統括担当を置いて子会社各社の品質管理能力を高め、グループのベストプラクティスを横展開している。競合について、同社ビジネスモデルに対する競合はほとんどないと言えるが、子会社各社は大手~中小食品企業と常に競合している。大手食品企業のスケールメリット、中小食品企業の独自性に対し、同社は独自性と子会社各社の相互補完によって対抗している。季節変動については、同社グループでは冬季(10月〜12月)に販売のピークを迎える製商品が多く、売上高で3割前後、営業利益で4割前後と冬季の構成比が高くなっている。このため、ほかの季節にピークが来る商品の開発を進める必要があろう。
2019年2月期第2四半期で明白になったリスクは業績リスクで、子会社における原価や人件費、物流費などの急激なコストアップと、M&Aによる一時費用の額と発生時期の不確実性が背景にある。コストアップに対しては値上げで対応したいところだが、8割のシェアを誇る低価格チルドシウマイですら簡単に値上げさせてくれない。それほどまでに大手流通の価格決定権は強く、消費者は低価格志向が強い。しかし、競合先に対してならば、1つの経験をグループ全体で共有しやすいうえ、「中小企業支援プラットフォーム」を利用できるという優位性がある。また、M&Aによる一時費用の額については投資基準を厳格に適用すればよく、時期についてはM&Aの数が増えてくれば予測しやすくなり、規模が拡大すれば費用も吸収できるようになる。しかし、同社はまだノウハウを蓄積している途上の中小企業の集合体でもあることから、コストアップを即座に吸収できるほどの能力はなく、M&Aによる一時費用もまだまだ重い。従って、M&A案件を業績見通しに入れないのは当然だが、そのような中でも動いている案件を含め想定される費用については、保守的に予算計上することも一考かもしれない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<RF>
1.中期成長イメージ
特に中期経営計画はないが、ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>は企業価値を高めるための目標として、経常利益率5%、自己資本当期純利益率(ROE)15%を掲げている。
中小企業のM&Aなどを仲介する、公的相談窓口の事業引継ぎ支援センターの成約実績が、2012年度から2017年度までの累計で1,478件となり、特に2017年度は前年同期比で2倍近いペースに加速、しかも事業承継の約7割が第三者への事業引き継ぎとなった。このような好環境下で、同社は資金調達力など上場会社としてのメリットを生かし、中小食品企業のM&Aをさらに推進する意向である。また、グループ企業の増加に伴ってシナジーを拡大するため、「中小企業支援プラットフォーム」の更なる強化も考えている。中期的にも同社は、販路の共有化や営業の管理・支援、新たな販売チャネルの開拓などによって売上を拡大し、仕入のスケールメリットや製造拠点・管理業務の集約によって利益率を引き上げていく方針である。
なかでも中期成長のために同社が足元ですべきことは、人材を強化することである。プラットフォーム関連のマンパワーについては、物流や品質管理にはまだ猶予があるものの、喫緊の課題となっていた商品開発面では優秀な外部人材を採用するなどすでに手を打った模様である。中小食品企業のネックとなりやすい、製造技術はあっても新しい商品を開発する力が足りないという部分を補う考えだ。また、事業領域の拡大策の1つとして海外への進出を果たしており、高付加価値商品など海外向けの商品開発力のある人材は必要ということになるだろう。M&Aについては、現在の体制でも年間6社程度のM&Aは可能という考えだが、プラットフォームの拡張を進めば、M&A件数は中期的に徐々に増加ピッチを上げていくと予想される。
業績のボラティリティへの対応が課題
2.リスクと課題
同社に特徴的なリスクは、食品の安全性、競合、季節変動、M&Aに関するものである。食品の安全性については、基本事項と位置付け、「中小企業支援プラットフォーム」の仕組みの中で品質管理の事業統括担当を置いて子会社各社の品質管理能力を高め、グループのベストプラクティスを横展開している。競合について、同社ビジネスモデルに対する競合はほとんどないと言えるが、子会社各社は大手~中小食品企業と常に競合している。大手食品企業のスケールメリット、中小食品企業の独自性に対し、同社は独自性と子会社各社の相互補完によって対抗している。季節変動については、同社グループでは冬季(10月〜12月)に販売のピークを迎える製商品が多く、売上高で3割前後、営業利益で4割前後と冬季の構成比が高くなっている。このため、ほかの季節にピークが来る商品の開発を進める必要があろう。
2019年2月期第2四半期で明白になったリスクは業績リスクで、子会社における原価や人件費、物流費などの急激なコストアップと、M&Aによる一時費用の額と発生時期の不確実性が背景にある。コストアップに対しては値上げで対応したいところだが、8割のシェアを誇る低価格チルドシウマイですら簡単に値上げさせてくれない。それほどまでに大手流通の価格決定権は強く、消費者は低価格志向が強い。しかし、競合先に対してならば、1つの経験をグループ全体で共有しやすいうえ、「中小企業支援プラットフォーム」を利用できるという優位性がある。また、M&Aによる一時費用の額については投資基準を厳格に適用すればよく、時期についてはM&Aの数が増えてくれば予測しやすくなり、規模が拡大すれば費用も吸収できるようになる。しかし、同社はまだノウハウを蓄積している途上の中小企業の集合体でもあることから、コストアップを即座に吸収できるほどの能力はなく、M&Aによる一時費用もまだまだ重い。従って、M&A案件を業績見通しに入れないのは当然だが、そのような中でも動いている案件を含め想定される費用については、保守的に予算計上することも一考かもしれない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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