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ダイナックホールディングスのニュース
■会社概要
1. 事業内容
報告セグメントは外食事業の単一であるが、創業来の主力である「直営ビジネス」のほか、「受託ビジネス」にも注力している。2018年7月に持株会社制度に移行すると、2019年4月からはそれぞれを事業会社として分割し、最適な事業運営体制を確立した。「直営ビジネス」では、和食の「燦」や「響」、イタリアンの「パパミラノ」、パブの「ザ・ローズ&クラウン」など個性的な業態(バー・レストラン)149店舗を展開する一方、「受託ビジネス」は全国のゴルフクラブレストランのほか、道の駅や高速道路サービスエリアなど100店舗(施設)の運営を受託しており、その他の業務運営受託店舗を含めると合計249店舗を展開している。
各事業の概要は以下のとおりである
(1) 直営ビジネス
ダイナックホールディングス<2675>の直営ビジネスはバー・レストランの店舗運営を中核とするほか、ケータリング事業も手掛けている。バー・レストランの運営では大きく3つの特徴を挙げることができる。1つ目は多業態・多ブランド展開であること。同社がこの戦略を採用するのは、消費者にアピールする「売り」がある業態・店舗が好調である一方、総花的な業態・店舗は低調であることが背景にある。同社は消費者の嗜好や流行の変化を的確に捉え、新業態・新ブランドの企画・開発・運営を行ってきた実績には定評がある。また、既存店舗の新業態への業態変更についても機動的に取り組んできた。2つ目は都心部のオフィス街を中心とした立地である。東京においては千代田・港・中央・新宿などの各区に、大阪においては梅田周辺などに、それぞれ集中的に(地域ドミナント)出店。郊外型店舗も各地域の中核都市や拠点駅の周辺、大型商業施設などの地域一等地への出店が基本となっている。3つ目は高付加価値型を追求しているところである。個人経営の店舗や大手居酒屋チェーンなどと比較して食事やサービスの質、雰囲気などの面でワンランク上の店づくりを行っている。そのための人材教育や業態開発、ブランディング強化などにも継続的に投資を行ってきた。また、ここ数年は“専門化”にも注力。「パパミラノ」からテーマを絞った複数の新型イタリアン業態への転換がその一例である。客層としては、立地からもわかるように都会のビジネスパーソンに代表される中間層を主たるターゲットにしている。そこでの中心価格帯は4,000~5,000円となっている。しかし多業態型の特徴を生かし、「響」では客単価を7,000~10,000円と設定して接待需要の取り込みを図る一方、低価格帯の女性向けイタリアンや駅構内ハイボール・バーも展開するなど、幅広い顧客ニーズに柔軟に対応可能なラインナップとなっている。
一方、ケータリング事業とは企業の各種パーティーや社内運動会などのイベント向けに、数十~数千人規模を対象に飲食を提供するサービスである。対応可能人数の大きさやイベントの企画・設営・運営まで一貫してサービスを提供できるといった点で、同社のケータリング事業は業界でもトップクラスとみられる。
(2) 受託ビジネス
受託ビジネスは収益性や出店コストなどでバー・レストランの運営とは大きな違いがある。受託事業では受託者(同社)側は運営だけを行い、施設は委託者(例えばゴルフ場側)が用意する。したがって、同社からすれば設備投資負担がないというメリットがある。営業が開始されれば、売上げは受託者(同社)側に立ち、売上げの中から契約で決められたフィーを委託者側に支払う。収益性について直営と受託事業とでどちらが高いとは一概には言えないが、直営に比べて投資効率が良いと言うことは可能だろう。
同社の受託ビジネスの中身は、ゴルフクラブレストランとそれ以外の2つに大別できる。ゴルフクラブレストランでは、運営事業所数で国内大手3 社の一角を占める地位にあるとみられる。一方、それ以外の受託はリゾート施設や文化施設でのレストラン運営のほか、道の駅、高速道路SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)等の管理・運営が中心となっている。なお、道の駅や高速道路SA/PAにおいては、20年余にわたる経験を有し、閉店ゼロの実績を誇る。特に、商業施設の全体を取り仕切り、その売上げがすべて同社に立つ受託形態※にも実績があり、その場合、想定年商が10〜15億円と通常の店舗運営に比べて10~20倍の規模に拡大することに注意が必要である。
※これまでの実績として、2013年開業の道の駅「まくらがの里こが」(茨城県)や2018年開業の道の駅「パレットピアおおの」(岐阜県)の指定管理者を受託したほか、新たに開始した鈴鹿パーキングエリア(新名神高速道路)の商業施設(全コーナー直営)などがある。
同社が受託ビジネスで成功している大きな要因として、既存店舗の評判と実績が新たな契約につながるポジティブスパイラル(正の循環)を実現できていることがあると弊社ではみている。受託ビジネスは受託したレストランの母体施設の集客力に依存する部分も大きく、利益を出すためには高いマネジメント力やコストコントロール力が要求される事業と言える。そうした厳しい制約の中でもしっかりと収益を上げていることが委託者側からの信頼獲得につながり受託契約に至るという流れができている上、その高いハードルが他社にとっては参入障壁となるため、長期安定した収益基盤として期待できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 事業内容
報告セグメントは外食事業の単一であるが、創業来の主力である「直営ビジネス」のほか、「受託ビジネス」にも注力している。2018年7月に持株会社制度に移行すると、2019年4月からはそれぞれを事業会社として分割し、最適な事業運営体制を確立した。「直営ビジネス」では、和食の「燦」や「響」、イタリアンの「パパミラノ」、パブの「ザ・ローズ&クラウン」など個性的な業態(バー・レストラン)149店舗を展開する一方、「受託ビジネス」は全国のゴルフクラブレストランのほか、道の駅や高速道路サービスエリアなど100店舗(施設)の運営を受託しており、その他の業務運営受託店舗を含めると合計249店舗を展開している。
各事業の概要は以下のとおりである
(1) 直営ビジネス
ダイナックホールディングス<2675>の直営ビジネスはバー・レストランの店舗運営を中核とするほか、ケータリング事業も手掛けている。バー・レストランの運営では大きく3つの特徴を挙げることができる。1つ目は多業態・多ブランド展開であること。同社がこの戦略を採用するのは、消費者にアピールする「売り」がある業態・店舗が好調である一方、総花的な業態・店舗は低調であることが背景にある。同社は消費者の嗜好や流行の変化を的確に捉え、新業態・新ブランドの企画・開発・運営を行ってきた実績には定評がある。また、既存店舗の新業態への業態変更についても機動的に取り組んできた。2つ目は都心部のオフィス街を中心とした立地である。東京においては千代田・港・中央・新宿などの各区に、大阪においては梅田周辺などに、それぞれ集中的に(地域ドミナント)出店。郊外型店舗も各地域の中核都市や拠点駅の周辺、大型商業施設などの地域一等地への出店が基本となっている。3つ目は高付加価値型を追求しているところである。個人経営の店舗や大手居酒屋チェーンなどと比較して食事やサービスの質、雰囲気などの面でワンランク上の店づくりを行っている。そのための人材教育や業態開発、ブランディング強化などにも継続的に投資を行ってきた。また、ここ数年は“専門化”にも注力。「パパミラノ」からテーマを絞った複数の新型イタリアン業態への転換がその一例である。客層としては、立地からもわかるように都会のビジネスパーソンに代表される中間層を主たるターゲットにしている。そこでの中心価格帯は4,000~5,000円となっている。しかし多業態型の特徴を生かし、「響」では客単価を7,000~10,000円と設定して接待需要の取り込みを図る一方、低価格帯の女性向けイタリアンや駅構内ハイボール・バーも展開するなど、幅広い顧客ニーズに柔軟に対応可能なラインナップとなっている。
一方、ケータリング事業とは企業の各種パーティーや社内運動会などのイベント向けに、数十~数千人規模を対象に飲食を提供するサービスである。対応可能人数の大きさやイベントの企画・設営・運営まで一貫してサービスを提供できるといった点で、同社のケータリング事業は業界でもトップクラスとみられる。
(2) 受託ビジネス
受託ビジネスは収益性や出店コストなどでバー・レストランの運営とは大きな違いがある。受託事業では受託者(同社)側は運営だけを行い、施設は委託者(例えばゴルフ場側)が用意する。したがって、同社からすれば設備投資負担がないというメリットがある。営業が開始されれば、売上げは受託者(同社)側に立ち、売上げの中から契約で決められたフィーを委託者側に支払う。収益性について直営と受託事業とでどちらが高いとは一概には言えないが、直営に比べて投資効率が良いと言うことは可能だろう。
同社の受託ビジネスの中身は、ゴルフクラブレストランとそれ以外の2つに大別できる。ゴルフクラブレストランでは、運営事業所数で国内大手3 社の一角を占める地位にあるとみられる。一方、それ以外の受託はリゾート施設や文化施設でのレストラン運営のほか、道の駅、高速道路SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)等の管理・運営が中心となっている。なお、道の駅や高速道路SA/PAにおいては、20年余にわたる経験を有し、閉店ゼロの実績を誇る。特に、商業施設の全体を取り仕切り、その売上げがすべて同社に立つ受託形態※にも実績があり、その場合、想定年商が10〜15億円と通常の店舗運営に比べて10~20倍の規模に拡大することに注意が必要である。
※これまでの実績として、2013年開業の道の駅「まくらがの里こが」(茨城県)や2018年開業の道の駅「パレットピアおおの」(岐阜県)の指定管理者を受託したほか、新たに開始した鈴鹿パーキングエリア(新名神高速道路)の商業施設(全コーナー直営)などがある。
同社が受託ビジネスで成功している大きな要因として、既存店舗の評判と実績が新たな契約につながるポジティブスパイラル(正の循環)を実現できていることがあると弊社ではみている。受託ビジネスは受託したレストランの母体施設の集客力に依存する部分も大きく、利益を出すためには高いマネジメント力やコストコントロール力が要求される事業と言える。そうした厳しい制約の中でもしっかりと収益を上げていることが委託者側からの信頼獲得につながり受託契約に至るという流れができている上、その高いハードルが他社にとっては参入障壁となるため、長期安定した収益基盤として期待できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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