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プレミアムウォーターホールディングスのニュース
■要約
プレミアムウォーターホールディングス<2588>は、ウォーターサーバーを設置した家庭や事業所に自社製造のミネラルウォーターを届ける宅配水業界の大手企業である。2016年に、天然水製造が強みの(株)ウォーターダイレクトと営業力が強みの(株)エフエルシーが経営統合して誕生した。率いるのは、エフエルシーを起業しプロモーション営業力で国内トップクラスに引き上げた実績を持つ萩尾陽平(はぎおようへい)代表取締役社長だ。ブランドを「プレミアムウォーター」に統一し再スタートを切り、以降、強力な営業組織と販売ノウハウを武器に急成長する。保有顧客数143万件(2022年3月末時点)は宅配水業界で首位となっている。2022年4月の東京証券取引所(以下、東証)の再編においては、スタンダード市場に移行した。
1. 業績動向
2022年3月期の売上収益は68,452百万円(前期比21.5%増)、営業利益6,097百万円(同38.7%増)、税引前利益5,465百万円(同38.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益3,542百万円(同10.9%増)となり、売上収益・各利益ともに順調に成長した。売上収益は、新規契約が好調に推移し、保有顧客数が積み上がったことで前年同期比21.5%の増収となった。2022年3月末の保有顧客数は143万件と通期で20万件の純増となった。1顧客当たりの水の消費量が増えたことも増収の要因となった。営業利益に関しては、前期比38.7%増の大幅な増益となった。売上総利益は、増収効果及び保有顧客数の増加に伴う各工場の稼働率の向上等による製造原価の低減により前期比20.6%増加した。一方で販管費は、効率的な物流網の構築等の取り組みを行い、前期比19.6%増と相対的に伸びを抑えた。結果として営業利益額(6,097百万円)及び営業利益率(8.9%)は、2016年7月の企業統合以降で過去最高を達成した。
2. 業績見通し
2023年3月期通期の連結業績予想は、売上収益で前期比9.6%増の75,000百万円、営業利益は同14.8%増の7,000百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同12.9%増の4,000百万円と、さらなる業績拡大を計画する。売上収益の前期比が9.6%増予想(前期は21.5%)と同社の過去の実績からはやや保守的な数字だが、2022年3月期も期初予想は同15.4%だったことからすれば、最低限のコミットメントと捉えることができる。利益面では、営業利益率では9.3%(前期は8.9%)と0.4ポイントの改善を見込む。弊社試算から、営業利益では、営業利益率10.4%(1.1ポイント改善)を前提に7,800百万円前後(予想値より約800百万円増)となるのではないかと見ている。2019年3月期に損益分岐点を超えたため、現在は収益性が高まるフェーズにある。業容拡大が順調に進めば、工場の稼働率が高まり原価は低減できる。また、地産地消が進めば物流効率の向上によりさらなる販管費率の低下にもつながる。弊社では、同社の売上収益・各利益の期初予想はやや保守的であり、上振れが期待できると考えている。
3. 成長戦略・トピック
同社は、1WAY方式の配送を行っており、工場・倉庫から消費者の自宅へ、宅配水を毎月配送する。長らく、配送委託業者は全国に物流網を持つ大手配送業者のみであったが、3年前より、大都市圏を中心に自社専用の配送を行う地域のパートナーと地産地消の物流インフラの構築を開始した。自社物流の開始の契機としては、物流単価の値上げ圧力が高まったことが挙げられる。また大都市圏では、配送先が密なため、専用配送車の積載効率を高めやすい。2022年3月期には、自社物流の比率は約40%まで向上した。これらの取り組みの成果は、売上高物流比率にも表れた。2019年3月期以降、売上高物流比率は25%前後で横ばいであり、しっかり抑制されていることがわかる。今後は、大手配送業者の物流網を基本としつつ、自社物流比率で最大50%程度まで伸ばしたい考えだ。
4. ESGへの取り組み
同社ではESGが話題になる以前から、天然水として地域の資源を持続的に守り、地域に貢献する取り組みを本業を通じて行ってきた。2022年3月期には、「プレミアムウォーターホールディングスSDGs宣言」を行い、環境(環境を守り育むことで自然を豊かに)、地域・社会(地域と共生し人々の暮らしを豊かに)、ガバナンス(公正で透明かつ潤いのある組織を)、社員(多様性を尊重し働き甲斐のある環境で社員の人生を豊かに)の4つの重点テーマを明示している。注目すべき取り組み事例としては、プラスチックの使用量削減や、SDGs特化型の新ウォーターサーバーのビジネスモデルの開発などが挙げられる。
5. 株主還元策
同社は、今後も内部留保の充実を図り事業拡大のための投資を行う一方、第2の創業期から5年目となる事業年度を順調に迎えることができた1つの節目として、配当を開始した。2022年3月期の1株当たり配当金は20円(内、記念配当10円)、配当性向は16.7%である。また、2023年3月期は、配当金は22円、配当性向は16.3%と増配を予想する。
■Key Points
・2022年3月期は、過去最高業績を更新。保有顧客数が143万件に伸長。物流効率化等が奏功し販管費の上昇を抑える
・財務体質の強化が進む。社債発行など資金調達が多様化。親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は19.5%と目標の20%目前
・2023年3月期通期は売上収益75,000百万円、営業利益7,000百万円を予想。例年どおり上振れる可能性あり
・自社物流の比率が約40%まで向上。最大規模の岐阜・北方工場が稼働開始(2022年2月)
・2022年3月期より配当を開始。2022年3月期の配当金は20円、配当性向16.7%
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<EY>
プレミアムウォーターホールディングス<2588>は、ウォーターサーバーを設置した家庭や事業所に自社製造のミネラルウォーターを届ける宅配水業界の大手企業である。2016年に、天然水製造が強みの(株)ウォーターダイレクトと営業力が強みの(株)エフエルシーが経営統合して誕生した。率いるのは、エフエルシーを起業しプロモーション営業力で国内トップクラスに引き上げた実績を持つ萩尾陽平(はぎおようへい)代表取締役社長だ。ブランドを「プレミアムウォーター」に統一し再スタートを切り、以降、強力な営業組織と販売ノウハウを武器に急成長する。保有顧客数143万件(2022年3月末時点)は宅配水業界で首位となっている。2022年4月の東京証券取引所(以下、東証)の再編においては、スタンダード市場に移行した。
1. 業績動向
2022年3月期の売上収益は68,452百万円(前期比21.5%増)、営業利益6,097百万円(同38.7%増)、税引前利益5,465百万円(同38.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益3,542百万円(同10.9%増)となり、売上収益・各利益ともに順調に成長した。売上収益は、新規契約が好調に推移し、保有顧客数が積み上がったことで前年同期比21.5%の増収となった。2022年3月末の保有顧客数は143万件と通期で20万件の純増となった。1顧客当たりの水の消費量が増えたことも増収の要因となった。営業利益に関しては、前期比38.7%増の大幅な増益となった。売上総利益は、増収効果及び保有顧客数の増加に伴う各工場の稼働率の向上等による製造原価の低減により前期比20.6%増加した。一方で販管費は、効率的な物流網の構築等の取り組みを行い、前期比19.6%増と相対的に伸びを抑えた。結果として営業利益額(6,097百万円)及び営業利益率(8.9%)は、2016年7月の企業統合以降で過去最高を達成した。
2. 業績見通し
2023年3月期通期の連結業績予想は、売上収益で前期比9.6%増の75,000百万円、営業利益は同14.8%増の7,000百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同12.9%増の4,000百万円と、さらなる業績拡大を計画する。売上収益の前期比が9.6%増予想(前期は21.5%)と同社の過去の実績からはやや保守的な数字だが、2022年3月期も期初予想は同15.4%だったことからすれば、最低限のコミットメントと捉えることができる。利益面では、営業利益率では9.3%(前期は8.9%)と0.4ポイントの改善を見込む。弊社試算から、営業利益では、営業利益率10.4%(1.1ポイント改善)を前提に7,800百万円前後(予想値より約800百万円増)となるのではないかと見ている。2019年3月期に損益分岐点を超えたため、現在は収益性が高まるフェーズにある。業容拡大が順調に進めば、工場の稼働率が高まり原価は低減できる。また、地産地消が進めば物流効率の向上によりさらなる販管費率の低下にもつながる。弊社では、同社の売上収益・各利益の期初予想はやや保守的であり、上振れが期待できると考えている。
3. 成長戦略・トピック
同社は、1WAY方式の配送を行っており、工場・倉庫から消費者の自宅へ、宅配水を毎月配送する。長らく、配送委託業者は全国に物流網を持つ大手配送業者のみであったが、3年前より、大都市圏を中心に自社専用の配送を行う地域のパートナーと地産地消の物流インフラの構築を開始した。自社物流の開始の契機としては、物流単価の値上げ圧力が高まったことが挙げられる。また大都市圏では、配送先が密なため、専用配送車の積載効率を高めやすい。2022年3月期には、自社物流の比率は約40%まで向上した。これらの取り組みの成果は、売上高物流比率にも表れた。2019年3月期以降、売上高物流比率は25%前後で横ばいであり、しっかり抑制されていることがわかる。今後は、大手配送業者の物流網を基本としつつ、自社物流比率で最大50%程度まで伸ばしたい考えだ。
4. ESGへの取り組み
同社ではESGが話題になる以前から、天然水として地域の資源を持続的に守り、地域に貢献する取り組みを本業を通じて行ってきた。2022年3月期には、「プレミアムウォーターホールディングスSDGs宣言」を行い、環境(環境を守り育むことで自然を豊かに)、地域・社会(地域と共生し人々の暮らしを豊かに)、ガバナンス(公正で透明かつ潤いのある組織を)、社員(多様性を尊重し働き甲斐のある環境で社員の人生を豊かに)の4つの重点テーマを明示している。注目すべき取り組み事例としては、プラスチックの使用量削減や、SDGs特化型の新ウォーターサーバーのビジネスモデルの開発などが挙げられる。
5. 株主還元策
同社は、今後も内部留保の充実を図り事業拡大のための投資を行う一方、第2の創業期から5年目となる事業年度を順調に迎えることができた1つの節目として、配当を開始した。2022年3月期の1株当たり配当金は20円(内、記念配当10円)、配当性向は16.7%である。また、2023年3月期は、配当金は22円、配当性向は16.3%と増配を予想する。
■Key Points
・2022年3月期は、過去最高業績を更新。保有顧客数が143万件に伸長。物流効率化等が奏功し販管費の上昇を抑える
・財務体質の強化が進む。社債発行など資金調達が多様化。親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は19.5%と目標の20%目前
・2023年3月期通期は売上収益75,000百万円、営業利益7,000百万円を予想。例年どおり上振れる可能性あり
・自社物流の比率が約40%まで向上。最大規模の岐阜・北方工場が稼働開始(2022年2月)
・2022年3月期より配当を開始。2022年3月期の配当金は20円、配当性向16.7%
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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